8-2 主権者としての社会参加
1.「主権者」とは何か?
日本国憲法前文および第1条〜第3条において、主権は「国民に存する」とされます。 つまり主権者とは、国の最終的な意思決定権を持つ存在としての国民 を指します。単に「選挙に行く人」ではなく、社会や政治の課題に主体的に関与する責任と権利をもつ存在です。
2.主権者としての具体的な社会参加の形
◆ 代議制民主主義における参加
参加方法 | 内容・例 |
---|---|
選挙 | 国政選挙(衆院・参院)、地方選挙(知事、市長など)への投票 |
政党活動 | 政策立案・候補者支援・政党に対する意見表明 |
請願・陳情 | 議会や官庁への政策提案・要望の提出(憲法第16条) |
住民投票 | 地方自治体レベルでの重要政策への直接意思表示(例:基地問題) |
◆ 市民社会における参加(熟議民主主義的側面)
活動形態 | 内容・例 |
ボランティア | 地域福祉、災害支援、教育活動、環境保全など |
NPO/NGO活動 | 貧困対策、人権擁護、国際協力、ジェンダー平等など |
市民運動 | 環境保護、脱原発、ジェンダー平等、反差別運動などのアクション |
デジタル参加 | SNSやオンライン署名を通じた意見表明、政治的キャンペーン |
3.主権者教育とその重要性
主権者教育とは、「社会の担い手」として必要な知識・態度・判断力・実践力を育てる教育 のことです。
◆ 文部科学省が掲げる主権者教育の視点
- 政治的中立性を保ちつつ、政治的無関心を克服
- 思考力・討論力・情報リテラシーを養う
- 模擬選挙、討論会、地域参加学習などの実践型教育の促進
◆ 教育の具体例
- 高校の「公共」や「政治・経済」科目での主権者教育カリキュラム
- 模擬選挙の実施(実際の選挙公報や投票箱を使用)
- 地域の課題をテーマにした探究学習
4.現代社会における課題と展望
◆ 課題
- 若年層の政治的無関心と知識不足(「無党派層」の増加)
- 一票の格差や投票率の地域差
- 「炎上」や「デマ」などSNS時代特有の言論環境
- 政治不信や政党離れの加速
◆ 展望と方策
- 学校・家庭・地域が連携した主権者教育の強化
- 情報リテラシー教育によるフェイクニュース対策
- デジタル民主主義(オンライン投票、参加型政策形成)の推進
- 多様な声を反映できる制度の整備(例:クオータ制、若者議会)
【まとめ】
- 主権者とは「選ばれた存在」ではなく「参加する存在」である
- 社会問題に関心をもち、考え、対話し、行動することが主権者の役割
- 教育や制度を通じて、誰もが主権者としての責任と可能性を持てる社会の実現が求められる
【発展論述テーマ例】
- 「主権者として社会に参加するとはどういうことか。具体例を交えて説明せよ」
- 「主権者教育の必要性と、どのように実践すべきかを論ぜよ」
- 「SNS時代の市民参加にはどのような可能性と課題があるか」
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