1-1 現代社会の特徴と課題

🔷 目次構成(本単元の大枠)

  1. 現代社会の変化とは何か
  2. 現代社会の主な特徴
  3. 私たちの生活にどんな影響があるか
  4. 社会が抱える課題と私たちにできること
  5. 主権者として考える姿勢を身につける

① 現代社会の変化とは何か

▶︎ 過去と現代の社会の違いを比べる 昔の社会 現代社会 地域中心、家族・親せきとの関わりが密 都市化・核家族化で人間関係が希薄になりやすい 手紙・電話が主な通信手段 スマホ・SNS・AIなど、情報伝達のスピードが激増 国内中心の経済 国際貿易・外国人労働者・多国籍企業によるグローバル経済 📌 ポイント:「つながる社会」になった一方で、「複雑で不安定な社会」にもなった。

a) 都市化・核家族化で人間関係が希薄になりやすい
1. テクノロジーが変えた「情報と民主主義」の関係

かつて情報は、新聞・テレビなど「限られたメディア」から一方向的に発信されるものでした。
しかし、スマートフォンとSNS、AIの出現により、あらゆる人が「発信者」となった今、情報は「双方向」で「即時的」に拡散される社会に変化しました。

👉 この変化が意味すること:
従来型社会 現代の情報化社会
情報は一部の専門家やメディアが発信 誰でもSNSで世界に情報を届けられる
受け手は受動的 市民が「情報を作り、選び、広げる」力が問われる
調査・議論に時間を要する 感情的・即時的な反応が優先され、熟議が軽視されやすい

📌 つまり情報社会とは、主権者である国民一人ひとりが「政治空間の影響力を持つ」時代でもあります。


b) SNSとAIのもたらす光と影
メリット(光) デメリット(影)
政治参加のハードルが下がる(例:SNSでの署名運動) フェイクニュースや陰謀論が簡単に拡散
若者の声が政治に届きやすくなる バズる情報に偏りが出やすく、分断ポピュリズムを助長
多様な意見や視点に触れられる AIのアルゴリズムによって**情報の偏り(フィルターバブル)**が強化される
✳ キーワード解説:
  • エコーチェンバー現象:自分と似た意見ばかりが耳に入る状態。反対意見に触れにくくなる。

  • フィルターバブル:AIが「好みの情報」だけを自動で選び、人が世界の多様さを見失う構造。


c) 公民としての「情報との付き合い方」が問われる時代

これからの主権者教育では、単に「情報を読む力」では不十分です。
必要なのは:

必要な力 説明例
情報リテラシー 情報の出所・信頼性・意図を見極め、誤情報に流されない力
議論リテラシー(熟議力) 「共感数」でなく、「理由」と「根拠」に基づいて意見を考える力
表現と責任 自由に発信できる時代だからこそ、他者の権利を傷つけない配慮が必要
AIとの共存リテラシー AI生成の文章・画像・判断を、盲信せずに評価し活用する力
d) 授業や探究活動にどう落とし込むか?
活動例 主なねらい
SNS投稿をもとに「フェイクニュースを見破る」ワーク 情報の真偽を見抜く力・一次情報へのアクセスの意識
AI(ChatGPT等)と人間の意見を比較討論 AIの限界・偏り・倫理的責任についての理解
「自由と責任のバランス」ディスカッション 表現の自由 vs 誹謗中傷・プライバシーの侵害などの問題を考察

e) この視点が現代社会において重要な理由

情報が「民主主義の血液」だとすれば、今の社会は大量に、瞬時に、どこへでも流れる血液の時代。
だからこそ、情報の「質」や「流し方」を考える力がなければ、民主主義は簡単に病気になる

つまり、情報化社会の特徴を学ぶことは、「表現の自由」「知る権利」「選挙」「市民的公共性」といったすべての公民の柱に関わる重要な土台なのです。


✅ 結論:学びを深めるとは、「見えない構造」に気づくこと

スマホやSNS、AIの使用は日常の一部になりました。しかし、その背後には:

  1. 情報をどうコントロールするかを巡る政治的争点

  2. 市民が「何を信じるか」によって変わる社会のかたち

  3. 技術進歩に追いつかない法制度や倫理の課題

といった、見えにくいけれど本質的な構造があります。
だからこそ、これらの技術を「どう使うか」こそが、公民の学びの核心です。

② 現代社会の特徴(5つのキーワード)

特徴 内容 グローバル化 国境を越えてヒト・モノ・カネ・情報が移動。世界が一体化(例:国際貿易、外国人労働者) 情報化 情報が社会の中心資源に。SNS・AI・ネットニュースが生活に大きく影響 科学技術の進歩 医療、通信、エネルギー、宇宙など。便利だが、倫理問題や職の変化も 少子高齢化 子どもが減り、高齢者が増える。社会保障の負担が増し、働き手が不足 価値観の多様化 ジェンダー、宗教、家族のかたちなどが多様に。相手を理解し認める力が必要 💡 教師のねらい: 生徒が「当たり前」だと思っている社会が、実は歴史的に見て特異であることを気づかせる。

a)【相互依存と主権のゆらぎ】

▶ 世界は一つの経済空間に
  1. 国境を越えて「モノ」「カネ」「ヒト」「情報」が移動するグローバル経済では、日本も例外ではありません。

  2. しかしその一方で、経済主権(自国で経済方針を決定する力)が制約される場面もあります。

✅ 考察テーマ

「経済的な豊かさ」と引き換えに、国の意思決定の自由度は低下していないか?
(例:自由貿易協定が農業や雇用に与える影響)


b)【外国人労働者と労働の人権】

▶ 「人手不足」と「人権問題」は表裏一体
  • 介護、農業、建設、外食などで外国人労働者の受け入れが進む一方、技能実習制度における人権侵害や劣悪な労働環境も問題に。

