1-2 私たちの生活と経済のかかわり

― わたしたちはなぜ「お金」や「仕事」が必要なのか? ―


🔷 1. そもそも経済とは何か?

▶ 定義(教科書的)

経済(けいざい)とは、人々が「生活に必要なモノやサービス」を作り、それを分け合う仕組み。

つまり…

  • 生産(作る)

  • 分配(わける)

  • 消費(使う)

という流れで、人間の生活を成り立たせる仕組み全体が「経済」です。


🔷 2. なぜ経済が必要なのか?

私たちは生きていくうえで「限られた資源(時間・お金・労力)」を使って、
「必要なもの・ほしいもの」を手に入れようとします。

これを選択と決定の連続として捉えるのが、経済の考え方です。

✅ たとえば:

  • あるお金で「ゲームソフトを買うか?本を買うか?」は消費者としての選択

  • 限られた時間を「働くか?学ぶか?休むか?」は生活者としての決定

こうした日常的な選択の積み重ねが、経済を動かしているのです。


🔷 3. 私たちの生活と経済活動の関係

立場 具体例
消費者 スーパーで商品を買う/ネットで課金する/家計をやりくりする
生産者 商品を作る/サービスを提供する/職業として働く
労働者 アルバイト・親の仕事などを通じて、労働力を提供し報酬を得る
納税者 消費税や所得税を通じて、社会サービスの財源を支える

🔷 4. 経済の主なしくみと役割

▶ モノやサービスはどう動く?

経済の担い手 役割
家計(個人・家庭) 働いて収入を得て、モノやサービスを購入する
企業 商品やサービスを生産し、雇用と所得を生み出す
政府 税金を使って公共サービス(教育・医療・福祉など)を提供する

※この3者の間で、「お金・モノ・サービス・労働力」が絶えず循環しています。


🔷 5. お金と金融の役割

▶ お金の働き(3つの機能)

  1. 価値の尺度:物の値段を比べられる(例:リンゴ1個100円)

  2. 交換の手段:モノとモノを直接交換しなくてよい(例:労働の対価としてお金)

  3. 価値の保存:ためておける(例:貯金)

▶ 金融機関のはたらき

  • 銀行:預金・貸付・送金などを通じて、お金を動かし経済を活性化する

  • 金融の仕組みは、「今すぐ必要な人」と「将来のために預けたい人」をつなげる役割をもっている


🔷 6. 社会保障と税のかかわり

  • 経済活動で得た所得の一部(税金)が、年金・医療・福祉などに使われる

  • 経済成長がなければ、こうした支え合いの制度は維持できない

  • つまり、経済のしくみと社会の支え合いは切っても切れない関係にある


🔷 7. SDGsや持続可能な経済との接点

SDGs目標 経済との関係性
目標8 働きがいのある人間らしい仕事をすべての人に
目標12 つくる責任・つかう責任(過剰な消費の見直し)
目標1・10 貧困や格差の是正(経済的公正の実現)

✅ まとめ:私たちの毎日=経済活動の連続

経済とは、「難しいお金の話」ではなく、
「私たちがどう生き、何を選び、どんな社会を作るか」ということそのものです。

この単元を通して、経済の仕組みを理解することで、

参考問題01 「なぜ働くのか?」

私たち、あるいは、お父さんやお母さん、年上の兄や姉、社会で暮らしている人々はなぜ働かなければいけないのでしょうか。とても素朴な問いであるが故に、これに応えることは一見簡単なようで、非常に難しい問題となります。参考までに、どういったことを考えるのか下記に記しておきます。

🔹 1.経済的な理由:生活の糧を得るため

最も基本的な理由は、

「生活費を稼ぐために働く」というものです。

私たちは衣食住を確保し、教育、医療、余暇を楽しむためにもお金を必要とします。現代の資本主義社会では、働いて対価を得ることが生活を営むうえで不可欠です。

例:

  • 家賃を払う

  • 食料を買う

  • 学費を払う

  • 老後資金を貯める


🔹 2.社会的役割と責任:他者と支え合うため

社会学の観点では、

「働くことは社会の一員としての役割を果たすこと」でもあります。

私たちが働くことで、社会のさまざまな仕組みが機能します。たとえば、農業・物流・医療・教育・インフラなど、誰かが働くことで他の誰かの暮らしが支えられています。

例:

  • 教師が学びを支え、医師が健康を守る

  • ゴミ収集や清掃員が街の清潔を保つ

  • 配達員が遠隔地の人々と物をつなげる


🔹 3.自己実現と成長:「自分らしさ」を見つけるため

心理学者マズローの「欲求5段階説」でいうと、働くことは「自己実現の欲求」にも関係しています。

人は働くことで自分の才能や興味を発揮し、「誰かの役に立っている」という実感を得ます。

仕事を通じて得られる達成感や成長の喜びは、人生における充足感につながります。

例:

  • 好きな仕事でスキルを磨く

  • 仲間と協力し成果を上げる

  • 社会課題に向き合う仕事に意義を感じる


🔹 4.アイデンティティの確立:社会的な「自分」をつくるため

現代社会において、「職業」は自己紹介や人間関係の土台にもなっています。

「私は教師です」「看護師です」「エンジニアです」というように、働くことで社会における「自分の場所(ポジション)」を得ることができます。

これは、社会的な承認(recognition)の欲求にもつながり、自尊心の源泉にもなります。


🔹 5.自由のために働くという逆説

一見矛盾するようですが、

「働くこと」は「自由になるため」の手段でもあります。

お金を稼ぐことで、将来の選択肢や、やりたいことを実現するための「経済的自由」を手に入れることができます。

ただし一方で、過度な労働や搾取的な雇用は逆に人間を不自由にする可能性もあり、バランスが必要です。


🔹 6.「働かなくてもいい社会」になったら?

