中央大学法学部 チャレンジ入学試験(2027年度)|併願可の自由応募制

中央大学法学部のチャレンジ入試は、他大学と併願できます

総合型選抜は専願——つまり合格したら必ず入学する——という設計が多数派です。慶應義塾大学のFIT入試も、上智大学の公募制推薦も、成蹊大学の自己推薦型も専願です。

その中で、中央大学法学部のチャレンジ入学試験は要項にこう書かれています。「本入試制度は自由応募制です。他の入試制度や本学他学部、他大学との併願を認めています。」

この一文の意味は大きく、受験設計そのものが変わります。この記事は2027年度の入学試験要項をもとに書いています。

出典:中央大学「2027年度 法学部 チャレンジ入学試験 入学試験要項」(2026年9月11日確認)

1. 3つの部門

チャレンジ入試は、将来の方向性によって3部門に分かれています。

部門 対象
リーガル部門 法曹、企業法務、市民活動等の法的な分野での問題解決をめざす者
パブリック部門 国、自治体、メディア、NPO等の公共的な分野での問題解決をめざす者
グローバル部門 国際機関、国際的企業、NGO等のグローバルな分野での問題解決をめざす者

重要な制約が2つあります。

  1. 出願はいずれか1学科1部門に限ります。
  2. リーガル・パブリック・グローバルを併願することはできません。

つまり、出願の時点で「自分はどの分野で問題解決をしたいのか」を1つに決める必要があります。これは出願書類の内容を規定します。3部門のどれでも通用する曖昧な志望理由では、部門を選んだ意味が書類に表れません。

募集人員は法律学科が30名(3部門の合計)。国際企業関係法学科・政治学科でも実施されています。

2. 出願資格

学歴要件のほかに、次の4つすべてに該当することが求められます。

  1. 法律学・政治学を学ぶうえで必要な知識・学力を有し、それを基礎として社会問題等に対して優れた思考力、判断力を有する者
  2. 関係者とコミュニケーションを図りながら、協働して問題解決を図る姿勢と能力を有する者
  3. 将来、3部門のいずれかにおいて社会および自己の未来を切り拓く夢を持ち、その夢に挑戦する意欲と能力のある者
  4. 上記の夢を実現するために、これまで意識的に学修に取り組むとともに、課外の活動(例えば、生徒会活動、部活動、ボランティア活動、地域活動、学術・文化芸術活動等、正規の教育課程のほかに実施した活動)に積極的に取り組み、優れた成果を挙げた等、個性的かつ卓越した経験と実績を有する者

注目すべきは、評定平均の要件も、英語外部検定の要件も出願資格に書かれていないことです。数値の足切りがありません。

代わりに問われるのが4番目の「個性的かつ卓越した経験と実績」です。ただし例示には生徒会活動・部活動・ボランティア・地域活動が含まれており、大会入賞のような特殊な実績に限定されていません。

また4番目は「夢を実現するために」という条件で修飾されています。実績そのものではなく、志望する部門とのつながりが問われます。部活を頑張ったこと自体ではなく、それが「グローバルな分野での問題解決」とどうつながるのかです。

3. 選考——講義理解力試験という形式

選考は2段階です。

段階 内容
1次選考 書類選考。提出された書類を参考にして総合的に判断
2次選考 講義理解力試験個人面接(15分程度)

2次の「講義理解力試験」が、この入試の特徴です。要項の記述は次のとおりです。

  • 45分程度の講義の後で、75分間の論述形式の筆記試験を行う。
  • 講義のテーマは受験者にわかりやすいものを選び、試験ではその内容理解と意見を問う。
  • 講義形式は対面もしくは動画投影または視聴(いずれも対面で実施)。
  • 詳細は1次選考合格者にのみ2次選考受験票で案内される。

つまり、その場で45分の講義を聴き、理解し、75分で論述するという試験です。事前の知識で解く試験ではありません。

4. 講義理解力試験の準備

この形式で問われる力は3つに分解できます。

具体的に 練習
聴いて構造を取る 45分の話の主張・根拠・対立点を把握する 大学の公開講義や講演を聴き、聴きながらメモを取る
メモの技術 後で使える形で残す 主張/根拠/具体例/疑問の4列で書く
論述 内容理解を示し、自分の意見を述べる 75分で2,000字前後を書く訓練

2行目のメモの取り方が、実はいちばん差がつきます。話の順番どおりに書き取ると、後から構造が見えません。4列に分けて書くと、論述のときに「内容理解」と「自分の意見」を分離して書けます。

練習の材料は身近にあります。大学がYouTubeで公開している模擬講義、学会の一般向け講演、NHKの解説番組。聴いて、メモして、書く。これを週1本やれば形になります。

論述の型は小論文の型を参照してください。主張・反論・再反論の構造は、この試験でもそのまま使えます。

5. 日程

項目 日程
出願期間 2026年9月1日(火)10:00〜9月7日(月) ※締切日消印有効
1次選考(書類選考)合格発表 2026年10月16日(金)11:00〜
2次選考 2026年10月24日(土) 中央大学 茗荷谷キャンパス
2次選考合格発表 2026年11月5日(木)11:00〜

