「できる気がする」は、成績を動かすのか
「自信を持ちなさい」「やればできると思いなさい」。これも、大人がよく言う言葉です。
その背景には、自己効力感(self-efficacy)という概念があります。1970年代にバンデューラが提唱したもので、「自分はこの課題を遂行できる」という見込みのことです。教育心理学でもっとも研究された動機づけ概念のひとつで、24万人規模のメタ分析まであります。
一言でいうと
自己効力感とは「この問題、自分なら解けそうだ」という具体的な見込みのこと。「自分は頭がいい」という漠然とした自己評価(自己概念)や、「自分には価値がある」という自尊心とは別物です。課題ごと・場面ごとに変わるのが特徴です。
そして研究が示していることは、「自信を持ちなさい」という助言の前提を、かなり揺さぶります。
結論を先に6点書きます。
- 自己効力感と学業達成の相関は確かにある。231研究・242,023名のメタ分析で中程度の正の効果 [8]。
- しかし因果の向きは逆のほうが強い。交差遅延分析で、成績→自己効力感(β = 0.205)が、自己効力感→成績(β = 0.071)の約3倍 [4]。
- 子どもでは相互性が成り立たず、成績が自己効力感に一方向に影響するだけでした [4]。
- 韓国の5年パネル(1,177名)でも、過去の成績が自己効力感に与える効果のほうが大きい [16]。
- 自己効力感を作る4つの源のうち、「実際にできた経験」が圧倒的に最強です [2]。
- それでも介入で高められます。中等教育の18研究中14研究で有意な改善、効果量は中〜大 [9]。
なお、マインドセット(能力は変えられるという信念)については別の記事で扱っています。自己効力感とマインドセットは別概念で、証拠の状況もかなり違います(10節)。
1. 自己効力感とは何か——似た言葉との区別
| 概念 | 問い | 範囲 |
|---|---|---|
| 自己効力感 | この課題を自分は遂行できるか | 課題ごと・場面ごと |
| 学業自己概念 | 自分は勉強ができるほうか | 教科・領域レベル |
| 自尊心 | 自分には価値があるか | 人格全体 |
| マインドセット | 能力は変えられるか | 能力観そのもの |
この区別は実務的に重要です。「自信をつけさせる」と言うとき、多くの人は自尊心を想定していますが、学習に効くと言われてきたのは自己効力感のほうです。そして自己効力感は、漠然とした励ましでは動きません(6節)。
2. 相関の大きさ——ただし説明できるのは1割
2017年のメタ分析は、文献検索で集めた943の研究のうち231研究を対象に、総計242,023名を統合しました。ランダム効果モデルの結果は、自己効力感が学業達成に中程度の正の効果を持つというものです [8]。調整変数として、研究年・出版形態・文化・教科や評価の種類・標本群が有意でした。
大学生に絞った12年分の系統的レビュー(59論文)でも、学業自己効力感は学業成績と中程度に相関していました。媒介・調整要因として、努力調整・深い処理方略・目標志向が特定されています [6]。
「中程度の相関」が実際にどれくらいか
数値の意味を具体化しておきます。英語のライティングに絞った2水準メタ回帰(76研究・565効果量)では、全体の効果量は r = .29 でした。著者らはこれを次のように説明しています——英語ライティングの達成のばらつきのうち、およそ9%が自己効力感のばらつきと関連している [20]。
一言でいうと(相関の読み方)
「中程度の相関」は「1割ほど説明できる」という意味です。残りの9割は別の要因です。自己効力感を上げれば成績の大半が動く、という話ではありません。
同じ研究には教科横断で有用な所見があります。第二言語として英語を書く学習者のほうが、母語として書く学習者より相関が有意に大きい(r = .441 対 .233) [20]。日本の中高生の英語学習は前者に当たります。
3. 反証①——因果の向きは逆のほうが強い
ここからが本題です。
「自己効力感が成績を決める」という見方に対して、「自己効力感は過去の成績の反映にすぎない」という対立仮説が長く存在していました。従来の研究は一方向の設計が多く、この問いに答えられませんでした。
2017年、両方向を同時に扱った系統的レビュー+メタ分析が発表されました。学業自己効力感と学業成績を2時点で測定した縦断研究からデータを統合し(k = 11、N = 2,688)、交差遅延パス解析にかけたものです。
結果は次のとおりでした [4]。
| 経路 | 係数 | 大きさ |
|---|---|---|
| 成績 → のちの自己効力感 | β = 0.205 | 大きいほう |
