明治大学文学部 自己推薦特別入学試験(2027年度)|実績より説明力

明治大学文学部の自己推薦は、「実績の一覧」で決まる入試ではありません

明治大学文学部の自己推薦特別入学試験は、募集要項に例示が並んでいるため、「この条件を満たさないと出せない」と読まれがちです。

しかし要項には、はっきりとこう書かれています。「上記のものは一例であって、条件ではありません。」ここを読み落とすと、出願できるのに諦めるか、逆に実績を並べるだけの書類を出すことになります。

この記事は、2026年9月11日時点で公開されている自己推薦特別入学試験要項をもとに書いています。募集人員と日程の具体的な数字は、PDFの仕様上こちらで読み取れませんでした。推測で書かないため空欄にしています。必ず要項でご確認ください。

出典:明治大学文学部「自己推薦特別入学試験要項」(2026年9月11日確認)

1. この入試の趣旨

要項に書かれた目的は明確です。「これまで自分が真摯に取り組んできた学習、あるいは活動を本学部各学科・各専攻での専門的な教育の中に明確に位置付け、それに挑戦しようとする意欲を持った人材」を迎えること。

ここには2つの要素があります。

  1. 真摯に取り組んできた学習または活動があること——過去。
  2. それを文学部の専門教育の中に位置付けられること——接続。

多くの受験生は1番目だけを準備します。しかし評価されるのは2番目です。何をやってきたかではなく、それが文学部のどの学科・専攻の、どの学問とつながるのかを説明できるか。

文学部は文学科・史学地理学科・心理社会学科の3学科。文学科には日本文学・英米文学・ドイツ文学・フランス文学・演劇学・文芸メディアの各専攻、史学地理学科には日本史学・アジア史・西洋史学・考古学・地理学の各専攻があります。専攻単位で接続を語る必要があります。

2. 出願資格・条件

要項に示された条件は3つです。

  1. 本学部での勉学を強く希望し、第一志望として入学を志す者——専願です。
  2. 高等学校もしくは中等教育学校を卒業見込みの者など、学歴要件のいずれかを満たす者。
  3. 学内外の特定分野に優れた能力を発揮した者。自己アピールできるものを持っており、それを第三者に説明し、説得できる能力を有していること。

3番目が中心です。後半に注目してください。「第三者に説明し、説得できる能力」——実績そのものより、それを他人に伝えられるかが条件に含まれています。

要項が挙げる「学内外の特定分野の一例」は次のとおりです。

分野 例示の内容
学術・文化・芸術活動 個人または団体での、都道府県レベル以上の大会・コンクール・展覧会などにおける上位入賞
生徒会・学校行事 生徒会の会長・副会長、文化祭・体育祭などの正副委員長、クラブ活動の部長などとしての顕著な活躍
各種検定試験の資格 英語:実用英語技能検定、TOEFL、TOEIC、国際連合英語検定/ドイツ語:ドイツ語技能検定/フランス語:フランス語技能検定。そのほかの外国語もこれに準じる
自主的な学習 正規授業のほかの自主的でユニークな「学習」

そして要項は「※上記のものは一例であって、条件ではありません。」と明記しています。

つまり、都道府県レベルの入賞がなくても、生徒会役員でなくても、検定を持っていなくても出願できます。4行目の「自主的でユニークな学習」は、この入試の性格をよく表しています。

3. 選考の構造

段階 内容
第一次選考 書類選考。提出された書類すべてが評価対象。学力のみによらない判定を行うため、高校生活における課外活動等を十分考慮に入れる
第二次選考 小論文・面接。思考の独創性、論理的思考能力など、一般の学力試験では判定しにくいことがらを問う

第一次について、要項は「とりわけ重要なのは、みなさんの意志が強く表わされる自己推薦書の内容です」と書いています。

自己推薦書で判定される項目も明示されています。

  • 本学部で学ぶことへの明確な目的意識や意欲
  • 幅広い知的好奇心
  • 内外の特定分野でどのように優れた能力や実績を示してきたか

3つのうち2つが「意欲」と「好奇心」です。実績は3番目に置かれています。この順序は、要項が何を重く見ているかの表れと読めます。

4. 提出書類

要項に添付されている様式は次のとおりです。

  1. 出願票
  2. 自己推薦書
  3. 評価書
  4. 添付書類リスト
  5. 第一次選考志願票

3番目の「評価書」は、第三者に書いてもらう書類です。誰に依頼するかを早めに決めてください。依頼から受け取りまでに数週間かかることがあります。

4番目の「添付書類リスト」があるということは、実績の証明書類を添付する設計になっているということです。ただし前述のとおり、添付するものがなくても出願自体は可能です。

5. 自己推薦書をどう書くか

この入試の核心は自己推薦書です。構成の順序を示します。

  1. 問いを立てる——「◯◯について学びたい」ではなく「◯◯はなぜこうなっているのか」。
  2. その問いに至った経緯——どの経験、どの読書、どの観察から生まれたか。派手である必要はありません。
  3. すでに自分で調べたこと——ここが「自主的でユニークな学習」に対応します。
  4. まだ分かっていないこと——調べた結果、どこで行き詰まったか。
  5. その専攻でなければならない理由——教員、演習、カリキュラム。調べていないと書けません。
  6. 入学後に何をするか——具体的な計画。

