総合型選抜の面接が必須になると、何が変わるか

面接が必須になると、何が変わるのか

2027年度入試から、総合型選抜で面接が必須化されるとされています。この変更は、対策の中身を根本から変えるものです。

確認のお願い:適用の範囲・実施方法は大学・学部・方式ごとに異なり、変更もあり得ます。受験する大学の募集要項で必ずご確認ください。この記事は、面接という試験で何が問われるのかを整理するものです。

結論から書くと、面接が入ることの本質は「書類と本人が一致しているかの確認」です。ここを理解しないまま面接の練習をすると、想定問答を暗記するだけの対策になり、かえって不利になります。

1. 面接官が確認していること

面接は、雑談でも人柄診断でもありません。手元に志望理由書がある状態で行われるため、質問はそこから出ます。確認されているのは主に次の4点です。

  1. 書いた内容を本人が理解しているか——書類の中身を、自分の言葉で説明できるか。
  2. 関心が本物か——なぜそのテーマなのか。いつからか。何がきっかけか。
  3. 調べているか——その学部・その分野について、どこまで具体的に知っているか。
  4. 入学後に伸びるか——分からないことに対して、どう反応するか。

4番目が見落とされがちです。答えられない質問が来たときの反応も見られています。ここで取り繕うか、分からないと言ったうえで考えようとするかで、印象は大きく変わります。

2. 暗記型の対策が危ない理由

想定問答集を作り、答えを覚えて臨む——これが従来もっとも多い対策でした。面接が必須化されると、この方法のリスクが上がります。

理由は、面接官が重ねて聞いてくるからです。用意した答えを言った後に「なぜそう思ったのですか」「具体的には」「他の考え方もありますよね」と続きます。用意していたのが1階層目だけなら、2階層目で止まります。

そして、止まったこと自体より、1階層目が滑らかで2階層目が空白という落差が問題になります。用意してきたものだと分かるからです。

ではどうするか

答えを覚えるのではなく、自分の考えの構造を持っておくことです。具体的には、志望理由書の各要素について次を言えるようにします。

  • なぜそう考えたのか(きっかけとなった経験)
  • 他にどういう見方があるか(自分の考えと違う立場)
  • なぜそちらではなく自分の考えを取るのか

この3つが言えれば、どの角度から聞かれても答えられます。暗記の量ではなく、考えた深さが効きます。

3. よく聞かれる質問と、その意図

質問 何を見ているか
なぜ本学のこの学部なのですか 他大学でも成り立つ理由になっていないか。調べているか。
そのテーマに関心を持ったきっかけは 関心の由来。具体的な経験があるか。
入学後、具体的に何を学びたいですか カリキュラムや教員を実際に見ているか。
そのテーマについて、最近読んだものは 継続的に調べているか。一夜漬けか。
あなたの考えに対する反論は何だと思いますか 一面的でないか。考えを検討しているか。
高校時代に力を入れたことは 結果ではなく、過程を語れるか。
本学が不合格だったらどうしますか 志望の本気度と、現実的な計画。

5番目の「反論は何だと思いますか」は、答えられない受験生が多い質問です。自分の主張の弱点を自分で言えるのは、それだけ考えた証拠になります。小論文で扱う「反論→再反論」の構造が、そのまま面接でも効きます。

4. 答え方の基本

  1. 結論を先に言う——聞かれたことに最初に答える。理由は後。
  2. 長さは30秒〜1分——長すぎると要点が消えます。
  3. 具体を1つ入れる——抽象論だけでは残りません。
  4. 分からないことは分からないと言う——そのうえで、どう考えるかを述べる。
  5. 質問に答える——用意した話に引き寄せない。

5番目が実は難しいところです。準備してきた話をどこかで言いたくなり、聞かれていないことを話してしまう。これは「質問に答えていない」と判定されます。

5. グループディスカッションがある場合

大学によっては、個人面接ではなくグループディスカッションが課されます。ここで評価されるのは、目立つことではなく、議論に貢献することです。

  • 他人の発言を踏まえる——自分の意見を言うだけの人は評価されません。
  • 論点を整理する——議論が散らかったときに、いま何を話しているかを言える人は貴重です。
  • 発言していない人に振る——場を機能させる動きも見られています。
  • 時間を意識する——結論に向けて進める意識。

逆効果になるのは、他人の意見を否定して自分の案を通そうとする動き方です。討論会ではなく、共同作業として見られています。

6. 準備は数年単位になる

面接で答えられる状態を作るには、関心のあるテーマについて、実際に調べて考えてきた蓄積が要ります。これは高3の夏から作れるものではありません。

現実的な進め方は次のとおりです。

時期 やること
高1 関心のある領域を粗く決める。関連する本や記事を読み始める。読んだものを記録する。
高2前半 テーマを絞る。その分野の大学・学部・教員を調べる。オープンキャンパスで具体的に聞く。
高2後半 自分の問い(リサーチクエスチョン)の形にする。反対の立場も調べる。
高3前半 志望理由書を書く。書きながら、答えられない箇所を調べ直す。
高3後半 面接練習。ただし暗記ではなく、深掘りに答える練習。

この表で重要なのは、高1の「記録する」です。読んだもの・考えたことを残しておくと、高3で書くときに材料になります。記憶だけでは、具体性のある文章になりません。

7. 一般選抜の準備を止めない

面接が加わることで、総合型の準備負担はさらに増えます。ここで気をつけるべきは、一般選抜の準備が止まることです。

総合型で不合格だった場合、戻る先は一般選抜です。9月から11月を面接練習に費やして英数の演習が止まると、切り替えたときに大きく遅れます。

対処は単純で、総合型の準備に使う時間を先に決めておくことです。「週に何時間まで」と決め、それ以外は通常の学習に充てる。無制限にすると、際限なく削られます。

当塾の立場

当塾は総合型選抜の専門塾ではありません。書類の添削や面接練習は行いますが、それを主商品にしているわけではないことは最初にお伝えしています。

そのうえで、面接必須化について当塾が伝えているのは「これは総合型を楽な入口と考えていた層にとって不利な変更である」という一点です。逆に、関心のあるテーマを本当に持っている生徒にとっては、それが評価される場が増えたともいえます。

また、面接練習を早く始めすぎるのも勧めません。中身が固まっていない段階で話し方だけを練習すると、内容の薄さが話術で隠れてしまい、直すべき箇所が見えなくなります。順序としては、調べる・考える・書くが先です。

まとめ

  1. 2027年度から面接が必須化されるとされる(要項で必ず確認)。
  2. 面接の本質は書類と本人が一致しているかの確認
  3. 暗記型の対策は深掘りで止まる。考えの構造を持つ。
  4. 「反論は何だと思いますか」に答えられるかが分かれ目。
  5. 答え方は結論先出し・30秒〜1分・具体を1つ
  6. グループディスカッションは目立つことではなく貢献
  7. 準備は数年単位。高1から読んだもの・考えを記録する
  8. 総合型に使う時間を先に上限を決める。一般選抜を止めない。

この記事と関わりの深い記事です。あわせてお読みいただくと、判断の材料が揃います。

記事全体の見取り図は記事の索引——テーマ別に、どれから読めばよいかにまとめています。

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ryomiyagawa Founder
早稲田大学大学院文学研究科哲学専攻修士号修了、同大学大学院同専攻博士課程中退。日本倫理学会員 早稲田大学大学院文学研究科にてカント哲学を専攻する傍ら、精神分析学、スポーツ科学、文学、心理学など幅広く研究に携わっている。

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