名古屋大学 学校推薦型選抜(令和9年度)|文学部だけ共通テストなし

名古屋大学文学部だけ、共通テストを課しません

名古屋大学の学校推薦型選抜を調べるとき、最初に確認すべき一点があります。

文学部のみが「大学入学共通テストを課さない」選抜です。他学部は共通テストを課します。

この違いは、受験の設計をまるごと変えます。文学部は12月9日に合格が決まりますが、他学部は共通テスト後まで結果が出ません。

この記事では、令和9(2027)年度の学生募集要項から、特に文学部の選抜を中心に整理します。

出典:名古屋大学「令和9年度 学校推薦型選抜 学生募集要項」(令和8年8月公開/2026年9月11日確認)

1. 募集人員

学部 募集人員 共通テスト
文学部 15 課さない
教育学部 10 課す
法学部 45 課す
経済学部 40 課す
情報学部 28 課す
理学部 30 課す
医学部医学科 10 課す
医学部保健学科 74 課す
工学部・農学部ほか 要項参照 課す

法学部45名、医学部保健学科74名と、学校推薦型選抜としては規模の大きい枠を持つ学部があります。

要項には次の記載もあります。「合格者・入学手続者が募集人員に達しない場合、欠員分は一般選抜の募集人員に加える。」枠を埋めるために基準を下げない、という設計です。

2. 文学部の出願資格

出願資格(1)〜(3)のいずれかを満たしたうえで、次の①〜③のすべてに該当する必要があります。

  1. 人文学の学修に強い意欲を持ち、学業及び人物ともに傑出し、学校長等が責任をもって推薦できる者
  2. 調査書の学習成績概評がA段階である者
  3. 合格した場合には必ず入学することを確約できる者

②の「学習成績概評がA段階」は明確な数値条件です。学習成績概評A段階は、評定平均値5.0〜4.3に相当します。ここを満たさなければ出願できません。

評定の仕組みについては内申点の実務で扱っています。自分の概評段階を、必ず学校で確認してください。

③から、これは専願です。合格したら入学します。

3. 推薦できるのは各高校2名以内

文学部について、要項にはこう明記されています。

「各高等学校等から推薦できる人数:2名以内」

つまり校内選考があります。同じ高校で3人が志望したら、1人は出願できません。

実務上の対応は東京大学の推薦と同じです。校内に他の志望者がいるかを早めに確認してください。出願できるかどうかの問題であり、遠慮する場面ではありません。

なお教育学部も推薦2名以内です。

4. 文学部の選抜方法

段階 内容
第1次選考 書類審査(推薦書・調査書・志願理由書)で約30名を第1次合格者とする
第2次選考 小論文面接

募集人員15名に対して第1次合格者が約30名。第2次選考は倍率2倍程度ということになります。

第2次選考の中身が、この入試の特徴です。

小論文——英語の文章を読んで日本語で論述

要項の記述は明確です。「英語の文章を読み、日本語で論述する形式」

一般的な小論文対策——与えられたテーマについて意見を書く練習——では届きません。英文読解が先にあります。試験時間は10:00〜12:00の2時間です。

面接——5分間のプレゼンテーションがある

要項の記述です。

「複数教員による15分程度の個人面接。受験者は志願理由書に基づき5分間のプレゼンテーション(PowerPointや手持ち資料は利用不可)を行い、それに対して10分程度の質疑応答を行う。」

ここは読み落とせない条件が並んでいます。

  1. プレゼンテーションは志願理由書に基づく。別のテーマを持ち込めません。志願理由書を書いた時点で、話す内容が決まります。
  2. 5分間。短すぎず長すぎない、最も準備が要る長さです。
  3. PowerPointも手持ち資料も使えません。口頭のみです。原稿を読むこともできません。
  4. 質疑応答が10分。プレゼンの倍の時間です。話した内容を掘り下げられます。

3番目が実務上いちばん重い条件です。資料に頼らず、5分間を構成して話す訓練が必要になります。

そして4番目——質疑が10分あるということは、プレゼンの完成度より、書いた内容を自分で説明できるかが問われているということです。他人が整えた志願理由書では、10分の質疑に耐えられません。

志願理由書の書き方は志望理由書の書き方、面接については面接対策で扱っています。

5. 文学部の日程

項目 日程
ネット出願登録・検定料納入 令和8年10月23日(金)10時〜11月5日(木)15時
出願 11月2日(月)〜11月6日(金)15時 郵送必着(持参不可)
第1次選考結果 11月18日(水)17時
第2次選考 11月26日(木) 小論文10:00〜12:00、面接13:00〜16:30
合格者発表 12月9日(水)17時