| 自己効力感 → のちの成績 | β = 0.071 | 小さいほう |
両方向とも有意でしたが、成績から自己効力感への効果のほうが有意に大きいという結果です。
子どもでは、片方向しかなかった
さらに重要な調整分析の結果があります。相互性(reciprocity)が成り立つのは成人であって、子どもでは成り立ちませんでした。子どもにおいては、成績がのちの自己効力感の信念に一意に影響するが、その逆は影響しなかったのです [4]。
一言でいうと
子どもに「やればできると思いなさい」と言っても、成績は動かない可能性が高い。動くのは逆で、実際にできた経験が自信を作ります。
これは「自信は不要」という話ではありません。自信は目標ではなく結果である——手を入れるべき場所が違う、という話です。
なお著者らは、自己効力感理論の提唱者が推奨する方法論に沿った研究ほど、交差遅延効果が強く出たとも報告しています [4]。測り方が粗いと関係が見えにくくなる、ということです。
4. 反証②——5年追跡しても同じ形
2時点だけでは足りない、という批判に答える研究もあります。
韓国の代表的標本1,177名を、中学2年から高校3年までの5年間追跡し、自己回帰交差遅延モデルで分析した研究です。
結果は、中2の1学期の成績が中2の2学期の自己効力感を正に予測し、中2の2学期の自己効力感が中3の1学期の成績を正に予測する——という連鎖が高3まで続く、というものでした。相互的な関係が確認された一方で、過去の成績が自己効力感に与える効果のほうが、自己効力感が学業達成に与える効果より大きい [16]。
学業自己概念でも同じ
隣接概念である学業自己概念(1節の表)でも、同じ構造が確認されています。68の縦断研究から240の効果量を統合したメタ分析の結果です [5]。
| 経路 | 係数 |
|---|---|
| 達成 → 学業自己概念 | β = 0.16 |
| 学業自己概念 → 達成 | β = 0.08 |
そして年齢による変化が観察されました。年齢が上がるにつれて、「技能が自己概念を作る」という一方向の効果から、はっきりした相互効果へと移行するという傾向です [5]。
3節の「子どもでは片方向」という所見と、きれいに一致します。
5. 反証③——出版バイアスで数字が縮む
効果量の信頼性についても、確認しておく必要があります。
ギフテッド(才能ある)生徒と非ギフテッド生徒の自己効力感を比較した3水準メタ分析(25研究・70効果量・N = 42,736)では、当初の平均効果量は g = 0.54(中程度)でした。
ところが著者らは出版バイアスと小規模研究効果の兆候を観察し、それを補正しました。補正後の平均効果量は g = 0.26——小〜中程度に縮んでいます [13]。
著者ら自身が、この結果を「ギフテッド生徒と非ギフテッド生徒の差を誇張することに反対する論拠を支持する」と結論しています。
一言でいうと
報告されている効果量は、しばしば実際より大きく見えています。この記事の2節で挙げた数値も、同じ補正を受ければ小さくなる可能性があります。教材の宣伝に出てくる数字は、ほぼ補正前のものです。
6. 何が自己効力感を作るのか——4つの源
ここからは「では、どうすればよいか」です。
理論上、自己効力感は4種類の経験によって作られ維持されるとされます。この4つの固有の効果(他の3つを統制したときの効果)を、モデルベースのメタ分析で調べた研究があります(k = 61、N = 8,965)[2]。
| 源 | 中身 | 結果 |
|---|---|---|
| 遂行の達成(PA) | 実際にできた経験 | 圧倒的に最強の固有の関連 |
| 代理学習(VL) | 似た他者ができるのを見る | PAより弱い |
| 社会的説得(SP) | 他者からの励まし・評価 | PAより弱い |
| 情動的喚起(AA) | 緊張・不安などの身体状態 | PAより弱い |
「実際にできた経験」が、他の3つを引き離して最強でした。「励ます」ことに当たる社会的説得は、これより弱い。
3節・4節の「成績が自己効力感を作る」という所見と、この結果は同じことを別の角度から言っています。
教科によって効き方が違う
教科は有意な調整変数でした。4つの源が自己効力感を予測する力は、STEM科目(k = 47)より非STEM科目(k = 14)で強い(R² = .22 対 .37)[2]。
STEM科目のなかでは、学年が有意な調整変数であり、標本の非白人割合と女性割合という2つの連続的な研究特性も調整効果を持っていました [2]。
一言でいうと
