合格の切り札・入試過去問のNGな取り組み方法TOP10(2)

入試過去問のNGな取り組み方法 TOP10後編についてご紹介していきます。前編はこちらをクリックしてくださいませ。

01 第7位は「満点取れるように復習すること」

入試過去問のNGな取り組み方法の第7位は、「満点を取れるように復習すること」です。「え?受験勉強って満点取るように勉強することじゃないの?」って思っている方多いのではないでしょうか。確認テストなど100点取ることが前提のテストなら満点とれるようになるまで復習するべきです。しかし、過去問を満点取れるように復習するのは非効率的です。

なぜかといいますと、入試は満点を取らせないように作られているからです。満点を取る受験生が続出などしてしまっては、入試試験を課す意味もなければ、合格者を選別することもできません。入試は不合格者を出すためのふるいにかけるためのテストなんです。そんなテストで満点を目指す必要はありません。

合格最低点より少し高めの点数を安定て取れるようになればいいんです。正答率3%未満の難問を解けるようにがんばるくらいなら基本的な問題なのにできなかった問題やあともうちょっとで解けた問題、そういう問題を復習することに時間をかけましょう。

合格最低点というのは受験する学校によって異なりますが、大抵の入試試験では7割以上取れば合格出来ます。安定して7割以上取れるための復習をしましょう。もちろん、中学入試や大学入試の国立の前期試験や私立大の試験ではなく、高校入試の都立入試や大学入試の共通テストなど、満点取れる可能性が見込めるテストなら、もちろん満点取るの目指しても良いですね。

02 第6位は「過去問ばかり解くこと」

入試過去問のNGな取り組み方法の第6位は、「過去問ばかり解くこと」です。過去問って、解いていくと意外と面白さを感じるんですよね。大学なり、高校なり、中学なり、文科省なり所轄官庁、その学校の教育理念や威信をかけて作っているので意外と面白い上質な問題が多いんですね。それに、解き終わったらすぐに結果が出るので、力試しをして点数が出て、あと何点とればその学校の合格点に達するのか分かるわけです。性格診断とか適職診断チェックテストってありますよね。あの感覚に近いものがあるかと思うんですよね。

それで、とにかくどんどん各者ばかり解いちゃう。そういうことになるケースは少なくありません。しかし、先程申し上げましたように、入試問題というのは、不合格者を出すためのふるいにかけるテストなんですよね。だから、応用問題・発展問題が割合が多いんですよね。なので、まだ基礎が固まっていないうちに過去解くというのは、勉強というよりもただの確認作業にしかなりません。そして、確認作業では得点力は上がりません。過去問で5割程度得点を取れなければ過去問中心に解いていくよりも、基礎固めをし直した方が合格に近づきます。急がば回れですね。

03 第5位は「記録を残さないこと」

入試過去問のNGな取り組み方法の第5位は、「過去問ばかり解くこと」です。過去問は、解いて点数を出し、その点数が合格最低点とどれくらい開きがあるかを確認して課題を浮き彫りにするのが大きな役割です。日をおいて、また別の年度の問題を解いて点数を出して、その点数が合格最低点とどれくらい開きがあるかを確認し、前に行った年度の合格最低点との開きがどのくらい縮まったか、あるいは残念ながら広がってしまったかを把握することで、入試まで残された期間でいつまでに、何をどうやるか、という合格のための計画を立てることができます。PDCAプランを回せるわけですね。過去問を解いたら、解いた過去問の学校名、解いた日付、解いた過去問の年度、科目、点数、その年度の合格最低点、何回目に解いたのか、その回数、そして備考として、「時間が足りなかった」とか「ケアレスミスが多かった」とか「記述が全然できなかった」とかをメモしておく必要があります。記録をとり、目標との差と、その推移を把握することが合格へのスタートラインです。

