浅野中学校の良問の入試問題から学ぶ日本の課題~中学受験は意外と奥深い

01 技術革新は暮らしを豊かにするのか

中学受験では、今年も益々これまでのような知識偏重の問題では無く、自分の頭で考える問題を大きく取り扱うようになってきました。他の記事でも説明していますが、1999年が1つの大きな時代のターニングポイントとなり、もはやGoogleで検索すればWikipediaやら、GoogleScholarのような学術論文に誰でもアクセスが出来、極端な例を挙げれば、小学生であっても、たとえば、大学や大学院でならうように論理学の述語論理についても「(じゅつごろんり、predicate logic)とは、数理論理学における記号的形式体系群を指す用語で、一階述語論理二階述語論理多ソート論理英語版無限論理などが含まれる。これらの形式体系の特徴は、論理式に含まれる変数量化できる点である。一般的な量化子として、 全称量化子 ∀ と存在量化子 ∃ とがある。変数は議論領域の要素、関係、関数などである。例えば、関数記号に対する存在量化は「ある関数が存在する」という修飾として解釈される。述語論理の基礎は、ゴットロープ・フレーゲチャールズ・サンダース・パースがそれぞれ独自に生み出し発展させた[1]。述語論理と言った場合、一階述語論理を指すこともある。述語論理の公理化された形態を述語計算[注釈 1]と呼び、述語論理は非形式的でより直観的なものとする見方もある[2]。」などと調べてしまうことは可能です。もちろん、これだけでは、知識の習得は得られても中身は分からないので、また再度Googleで検索し、述語論理なるもののターム(ジャーゴン)を解説しているサイトなどを見れば、少なくとも「命題論理の問題や固有名詞をXやYという記号に置き換えて論理構想そのものを記述する述語論理のメリットなどについても学ぶことができるでしょう。

一応、ここで私が簡単に説明しておけば、たとえば、ひかるちゃんという几帳面で真面目な女の子がいて、このひかるちゃんは、自分の持ちものには必ず自分の名前を書く習性をもっているとします。彼女は教科書にも、筆箱にも、お人形にも自分の名前を書きます。これを命題論理で表すと、

「教科書に『ひかる』と名前が書いてある。ならば、教科書はひかるちゃんの持ち物である」

「筆箱に『ひかる』と名前が書いてある。ならば、筆箱はひかるちゃんの持ち物である」

「人形に『ひかる』と名前が書いてある。ならば、人形はひかるちゃんの持ち物である」ETC…

といった具合に命題論理では表現することが可能です。しかし、ここまで見ただけでもパッと分かるように、命題論理は命題を一個一個の名詞について書くから、こんな風に記述がとても多くなってしまいます。命題論理のこれがデメリットですね。そこで、もう少し論理を拡張してみましょう。もう一段階、論理の抽象度を上げてみるのです。上の文章を、「教科書」「筆箱」「人形」といった名詞を除けば、どれも共通の構造をもった文章であることに気づくと思います。なので、その名詞部分を仮にXとでも置けば、

Xに『ひかる』と名前が書いてある。ならば、Xはひかるの持ち物である」

と表現できるでしょう。上の3つの文章が一本化しましたね。このように個々の名詞をXで置き換えていくのが述語論理です。主語や目的語となる名詞をXやYに置き換えたので、残るのは述語だけです。つまり、述語のみを対象とした論理、つまり述語論理となるわけですね。少し厳密にいうと、Xは範囲の指定に全称量化子と存在量化子というのもありますが、ここで論理学のがちな話をしても仕方が無いので省きます。こうすることで、先程のようにしっちゃかめっちゃかなっていたものが

Xに「Y」と名前が書いてある。ならば、XはYの持ち主である

と汎用的で、論理構造のみを記述できるようになるわけですね、物事を論理的にすっきりと単純化して考えるときに非常に重要な考え方です。そして、少し蛇足になりますが、こうしたものを一階の述語論理といいます。一階のというわけなので、さらに述語まで変数化すれば、「二階の」述語論理にもなり、もっと抽象化すれば高階の述語論理へと発展していきます。といっても、これらはあまり使われることなく、たとえば数学で行う証明のほとんどは、この一階の述語論理で表現可能です。