数学や理科では、「できた経験」以外の手立てが効きにくい。励ましやロールモデルの提示だけでは動きにくく、小さくても実際に解けたという事実を積む必要があります。
7. 介入で高められるのか
因果の向きが「成績→自己効力感」に傾いているとしても、自己効力感そのものを高める介入に意味がないわけではありません。
2000年から2024年に発表された18の実証研究を対象に、中等教育における学業自己効力感の学校ベース介入を、とくに社会経済的に不利な背景の生徒に注目して精査した系統的レビューがあります。
結果は、18研究のうち14研究が学業自己効力感の有意な改善を報告し、効果量の大半は中程度から大でした [9]。
効果的だった介入の特徴は明確です。
- 自己調整的・動機づけ的・社会関係的な要素を組み合わせたプログラム(社会情動的学習=SELの枠組みに埋め込まれることが多い)が最も効果的。
- 影響の鍵となる機構は、構造化されたフィードバック・導かれた省察・関係的支援。
- 不利な立場の生徒を明示的に対象とし、SELの原理を統合した介入が、一貫して強い効果を生んだ。
著者らは、学業自己効力感は可塑的な構成概念であり、教育学的に構造化され文脈に配慮した学校介入によって育てられると結論しています [9]。
自己評価が自己効力感を上げる
具体的な手立てとして、もっとも効果量が大きいもののひとつが自己評価です。19研究・2,305名を対象にした4つのメタ分析で、自己効力感への効果量は 0.73 でした [3]。
調整変数として、性別(女子のほうが恩恵が大きい)と、自己モニタリングなど特定の自己評価の構成要素が有意でした。
この点は自己調整学習の記事でも扱っています。
8. 自己効力感は、何を経由して成績に届くのか
自己効力感→成績の効果は小さいものの、ゼロではありません。では何を経由しているのか。
複数の研究が、学業的関与(academic engagement)を媒介として指摘しています。
2015年から2022年の相関研究を統合したメタ分析(24研究・68効果量)では、自己効力感が学業的関与に与える効果量は中程度(d = 0.54)。そして効果は地域によって有意に異なりました [1]。
中国の大学生1,158名を対象にした構造方程式モデリングでも、学習関与が自己効力感と学業達成の関連を媒介することが示されています [18]。ただし著者ら自身が、横断研究であるため因果推論は困難だと明記しています。
ドイツの中学生2,359名(35校)を階層線形モデルで分析した研究では、自己効力感が達成ともっとも大きな関連を持ち、自律的動機づけが成績に及ぼす効果を媒介していました。一方、統制的動機づけ(やらされ感)は、自己効力感にかかわらず、小さいが統計的に有意な負の関連を示しています [14]。
一言でいうと
自己効力感が成績に届く道筋は、「できそうだと思う → 取り組む量と質が上がる → 成績が上がる」です。逆に言えば、取り組みが増えなければ、自信だけ持っても成績は動きません。
9. マインドセットとは、証拠の状況が違う
混同されやすいので、はっきり区別しておきます。
グロースマインドセット介入については、63研究・N = 97,672 を対象にした2022年のメタ分析が、全体効果量 d = 0.05(95%CI 0.02〜0.09)で、出版バイアス補正後は非有意と報告しました。介入が意図どおりマインドセットを変えた研究に限ると d = 0.04(非有意)、最高品質の証拠に限ると d = 0.02(非有意)です [12]。
同じ年の別のメタ分析(53標本)は、対象を絞り実施忠実度が高い場合に限れば、学業達成に d = 0.14(95%CI 0.06〜0.22)という結果を報告しています。ただし予測区間は −0.08〜0.35 と広く、今後の介入から期待される効果の変動が大きいことが強調されています [17]。
詳しくはマインドセットの記事を参照してください。
10. 目標の持ち方と結びついている
自己効力感は単独で存在するわけではありません。どんな目標を持っているかと強く結びついています。
学業的な達成目標と学業自己効力感の関係を扱ったメタ分析(125研究・148標本・N = 61,456)の結果です [10]。
| 目標の種類 | 中身 | 自己効力感との相関 |
|---|---|---|
| 習得目標・習得接近目標 | 理解したい、うまくなりたい | 中〜強 |
| 遂行回避目標 | できないと思われたくない | 低い |
| 習得回避目標 | 理解を失いたくない | 低い |
はっきりしたパターンが出ています。目標の方向(接近か回避か)が自己効力感と有意に関連する一方で、目標の定義(習得か遂行か)による説明は一貫しませんでした [10]。
