有名国立も万全・世界史論述問題対策

01 論述問題の解き方の基本

まずは、論述問題に関する最低限守らなければならないルールについて説明します。論述問題なので、何を書いても自由に思われるかも知れませんが、世界史の論述問題というのは、小論文とは違います。なにもあなたの歴史的出来事に対する解釈を聞いているわけでもありませんし、ましてや感想を求めているわけではありません。言うなれば、国語の記述問題に解き方は似ているかもしれません。現代文の記述問題の解き方の詳細については、こちら参照してください。そこで説明しているように、世界史でも答え方はほぼ二通りです。内容一致問題か理由説明問題の二択ですね。たとえば、例題を出してみましょう。

古代オリエント統一のプロセスを,以下の語句を用い論述せよ。(350 字以内)

ニネヴェ 圧政 メディア スサ 王の道

これは、世界史の教科書の最初の方に載っていることでもあり、世界史の学習を挫折した方でも答えられるある意味、世界史の知識をそう深く求めていない問題です。もっとも、一通り世界史を学んだ人からすると、「もうそんなの忘れちゃったよ」となるかもしれませんが。さて、この問題を特に当たって、国語の論述同様最低限下記のことは守らなければいけない「ルール」があります。

01-1 制限字数は八割以上(字数オーバーや五割未満はゼロ点)

それは、第一に、指定字数との関係です。指定字数の八割程度は書くことはもちろん、間違っても、制限字数オーバーしてはいけません。採点基準は各大学によると思いますが、一般的には指定字数を超えるとゼロ点となります。それなら、まだ八割行かないほうがまだ点数がくるでしょう。もっとも、5割もかけていないと、これまた字数のみでゼロ点とされてしまうリスクがあるので、余裕をもって最低八割、できれば九割五分くらいは書くようにしましょう。

01-2 単なる語句や用語の羅列になっており、説明していない文章になっていないこと

次に、気をつけなければいけないことは、単なる語句や用語の羅列になっており、説明していない文章になっていないことです。わかりやすい例をいえば、先ほどの例題で回答してみましょう。

「前8世紀の中ごろ、ティグラトピレセル3世がアッシリア帝国を築いた。その後、最盛期の王サルゴン二世は、ニネヴェに首都を建設し、続くセンナケリブ王の下、メソポタミア全域を支配した。アッシリア帝国は、圧政を敷いたため、アッシュール=バニパル王の後、帝国はすぐに滅亡した。その後、ペルシス地方から起こったアケメネス朝は、メディア王アステュアゲスの婿でもあったキュロス二世が、メディナから自立し、リディア、新バビロニアを滅ぼし、小アジアから中央アジアのバクトリア、ソグディアナ、インダス川流域にいたる帝国を建設した。最盛期の王ダレイオス1世は、帝国の支配領域を20の行政区に分け行政区の長官としてサトラップを置いた。また、アケメネス朝では、スサに都がおかれ、王の道などを築いた。」

ぐらいでしょうか。ディグラトピレセル3世であるとか、メディア王アステュアゲスだとか、正直、教科書に記載がないような専門的な語句を散らばめていますが、難しい用語をつらつらと書いているだけで、正直、「一体なにを言いたい文章なのか?」はいまいちピンときませんよね?もし「なるほど。そういうことを言いたかったのか」と思う方は少ないと思います。もちろん、この回答ゼロ点になることはないと思いますが、正直あまり良い点数はもらえないでしょう。この文章では、難しい用語は登場してくるものの、知識自慢のような文章で、一体何が言いたいのかつかめないからです。これが語句や用語の羅列という意味での悪い文章なわけです。

設問は、「古代オリエント統一のプロセスを,以下の語句を用い論述せよ。」とあるわけで、別に、アッシリアやアケメネス朝の少しマニアックな知識を披露してくれとはいっていません。

そして、もう一つ重要なことは、「隠れたキーワード(指定語句以外の)」つまり、ポイントとなる固有名詞や用語を書かなければならないということです。

01-3 隠れたキーワード(指定語句以外の)、つまり、ポイントとなる固有名詞や用語を書かなければならない

これは、指定語句には含まれていないけれども、設問で問われていることを答えるにあたって、重要な知識や用語をしっかり理解しているかということです。例題でどういうことが隠れているキーワードになっているかというと、アッシリア帝国の圧政とアケメネス朝の寛容な統治の比較、について触れておく必要があるということですね。

そのほか、指定語句の転記ミスや不使用、アンダーラインの引き忘れなども当然減点になるので、最低限その辺はしっかり守るようにしましょう。

また、意外とやってしまうのが、ひらがなの使用でしょうか。歴史用語は漢字あるいはカタカナで書きましょう。極端な例を挙げると、毛沢東を「もうたくとう」と書いてしまうと確実に減点されます。「毛沢東」は人名であり、中国の革命家であり政治家です。ひらがなで「もうたくとう」と書いてしまうと、厳密にいえば別人になってしまいます。