話を戻しましょう。何が言いたかったとといえば、仮に生徒さんが自分は秀才さんだと自惚れ、暗記能力にかけては誰にも負けないと自負していても、21世紀、22世紀のこらからの時代のその生徒さんの未来は少し危ういと言わざるを得ません。確かに、今までの世の中は、暗記能力の優れた人を知識人といってきました。たとえば、司法試験に合格にするには、六本全書から判例mで大量の知識を記憶し整理しなければなりませんでした。しかし、昨今CHATGPTなどの生成AIの登場などでも話題になったり、それこそGoogle検索がある時代において、もはや暗記型の秀才に未来はないといっても過言ではないと思います。それは、既に小学生やなんなら幼稚園生ですら、Googleで検索でき、CHATGPTで調べることが出来るからです。シンギュラリティの世界化が到来するとまで危惧しなうとも、確実に暗記型の秀才は求められなくなっているのは間違いありません。

このように現代は、コンピューター社会であることにはもはや誰も異論を挟めないでしょう。ものを記憶するなんて事はもはや人間がsるべきことではなく、外部記憶としての、言ってしまえばコンピューターができてしまうわけです。しかも人間なんかとは比べようもないほど、正確に、べらぼうな量の情報を蓄積し、整理し、発動します。それがコンピューターえす。機械が人間の代わり暗記能力を発揮する時代がもはや完全に到来しているわけです。極論すれば、もはや知識詰め込み型の秀才君は社会的に不必要になってしまったというわけです。

そんな中、中学受験はもとより、高校受験、大学受験でも試験の中身は大きく変わりつつあります。重箱の隅をつつくような知識問題から、資料を見て自分の頭で判断し考える力を問う内容に変わってきているわけです。さて、そんなわけで、今回は、神奈川の名門中高一貫の中学校の浅野中学校の中学入試の過去問を使って考えていきましょう。

02 浅野中学校の社会の問題

それでは、浅野中学校の問題を紹介します。保護者の皆さんも生徒さんと一緒にぜひ考えてみてください。

もうすぐ、21世紀の4分の1を迎えようとしている現在、自然環境に対する意識を持ちつつ経済活動を行うことは当然のこととなりました。一方で経済をとりまく環境も大きく変化しています。こうした中、改めて「持続可能な社会」に注目が集まっています。ここでは、エネルギーとさまざあな産業に注目してみましょう。

人類とエネルギーとの関係を歴史的に考えた際、最初の「エネルギー革命」といえるのが、火の使用です。火によって、狩猟・採集で獲得した食料の新しい調理法がうまれ、また粘土を焼いて土器などをつくれるようになりました。さらに、火で暖をとることが可能となり、寒冷な地域への人類の移住もうながされました。

農耕は、人類と自然環境の関係を大きく変えました。農耕は太陽光、水、空気中の二酸化炭素を利用した植物の光合成機能の活用と言えます。農耕により、貯蔵したエネルギーを多くの人に分配することが可能となり、人口が増大し、分業に基づく社会が発展していくことになりました。

農耕と関連して、家畜の利用が進み、農業生産力の向上につながりました。土を深く耕すという点では鉄製農具が重要で、火を利用した金属の製錬技術によって開発が進みました。他方、こうした鋭利な道具は、森林資源の伐採を助長することにもなりました。

また、人力や畜力以外のエネルギーとして、人類は古くから水力や風力を利用していきました。古代ローマでは水車自体は知られていたものの、奴隷の労働力が豊富にあったため、中性ほど活用されませんでした。ところが、時代が下るにつれて、(11)労働力不足も背景となって技術革新がすすみ、水車が重要な動力として位置づけられ、穀物をひく製粉などに活用されました。

人類史において、ふたたび大きな「エネルギー革命」となったのが、石炭の利用とそれにともなう蒸気機関の技術革新でした。最初の「産業革命」を展開したイギリスでは、安価な労働力が求められるようになり、女性や子供も(13)長時間労働に従事させられました。当時の工業社会において、環境問題に対する配慮が不十分であったのと同様、労働者の権利を守るための法規制も不十分だったのです。後者については、やがて工場法が制定され、労働時間の短縮などがすすめられていきました。

