2点から式を求める例題や交点の図を通して、傾きと切片を整理します。料金の比較と動点の面積まで、表・式・グラフを結びつけて学べます。
よくあるのは、祖父母の家の客間で宿題を広げ、表の数は埋められたのに「この関係をグラフに表しなさい」の一文で手が止まるという場面です。式に数を入れる計算と、座標平面に直線をかく作業が、別々の問題に見えてしまうのかもしれません。表の数字を全部点にするのか、最初の点をどこに置くのかも迷います。
一次関数では、表・式・グラフが同じ関係を異なる形で表しています。その橋渡しをするのが「どれだけ増えるか」と「出発時にいくつあるか」です。この2つを見つけると、点の位置を自分で確かめながら直線をかけます。
さらに、2本の直線が交わる場所には、2つの条件が同時に成り立つという意味があります。計算と図を結びつけ、料金の比較や動く点がつくる面積まで、順に考えていきましょう。
この単元で身につけること
- 一次関数の式を見分けます。y=ax+b の a と b が、数量の関係の中で何を表すかを説明できるようにします。
- 変化の割合を求めます。yの増加量をxの増加量で割り、2つの増加量を同じ区間から取り出します。
- 傾きと切片からグラフをかきます。縦軸との交点を出発点にして、もう1点を決めます。
- 条件から式を求めます。2点が与えられたときは傾きを先に求め、点の座標を代入して切片を決めます。
- 交点を計算で求めます。連立方程式の解を座標として読み、文章題ではその数値の意味と使える範囲を確かめます。
比例で学んだ座標の読み方と、連立方程式で学んだ代入法・加減法が土台です。一次関数は多くの教科書では中2で学びますが、途中で迷ったら「横がx、縦がy」という点の表し方に戻ると、式と図をつなぎ直せます。
基本の考え方
一次関数は「一定の変化」と「初めの値」で決まる
xの値を決めるとyの値がただ1つに決まるとき、yはxの関数であるといいます。そのうち、y=ax+b と表される関数が一次関数です。a、bは決まった数で、a≠0とします。b=0なら y=ax となるので、比例は一次関数の特別な場合です。一方、y=3のようにyが一定の関係は、ここでいう一次関数には含めません。
例えば、初めに1L入っている容器へ、毎分2Lずつ一定の割合で水を入れるとします。水があふれるまでの間、x分後の水量をyLとすると、y=2x+1です。x=0、1、2のとき、yは順に1、3、5になります。「2」は1分あたりに加わる水量、「1」は初めから入っていた水量です。
この関係では x=0 のときも y=1 です。比例のように、必ず原点を通るわけではありません。また、水を入れ始めてからの時間を考えるならxは0以上です。式だけで計算できる範囲と、場面の中で意味をもつ範囲を区別しましょう。
変化の割合がグラフの傾きになる
変化の割合は「yの増加量 ÷ xの増加量」です。増加量は「後の値 – 前の値」で求め、減った場合は負の数になります。同じxの値どうしでは分母が0になるので、異なる2つのxの値で調べます。
y=2x+1で、xが0から2へ増えると、yは1から5へ増えます。変化の割合は (5-1)÷(2-0)=4÷2=2です。xが1から3へ増える場合も、yは3から7へ増えるので (7-3)÷(3-1)=2です。一次関数では、どの区間で調べても変化の割合は一定で、式のaに等しくなります。
グラフ上では、このaを傾きと呼びます。図1のように、y=2x+1は右へ1進むごとに上へ2進む直線です。赤い横線と縦線は、横の変化が1、縦の変化が2であることを示しています。点を結ぶ斜めの長さを求めているわけではありません。

切片は式のbで、直線がy軸と交わる点のy座標です。y軸上ではx=0なので、y=2x+1の切片は1、交点の座標は (0,1) です。「切片1」と「点 (0,1)」を区別して書きます。グラフをかくときは (0,1) と (1,3) を取り、定規で結んで必要な範囲まで延ばします。
傾きが負なら右下がりになります。例えば a=-2 なら右へ1、下へ2です。a=1/2なら右へ2、上へ1と考えると、整数の目盛りに点を取れます。縦横の1目盛りが表す数が違う図では、見た目の角度だけで傾きを判断せず、座標の差を読みます。
方程式もグラフで表せる
