高校受験をするなら知っておくべき5つのこと

(1)首都圏の高校受験の理・社は中学受験より簡単

高校受験の理社は、中学受験より簡単です。どれくらい簡単かと言うと、現在中学受験を目指している偏差値50くらいの小学6年年生(→中学受験の偏差値50は高校受験や大学受験の偏差値60〜65くらいに匹敵しますが)くらいと現役の中学3年生でV模擬などで偏差値60くらい取っている生徒が競ったら、点数で中学生の方が負けるくらい簡単です。

どうしてそんなに簡単なのか。それも理由は簡単です。中学受験経験者が、小学校の学校で習う算数が大体小学4年生くらいで全範囲を終え、楽勝に感じるくらい難問であるように、公立の試験と私立の試験ではレベルが全く異なるからです。

さらに、高校受験で理社は開成高校などの一部の例外を除いて私学では出題されず、私立高校では、理社なしの国数英が試験科目として課せられます。

そして、公立向けの都立入試では、文字通り中学校の教科書の範囲から超えない内容しか出題されません。もちろん、小学生向けに作られている四谷大塚の社会の教科書の方がよっぽど難しいです。さらに、そうした公立高校入試の各都道府県の中でも東京都の問題は群を抜いて簡単です。

当塾などで中2くらい一度でも理社の都立入試の過去問を解いたことのある生徒さんは、初見で85点くらいは取れます。中2の秋くらいでこれくらいの成績は取れます。ちょっと都立入試の傾向に合わせて対策を数回行えば、すぐに満点取れます。

これほど東京都の都立入試は全国でも屈指(?)の簡単なレベルになっているからです。ただこのことは楽観視してられない面もあります。理社がここまで簡単ですと、理社が得意なお子さまにとっては、理社では差がつかないということになります。

また、正反対に小学生くらいから理社をサボっていたという生徒さんにとっては、みんなが高得点を取るため、あり得ない点差の開きがついてしまい、偏差値30以下になる状況も珍しくありません。

もっとも、都立入試では、知識と言うよりは、問題用紙から読み取れることを推理して解ける問題が多く出されているので、仮に理社が苦手という生徒さんでもそこまでひどくなるケースはレアではありますが。

そして、これは何も理社に限らず、一般の都立入試は、英数国も非常に平易なレベルになっており、偏差値60オーバーの都立高校で、進学重点指定校となっていない一般の都立高校で偏差値を60超える辺りの高校となると、全科目満点が当たり前になってきます。

では、どこで差がつくかというと、残念ながら、一般の都立入試問題のみを課している都立高校では、内心点以外では差がつかないと言わざるを得ません。

もちろん、都立高校でも進学重点校など指定されている、武蔵境から近い名門都立高校で言えば、国分寺高校、立川高校、国立高校などの高校では、都立入試とは違う問題、いわゆる独自問題というオリジナル問題を課します。

分量で一般の都立入試の倍はある問題となっており、難易度も都立入試の倍と言って大袈裟ではない難易度になります。これらの問題は平均点が60点前後となっており、難関私立と遜色がない問題となっています。

しかし、こうした独自問題を課すハイレベル都立高校でも、理社は独自問題を作成しておらず、小学生でも解けてしまう一般の都立入試と同じ問題を課しています。なので、ここでも内申点は重要です。仮に内申点が悪い場合は、難問である独自問題で8割以上得点するくらいの力量が必要です(独自問題で80点以上取るのは、偏差値的に言えば70オーバーくらいの実力が最低限度必要です。)

(2)首都圏の高校受験では内申点が有利不利を大きく左右する

前の箇所で、既に登場してきたように、高校入試では、内申点と言うものが非常に重要です。基本的には学校の通知表の提出を求められない中学校受験や大学受験(総合型選抜や学校推薦型入試、自己推薦入試などを除く)とはこの点が異様なまでに異なります。

簡単に言えば、中学受験、大学受験と比べて、高校受験は、最も学科の実力が軽視されている受験であると言えます。そして、それは逆に言えば、学力よりも、中学校での学校での生活態度、あるいは中学校の教員から如何に評価されているかどうかが最も重要であるという受験制度となっています。

ご周知の通り、東京都では内申点が3割を占めることは知られていますが、それ以上に私立高校でも内申点は非常に重視されております。いわゆる単願受験であるとかA方式だとか色々な呼称がありますが、内容としては「貴学を第一志望とし、合格したら入学します」と言う約束の試験の場合、内申点が、私立高校の求める基準をクリアしていれば、事実上無試験で合格できます。

例えば、偏差値67くらいの鎌倉学園という神奈川の名門高校がありますが、こちらの高校で、内申点が、5教科で5段階評価で24で実技科目が19以上なら倍率一倍(つまり、受けた人は全員合格できる)で毎年400弱受けて400名弱が、合格しています。一応、簡単な筆記は行われますが、名前さえ書いていれば、0点でも合格できます。

