単元別のつまずき研究(全50回)——その単元で、生徒は実際に何をどう誤るか
「どこが分からないの?」と聞いても「全部」としか返ってこないことがあります。実際には、つまずきは単元ごとに決まった形をしています。
この連載は、算数・数学・理科・国語・英語・社会の単元ごとに、生徒が実際に書く誤答と、その背後にある考え方を、教育研究の一次文献から整理したものです。
全50回。1本およそ6,000字。各回に「よくある誤答」「その子が考えていること」「確かめる問いかけ」の表を置いています。
第1集 数と式・量:記号と意味が離れるところ
正負の数から数学記号まで、計算はできても意味が言えない箇所を10本で扱います。
- 1正負の数で引くと増える理由と理解の壁
- 2文字式で文字を自然数が入る箱と誤解する理由
- 3等号を答えを書く記号と読む誤解と関係理解の妨げ
- 4一次方程式の移項が意味を失う理由と等式理解
- 5分数の比較と足し算の誤りは整数の見方から生じる
- 6小数の大小で桁が多いほど大きいと誤る理由
- 7割合でもとにする量を見失う場面の読み取りの崩れ
- 8速さの三公式の暗記が単位量あたりの見方を妨げる
- 9食塩水を混ぜると平均になる直感が生む濃度の誤り
- 10指数と平方根の誤りは式の構造の読み落としから生じる
第2集 関数・確率・統計・単位:立式と読み取り
文章題の立式からグラフを描く側まで、式と現実を往復するところでのつまずきです。
- 11文章題で数だけ拾う子は場面の読みを先に変える
- 12連立方程式は計算ではなく条件の同時処理でつまずく
- 13二次関数は式とグラフが分離する五つの誤りに注目
- 14確率は同様に確からしいを点検する習慣から始める
- 15平均は分布の入り口であり代わりにはならない
- 16三角比は辺の比から座標の比へ見方を切り替える
- 17微分は極限と変化の割合の断絶を埋めることから
- 18単位換算は量の保存と比例の見方の未形成から来る
- 19グラフを描けない原因は作図固有の手続きの未習得
- 20数学記号は声に出して読めることが理解の前提になる
第3集 理科:素朴概念が残るところ
力・電気・光・熱・粒子・化学・生物・地学。教えても消えにくい素朴な考えを10本で扱います。
- 21力がなくなると止まるは経験から生まれた誤概念
- 22電流は回路のどこでも同じ量で流れ減らない
- 23見えるの説明ができないのは目から光が出る素朴な見方が原因
- 24熱を物質のように扱う誤りを言葉から切り離す
- 25溶けるととけるの混同は粒子の保存と粒の行方の未整理から生じる
- 26化学反応式とモルは粒子像を育ててから記号操作につなぐ
- 27光合成の誤概念は知識を足すだけでは修正されにくい
- 28遺伝の確率は多数の子の割合で1個体の姿を保証しない
- 29季節の誤解は地球と太陽の距離と地軸の傾きの混線から生まれる
- 30地質時間のつまずきは暗記不足ではなく時間感覚の未接続から生じる
第4集 国語と英語:言葉の規則が見えないところ
指示語・抽象語・文章構造・古文漢文・冠詞・時制・関係詞。読み書きの土台のつまずきです。
- 31指示語と接続語のつまずきは文のつながりを追う習慣の問題
- 32評論の抽象語は知らないより文脈で使えないことが問題
- 33説明文の段落の関係が見えない子は構造を再構成できない
- 34作文の主語と述語のねじれは文を組み立てる力の不足
- 35古文の主語の省略は敬語と助動詞から補う練習として扱う
- 36漢文訓読のつまずきは音読の自動化と語順の再構成で起きる
- 37英語の冠詞の誤りは形の欠落ではなく意味の選択で起きる
- 38現在完了が使えないのは時だけでなく相の観点が欠けるため
- 39関係詞のつまずきは語順の切り替えと埋め込みの往復で起きる
- 40前置詞の抽象用法は空間イメージの延長として教える
第5集 英語の音と社会・横断:最後に残る壁
語順・綴り・音声、歴史や地理の読み取り、教科をまたぐ言葉、そして誤答の見つけ方です。