2元1次方程式のグラフは、その方程式を成り立たせる数の組 (x,y) を点にしたものです。例えば x+y=5 は y=-x+5 と変形でき、傾き-1、切片5の直線になります。点 (2,3) は 2+3=5 を満たすので、この直線上にあります。
ただし、2元1次方程式のグラフがすべて一次関数になるわけではありません。x=2は、yがどんな値でもxが2である縦の直線です。y=3は横の直線です。特にx=2では1つのxに複数のyが対応するので、yはxの関数ではありません。この違いを押さえておくと、直線を無理に y=ax+b の形にしようとせずにすみます。
例題で解き方を確かめる
例題1 2点を通る一次関数の式
2点 (1,3)、(3,7) を通る一次関数の式を求めます。切片が直接わからないので、まず2点の間の変化を調べます。
- 傾きは a=(7-3)÷(3-1)=4÷2=2です。分子も分母も、同じ向きに「後 – 前」で引きます。
- y=2x+b に (1,3) を代入し、3=2×1+b とします。点が直線上にあるなら、その座標は式を満たすからです。
- b=1より、y=2x+1です。もう一方の点も 7=2×3+1 を満たすことを確かめます。
答え:y=2x+1です。
図1の直線がこの式のグラフです。2点がわかれば直線の向きが決まり、そのうち1点を使えば位置が決まります。もし初めから「傾き2で点 (1,3) を通る」とわかっていれば、手順2から始められます。
例題2 2直線の交点
y=x+1 と x+y=5 のグラフの交点を求めます。交点は両方の直線上にあるので、同じx、yが2つの式を同時に満たします。
- y=x+1 を x+y=5 に代入します。yを同じ値の式に置き換えると、x+(x+1)=5です。
- 2x+1=5、2x=4より、x=2です。これを y=x+1 に戻すと、y=3となります。
- 2+3=5も確かめ、交点を (2,3) と書きます。xだけ求めて終えず、点の位置に必要なyまで求めます。
答え:交点の座標は (2,3) です。
図2のように、紺の直線と緑の直線は (2,3) で交わります。連立方程式の解とグラフの交点は、別々の答えではなく、同じ数の組を表しています。図からの読み取りは見当をつけるのに役立ち、計算は細かい目盛りの間にある交点も正確に求められます。

傾きが等しく切片が違う2直線は平行なので交点がありません。連立方程式にも解がありません。2つの式が同じ直線を表すときは、共通する点が無数にあります。交点がいつも1つとは限らないことも、図と式を対応させて理解しましょう。
例題3 2つの料金を比べる
ある道具の利用料が、Aでは基本料300円と1時間あたり100円、Bでは基本料100円と1時間あたり150円だとします。時間に比例して料金が加わり、端数時間の切り上げはないものとします。料金が同じになる利用時間を求めます。
- 利用時間をx時間、料金をy円とし、Aは y=100x+300、Bは y=150x+100 と表します。基本料は利用時間にかけず、そのまま加えます。
- 同じ時間で同じ料金になるので、100x+300=150x+100 とします。整理すると200=50xより、x=4です。
- Aの式へ戻すと y=100×4+300=700 です。Bでも150×4+100=700となります。
答え:4時間で、どちらも700円になります。
Aの料金からBの料金を引くと、200-50xです。0≦x<4では正なのでBのほうが安く、x>4では負なのでAのほうが安くなります。交点の前後で大小が入れ替わることまで読むと、料金の比較にグラフを使う意味が見えてきます。
例題4 動く点と三角形の面積
長方形ABCDで、AB=6cm、BC=4cmとします。頂点は周に沿ってA、B、C、Dの順です。点PがAからBまで辺AB上を毎秒1cmで進みます。出発からx秒後の三角形APDの面積をycm²として、式と変域を求めます。
- AP=x cmです。速さが毎秒1cmなので、進んだ距離は1×xとなります。Bへ着くのは6秒後です。
- 底辺をAPとすると高さはAD=4cmで一定です。よって y=x×4÷2=2x と表せます。
- 時間の範囲は0≦x≦6です。面積は0から12まで増えるので、0≦y≦12となります。出発時の面積は0として扱います。