それに対して、一般受験となると、倍率は2倍となり、120名くらい受けて60名くらいしか合格できません。もちろん、倍率で言うとあまり違わないように感じ取られてしまうかもしれませんが、偏差値65〜70くらいの生徒が120人受験して、半分くらいが落ちていると思ってもらって大筋間違っておりません。

このように、各私立高校では、ある一定の内申点をクリアしていると、名前さえ書けば合格できるようになっています。その意味では、都立高校よりもえげつないと言えるでしょう。もはや学科の実力は一切問うていないわけです。

このように、高校入試という試験では、異様なまでに内申点が重視されていることはご理解頂けたかと思いますが、この内申点が、保護者の皆様の世代の頃のように、相対評価で、上位7%に「5」をつけ、上位14%に「4」をつけると決まっていた時代はまだ良かったのですが、今は学習指導要綱が変わり、内申点の付け方は絶対評価であり、極端に言えば、学校の生徒全員に5をつけても良いですし、全員に1をつけても良いことになっています。

流石に全員に「1」をつけるという話は聞きませんが、塾などで教えていると学区によって、そして、中学校によって大分内申点の付け方には幅があります。これがどういうことかと言いますと、内申点が付け方が中学校によって全然違うということです。

たとえば、塾の中ではV模擬やW模擬など模試の成績の結果は同じくらい、学校の定期テストの結果も同じくらいで、平均点くらい、授業中の態度や提出物にも目立った差が無いと違う中学校の生徒がいたとします。仮にいうと、N中とM中と違ったとしてます。このように通っている中学校が違うと、内心点の結果は、全然違います。先ほど紹介したような同じ条件でも、M中では「4」や「5」がつくケースもあれば、N中では「3」どころか「2」がつくケースもあります。

つまり、内申点で無試験にしたり、配点の3割上乗せしたりするというのに、その内申点が公平ではなく、各中学校の裁量に任せられており、その中学校の方針によってまちまちであり、成績や授業態度が同じでも厳しい中学校では「2」をつけられ、ゆるい中学では「5」がつけられるということです。

しかし、高校受験の時にその差はもちろん一切考慮されません。これがわざわざ内申点を緩くつけてくれる学区に引っ越すという行動にまででる保護者の方がいる理由です。

とりわけ、保護者各位はご存じのことかと思いますが、武蔵野市エリアでは内申点が厳しく、高い内申点をつけられにくいという傾向があります。

(3)公立高校と私立高校の受験ではアプローチが全然異なる

公立高校では、5科目。私立高校では、殆ど3科目です。それなら、私立高校の方が楽そうと思われてしまうかもしれませんが、そうでもありません。都立高校の入試は一部の独自問題を出す高校以外は、先ほどお話ししましたように試験が簡単なせいもあり、偏差値60以上の都立高校を受験する生徒であれば、基本全科目満点近くとります。

なので、内申点さえ良ければ、難しい受験対策をするというよりは、教科書の太字レベルを幅広く浅く復習しておけば対応可能ですし、浅く広く学習する必要があります。

しかし、私立高校(や独自問題を課す名門都立高)では、教科書の範囲を超える問題が出るなどして、大体6割くらい取れば合格できるような難しめの問題が出ます。なので、基本を幅広く抑えておけば良い一般の公立高校の受験と私立高校の受験対策は異なります。

(4) 部活で中学生活の9割が決まる

中学生にとって、中学校の部活は生活において大きなウエイトを占めています。部活に関しては以前もお話ししましたが、殆どの体育会系の部活動は8月の夏に終わり、その後受験勉強に専念しますが、例外が二つあります。その一つが陸上部です。陸上部に入っている子は、引退が夏以降、秋まで試合があり、受験では圧倒的に不利になります。

しかし、部活動にはさらに上の部活動があります。それが吹奏楽部です。吹奏楽部は、発表が秋にあるので、中3の多くの人が夏に部活を引退して、部活が終わったから受験に専念する生徒が多い中、陸上部と吹奏楽部は受験勉強に専念する期間が他の生徒より断然短くなってしまうので要注意です。受検のことを考えるのであれば、退部も視野に入れるのが良いというのは、塾業界の暗黙の了解だったりします。これらの部活動にお子様が入部している場合は、要注意です。

(5)中三になってから高校受験をするは間に合わない

高校入試では、中1、中2の分野から半分以上出題されます。もう少し厳しく言えば、2/3近いくらいが中2までの範囲から出題されます。これが何を意味するかというと、中2までの学力の状況で高校受験の学科試験の対策がどこまでできるか決まってしまうということです。これは中3からの受験対策では、高校受験の学科試験への対策は難しいし、まず間に合わないということです。

高校受験の学科試験の対策は(同時に内申点対策も習う内容的に、中2の二学期の期末の内申点や学年末の内申点から、急に中3の一学期期末で変わるということはまずない、悪化はあってもよくなるケースは少ないです)、中2の夏にもう始まっているといっても過言ではないと言うことです。

