3-4 裁判所のしくみと司法の役割
― ルールが守られ、権利が守られる社会の番人 ―
🔷 1. 裁判所とはなにか?
▶ 定義:
裁判所とは、法律にもとづいて「争いごとや犯罪」を公平に判断する機関です。
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国会(立法)→ ルールをつくる
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内閣(行政)→ ルールを実行する
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裁判所(司法)→ ルールが守られているかを最終的に判断する
✅ 三権分立の最後の柱。法律の番人であり、人権を守る砦でもあります。
🔷 2. 裁判所のしくみ(構造)
裁判所の種類 | 概要 | 主な役割の例 |
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最高裁判所 | 憲法の番人。全国で1つのみ。裁判の最終審としての役割を持つ | 法律が憲法に違反していないかを判断する(違憲審査権) |
高等裁判所 | 各地に8か所。控訴審(不服申し立てを受ける2審)を担当 | 地方裁判所での判決に不満がある場合に審理する |
地方裁判所 | 全国に50か所以上。重大な刑事・民事事件を主に扱う裁判所 | 殺人・詐欺などの刑事裁判、損害賠償などの民事裁判 |
簡易裁判所 | 比較的軽い事件を扱う。全国に400か所以上。 | 軽い交通違反、少額の金銭トラブルなど |
家庭裁判所 | 家族・少年に関する事件を担当。地方裁判所と同じ場所に設置 | 離婚、相続、非行少年の保護観察など |
🔷 3. 裁判の種類
種類 | 内容 | 例 |
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刑事裁判 | 犯罪があったとされる場合、国家が被告人を起訴する裁判 | 強盗、殺人、詐欺などの刑事事件 |
民事裁判 | 個人や団体同士のトラブルを解決する裁判 | 借金トラブル、事故の損害賠償請求、契約違反など |
家庭裁判 | 家族や未成年に関する事件を扱う裁判 | 離婚調停、養育費、少年事件など |
行政裁判 | 行政(国や自治体)の決定に不服を申し立てる裁判 | 税金・生活保護の不当な処分に対する異議申し立てなど |
✅ 裁判は、すべての人の権利を守るために用意された「公正なトラブル解決の場」です。
🔷 4. 裁判の基本原則(憲法で保障)
原則 | 内容 |
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公開の原則 | 裁判は原則として公開(密室での裁判を避け、透明性を確保) |
弁護人依頼の権利 | 被告人には弁護士をつけて弁護してもらう権利がある |
推定無罪の原則 | 有罪が証明されるまでは、無罪として扱われる |
三審制 | 1回の裁判だけで終わらず、上級の裁判所で再審理してもらうことができる |
🔷 5. 裁判員制度(2009年スタート)
国民が重大な刑事事件に参加して、裁判官とともに有罪・無罪や量刑(刑の重さ)を決める制度。
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対象:殺人、強盗致死などの重大事件
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裁判員:20歳以上の有権者からくじで選ばれる(中学生には未来の話ですが重要)
✅ 目的:司法への国民参加・開かれた裁判の実現
🔷 6. 裁判所のもう一つの力:違憲審査権
裁判所は、**国会がつくった法律や行政の行為が「憲法に反していないか」**を判断することができます。
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この権限を違憲審査権といい、憲法の番人としての役割を担います
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過去には、薬事法判決、尊属殺重罰規定違憲判決などが例
✅ 司法は、国民の自由や権利を守る最後のとりでとして機能しているのです。
✅ まとめ:司法は「権利と正義を守る最後の砦」
裁判所は、政治からも独立し、すべての人にとって公平で中立な判断を行う場所。
暴力ではなくルールで争いを解決し、私たちの生活と権利を守ってくれる重要な存在です。
🧠 発展学習・探究活動例
活動テーマ | 内容・ねらい |
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模擬裁判ワークショップ | 民事・刑事のどちらかをテーマに、証言・判決をロールプレイで体験する |
違憲判決を調べてプレゼン | 実際に出た違憲判決から、「憲法とは何を守るのか?」を考える |
裁判員制度についての賛否討論 | 国民参加の意味や課題、未来の当事者としての視点をもって議論する |
裁判のニュース記事を読み、要約・意見を書く | 裁判が社会にどんな影響を与えているかを学び、法的思考力を育てる |
武蔵野個別指導塾
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