  • 単なる労働力としてではなく、人としての尊厳が守られているかが問われています。

✅ 考察テーマ

「労働力の確保」と「人間の尊重」は両立できるのか?
日本の受け入れ制度に多文化共生の理念はあるのか?


c)【多国籍企業と国家の関係】

▶ 「企業」が国を超える時代
  • 多国籍企業(例:Apple、Google、トヨタ)は、複数の国に拠点を持ち、国家より強い経済力と影響力を持つことも。

  • 税逃れ(タックスヘイブン)、現地労働者の低賃金労働、環境破壊などの倫理問題が国際的に問われている。

✅ 考察テーマ

企業の利益と**社会的責任(CSR)**はどこまで両立可能か?
国家は「巨大企業」にどう向き合うべきか?


d)【グローバル格差とフェアトレード】

▶ 世界の「豊かさ」の裏にあるもの
  • 私たちが買う安価な衣類やチョコレートの背景には、発展途上国の低賃金・児童労働が存在する場合も。

  • 「安いこと」は本当に正義なのか?倫理的な消費(エシカル消費)が求められている。

✅ 考察テーマ

私たちの「選択」は、遠くの誰かを苦しめていないか?
公正な貿易(フェアトレード)は「贅沢」か、それとも「責任」か?


e)【持続可能な経済とSDGs】

▶ 成長か、共生か
  • グローバル経済は成長をもたらすが、それが環境破壊・資源の浪費・労働搾取を伴えば持続可能ではない。

  • 「経済のグローバル化」を地球規模での福祉や公平にどうつなげるかが問われている。

✅ 関連するSDGs目標
SDGs目標 内容
Goal 8 働きがいも経済成長も(包摂的・持続可能な成長)
Goal 10 人や国の不平等をなくそう
Goal 12 つくる責任・つかう責任(消費の見直し)

🧠 思考を深めるための発問例(ディスカッション向け)

  • 「グローバル経済は、本当にみんなを幸せにしているのか?」

  • 「外国人労働者は“助け”か、“使い捨ての道具”か?」

  • 「企業は“世界の利益”を優先すべきか、“地域社会”を優先すべきか?」

  • 「“安くて便利”の裏側にある問題に、どう向き合えばいい?」


✅ 結論:なぜこの視点が公民学習で重要なのか?

グローバル経済は、単なる「経済現象」ではなく、人権・環境・倫理・主権・民主主義と密接に関係しています。
公民の学びとは、これらのつながりに気づき、「どう生き、どう関わるか」を主権者として選び取るための土台です。

③ 私たちの生活と現代社会

▶ 変化はすべての生活分野に及ぶ 分野 変化の例 家族 単身世帯の増加、共働きの一般化、晩婚化・非婚化 教育 タブレット端末・オンライン授業/学びの個別化 働き方 テレワーク・副業OKの企業増/AIの導入による職種の変化 地域社会 空き家の増加、買い物・医療難民、高齢者の孤立 政治参加 SNSで政治意見を発信/若者の投票率が低い問題が議論に

④ 現代社会が抱える課題

課題名 内容 情報の信頼性 フェイクニュース、AI生成情報の氾濫、デマの拡散 地球環境問題 気候変動、マイクロプラスチック、森林伐採 人権と差別 外国人差別、ジェンダー不平等、LGBTQへの偏見 格差と貧困 経済格差、教育格差、情報格差(デジタルディバイド) 社会保障の持続可能性 少子高齢化で年金・医療・介護が持たないという将来への不安

⑤ 主権者として何を考え、どう行動するか

中学校公民では、こうした課題を知識として学ぶだけでなく、

  1. 「自分ごと」として考える
  2. 「どうすれば解決に近づくのか」を考察する
  3. 「他者の立場」や「多様な意見」を受け入れる

という市民的資質・態度の育成が重要視されます。 ▶ 例:こんな問いで考えよう AIが人の仕事を奪う?それとも人を助ける? 外国人とどう共に暮らせばいいのか? SNSで意見を言うとき、どんなことに気をつけるべきか?

🔚まとめ:なぜ「現代社会の特徴と課題」を学ぶのか?

現代社会は、便利で豊かである一方で、新しい課題と不安が常に生まれる「変化の時代」です。 その中で「どんな社会が望ましいか」を考え、自ら判断し、参加し、行動する力を育てることが、この単元の最大の目的です。

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ryomiyagawa Founder
早稲田大学大学院文学研究科哲学専攻修士号修了、同大学大学院同専攻博士課程中退。日本倫理学会員 早稲田大学大学院文学研究科にてカント哲学を専攻する傍ら、精神分析学、スポーツ科学、文学、心理学など幅広く研究に携わっている。
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