というのも、高校入試で頻出する単元で、数学は中2の1学期末くらいから中学生の「2大つまずき単元」といわれる「一次関数」に入ります(もう一つは、中3の二次方程式です)。

厳しいことをはっきり言えば、中学数学は、この一次関数までの単元はほぼお遊びというか、小学生でも解けるレベルです。連立方程式まで範囲というのは小学4年生が鶴亀算で解けてしまう内容ですし、内容も平易で、よっぽど数学嫌いにでもなってしまわない限り中2の一学期までには完全に終わる連立方程式まではちょっと勉強さえすればすぐに解けますし、今できないとしても、ちょっとした努力で、すぐに追いつけます。

できるとかできないというのは多分に誤差の範囲内くらいに思っても良いでしょう。しかし、中2の一学期の期末くらいから始まる一次関数は、それまでの数学とは次元の違う難しさとなっています。難問を作られると、数学がそこそこ得意な文系の中堅国立大生くらいでは撃沈するような問題が作られることもあります。

実際、近隣の武蔵野市第二中学校の2年生の数学教員は最近後退したようで、そういうレベルの数学の授業を行なっているようで、当塾の生徒が複数人「学年トップの生徒しか教師と会話していない」と噂されるほど、わざわざこの中学生がつまずきやすい単元を高速で授業し、ついてこれない生徒は振り落とすような授業を行なっているそうです。

生徒から大ブーイングの先生なようですが、一次関数から「今までの呑気な気分で数学を勉強していたらダメだぞ」という中学生には分かりづらいですが、強い教育的配慮があるような気がしないでもないです。

当塾でも数学を中2のうちにしっかり復習しきれなかった中3生は例年、中3になってから、「一次関数がわからない」という嘆きに始まって、中3になって行う、二次方程式や解の公式、平方完成、因数分解、二乗に比例する関数などで一次関数の深い理解が前提となっている問題が出題され、撃沈していきます。

ちなみに、一次関数は、その後高校数学でも重要な概念になってきますので、ここで転けていると、高校でも数学が分からなくなり、下手をすると高校1年生で、文系理系を迷う前に、「数学が苦手だから文系に行く」というよくある話が決まってしまうと言って過言ではありません。

そして、英語については、不定詞と動名詞っという三大躓き単元が二つも登場します(もう一つは関係代名詞、人によっては比較です)。動名詞を目的語にとる動詞と不定詞を目的語にとる動詞など、中学生にとっては非常に混乱しがちな単元です。

このように、中2の夏休みに、一次関数や不定詞、動名詞の対策をきちんと行っていない生徒が、そのまま秋になっても深い理解をすることなく、学校の授業の流れに沿ってなんとなく授業を受けているだけという受け身の姿勢を取ると、必ず、中学3年生になって、この単元で躓きます。

そして、繰り返しになりますが、数学で言えば、2乗に比例する関数や二次方程式なども一次関数の理解と密接に結びついていることから中学数学の二大躓き単元がセットで分からなくなってしまいます。そして、英語も不定詞の名詞的用法、形容詞的用法、副詞的用法だとか、分詞の形容詞用法と関連する事柄を習うので、こちらも同じく中2の秋に躓いた生徒は同じく躓きます。

このようなことから、高校受験で良い志望校を目指したいという方は、中2の夏、遅くても中2の秋からしっかりともう志望校の過去問や都立入試の過去問に取り組むくらいの姿勢が欲しいところです。大体、高校受験で良い成果を出す生徒さんは、中2の冬季講習くらいから志望校の過去問を解き始め、中2から中3の春休みには、大体都立入試の過去問であれば10年分くらい既にやり終えているイメージです。

中3から、受験対策をするということは、中3で今習っている箇所を復習し理解することに加えて、中1や中2で苦手だったり、おなざりにしてきた単元を同時に復習していくという、両方面での頑張りが必要になってしまいますので、よほど器用な生徒さんでない限り、お勧めできません。

それでもそうした中3になってしまった生徒は、諦めるわけにはいかないので、今言ったような単元を大体取りこぼしがちなので、夏休み期間中には、中2の今の苦手単元をしっかりと復習し身につけておく必要があります。

以上、高校受験で気をつけること5つのポイントでした。

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【監修者】 宮川涼
プロフィール 早稲田大学大学院文学研究科哲学専攻修士号修了、同大学大学院同専攻博士課程中退。日本倫理学会員。元MENSA会員。早稲田大学大学院文学研究科にてカント哲学を専攻する傍ら、精神分析学、スポーツ科学、文学、心理学など幅広く研究に携わっている。一橋大学大学院にてイギリス史の研究も行っている。

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早稲田大学大学院文学研究科哲学専攻修士号修了、同大学大学院同専攻博士課程中退。日本倫理学会員 早稲田大学大学院文学研究科にてカント哲学を専攻する傍ら、精神分析学、スポーツ科学、文学、心理学など幅広く研究に携わっている。
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