確かに、毛沢東という漢字を日本人は「もうたくとう」と発音するのが普通でしょうが、世界史の解答の場合には、それは通じないので気を付けましょう。どうしても漢字が思い出せない場合は、現地の発音のカタカナ表記をしましょう。ただ、一般的に知らている用語、たとえば「新羅」を「シルラ」と呼ぶというのでは、問題ないでしょうが、毛沢東を「マオォートォン」と表記するのは至難の業だと思います。私は中国語ができないので、難しく感じているというのもあるかもしれませんが、たいていのひとは、大学へ進学し第二外国語などで中国語でも取っていない限りは、中国語読みでカタカナ表記することは、「毛沢東」という漢字を覚える以上に困難なのではないでしょうか。

02 論述問題の解き方のマナー

次に、ルールはともかく、マナーとして覚えておいてほしいことを説明します。それは国語の論述や小論文、作文とは少し違った、まさに世界史論述問題特有のルールです。どういうものがあるのでしょうか。

02-1 句読点のぶら下げを行わない

それはまず最初に句読点のぶら下げを行わないことです。ぶら下げを行わないことといわれてもピンとこない方に説明します。ぶら下げというのは原稿用紙の場合はルールで、「●●●●。」と仮に最後のマスで句読点を打つことになった場合、升目にそのまま句読点を打つことです。、ぶら下げをしないということになると、「●●●●」のあとに「。●●●●」という風に解答することになります。普段原稿由などで物書きをしている人には少し気持ち悪いやり方ですが、受験世界史の論述では字数が重要であるため、升目の最後にこようが「。」は「。」「、」は「、」と一文字としてカウントするわけです。

02-2 段落を作ったり、改行・字下げを行わない

これも上記と同様で、指定字数が大事なので、作文や小論文のように「改行して段落を作ったり」

「行頭に空白をあけて字下げを行ったり」はしません。もちろん、このようであるので、書き始めの冒頭に字下げもしません。

02-3 数字、アルファベットは左詰めで一マスに二文字記入する

これは小論文や作文と一緒ですんね。「」を一マスだとすると、KANTは「Ka」「nt」と二マスに分けて書くわけです。微妙に小論文や作文と違うのは、大文字であっても二文字書くというところでしょうか。また、音韻で区切ることもしません。

02-4 人物の姓名間は=または・で結ぶ

これも小論文や作文と一緒ですね。たとえば、「プラノ=カルピニ」と書くわけで、「プラノカルピニ」とは書かないように注意しなければなりません。まあ、書いたとしても1点減点されるかどうかの問題ですが、受験で1点は馬鹿にはできません。採点方針によってはセーフの場合もあるかもしれませんが、無駄な冒険はやめましょう。

02-5 教科書にない略語や普段使用しないアルファベットの略語は使用しないこと

もちろん、PKOであるとか、NPTというのは大丈夫ですが、WWⅠであるとかWWⅡといった海外の略語を使ったり、2C(世紀のこと)というのは危険です。「8C頃」と書くのではなく、「8世紀頃」と書くようにしましょう。また、当然、国名も略語は禁物です。アメリカ(あるいは合衆国のこと)を「米」と略したり(米国ならOK)するのはやめておきましょう。また、中国を「支那」と書くのも特定の思想や感情がどうしても見え隠れしてしまうので避けておきましょう。

02-6 文章の体言止めはしない

「日本は、下関条約で遼東半島を獲得。」とか「スペインは、1492年にレコンキスタを完了。」という風に書くのは辞めておきましょう。必ず原点になるとは言い切れませんが、無理して体言止めを使う必要はありません。さらに、接続詞にも気をつけて「また」を多用したり、「さらに」を連用するのは文章としてもおかしいのでやめておきましょう。

02-7 一文一意を原則とし、だらだら書かない。

これは小論文でも作文でも同様の鉄則ですが、一文一意を意識し、簡潔に書きましょう。「ローマでは、~で、~で、~だったので、~で、~となった」というような文章は、論理構造が把握しづらく、言っていることの意味も多義的にならざるを得ず、理解をし間違えているのではないかと思われて減点される危険が生じます。

02-8 解答は最後の行に到達するように書く。

これは努力目標でもありますが、8割以上ならOKと満足するのではなく、書く欄の最後の行にさしかかるまでは書いておきましょう。

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【監修者】 宮川涼
プロフィール 早稲田大学大学院文学研究科哲学専攻修士号修了、同大学大学院同専攻博士課程中退。日本倫理学会員 早稲田大学大学院文学研究科にてカント哲学を専攻する傍ら、精神分析学、スポーツ科学、文学、心理学など幅広く研究に携わっている。

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早稲田大学大学院文学研究科哲学専攻修士号修了、同大学大学院同専攻博士課程中退。日本倫理学会員 早稲田大学大学院文学研究科にてカント哲学を専攻する傍ら、精神分析学、スポーツ科学、文学、心理学など幅広く研究に携わっている。
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