武蔵大学は「英検準2級でOK」と言い切れなくなりました
武蔵大学の総合型選抜は、「英検準2級から出せる」という説明で紹介されることがあります。しかし2027年度の募集要項を読むと、学科によって条件が違い、英語英米文化学科では準2級では出願できません。
同じ大学、同じ人文学部の中でも要件が分かれています。学科名まで確認せずに準備を進めると、出願直前に資格が足りないことに気づく事態になります。
この記事は、2026年9月11日時点で公開されている2027年度総合型選抜入試募集要項をもとに書いています。要件は毎年変わります。出願前に必ず最新の要項をご自身で確認してください。
出典:武蔵大学「2027年度 総合型選抜入試募集要項」(2026年9月11日確認)
1. 武蔵大学の総合型選抜の構造
武蔵大学の総合型選抜は、学部・学科ごとに「型」や「方式」が設定されています。まずこの構造を理解しないと、要項が読めません。
| 学部・学科 | 方式 | 募集人員 |
|---|---|---|
| 経済学部 経済・経営・金融 | 課外活動重視型/商業系資格重視型 | 各15名 |
| 人文学部 英語英米文化学科 | 語学力・文化理解力重視方式 | 8名 |
| 人文学部 ヨーロッパ文化学科 | 語学力重視方式/学科適性重視方式 | 8名 |
| 人文学部 日本・東アジア文化学科 | 語学力・文化理解力重視方式/テーマ追究方式 | 8名 |
| 社会学部 社会学専攻 | ゼミ力重視方式 | 12名 |
| 社会学部 メディア社会学専攻 | ゼミ力重視方式/メディア・クリエーション方式 | 10名 |
| 社会学部 情報社会デザイン専攻 | ゼミ力重視方式/メディア・クリエーション方式 | 5名 |
| 国際教養学部 各専攻 | Admissions Office型(AO型)ほか | 2〜10名 |
出願時に、学部・学科(専攻)・型(方式)を1つ指定します。総合型選抜の中での併願はできません。どの方式で出すかは、出願の時点で確定させる必要があります。
経済学部は学科選択に志望順位制度(第三志望まで)があり、二次選考の成績によって配属される学科が決まります。第二志望・第三志望の学科に配属されることがあると明記されています。
2. 英語の要件は学科で違う
ここが最も誤解の多い部分です。英語英米文化学科とヨーロッパ文化学科では、同じ「英検CSE1990以上」でも条件が違います。
| 学科 | 英検の条件 |
|---|---|
| 英語英米文化学科 | CSE1990以上。ただし2級以上に限る |
| ヨーロッパ文化学科 | CSE1990以上。ただし準2級以上に限る |
英検は、級に不合格でもCSEスコアは出ます。両学科とも「受検した級に合格していない場合でも出願可能」と要項に書かれています。ここは重要な点です。落ちた回のスコアでも使えます。
しかし、受検した級そのものに条件がつきます。準2級を受けてCSE1990を取っても、英語英米文化学科では出願できません。2級を受検する必要があります。
英語英米文化学科では、英検以外の検定も使えます。
- ケンブリッジ英語検定 142以上(Linguaskillは公開受検のみ。自宅受検不可)
- GTEC 959点以上(オフィシャルスコアに限る。検定版・CBTタイプ可)
- IELTS(Academic Module)オーバーオール・バンド・スコア 4.0以上
- TEAP 235点以上
- TOEFL iBT 45点以上(2026年1月20日以前)/バンドスコア3.5以上(2026年1月21日以降)
- TOEIC L&R/S&W 1200点以上(S&Wを2.5倍してL&Rと合算。IPテスト不可)
共通する条件が2つあります。いずれも4技能合計のスコアであること、そして2024年10月以降に受検したものに限ることです。高1で取った資格が使えない場合があります。
また、異なる実施回の4技能スコアを組み合わせることはできません(TOEICのみ、L&RとS&Wの実施回が異なってもよい)。「良い回のReadingと別の回のWriting」という取り方はできません。
検定の使い方全般は英検の入試利用と英検の級別対策で扱っています。
3. 選考の中身(英語英米文化学科)
英語英米文化学科の「語学力・文化理解力重視方式」は、2段階で実施されます。
| 段階 | 内容 |
|---|---|
| 一次選考 | 書類審査(調査書、志望理由書、英語資格書類) |
| 二次選考 | 筆記試験(90分)+面接 |
二次選考の中身が特徴的です。
- 筆記試験——「英語の語学力判定問題を含む日本語小論文」90分。英語の読解力と日本語の論述力を1つの試験で見ます。
- 面接——主として日本語。ただし英語での質疑応答をすることもあると明記。グループ方式。小論文の内容および出願書類に関する質疑を含みます。
配点は筆記試験50%、出願書類(英語資格の証明書を含む)および面接50%と公表されています。
ここから読み取れることが2つあります。1つは、英語資格は出願資格であると同時に評価対象でもあること。ぎりぎりで満たすのと、余裕を持って満たすのとでは扱いが違う可能性があります。
もう1つは、面接が小論文の内容を踏まえて行われること。つまり、筆記で書いた内容について後から問われます。書きっぱなしにできません。自分が何を書いたかを覚えておく必要があります。
辞書・事典類の持ち込みは認められていません。
4. 日程
| 項目 | 日程 |
|---|---|
| 一次選考 出願 | 2026年9月1日(火)9:00〜9月10日(木)消印有効 |
| 一次選考 出願料 | 15,000円(コンビニ納付) |
| 一次選考 結果通知 | 2026年9月25日(金)発送予定 |
| 二次選考 出願料納付 | 2026年9月25日(金)〜10月2日(金) 20,000円 |