04 第4位は「具体の問題を具体のまま復習すること」

入試過去問のNGな取り組み方法の第4位は、「具体の問題を具体のまま復習すること」です。こういっても、一瞬何のことだか意味が分からないと思いますので、説明します。具体の問題を具体のまま復習するというのはどういうことかというと、できなかった問題の解き方を確認して、それが解けるようになってそれで終わりにしてしまうことです。「え!それってもう十分じゃないの」と思われた方いると思います。「それ以上にどう復習するの?」って思われる方がいるかもしれませんが、本当の復習というのは、できなかった問題の解き方を確認して解けるようになってからが始まりなんです。

本当の復習というのは、その目の前の問題が解けるようになったら、そもそも、この問題はどんなことを試す問題で、この問題はどんな問題のパターンに分類されるかということを理解することです。そして、なぜ正解なのか、なぜ不正解になったのか、正解がその正解に至る手順を知ること、不正解だった問題がなぜ不正解になってしまったんのか知ること、その理解こそが、目の前の具体の問題を抽象化し、一段上のメタレベルで理解することになります。正解を書き入れること(正解を覚えること)は、ただの「作業」でしかなく、それは「勉強」ではありません。目の前の具体の問題を抽象化して、一段上のレベルで理解することで、次に似たような問題、いわゆる類題が出されたときに対応可能になるんです。具体的な問題の解き方を一般化し、汎用性のある解き方に洗練させる。こうした力は、解き方を理解し、ちゃんと解き直すことで、養われていきます。

復習してもできるようにならない子は、目の前のその問題が解けるようになったらそれで満足しちゃうんです。しかし、当然分かるように、過去問の問題が、当日の入試でまたまったく同じ形式で出題されることはないわけです。過去問に掲載されている問題を解けるようになってももうその問題が入試試験で出ることはないんですね。

だとしたらその目の前の問題(過去問)を材料にして、その問題に似た傾向、同じパターンの問題解けるようにしておくのが、合格につながる復習というものなんです。できなった問題やそれと似た傾向の問題を、それならどうアプローチしていけば正解させられるのかを考えること、それが勉強なんですね。ちなみにこの具体の問題を具体のまま解決して終わりにしないという考え方は社会人になっても、いや社会人なってからこそ役立つ考え方ですよね。問題発生したときにその問題を俯瞰して捉えてもう同じような問題を発生させないというのは仕事だけじゃなくて、人生に必要な考え方ですよね。受験勉強の取り組みて仕事にも人生にも通ずるものがあります。

05 第3位は「時間測らずにやること」

入試過去問のNGな取り組み方法の第3位は、「時間測らずにやること」です。入試は制限時間との勝負です。もし仮にテストの時間の制限時間が50分じゃなくて、100分だったら、特に国語や数学・算数は大幅に点数が上がるはずです。だからこそ、入試は限られた時間の中で、要領よく解く必要があり、その要領をつかむトレーニングが時間を計って過去問に取り組むことなんです。

要領よく解くためのトレーニングとは、時間配分の効率化と問題を解く順番の目安をつけることです。入試問題は昨年度までとガラっと出題傾向が変わることは稀です。だからこそ、時間を計って、どの問題にどれくらいの時間を使ってどういう順番で解くのが一番点数を取りやすいかをシミュレートしておくことが大事なんですね。具体的な方法としては、タイマーを用意して残り時間を確認しながら問題を解いていくのが良いです。時間を計らずに過去問を解いても、時間を掛けすぎたり、時間配分を考えずに考え込んだり、過去問を解ききるということに集中しすぎてしまいます。

武蔵野個別指導塾でも、まだ本格的に過去問演習に取り組むべきタイミングではないときには、ある程度時間を無視して過去問に解いて貰いますが、それはあくまでも過去問演習というよりは、問題の解き方を学ぶという段階に過ぎず、とりわけ、国語や数学・算数は、時間を無視してやると、結構高い点数が取れたりします。それで生徒に自信を持って貰うことや、実際の入試問題に触れて経験を積むという意味では良いのですが、本格的な過去問演習を行う際には、時間を計らなくては正しい得点力は分かりません。アバウトにいって、時間無制限で過去問に取り組むのと時間制限で取り組むのでは、得点は2~3割は違ってきます。