注意点を3つ。

  1. 出願期間が1週間しかありません。9月1日から7日まで。書類は8月中に完成させてください。
  2. 合格発表はUCAROのみで、合否結果通知の郵送は行いません。合否に関する問い合わせにも一切応じないと明記されています。
  3. 1次合格発表から2次試験まで8日。その間に講義理解力試験の対策は間に合いません。事前に準備しておく必要があります。

合格通知書も郵送されず、UCAROからダウンロードする形式です。アカウントとパスワードの管理を家庭で共有しておいてください。

6. 併願できることの使い方

冒頭に書いたとおり、この入試は自由応募制で、他大学との併願が認められています。これをどう使うかを整理します。

  1. 一般選抜の勉強を止める理由がない。10月24日に受験して、11月5日に結果が出ます。不合格でも一般選抜まで2か月以上あります。
  2. 専願の大学と組み合わせられる。ただし専願の大学に合格した場合は、そちらに進学する義務が生じます。順序を考えてください。
  3. 「試す」コストが時間と検定料だけ。進路を縛られません。

ただし誤解しないでください。併願できることは、準備が軽いことを意味しません。45分の講義を聴いて75分で論述する試験は、付け焼き刃では通りません。

併願設計の考え方は出願要件の読み方にまとめています。

7. 書類で書くべきこと

出願資格の4項目に対応させて書くと、書類が締まります。

出願資格 書類で示すこと
知識・学力、思考力・判断力 社会問題を1つ取り上げ、事実と論点を整理して見せる
協働して問題解決を図る姿勢 誰かと一緒に何かを進めた経験。役割と、うまくいかなかった点
部門における夢 3部門のどれか1つに絞り、その分野の具体的な課題を挙げる
意識的な学修と課外活動 夢とのつながりを明示する。活動の羅列にしない

2行目の「うまくいかなかった点」を書くことを勧めます。協働の経験は、順調だった話より、摩擦をどう処理したかのほうが能力を示します。

3行目については、法学部の教員がどういう研究をしているかを調べてください。部門を選んだ理由が、中央大学法学部でなければならない理由につながります。法学の学び方は法学部で学ぶこと、条文や判例の読み方は条文と判例の読み方で扱っています。

8. よくある誤解

「評定が低いと出せない」

出願資格に評定平均の要件はありません。ただし調査書は提出書類に含まれます。

「英検が必要」

出願資格に英語外部検定の要件はありません。グローバル部門であっても、要項に数値基準は書かれていません。

「3部門とも出せる」

出せません。1学科1部門のみです。

「講義理解力試験は法律の知識が要る」

要項には「講義のテーマは受験者にわかりやすいものを選び」と書かれています。専門知識ではなく、聴いて理解して書く力が問われます。

当塾の立場

当塾は総合型選抜の指導を行っており、この記事には利害があります。その前提でお読みください。

そのうえで、中央大学法学部のチャレンジ入試は当塾が受験生に勧めやすい入試のひとつです。理由は3つあります。

第一に、併願できること。専願の入試は、出願が進学の意思表示になります。迷いのある受験生に勧めるのは無責任です。この入試にはその問題がありません。

第二に、評定や資格の足切りがないこと。高1・高2の成績で門前払いされません。

第三に、講義理解力試験が対策可能な形式であること。運や実績ではなく、聴く・書くという訓練で伸びる力を見ています。指導する側としても、何をやればよいかが明確です。

一方で、注意も申し上げます。この形式は、準備した受験生としていない受験生の差がはっきり出ます。「併願できるから記念受験」で臨むと、75分の論述で手が止まります。

当塾では、この入試を目指す生徒に週1本の「聴いて書く」課題を出しています。塾に通わなくてもできる練習なので、ご自身でやっていただいて構いません。

まとめ

  1. 自由応募制。他大学・本学他学部との併願を認めている(要項に明記)。
  2. リーガル/パブリック/グローバルの3部門。出願は1学科1部門のみ
  3. 出願資格に評定平均・英語外部検定の要件はない
  4. 求められるのは実績そのものより、夢とのつながり
  5. 2次は45分の講義→75分の論述+15分程度の個人面接。
  6. 出願期間は9月1日〜7日の1週間。書類は8月中に完成させる。
  7. 合格発表はUCAROのみ、郵送なし。問い合わせにも応じない。

この記事は2026年9月11日に中央大学の2027年度法学部チャレンジ入学試験要項で確認した内容にもとづいています。要件・日程は変更されることがあります。出願前に必ず当該年度の要項をご確認ください。

この記事と関わりの深い記事です。あわせてお読みいただくと、判断の材料が揃います。

記事全体の見取り図は記事の索引——テーマ別に、どれから読めばよいかにまとめています。

当塾について

武蔵野個別指導塾は武蔵境駅から徒歩30秒の完全個別指導塾です。総合型選抜(旧AO)入試対策授業料のご案内よくあるご質問に、指導の進め方と費用をまとめています。実際に通われた方の声は合格者の声をご覧ください。ご相談・体験のお申し込みはお問い合わせから承ります。

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ryomiyagawa Founder
早稲田大学大学院文学研究科哲学専攻修士号修了、同大学大学院同専攻博士課程中退。日本倫理学会員 早稲田大学大学院文学研究科にてカント哲学を専攻する傍ら、精神分析学、スポーツ科学、文学、心理学など幅広く研究に携わっている。

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