3番目と4番目が、他の受験生と差がつく場所です。「興味があります」で止まっている書類と、「調べてここまで分かり、ここから先が分からない」という書類では、読み手に与える情報量がまったく違います。

書き方の原則は志望理由書の構造で扱っています。原体験・問い・先行研究・リサーチギャップ・研究手法という順序は、大学が変わっても同じです。

6. 第二次選考への備え

第二次は小論文と面接です。要項の表現は「思考の独創性、論理的思考能力など、一般の学力試験では判定しにくいことがら」

ここから読み取れる準備の方向は2つです。

問われるもの 準備
思考の独創性 既知の答えをなぞらない。自分の問いを持ち、それを人に話して反応を見る
論理的思考能力 主張・根拠・反論・再反論の型を身につける。週1本の記述練習

「独創性」は狙って出すものではありません。自分が実際に調べたことを、自分の言葉で説明できれば、それが独創性として表れます。逆に、借り物の意見はどれだけ整えても面接の質疑で崩れます。

小論文の型は小論文の型、面接の応答は面接で見られていることを参照してください。

7. 費用と日程の注意

要項に明記されている実務的な注意点です。

  1. 入学試験料は第一次選考・第二次選考でそれぞれ納入します。第二次の分は第一次合格者のみ。
  2. 第一次選考の出願書類は、締切日の消印有効。出願期間を過ぎたものは一切受け付けない。
  3. 写真は撮影時期の指定があります。
  4. 身体の機能に障害があり受験・修学上特別な配慮を必要とする場合は、指定日までに文学部事務室へ問い合わせる。

1番目は予算を組むときに見落とされがちです。一段階で終わらない入試は、費用も二段階です。

8. 他学部でも実施されています

明治大学では、文学部のほかに国際日本学部理工学部でも2027年度の自己推薦特別入学試験要項が公開されています。

ただし、学部ごとに要項が別で、条件も選考も異なります。文学部の情報をそのまま他学部に当てはめないでください。志望学部の要項を個別に取得する必要があります。

9. よくある誤解

「都道府県大会で入賞していないと出せない」

出せます。要項に「一例であって、条件ではありません」と明記されています。

「実績を多く並べたほうが有利」

要項が求めているのは「第三者に説明し、説得できる能力」です。数より、一つを深く語れるかです。

「併願できる」

できません。第一志望として入学を志す者が条件です。

「評価書は担任に頼めばよい」

担任でも構いませんが、あなたの取り組みを具体的に知っている人のほうが中身のある評価書になります。誰に頼むかは戦略です。

当塾の立場

当塾は総合型選抜の指導を行っており、この記事には利害があります。その前提でお読みください。

そのうえで、明治大学文学部の自己推薦について申し上げると、この入試は「実績のない受験生にこそ検討の余地がある」と考えています。要項が実績を条件から外し、「自主的でユニークな学習」を例示に含めているためです。

当塾では、この入試を志望する生徒にまず自分の問いを立てさせます。実績の棚卸しから始めると、「書けるものがない」で止まってしまうからです。問いが決まれば、それを調べた過程そのものが「自主的な学習」になります。

一方で、専願であることは重く扱っています。合格したら他大学には行けません。明治大学文学部のその専攻を第一志望と言い切れるかを、出願前に必ず確認します。

なお、募集人員と日程の数字は、要項PDFの仕様上こちらで読み取れませんでした。読み取れなかったものを推測で書くことはしません。必ず要項の原本でご確認ください。

まとめ

  1. 要項に「例示は条件ではない」と明記されている。実績がなくても出願できる。
  2. 条件の中心は「第三者に説明し、説得できる能力」
  3. 第一志望・専願が出願条件。
  4. 第一次は書類選考。自己推薦書の内容がとりわけ重要と要項が明記。
  5. 第二次は小論文・面接。思考の独創性と論理的思考能力を問う。
  6. 提出書類に評価書がある。依頼先を早めに決める。
  7. 入学試験料は一次・二次でそれぞれ納入

この記事は2026年9月11日に明治大学文学部の自己推薦特別入学試験要項で確認した内容にもとづいています。募集人員・日程の数字はPDFから読み取れなかったため記載していません。要件・日程は変更されることがあります。出願前に必ず当該年度の要項をご確認ください。

この記事と関わりの深い記事です。あわせてお読みいただくと、判断の材料が揃います。

記事全体の見取り図は記事の索引——テーマ別に、どれから読めばよいかにまとめています。

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ryomiyagawa Founder
早稲田大学大学院文学研究科哲学専攻修士号修了、同大学大学院同専攻博士課程中退。日本倫理学会員 早稲田大学大学院文学研究科にてカント哲学を専攻する傍ら、精神分析学、スポーツ科学、文学、心理学など幅広く研究に携わっている。

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