なので、本格的な過去問演習をする際には、制限時間が50分であれば、時計を見ながら、10分経過、25分経過、40分経過、残り5分くらいの時間のチェックが必要になります。これは、慣れない打ちはアラームをその都度鳴るように設定してもいいですね。アラームが鳴るので、テストの残り時間を把握することができ、時間感覚が身に付いていきます。もちろん、本番の入試ではアラームはないので、そういう訓練を通して、体内時計というか時間感覚を自然に身につけていけばいいんですね。

もちろん、せっかく過去問に取り組んでいるので、制限時間過ぎた後もすべての問題を解ききるまで続ける方がよいですが、制限時間を過ぎて解いた答えは青ペンで解答用紙に書き込んで後から採点するときに制限時間内に取れた点数と時間無制限で解いた青ペンの答えを別々に計算して点数を出すと復習する際に次に過去問に取り組む時の戦略を立てやすくなります。そうすることで、試験での時間配分の効率化や問題を解く順番の目安などがつけられるようになります。過去問は制限時間の時間感覚を身につけるために時間を計って取り組みましょう。

06 第2位は「部分的に解くこと」

入試過去問のNGな取り組み方法の第2位は、「部分的に解くこと」です。入試過去問のNGな取り組み方法で第10位では塾でやる過去問を先に自宅でやっちゃうこと、第9位では最新年度から行っちゃうことをNGとして紹介しました。最新年度の過去問はやるべきタイミングを慎重に見極める必要があるのに、まだ入試の出題範囲の単元学習が終わってないタイミングでやっちゃうと合格可能性を最も見極められる方法を失っちゃうんでしたね。でもそういう生徒さん、毎年結構いるんです。

まあ、もうやってしまったのなら仕方ないから「点数だけ教えて。何点だった?」って最新年度の過去問をやってしまった生とに聞くと、「全部はやってなくて、国語は漢字の読み書きの問題だけをやった」とか、数学・算数は「最初の計算の問題だけやってみたって感じです」だなんて言うんですよね。あーやっちゃった。つまみ食いでやっちゃった、ということになってしまいます。せっかく家でやるんだったら時間を計って、きちんと全問解いた上で何点とれたか点数を出してくれれば、まだ合格最低点との差から、その学校の合格可能性を推測できるんですが、部分的に問題を解くだけだと合格点との差がどれくらいなのかがわからなくなってしまい、何をいつまでにどれくらいできるようにすればいいのか計画を立てられないんですね。過去問に取り組む際は、時間を計ってすべての問題を解き切って点数を出してほしいところです。

さらに、厳しいことを言うようですが、過去問を解くなら、一科目だけではなく、できれば入試科目の全科目を通した解きたいです。一科目だけ解いて2科目目はまた次の日に解くとなると点数を出しやすくなります。当日の入試では10分20分の休憩をとりつつ全科目連続して解くことになりますが、3科目、4科目、5科目・・・と解き進めると集中力や気力が削られた状態で解くことになるのでケアレスミスしやすくなります。また、他の科目で失敗したときなど、それを引き摺って他の科目に悪い影響を与えることもあります。

当然、一科目ごとに試験を行うより、点数も出づらくなります。だから過去問を解く際は本番の入試環境にできるだけ近い状態で取り組むと、より信憑性が高い合否判断が可能になります。徹底するなら土日など学校がない日に朝から本番と同じ試験時間と合わせて解くとさらに本番に近い点数になりますし、本番の訓練になります。過去問は部分的に解くのではなく、すべての問題を解ききりましょう。

但し、復習は別です。これまで解いた各年度の過去問の中から、例えば計算問題だけ、論説文だけ、生物分野だけ、地理分野だけといったように、いやもっと細かく、国語の論説文の傍線部の理由を答えさせる問題(理由説明問題)だけなど、拾って見直すことで、その問題特有の解き方パターンを把握しやすくなります。私は冬期講習に、たとえば高校入試でしたら、都立高校の国語の共通問題の最後の大問5の現古融合分問題だけなどを集めたとプリントをつくって受験生に取り組ませて、「ここまで大問5を徹底してやり込んで受験のその受験生はいないから、自信持って本番を受けて大丈夫。君は多くの受験生が苦手とする大問5のスペシャリストだ。これだけ大問5に取り組んだから、それでも解けなかったら、テスト会場の受験生みんなが困惑している問題だから気にしなくていいよ」と言い聞かせたりします。

