今なぜ哲学が必要なのか?~大学受験や高校受験、中学受験の新傾向

01 GoogleやチャットGPTの登場、もはや暗記型秀才は必要ない。

最近、1999年からはGoogleの登場、そして、2023年から生成型AI、チャットGPTの登場が話題になっていますが、現代において、それこそ保護者の皆様の世代が必要とされた暗記型の秀才はもはや必要とされなくなってきています。仮に、生徒さんが自分は秀才で、暗記能力にかけてはサヴァン症候群さながらに誰にも負けないと自惚れているとしたら、21世紀の貴方の未来にはちょっと、いや、ちょっとどころか大いに暗く、過酷な未来が待ち受けているだろうと言わざるを得ません。こういうことをいうと、勉強して、一生懸命暗記して、覚える努力をしているのに、何を水刺すようなことをいうんだよ、と言われてしまうかもしれません。 確かに、今までの世の中は暗記能力の優れた人を知識人と言ってきたと思います。東大、京大、早稲田、慶應、どの一流大学も大量の知識と正確で迅速な解答能力を求めてきました。その最たる例としては私も司法試験は短答試験まで合格しましたが、これは大量の知識を暗記・記憶し、整理しなければ合格はおぼつかない物でした。なるほど、ごもっとも、です。

でも、敢えて私自身早稲田大学や大学院入試試験、司法試験をくぐり来た人間としても一言言わせて貰いますが、敢えてはっきりと言わせて頂きましょう。暗記の秀才に未来はない、と。これは医者や弁護士が常套手段として使う煽り商法ではありません。現代は、GoogleやチャットGPTの例を出さずとも、コンピューターの世界であることに異論がある方は少ないでしょう。ものを記憶するなんてことは、言ってしまえばもはや人間がやることというよりも、コンピューターがやってくれることになっているわけです。 チャットGPTのディープラーニングの例を持ち出さなくても、既にAIやコンピューターの世界では、人間なんか比べようもないほど早く、正確に、べらぼうな涼の情報を蓄積し、整理し、それを発動してくれます。これがコンピューターです。機械が人間の代わりに暗記能力を発揮する時代が、もう東京都の自治体などの動きも含めて本格的に発揮する時代がやってきているわけです。極論すれば、暗記だけの秀才君はもう必要ないわけです。

それに変わって逆に必要とされるようになったのが、機械にインプットされた情報や知識を目的や状況に応じて自在に管理し、編集し、使うことができる人材です。それも、蓄積された情報をベースにして独創的に考えることが出来る人たちです。現代の教育システムは、しばしば知識の偏重に傾きがちです。テストや試験においては、事実やデータの記憶と再生が重視され、学習者は詰め込み式の学習に追われることが多いです。しかし、このアプローチは、情報が瞬時に変化し、容易にアクセス可能な現代社会においては、非効率的で時代遅れのものとなりつつあります。重要なのは、情報をどのように処理し、活用するかということです。批判的思考、問題解決能力、創造性といったスキルは、知識を単に記憶すること以上の価値を持っています。教育は、これらの能力を育むことに重点を置くべきです。

ここで1つ質問です。日本が情報化社会のトップランナーとしてこれまで走ることができたのはなぜでしょうか。そのヒミツは、共通一次試験(昔のセンター試験、今の共通テスト)にあります。始めた頃は評判が悪かったです。偏差値で人間を評価するのかと各方面から非難の声が相次ぎました。でも、やがて思ってもみなかった現象が起きました。偏差値的にみて、もっとも厚い層を形成する学生の学力が大花場に向上したのです。それは何故かというと、共通一次試験(センター試験、元共通テスト)の一番の特徴は、教科書に準拠した試験問題であると言うこと。クイズも真っ青の難問や奇問を無くした結果、特別な暗記能力を必要としなくなってしまいました。まあ、普通に勉強した子なら6~7割は手堅く取れますし、バッチリ勉強した子なら満点近い点数を取ることが出来ます。結論をいえば、日本という国が、教育の名の下に、組織的に情報化社会に適合する人間をつくるようになったというわけです。

02 哲学的思考が不可欠な理由

情報化社会というのは情報過多の社会でもあります。もの凄い涼の知識と情報が、もの凄い速さで生成され動いています。昨今のフェイクニュース、生成AIによる虚偽情報、フィルターバブルや、エコチェンバー、カスケード現象といった問題もあるももの流動する情報を素早くキャッチしなければなりませんね。それに遅れた人をホリエモンだとかひろゆきあたりの論者が「情弱」と煽ってもいます。でも、ただ単に型どおりりに処理したり、受け止めるだけなら、そんなことは機械がやるし、一方的に受け身なだけなら、情報化社会なんてクソ面白くもない社会、味気ない社会に過ぎません。

デジタル時代の進展に伴い、知識はかつてない速度で更新され、陳腐化しています。テクノロジー、科学、医学などの分野では、今日の事実が明日には古くなることが珍しくありません。このような環境では、単に情報を記憶することよりも、新しい情報を素早く吸収し、既存の知識と統合する能力が重要になります。現代社会では、情報を処理し、問題を解決し、創造的なアイデアを生み出す能力がますます求められています。これらのスキルは、単なる事実やデータを覚えることとは異なり、深い理解と応用を必要とします。批判的思考、創造性、コラボレーション、コミュニケーション能力などは、21世紀の職場や社会で成功するために必要不可欠なスキルです。情報化社会において、知識は瞬く間に更新され、その寿命は著しく短くなっています。教育学者として、私たちは学習者に古い情報を記憶させるよりも、新しい情報を効率的に吸収し、適応する能力を養うことの重要性を認識する必要があります。これには、情報を批判的に分析し、既存の知識枠組みと統合する力を育成することが含まれます。現代の教育システムは、情報の急速な変動に対応するために、柔軟性と適応性を備えた学習法を採用するべきです。