一言でいうと
「うまくなりたい」と思っている子は自信が高く、「できないと思われたくない」と思っている子は自信が低い。同じくらい真剣に勉強していても、向きが違えば自己効力感は違います。
家庭で「恥ずかしい思いをしないように」という動機づけを使うと、回避目標を強めることになります。
出版状況・男性比率・平均年齢・達成目標の尺度は有意な調整効果を持ちませんでした。一方、研究が行われた国、白人の割合、自己効力感の尺度、目標と自己効力感の領域、および両者の領域が一致しているかは、目標の因子によって変わりました [10]。
数学では、興味と自信が組みで効く
2017年から2025年に発表された30の査読済み研究を統合したメタ分析は、数学への興味と自己効力感の「組み合わせ」が数学の達成に与える効果を検討しました。結果は、中程度で統計的に有意な正の複合効果量。異質性は高く(I² > 80%)、ランダム効果モデルで処理されています。出版バイアスの検定では問題は示されませんでした [15]。
興味の記事で扱った内容と合わせて読むと、数学では「おもしろい」と「できそう」の両方が要るという読みになります。
高い自己効力感の生徒は、何が違うか
25本の実証研究を PRISMA に沿って統合した系統的レビューは、自己効力感が高い生徒に共通する行動を次のように整理しています [7]。
- より高い持続性を示す
- より野心的な目標を設定する
- 困難な教科において、より高いレジリエンスを示す
そしてこの関係は、社会的支援と認知的関与方略の両方によって媒介されると報告されています [7]。8節の「関与を経由する」という所見と一致します。
11. 塾と家庭の運用にどう落とすか
ここからは、上の知見を当塾の実務に翻訳した部分です。研究が直接そう言っているわけではない箇所は、そう明示します。
(1) 「自信を持て」と言わない
6節のとおり、4つの源のうち社会的説得(励まし)は、遂行の達成より弱い [2]。3節のとおり、子どもでは自己効力感→成績の経路が観察されませんでした [4]。
(2) 「できた」を小さく刻んで作る
6節のとおり、最強の源は実際にできた経験です [2]。当塾では、詰まっている生徒に対していま確実に解ける水準まで一度下げ、そこから刻んで戻します。これは研究からの演繹であり、当塾で比較実験をした結果ではありません。
(3) 数学・理科ではとくに「できた事実」に頼る
6節のとおり、STEM科目では源の予測力が相対的に弱い [2]。励ましやロールモデルの効果が薄い領域なので、解けた事実を積む以外の近道は期待しません。
(4) 自己評価を型にする
7節のとおり、自己評価の自己効力感への効果量は 0.73 [3]。当塾では小テストの前に「何問できると思うか」を書かせ、結果と照らします。
(5) 構造化されたフィードバックを返す
7節のとおり、効いた介入の鍵は構造化されたフィードバック・導かれた省察・関係的支援でした [9]。「よくできたね」ではなく、どこが、なぜ良かったかを具体的に返します。
(6) 自信が上がっても、取り組みが増えていなければ止める
8節のとおり、自己効力感は関与を経由して成績に届きます [1][18]。「前より自信がついた」だけでは足りません。当塾は演習量と正答率の推移を必ず併せて見ます。
(7) 英語では、自信と成績の関係が相対的に強い
2節のとおり、第二言語としての英語ライティングでは r = .441 と、母語の .233 より有意に大きい [20]。日本の中高生の英語学習はここに当たります。書けた経験を作ることの優先度を、他教科より上げてよい可能性があります。
12. この記事で言えないこと
- 「自信をつければ成績が上がる」とは言えません。とくに子どもでは、その経路が観察されませんでした [4]。
- 相関は1割程度の説明力です(r = .29 のとき約9%)[20]。
- 効果量は出版バイアスで縮みます(g = 0.54 → 0.26 の例)[13]。
- 媒介の証拠の多くは横断研究です。因果推論には限界があります [18]。
- 地域差が報告されています [1]。理由は解明されていません。
- 日本の学齢児を対象にした研究は、ここに含まれていません。もっとも近いのは韓国の5年パネルです [16]。
- 11節の運用は当塾の実務判断です。研究からの演繹であり、当塾の生徒を対象にした対照実験の結果ではありません。
当塾の立場
当塾は個別指導の塾であり、この記事の内容は当塾の指導方針と無関係ではありません。利害関係を明示しておきます。
この記事の内容は、塾に来なくても実行できます