注意点を2つ。

「郵送必着(持参不可)」——窓口に持っていくことができません。必ず郵送し、6日15時までに届かせます。

第1次結果が11月18日、第2次が11月26日。間は8日間です。プレゼンの準備を、第1次合格を知ってから始めては間に合いません。出願時点で準備を始めてください。

6. 任意提出書類——出せるものは幅広い

文学部では、次のような書類を任意で提出できます。

  • 語学力を示す各種試験のスコア——TOEFL/IELTS/TOEIC/英検/GTEC/HSK/中検/DELF・DALF/仏検/Goethe-Zertifikat/独検 等
  • 国際バカロレアのスコア
  • SSH(スーパーサイエンスハイスクール)における活動
  • 全国規模・地方規模の人文学分野のコンテスト等への参加状況
  • 科学オリンピック等の実績
  • その他各種活動状況・表彰・資格の証明書

英語以外の言語(中国語・フランス語・ドイツ語)の検定が明記されている点は、人文学部らしい設計です。英検だけが評価されるわけではありません。

また「地方規模のコンテスト」まで挙げられています。全国大会の実績がなくても出せるものがある、ということです。

7. 文学部以外の学部

参考として、要項に記載されている他学部の概要です。

学部 内容
教育学部 推薦2名以内。第1次で約20名。第2次は小論文+面接。試験日 令和9年2月8日(月)
法学部 面接選考
理学部・農学部 面接を行わず、書類+共通テストで選抜

理学部・農学部が面接を行わない点は特徴的です。書類と共通テストの成績で決まります。面接対策より、共通テストの得点が直接結果になります。

教育学部の試験日が令和9年2月8日である点にも注意してください。共通テスト後です。文学部とは受験生活の形が違います。

8. よくある誤解

「名大の推薦は共通テストがいらない」

違います。共通テストを課さないのは文学部のみです。

「評定が高ければ出願できる」

文学部は学習成績概評A段階が条件です。加えて各高校2名以内という校内枠があります。

「小論文は日本語の文章を読む」

違います。文学部は英語の文章を読み、日本語で論述します。

「プレゼンは資料を使える」

使えません。PowerPointも手持ち資料も利用不可です。

「プレゼンのテーマは自由」

違います。志願理由書に基づくプレゼンテーションです。

「出願書類は持参できる」

できません。郵送必着・持参不可です。

当塾の立場

当塾は総合型選抜・推薦系の指導を行っており、この記事には利害があります。その前提でお読みください。

そのうえで、名古屋大学文学部の学校推薦型選抜について当塾の見方を書きます。

この入試の設計は、率直に言ってよくできています。理由は面接の形式です。志願理由書に基づく5分のプレゼンに、10分の質疑が続く。資料も原稿も使えません。この形式では、本人が考えていない内容は必ず露呈します。

当塾が志望理由書を「代わりに書く」ことをしないのは、こうした入試があるからでもあります。10分間掘り下げられて答えられない文章には、意味がありません。書いた本人が、自分の言葉で説明できる状態まで持っていくのが指導です。

準備で当塾が重視しているのは2点です。ひとつは英文を読んで日本語で論じる演習。一般的な小論文対策とは別物です。もうひとつは資料なしで5分間話す練習。これは回数がものを言います。

また、第1次結果から第2次まで8日間しかないことを、生徒には最初に伝えています。合格通知を待ってから準備を始める時間はありません。

なお、学習成績概評A段階という条件は高3の秋には動かせません。名古屋大文学部を視野に入れるなら、高1からの積み上げが前提になります。ここは正直にお伝えしています。

まとめ

  1. 文学部のみ共通テストを課さない。他学部は課す。
  2. 文学部の出願条件は学習成績概評A段階入学確約(専願)
  3. 各高校から推薦できるのは2名以内。校内選考がある。
  4. 第1次(書類)で約30名→第2次は小論文+面接。募集15名。
  5. 小論文は英語の文章を読み、日本語で論述(10:00〜12:00)。
  6. 面接は志願理由書に基づく5分プレゼン+10分質疑資料利用不可。
  7. 出願は11月6日(金)15時 郵送必着・持参不可。第2次は11月26日、発表12月9日。
  8. 任意提出書類は英語以外の語学検定や地方規模のコンテストも対象。
  9. 理学部・農学部は面接を行わず書類+共通テストで選抜。

この記事は2026年9月11日に名古屋大学の令和9年度 学校推薦型選抜 学生募集要項(令和8年8月公開)で確認した内容にもとづいています。学部ごとの詳細は要項の各学部の項をご覧ください。要件・日程・募集人員は変更されることがあります。

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記事全体の見取り図は記事の索引——テーマ別に、どれから読めばよいかにまとめています。

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ryomiyagawa Founder
早稲田大学大学院文学研究科哲学専攻修士号修了、同大学大学院同専攻博士課程中退。日本倫理学会員 早稲田大学大学院文学研究科にてカント哲学を専攻する傍ら、精神分析学、スポーツ科学、文学、心理学など幅広く研究に携わっている。

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