07 第1位は「解き直しをしないこと」

入試過去問のNGな取り組み方法の第1位は、「解き直しをしないこと」です。過去問は解いてみて、その後、解説読みながら復習して終わり、ではありません。終わりではなくて、そこからが始まりなんです。第5位で「記録を残すこと」の話をしましたが、そこで過去問を解いた回数を上げていましたよね。そうなんです。過去問は1回解いておしまいというわけではないのです。志望度の高い学校の過去問は一度解いて復習したら、数日後に2回目、また数日後に3回目と繰り返し解いて、合格最低点+10点分くらいの問題の解き方を、もう飽きるほど完全にマスターしているという状態を目指したいです。

こう言うと、「いやもう一度解いた答えを覚えちゃってるから、解き直す意味ないよ」って言われる方もいらっしゃるかと思いますし、生徒さんなどよくそういうのですが、その理解では入試に勝てません。答えを覚えていてもいいんです。解き直しで試したいのは、どんな答えだったかという知識でなく(もちろん、知識は知識で、2回やることで知識の定着にもなりますが)、「解き方を理解しているかどうか」ということを試したいのです。以前、数学・算数の勉強の仕方という記事をお伝えしましたが、数学・算数、国語といった科目では、同じ問題なんてでないので、答えなんてどうでもいいわけですね。答えではなく、どうやって解くのか、どうやって考えるのか、どう見立てるのか、どう導き出すのか、そういうことを理解しているかどうかを試すために解き直しをする意味があるのです。

特に第一志望の学校の年度の新しい過去問については最低3回は解いて、「配分問題」や「解く順序」、「問題の解き方」を熟知して、その学校の入試問題の専門家を目指すのが最高の対策になるわけです。そうすれば、仮に模試の合格判定がたとえ不利な判定だとしても、その学校の入試問題では合格点をとって合格することが可能になります。

よく言われることですが、模試で幾らA判定をとっても本番の試験に落ちることなんてよくあります。模試というのは、志望校の入試問題とは違います。共通テスト模試や東大模試、京大模試、早慶模試、都立入試の模試(V模擬やW模擬)などは、そのまま入試の参考点になるでしょうが、国立大の前期試験の問題や私大の入試問題、高校の都立上位校の独自問題(これはある程度似てはいますが)や私立校の入試問題、中学入試の問題は模試とはまるで違います。

入試問題は、各学校ごとに特色や傾向があります。なので、模試ではC判定や場合によってはE判定などでも、その学校の入試問題なら得意だという生徒は模試の判定に関係なく合格できますし、逆にその学校の入試問題に不慣れだと模試でA判定を取っていても落ちます。よく偏差値とか模試とかが入試の合否に直結するように誤解する生徒がいますが、入試は合格最低点以上の得点を取れた生徒が合格するのです。志望校の入試問題に精通しておきましょう。

合格の切り札・入試過去問のNGな取り組み方法TOP10(1)

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【監修者】 宮川涼
プロフィール 早稲田大学大学院文学研究科哲学専攻修士号修了、同大学大学院同専攻博士課程中退。日本倫理学会員。元MENSA会員。早稲田大学大学院文学研究科にてカント哲学を専攻する傍ら、精神分析学、スポーツ科学、文学、心理学など幅広く研究に携わっている。一橋大学大学院にてイギリス史の研究も行っている。

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早稲田大学大学院文学研究科哲学専攻修士号修了、同大学大学院同専攻博士課程中退。日本倫理学会員 早稲田大学大学院文学研究科にてカント哲学を専攻する傍ら、精神分析学、スポーツ科学、文学、心理学など幅広く研究に携わっている。
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