| 二次選考 試験日 | 2026年10月11日(日) |
注意点を3つ挙げます。
- 出願料が二段階で発生します——一次15,000円、二次20,000円。合計35,000円です。
- 二次出願料を納付しないと辞退扱い——「未納者に対して本学から納付に関する連絡はしません」と明記されています。
- 出願期間が10日間しかありません——9月1日から10日まで。書類は8月中に完成させておく必要があります。
2番目は見落とすと取り返しがつきません。一次を通過しても、期限内に二次の出願料を納めなければ受験できなくなります。通知が届いたらすぐ手続きしてください。
※国際教養学部グローバルスタディーズ専攻はスケジュールが異なります。
5. 併願できる
武蔵大学の総合型選抜には、他大学を受けやすい設計になっている部分があります。
- 社会学部ゼミ力重視方式を除き、他大学との併願が可能(ゼミ力重視方式のみ専願制)。
- 総合型選抜で不合格の場合でも、学校推薦型選抜(指定校制)や一般選抜に出願できる。
- ただし、総合型選抜・帰国生徒対象入試・社会人入試・外国人学生特別入試・編入学等の中での併願はできない。
1番目と2番目は、受験設計の上で大きな意味を持ちます。10月に結果が出て、不合格でもそのまま一般選抜に進める形になっています。
この点は、専願を求める大学と対照的です。武蔵大学の総合型を「試す」ことのコストは、時間と出願料に限られます。出願要件の読み方で、併願設計の考え方を扱っています。
6. 準備の設計
| 時期 | やること |
|---|---|
| 高2の秋〜冬 | 学科を決める。必要な級(2級か準2級か)を確認して受検計画を立てる。 |
| 高2の冬〜高3春 | 英語資格を取得。2024年10月以降という有効期間に注意。 |
| 高3の5〜6月 | 要項の公表を確認。学科・方式を確定。 |
| 高3の7〜8月 | 志望理由書を作成。並行して小論文の練習を週1本。 |
| 8月末 | 書類完成。9月1日の出願開始に間に合わせる。 |
| 9月〜10月上旬 | 一般選抜の勉強を継続。二次直前1週間だけ小論文と面接に寄せる。 |
最も重要なのは2行目です。英語資格の取得が間に合わないと、他のすべての準備が無意味になります。まず資格、それから書類という順序を崩さないでください。
小論文の練習は「英文を読んで日本語で書く」形に合わせます。英字新聞の論説や、英語の教材にある論説文を使い、要約と意見を日本語で書くという形が実戦に近くなります。書き方は小論文の型を参照してください。
7. よくある誤解
「英検準2級で武蔵に出せる」
学科によります。英語英米文化学科は2級以上の受検が必要です。ヨーロッパ文化学科など、準2級以上でよい学科もあります。学科名まで確認してください。
「英検に合格していないと使えない」
違います。級に不合格でもCSEスコアは使えます。ただし受検した級そのものに条件があります。
「面接は形式的」
配点上、出願書類と面接で50%を占めます。形式的な確認ではありません。しかも当日書いた小論文について問われます。
「総合型に落ちたら終わり」
武蔵大学の場合、不合格でも指定校推薦や一般選抜に出願できます。10月の結果は終着点ではありません。
8. 保護者が確認すること
- 学科と方式が確定しているか——出願時に1つ指定します。
- 英語資格の取得日が2024年10月以降か——古いスコアは使えません。
- 出願料が二段階であることを把握しているか——合計35,000円。
- 二次出願料の納付期限——納めないと辞退扱いになります。
- 一般選抜の勉強が止まっていないか——併願できる入試です。止める理由がありません。
当塾の立場
当塾は総合型選抜と英検の指導を行っており、この記事には利害があります。その前提でお読みください。
そのうえで、武蔵大学の総合型選抜について申し上げると、この入試の成否は英語資格の取得時期でほぼ決まります。高3の春に「これから英検を取ります」という状態では、受験勉強と衝突して両方が崩れます。
当塾では、武蔵大学を志望する生徒には高2のうちに英語資格を確定させることを勧めています。これは武蔵大学に限らず、多くの私立大学の総合型・推薦系に共通する設計です。
一方で、「武蔵の総合型は英検準2級でいける」という説明は、当塾ではしていません。学科によって条件が違い、実際に英語英米文化学科では準2級では出願できないためです。こうした一般化は、受験生の準備を誤らせます。
また、この入試は他大学と併願できます。したがって当塾は、総合型のために一般選抜の勉強を止めることを勧めていません。併願可能な入試で退路を断つ合理性がないからです。
まとめ
- 英語の条件は学科で違う。英語英米文化学科は2級以上の受検が必要。
- 英検は級に不合格でもCSEスコアが使える。ただし受検した級に条件がある。
- 資格は4技能合計・2024年10月以降受検のみ有効。異なる回の組み合わせ不可。
- 二次は英語の語学力判定問題を含む日本語小論文90分+グループ面接。
- 配点は筆記50%/書類・面接50%。面接では小論文の内容を問われる。
- 出願料は一次15,000円・二次20,000円の二段階。二次未納は辞退扱い。
- 社会学部ゼミ力重視方式以外は他大学と併願可。不合格でも一般選抜に出願できる。
この記事は2026年9月11日に武蔵大学の2027年度総合型選抜入試募集要項で確認した内容にもとづいています。要件・日程は変更されることがあります。出願前に必ず当該年度の要項をご確認ください。
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記事全体の見取り図は記事の索引——テーマ別に、どれから読めばよいかにまとめています。
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