テクノロジーの発展やベーシックインカム構想が進めば、働かなくても生活できる社会も理論上は可能です。

そのとき、私たちは「生きる意味」や「社会との関わり」を別のかたちで問われることになります。


🔹 【まとめ】なぜ働くのか?多角的に整理

観点 働く理由 キーワード
経済 生活費・生存 賃金・仕事・生活保障
社会 他者との支え合い 社会的役割・連帯
心理 自己実現・承認 成長・やりがい・達成感
哲学 意義・自由 自律・意味・価値
未来 働かない選択肢 AI・ベーシックインカム

ところで、上で登場したベーシックインカムという言葉は知っていましたでしょうか。今の時代では重要な概念なので、下記に説明しておきます。それを学んだ上で、さらに他の参考問題も考えてみましょう。

🔹 ベーシックインカムとは?

ベーシックインカム(Basic Income) とは、

国民全員に対して、無条件で定期的に一定額の現金を支給する制度

を指します。年齢・性別・就労状況に関係なく、すべての人に生活の最低限を保障する目的で支給される点が特徴です。

🔸 主な特徴
  • 無条件:収入や資産に関係なく一律支給

  • 個人単位:世帯ではなく個人に支給される

  • 継続的:毎月など定期的に支給

  • 使途自由:食費・教育・趣味など使い道は自由


🔹 なぜベーシックインカムが注目されるのか?

1.貧困・格差の是正

失業や非正規労働などで所得の少ない人に対して、生活の基礎を保障する仕組み。従来の生活保護制度よりも、スティグマ(烙印)や申請手続きの負担が小さい点が利点とされます。

2.AI・自動化社会への対応

AIやロボットが人間の仕事を代替することで「仕事がなくなる」社会が近づいています。そのとき、「働かなくても最低限暮らせる仕組み」が必要になるという議論があります。

3.自由な生き方・働き方の推進

ベーシックインカムがあれば、収入の心配が減り、

「本当にやりたいことに挑戦できる社会」が可能になるとも言われます。
例:芸術、起業、子育て、介護、地域活動などに安心して関われる。


🔹 ベーシックインカムのメリット・デメリット

項目 内容
✅ メリット – すべての人に最低限の生活を保障
– 貧困・格差の是正
– 社会保障制度の簡素化(手続き不要)
– 働き方の自由が広がる(ブラック労働の回避)
⚠️ デメリット – 財源の確保が難しい(大規模な増税や予算の再配分が必要)
– 働く意欲を削ぐ可能性
– 医療や教育の個別支援が弱まる懸念(既存の福祉制度縮小)

🔹 実際に導入している国や地域

国・地域 試験内容
フィンランド 2017〜2018年:失業者に毎月約7万円を支給。幸福度・ストレス軽減に効果あり
カナダ(オンタリオ州) 一部地域で試験的導入(のちに中止)
ナミビア 村全体で小規模導入し、教育率・健康指標の改善報告あり
韓国(京畿道) 若者向けの月一定額支給(地域商品券)制度を試行中

※多くの国では「実験段階」にとどまり、全国的な導入には至っていません。


🔹 ベーシックインカムと「なぜ働くのか?」の関係

ベーシックインカムが導入された社会では、

「働かなくても生きていける」が、「それでもなぜ働くか」が重要な哲学的・社会的課題になります。

◆ 新しい問いの例:

  • 働くことの意味は「お金のため」だけでよいのか?

  • 社会に貢献すること=働くことだとしたら、どのような貢献があるか?

  • 「無償の労働(子育て、介護、地域活動)」の価値はどう扱われるか?

つまり、BIは「経済的自由」を与える一方で、「働く意味」を私たちに根本から問い直させる仕組みでもあります。


🔍 探究・論述テーマ例

  • 「ベーシックインカムが実現した社会で、あなたはなぜ働くか?」

  • 「働くことの意味は、ベーシックインカムによってどう変わるか?」

  • 「すべての人に現金を配る政策は公正か?」

  • 「ベーシックインカムと既存の社会保障制度、どちらが望ましいか?」

参考問題02 「税金はどこに使われているのか?」

参考問題03 「お金をどう使うべきか?」

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ryomiyagawa Founder
早稲田大学大学院文学研究科哲学専攻修士号修了、同大学大学院同専攻博士課程中退。日本倫理学会員 早稲田大学大学院文学研究科にてカント哲学を専攻する傍ら、精神分析学、スポーツ科学、文学、心理学など幅広く研究に携わっている。
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