答え:y=2x、0≦x≦6、0≦y≦12です。
Pが動いても、高さが変わらないことが式をつくる手がかりです。点Pがさらに辺BCへ進む問題なら、同じ式をそのまま延長せず、底辺と高さを取り直します。動く速さが一定でも、面積の変わり方が全区間で同じとは限りません。
つまずきやすいところと直し方
変化の割合をy÷xで求めてしまう
誤った書き方は、例題1で「a=3÷1=3」です。これは1つの点のyをxで割っただけで、増加量を使っていません。比例ではy÷xが一定ですが、切片が0でない一次関数には同じ方法を使えません。
正しくは a=(7-3)÷(3-1)=2です。2点のxの値を横に並べ、その下に対応するyの値を書くと、どの値どうしを引くかが見えます。表ではxの刻みが1とは限らないので、yが4増えたことだけを見て傾きを4としないようにします。
切片をx軸上に取ってしまう
誤った書き方は、y=-2x+3の切片を「点 (3,0)」とすることです。切片はx軸との交点ではなく、y軸との交点のy座標です。正しくは、切片3をもつ点 (0,3) を取ります。
図3のように、そこから右へ1、下へ2進むと (1,1) になります。x軸との交点を知りたいときはy=0を代入し、0=-2x+3からx=3/2を求めます。したがってx軸との交点は (3/2,0) です。軸の名前を覚えるだけでなく、どちらの座標が0になるかで確認できます。

減少する関数の変域を逆に書いてしまう
誤った書き方は、y=-2x+3で -1≦x≦2 のとき「5≦y≦-1」とすることです。端のxを順に代入した結果を並べただけで、数の大小が逆転しています。不等号は小さい数から大きい数へ並べて書きます。
正しくは、x=-1でy=5、x=2でy=-1より、-1≦y≦5です。図3の橙の点を両端とする部分では、右へ進むほどyが下がっています。左端が最小値とは限りません。求めた2つのyの値を比べ、下限と上限を決め直しましょう。
練習問題
練習1 y=-3x+2で、xが1から4まで増えるときのyの増加量と変化の割合を求めましょう。引き算に使うyの値も書きます。
練習2 2点 (0,-2)、(4,0) を通る一次関数の式を求めましょう。どちらかの点から切片を直接読めるかも考えます。
練習3 y=2x-1 と y=-x+5 の交点を求めましょう。答えは座標で表し、両方の式に代入して確かめます。
練習4 例題4の点PがAから2cmの位置を通過してからBに着くまでの、面積yの変域を求めましょう。時間xの変域も添えます。
答えと解説
練習1 yは-1から-10へ変わります。増加量は -10-(-1)=-9、変化の割合は -9÷(4-1)=-3です。「増加量」という名前でも、減少すれば負になります。
練習2 傾きは (0-(-2))÷(4-0)=1/2、切片は-2です。答えは y=(1/2)x-2 で、x=4を代入するとy=0です。
練習3 2x-1=-x+5より、3x=6、x=2です。y=3となるので、交点は (2,3) です。
練習4 2≦x≦6で、y=2xは増加します。端の面積は4と12なので、答えは4≦y≦12です。
次の単元へのつながりと家庭での確かめ方
一次関数で身につけた「同じ点を式とグラフで確かめる」考え方は、曲線のグラフを学ぶときにも使います。動点の問題では、図形の面積と時間の関係を式にする土台になります。
家庭では5分ほどで、次の2つを試せます。1つ目は y=2x-1 のxに0、1、2を入れ、3点をかいて一直線に並ぶか確かめることです。2つ目は、その式の切片だけを2に変え、対応する点がどちらへいくつ動くか説明することです。どの点も上へ3動き、傾きは変わりません。
個別指導では、式がつくれない原因を分けて確かめます。座標の順序で迷うなら点の読み方へ、増加量の符号で迷うなら負の数の引き算へ戻ると、練習する箇所を絞れます。
まとめ
答えの式が出たら、条件として与えられた点を1つ戻してみましょう。グラフがかけたら、目盛りから別の点を読み、その座標でも式が成り立つか調べます。文章題なら、その点が何時間後の料金や面積を示すのかまで言葉にします。計算の正しさと場面に合うことの両方を、自分で確かめられるようになります。
一次関数の答えは、式と点と場面が同じ関係を示して初めて確かなものになります。