はっきり書きます。ここまでの内容の大半は、今日から家庭で実行できます。費用はかかりません。
- 「自信を持ちなさい」と言う回数を減らし、確実にできる水準まで一度下げて「できた」を作る
- 「よくできたね」ではなく、どこが、なぜ良かったかを具体的に言う
- テストの前に「何点取れると思うか」を言わせ、結果と照らす
- 自信が上がっても、演習量が増えていなければ成果は出ないと考える
- 英語は、書けた・言えたという経験を優先して作る
これを読んで、塾に通わずに実行する方がいるなら、それでいいと考えています。自分で回せる家庭が月謝を払う必要はありません。
それでも塾に通いたい方へ
そのうえで、塾に通いたい、通わせたいという方には、武蔵野個別指導塾を勧めます。この記事の内容に即して、理由を3つ書きます。
- 「いま確実に解ける水準」を見つけるのが、いちばん難しい。6節のとおり、最強の源は実際にできた経験です [2]。しかし簡単すぎれば「できた」にならず、難しすぎれば失敗経験になります。その境目は生徒ごとに違い、単元ごとにも違う。答案と手の動きを見て水準を調整する作業は、個別指導が構造的に有利な部分です。
- 「成績が自信を作る」なら、先に手を入れるべきは成績のほうである。3節・4節のとおり、成績→自己効力感の経路のほうが強く、子どもでは片方向でした [4][16]。つまり、メンタル面への働きかけより、まず点が取れる状態を作ることが順序として正しい。当塾はそこを引き受けます。
- 「自信はついたが成績は動いていない」と言う必要がある。8節のとおり、自己効力感は関与を経由してはじめて成績に届きます [1]。生徒が明るくなったことは、保護者にとっても塾にとっても嬉しい報告です。だからこそ、演習量と正答率が動いていなければ、それを併せて伝える必要があります。当塾はその報告をします。
逆に言えば、この3つをやっていない個別指導に、この点での優位性はありません。塾を検討する際は、次のように聞いてみてください。
- いまうちの子が「確実に解ける」のはどの水準ですか
- 自信をつけさせる方法と、点を取らせる方法の、どちらを先にやりますか
- 「明るくなったが成績は動いていない」と報告することはありますか
当塾がお答えできるようにしておくのが、こちらの仕事だと考えています。
まとめ
- 自己効力感は「この課題を自分は遂行できる」という課題ごとの見込み。自尊心・自己概念・マインドセットとは別物。
- 学業達成との相関は中程度(231研究・242,023名)[8]。ただし説明できるのは約1割 [20]。
- 因果の向きは逆のほうが強い。成績→自信 β = 0.205 に対し、自信→成績 β = 0.071 [4]。
- 子どもでは相互性が成り立たず、成績→自信の一方向だけ [4]。5年パネルでも同じ形 [16]。
- 学業自己概念でも同じ(達成→ASC β = 0.16 > ASC→達成 β = 0.08)。年齢とともに相互効果へ移行 [5]。
- 4つの源のうち「実際にできた経験」が圧倒的に最強。励ましはそれより弱い [2]。
- STEM科目では源の予測力が相対的に弱い(R² = .22 対 非STEM .37)[2]。
- それでも介入で高められる。18研究中14研究で有意、中〜大。鍵は構造化フィードバック・導かれた省察・関係的支援 [9]。
- 自己評価の自己効力感への効果量は 0.73。女子のほうが恩恵が大きい [3]。
- 自信は関与を経由して成績に届く [1][18]。取り組みが増えなければ動かない。
- 出版バイアスで効果量は縮む(g = 0.54 → 0.26)[13]。
- 英語(第二言語)では相関が相対的に強い(r = .441 対 母語 .233)[20]。
出典
本文中の番号に対応します。抄録に直接あたって確認したものだけを挙げています。結論に反する研究も、同じ基準で載せています。
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- 【反証・因果の向き】Talsma, K. et al. (2017). I believe, therefore I achieve (and vice versa): A meta-analytic cross-lagged panel analysis of self-efficacy and academic performance. Learning and Individual Differences. DOI: 10.1016/j.lindif.2017.11.015
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