江戸時代の日本では石炭利用がすすみました。幕末におけるペリー率いる黒船の来航を、エネルギーという観点からとらえてみると、日米和親条約の第2条で、アメリカ船に対する薪水、食料と並んで石炭を供給することが定められているのに気づきます。また、明治維新後の近代日本の産業とエネルギーの関係を考える上では、世界遺産の「明治日本の産業革命遺産 製鉄・製鋼、造船、石炭産業」が参考になります。

さらに革新的な「エネルギー革命」となったのが、石油の利用です。石油の商業生産は19世紀後半のアメリカで始まりました。その後、電気や石油も利用した「産業革命」が展開しました。ガソリンを燃料とする自動車は19世紀末には開発されていましたが、その時点であまだ蒸気自動車や電気自動車が多く生産されていました。電気自動車の制作者の中にはガソリン車の煙の害を説き、クリーンエネルギーを提唱した人もいたのです。しかし、その後はガソリン車が普及して自動車市場を支配します。

こうした石油需要の増大にともない、欧米諸国は中東やアフリカなどの各地で石油開発に乗り出し、20世紀半ばには石油がエネルギーの主役になりました。石油は、自動車以外も、船や飛行機などの燃料のもととなり、現代の生活に欠かせないものといえます。ところが、1970年代に生じた石油危機(オイルショック)の歴史的経験からもわかるように、エネルギーが常に安定して供給され続けるという固定観念にはリスクがともないます。石油危機以後、日本でも脱石油政策がとられ、原子力発電所の建設が加速していくことになりました。しかし、2011年3月の東北地方太平洋沖地震に伴い福島第一原子力発電所で発生した事故は原子力利用に関する課題を人々に突きつける結果となりました。さまざまなエネルギーシステムには、それぞれ長所と短所があるのです。エネルギーの消費者である私たち一人ひとりが、広い視野からエネルギー問題に関心をもち、地球との共生を考えていくことが求められています。

問11 下線部(11)についてー。労働力不足を補う技術革新は現在でも進んでいます。その例として適切でないものを、次のア~エの中から1つ選び、記号で答えなさい。

ア 回転寿司チェーン店の入り口に、利用客が来店時に受付するための機械が設置されている。

イ 飲食店では、新型コロナウイルス感染症の感染予防措置として、高性能の空気清浄機が設置されている。

ウ 鉄道の主要駅には、交通系ICカードをかざすだけで通過できる自動改札機が設置されている。

エ 配送業者の倉庫には、宅配物を配送先ごとに仕分けしてくれるシステムが導入されている。

問13 下線部(13)についてー。最近の日本では「働き方改革」が進められています。その影響を受けて起きた出来事を説明した文相として適切でないものを、次のア~エの中から1つ選び、その記号で答えなさい。

ア 最近のコロナ禍による感染拡大への懸念も加わり、通勤をやめて自宅からリモートで仕事を行うテレワークを選ぶ人が増えた。

イ 文部科学省が始めたツイッター(脚注:現「X」のこと)「#教師のバトン」というプロジェクトには、教員の長時間労働を訴える悲痛な叫びが寄せられた。

ウ 働く時間を固定せず、自分の都合に合わせて仕事の開始や終了などの労働時間を決められるフレックスタイム制が強化された。

エ 正社員と非正規雇用労働者の雇用条件に厳格な格差を設け、同一の労働であっても両者が同一の賃金をとらなないようになった。

(浅野中学校「社会」)

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【監修者】 宮川涼
プロフィール 早稲田大学大学院文学研究科哲学専攻修士号修了、同大学大学院同専攻博士課程中退。日本倫理学会員。元MENSA会員。早稲田大学大学院文学研究科にてカント哲学を専攻する傍ら、精神分析学、スポーツ科学、文学、心理学など幅広く研究に携わっている。一橋大学大学院にてイギリス史の研究も行っている。

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ryomiyagawa
早稲田大学大学院文学研究科哲学専攻修士号修了、同大学大学院同専攻博士課程中退。日本倫理学会員 早稲田大学大学院文学研究科にてカント哲学を専攻する傍ら、精神分析学、スポーツ科学、文学、心理学など幅広く研究に携わっている。
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