英検の級別対策——3級から準1級まで、やることが変わる

英検は級ごとに、やることが変わる

英検対策として一括りに語られることが多いのですが、級によって必要な作業はかなり違います。3級で効く方法が準1級では通用せず、逆もあります。

この記事では、級ごとに何が問われ、何から手をつけるべきかを整理します。入試での使い方は英検の入試利用に書きました。ここでは、取るための話をします。

1. 全級に共通する原則

  1. 技能別に測る——Reading・Listening・Writing・Speakingのどれで落としているかを特定する。
  2. Writingから手をつける——形式が決まっているため、最短で動きます。
  3. 語彙が土台——ReadingとListeningは、語彙不足では対策が効きません。
  4. 1回で決めない——複数回受ける前提で計画します。
  5. 受検の間隔を練習期間にする——何も変えずに再受検してもスコアは動きません。

2番目が、もっとも実務的な助言です。ライティングは採点基準が公開されており、型を守るだけで基準の複数項目を満たせます。対策していない受験者が最も損をしている技能でもあります。

2. 3級——ライティングの型で決まる

3級は中学卒業程度とされます。ここでもっとも点が動くのはライティングです。

  1. 質問に対する自分の意見を、1文で書く——I think … / I like … など、質問文の表現を借りる。
  2. 理由を2つ書く——I have two reasons. と宣言してから、First, … Second, … と続ける。
  3. 語数を守る——指定語数の範囲に収める。

この型を守るだけで、構成の評価は満たせます。内容の独創性は求められていません。簡単な理由で構いません。

やってはいけないこと

  • 難しい構文を使おうとする——誤りが増え、減点されます。
  • 理由を1つしか書かない——構成の点が落ちます。
  • 質問に答えていない——内容の点が0になります。
  • 語数が足りない——大きく減点されます。

3級のライティングは、知っている単語だけで、型どおりに書くのが最適解です。

3. 準2級・2級——語彙と型の両方

この帯では、ライティングの型に加えて語彙の量が効いてきます。

ライティング

構成は3級と同じ「主張→理由2つ→まとめ」ですが、語数が増え、まとめの一文が必要になります。また、与えられた観点(POINTS)を使うことが求められる形式もあります。

ここでの追加要素は、理由を具体化する一文です。「便利だから」だけでなく、「たとえば〜できる」を添えると、内容の評価が上がります。

語彙

2級のReadingは、語彙が足りないと手が出ません。英語長文で書いたとおり、1語1秒で回す方法が効きます。思い出そうとして止まらず、出てこなければ即座に答えを見て次へ進む。

リスニング

「読めば分かるが聞き取れない」場合、音と文字が結びついていません。対処は音声を聞きながら文字を追う音読するの順です。いきなり聞き取ろうとしても進みません。

4. 準1級——別の試験だと考える

2級と準1級の間には、大きな差があります。語彙のレベルが上がり、扱うトピックが社会的な内容になります。

語彙

準1級では、専用の単語帳が必要になります。2級までの語彙では届きません。ここは量を積むしかない部分で、数か月単位の期間が要ります。

ライティング

準1級のライティングは、社会的なトピックについて意見を述べる形式です。ここで効くのは、実は英語力ではなく中身を持っているかです。

日本語でも意見が言えないトピックについて、英語で書けるはずがありません。したがって、頻出トピックについて日本語で立場と理由を用意しておくのが有効な対策になります。

これは小論文の準備とそのまま重なります。教育・環境・技術・労働・高齢化——同じテーマが出ます。両方を別々に対策する必要はありません。

スピーキング

準1級の面接では、イラストの描写と、社会的な質問への応答があります。ここでも、沈黙しないこと質問に答えることが優先です。

難しい表現を使おうとして詰まるより、簡単な文で答え切るほうがスコアが安定します。

5. 期間の設計

目標 現在地からの目安
3級→準2級 数か月。語彙と型の追加。
準2級→2級 半年程度。語彙の増強が中心。
2級→準1級 半年〜1年。別試験と考える。

この表は現在地によって大きく変わるため、あくまで目安です。ただし共通して言えるのは、級が上がるほど語彙に時間がかかるということです。

大学入試で使うことを考えるなら、前の記事に書いたとおり高3前半までに取り終えるのが安全です。準1級を目指すなら、高1から動き始めることになります。

6. 学校の英語と英検

学校の英語の成績がよくても英検が取れない、あるいはその逆、という状況があります。理由は、測っているものが少し違うためです。

学校の定期テスト 英検
範囲 教科書の該当範囲 範囲指定なし
初見の文 少ない すべて初見
技能 読解・文法中心のことが多い 4技能
対策 直前の暗記でも点が取れる 積み上げが必要

したがって、定期テストの点だけを英語力の指標にするのは適切ではありません。英検のスコアのほうが、実力に近い数字になります。

7. 中1でつまずかせない

英語は積み上げの科目であるため、最初のつまずきが長く尾を引きます。中1の段階で英語が嫌いになると、その後の負担が大きくなります。

中1でつまずく主な原因は次の3つです。

  • 音と文字が結びついていない——読めない単語は覚えられません。
  • 語順の感覚がない——日本語と語順が違うことが腑に落ちていない。
  • 量が足りない——触れる量が少ないと、定着しません。

対処は、音読です。教科書の本文を、意味が分かった状態で繰り返し音読する。1番目と2番目の両方に効きます。

小学生・中学生のうちに英検を受けることには、入試優遇よりも先に進んでおくことの効果があります。中学のうちに準2級・2級の語彙に触れておくと、高校の英語の負荷が下がります。

当塾の立場

当塾は英検の指導を行っており、クチコミでも英語・英検への言及が最も多くなっています。その前提で書きます。

そのうえで、英検を取ること自体が目的になると遠回りになるという点は繰り返しお伝えしています。志望校がその検定を評価しないなら、その時間は他に回すほうが合理的です。

また、級を上げること自体を急がせることもしません。語彙と読解の土台が積み上がった結果として級がついてくる、という順序で考えています。過去問だけを回して取った級は、入試の英語には結びつきません。

まとめ

  1. 級によってやることが違う。一括りにしない。
  2. 全級共通でWritingから着手する。型で点が動く。
  3. 3級は知っている単語だけで型どおりが最適解。
  4. 準2級・2級は語彙の量が効く。1語1秒で回す。
  5. 準1級は別試験。日本語で意見が言えるかが先。
  6. 準1級の対策は小論文の準備と重なる。別々にやらない。
  7. 定期テストより英検のスコアのほうが実力に近い。
  8. 中1のつまずきは音読で対処する。

この記事と関わりの深い記事です。あわせてお読みいただくと、判断の材料が揃います。

記事全体の見取り図は記事の索引——テーマ別に、どれから読めばよいかにまとめています。

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ryomiyagawa Founder
早稲田大学大学院文学研究科哲学専攻修士号修了、同大学大学院同専攻博士課程中退。日本倫理学会員 早稲田大学大学院文学研究科にてカント哲学を専攻する傍ら、精神分析学、スポーツ科学、文学、心理学など幅広く研究に携わっている。

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