情報技術の進化は目覚ましく、過去数十年間で私たちの生活、仕事、コミュニケーションの方式を根本的に変化させました。インターネット、モバイルデバイス、クラウドコンピューティング、人工知能(AI)などの技術は、情報のアクセス性と流通を大幅に拡大し、無限に近い情報源へのアクセスを可能にしています。これにより、学習の可能性は広がり、知識の取得が以前に比べて容易になりました。しかし、この情報の洪水は、情報の質とその処理方法に関する新たな問題も引き起こしています。情報の正確性を判断する能力や、関連性のある情報を選択するスキルが、以前にも増して重要になってきています。インターネットの普及により、私たちは膨大な量の情報にアクセスできるようになりましたが、それは同時に情報の過剰という新たな問題を生み出しています。どの情報が信頼できるものか、どの情報が現在の状況に最も適切かを判断する能力が不可欠です。情報リテラシー、つまり情報を効果的に検索、評価、活用する能力が、この複雑な情報環境を生き抜くための鍵となり

そこで、必要になってくるのが、情報や知識を自在に管理し、編集し、それをもとに独創的な考えができる人なわけです。お待たせしました。ここで哲学がやっと登場してくるわけですね。哲学とは、これは極論を誤解を招くことを恐れずゐにいえば、一言でいってしまえば、「自由に考えること」です。知識や情報を自由自在に操って、独創的なものをクリエイトするためにこそ、思考は働かなければならない時代になっているわけです。非創造的なことは機械に任せ、人間は思考することの楽しみを味わうことができるようになったのです。そうした意味で哲学は、コンピューター時代の今こそ求められ、かつ真の力を発揮するようになったといえます。 といっても、哲学というと、なんだか難しそうなイメージがありますよね。カントの「超越論的哲学」だとかドゥルーズの「リゾーム」だとかいわれても、いまいちピンときませんし、ややもすれば、わかりきったことをこねくりましてことさら難解にするといったイメージを持たれている方も少なくないと思います。教科書の哲学者の顔がどれもこれも深刻ぶっちゃって、特別な人、もしくは偏屈なおじさん、はたまた指名手配の凶悪犯って感じかもしれません。

後半少し言い過ぎましたが、多かれ少なかれそういうイメージを抱いている方は多いと想います。 でも、彼らに同情してあげてください。彼らは知を限りしなく愛し、膨大な量の知識をインプットした蓄積者だったのです。そして、その知識を駆使して考えに考え抜きました。これは実は非常に苦しい作業です。それで、こういう風になっちゃったたわけですね。彼らは知的エリートとして、一般の人になりかわって「考える」人たちだったわけです。しかし、今や時代は情報化社会です。知を愛するために、膨大な知識を詰め込む必要はありません。そこで、いってしまえば、哲学が知のエリートたちが独占してきた「秘技」から、誰でも活用が出来る「技術」に転化したといっても良いかも知れません。ものものしい羽織袴が、カジュアルで、ドジャーズの大谷選手のようなファッションのように変わったとも言えます。情報化社会は「軽薄短小」の時代だと揶揄する人もいます。「軽薄短小」に哲学はない。そういう風に言う人もいますけど、冗談ではありません。「軽い」っていうことは、自分という存在を他者=世界の中に自在に置くことのできる感覚のことです。哲学するとはまさに、そのことに他ならないのです。

03 哲学はもっとも古くもっとも新しい人間の必須科目である

人間社会にはさまざまな学問があります。大学にも、経済学、法学、物理学・・・とあり、学部学科、専攻に分かれています。そして、それぞれの学問は幾重にも細分化され、専門化され、どんどん高度化しています。まさに蛸壺化しているわけですね。しかし、その中で唯一、細分化と専門化とは逆の道を行くのが哲学なんです。経済学には、経済哲学が、医学には医学哲学があります。文学には文学哲学というものはありません、名前だけのことで、文学に文学原論を求めるのは哲学的試みだといって良いでしょう。すべての学問の中で、もっと広く言えば、すべての思考の中に、哲学が息づいているのです。冗談みたいに聞こえるかもしれませんが、競馬や恋愛の哲学だってあります。

ところが、学問として大学出通用している哲学は、すべての学問の基礎がそうであるように、想像を絶して無味乾燥です。哲学科では、哲学書を語学力を駆使して原典で読むための知的訓練が第一なのですね。正直私自身も大学院に在籍していた頃は、一体哲学をしているのか語学勉強をしているのか混乱することもありました。大学で、哲学を専攻し、学者にでもなろうと思うほどの人は、外国語の文献を読むことは避けることができないのが現状です。しかし、哲学を自分の学問上、仕事上、人生の糧(栄養源)にしようと思う人は、大学の専門哲学日囚われる必要はありません。自分の思考に叶った哲学者や思考の流れを必要に応じて摂取し、活用することができます。哲学は自学自習こそがその本来の姿勢なのです。独習なくして、自律した思考は困難です。 続く」

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プロフィール 早稲田大学大学院文学研究科哲学専攻修士号修了、同大学大学院同専攻博士課程中退。日本倫理学会員 早稲田大学大学院文学研究科にてカント哲学を専攻する傍ら、精神分析学、スポーツ科学、文学、心理学など幅広く研究に携わっている。

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