3-2 国会の役割としくみ

― 法律はどうやってつくられ、誰が決めているのか?


🔷 1. 国会とはなにか?

▶ 定義:

国会とは、日本の立法機関であり、国のルール(法律)をつくる最高機関です。

  • 日本国憲法では第41条に「国権の最高機関であり、唯一の立法機関」と定義されています。

  • 「三権分立」の中で、立法権(法律をつくる力)を担います。

✅ ポイント:
国会は「国民の代表者たちが話し合いでルールを決める場」=民主政治の中心


🔷 2. 国会のしくみ:二院制とは?

日本の国会は、「衆議院」と「参議院」の二つの議院からなる**二院制(にいんせい)**です。

議院 任期 定数 主な特徴と役割
衆議院 4年(解散あり) 465人 より国民の意見を反映。解散あり。予算・内閣信任で優越あり
参議院 6年(3年ごとに半数改選) 248人 冷静な審議を行う「良識の府」。再考の機会を提供する役割を担う

▶ 二院制の目的:

  • 多様な意見を反映するため

  • 一方の暴走を防ぐため(チェック機能)


🔷 3. 国会の主な仕事(三大機能)

機能名 内容
① 立法 法律をつくる(法案の審議・議決)
② 予算の決定 政府が提出した予算案を審議・議決し、税金の使い道を決定
③ 行政監視 内閣に対する「信任・不信任」や、行政の活動に対するチェック(国政調査権など)

✅ ほかにも、条約の承認、裁判官の弾劾、憲法改正の発議など重要な役割があります。


🔷 4. 法律ができるまでの流れ

  1. 内閣または議員が法案を提出

  2. 衆議院・参議院で審議・採決(通常は衆→参)

  3. 両院で可決 → 成立

  4. 天皇の「公布」を経て法律として効力発生

📌 衆議院と参議院の意見が異なる場合は、衆議院の議決が優先される(衆議院の優越)


🔷 5. 国会議員のしくみと選挙制度

種類 選ばれ方 主な役割
衆議院議員 小選挙区制+比例代表制 より地域に密着した代表を選出
参議院議員 都道府県単位の選挙区+比例代表制 全国的な視点をもつ代表が多い

✅ 選挙を通じて「国民の意見」が国会に反映される=**間接民主制(代表制民主主義)**のしくみ


🔷 6. 国会の会期(開かれるタイミング)

会期 内容
常会(通常国会) 毎年1月に召集され、予算案などを中心に議論(約150日間)
臨時会 必要に応じて開かれる(災害、政治問題、要求があったときなど)
特別会 衆議院選挙後に開かれ、内閣総理大臣の指名を行う

✅ まとめ:国会は「国民の声を法にする場所」

国会は、「国民の代表」が「国民のために話し合い」、
私たちの暮らしを支えるルール(法律)をつくる、民主主義の象徴的な場です。


🧠 発展学習・探究活動例

活動テーマ 内容・ねらい
模擬国会ロールプレイ 法案の提出・審議・採決を班で実演し、「ルールをつくる大変さ」を体感する
現在審議中の法案を調べて発表 実際の国会でどんな議論がされているかを調べ、プレゼン形式で共有する
二院制のメリット・デメリット討論 「衆議院だけでいいのでは?」などの意見から、制度の意味を再考する
国会議員に手紙を書いてみよう 地元の議員に「今の政治で気になること」「法整備してほしいこと」を伝える活動
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ryomiyagawa Founder
早稲田大学大学院文学研究科哲学専攻修士号修了、同大学大学院同専攻博士課程中退。日本倫理学会員 早稲田大学大学院文学研究科にてカント哲学を専攻する傍ら、精神分析学、スポーツ科学、文学、心理学など幅広く研究に携わっている。
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