「なぜその解き方か」を自分で説明する—理解の確かめ方|武蔵野個別指導塾

問題の条件と選んだ解法を短く結び、解説と照らす自己説明の練習を扱います。説明が止まった箇所から、復習で確かめる定義や塾で尋ねる質問を具体化するための手順をたどります。

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「なぜその解き方か」を自分で説明する—理解の確かめ方

解説を閉じた途端に、最初の一手が消える

よくあるのは、自宅の本棚へ問題集を戻す際、解説に引いた線を見て「次なら解ける」とノートを閉じるという場面です。片づける前に問題だけを見直すと、さっき読んだ式は浮かぶのに、なぜその式から始めるのかが出てきません。本文のどこが手がかりだったかも曖昧です。読んでいた間の納得と、自分で判断できることの間に、隙間が残っています。

共通テストに向けた演習でも、正解に丸をつけるだけでは、この隙間が見えにくくなります。たまたま選んだ答えが合っていることもあれば、正しい考え方で進んで計算だけを間違えることもあります。答えの一致だけで復習を終えると、次に直す場所を取り違えてしまいます。

そこで試してほしいのが、「問題のこの条件から、この解き方を選んだ」と短く説明する練習です。学習心理学でいう自己説明は、学んでいる内容のつながりを、自分に向けて言葉にする取り組みです。人前で立派に話す必要はありません。途中の図に矢印を書き添える形でも始められます。説明が止まったところを見つけ、そこだけ教材に戻ることが、今日の復習の目的です。

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自分の言葉にすると、つながっていない箇所が見える

解説には、書き手が選んだ順序があります。問いに合った条件が拾われ、使う公式が示され、答えへ向かう道が整っています。その流れを読むと、各行の意味を理解することはできても、自分がその行を選べるかどうかまでは確かめられません。道案内を見ながら歩けたことと、分かれ道で進む方向を決められることを、分けて考える必要があります。

たとえば数学で「ここで両辺を割る」と読んだとします。「割ればこの式になる」と追うだけなら、操作を再現しています。「この量は問題の条件から0ではないので割れる」と言えれば、その操作が使える根拠まで扱っています。さらに「0の可能性があるなら場合を分ける」と付け足せると、同じ手順を使えない境目も見えてきます。説明したいのは、手の動きの実況よりも、判断を支える条件です。

自己説明を促す学習について、64報告をまとめたメタ分析では、学習成果への効果量がg=0.55と報告されています(Bisraほか・2018)。これは研究で比較した条件の差を共通の尺度で表す値です。復習の中に、自分で意味をつなぐ働きかけを入れる根拠として受け止めてください。

また、数学の自己説明を扱ったメタ分析では、取り組み直後の手続きの知識、概念の理解、学んだ手続きを別の問題に使う力に、小から中程度の効果が示され、質の高い説明を支える手がかりがある場合に効果が大きくなりました(Rittle-Johnsonほか・2017)。64報告の統合と数学学習の研究群から得た効果量は、高校生の共通テストで上がる得点を表すものではなく、説明をどう支えるかを考える際の根拠です。それでも、「説明して」とだけ求めるより、どの条件とどの手順を結ぶかを示す授業づくりに役立つ知見です。

自習に取り入れるなら、問いを狭くする工夫が使えます。「全部説明する」では、どこから話せばよいのか迷います。「この条件を使った理由は」「この選択肢を外した箇所は」と絞れば、教材に戻って確かめる場所も定まります。説明の長さを増やすより、根拠が指させるかに注目しましょう。

ただし、自分の言葉で言えたという感覚だけで終了すると、間違った理解が残ります。「この形だから使えるはず」と流暢に話せても、必要な条件が抜けているかもしれません。自己説明と、教科書や解説との照合を組にします。説明を作る、根拠を見る、ずれた箇所を書き直す。この往復までを復習として扱うと、言葉にした内容を次の判断につなげやすくなります。

今日の復習を、理由を確かめる練習に変える

最初の3分で、説明する問題と箇所を選ぶ

まず、すでに一度取り組んだ問題から1問を選びます。解説を読んでもほぼ意味が取れない問題より、途中までは追える問題が始めやすいでしょう。用意するのは、問題、解説、教科書など定義に戻れる教材、余白のある紙です。新しいノートを作ることより、手元の教材の必要なページをすぐ開ける状態にしてください。

問題文の「求めるもの」に線を引き、判断に使いそうな条件を囲みます。ここではすべての情報に印をつけません。式を立てる直前、選択肢を絞る直前、図から数値を読む直前など、自分が迷った分かれ目を選びます。正解した問題でも、「他の方法ではなくこれを選んだ理由」が曖昧なら、練習の対象になります。

この段階の確認は、「最後に何を答える問題か」を短く言えるかです。数値を求めるのか、本文と一致する内容を選ぶのか、資料から読み取れる関係を判断するのか。そこが言えなければ、解説より先に設問へ戻ります。問いを取り違えたまま解き方だけを説明しても、必要な判断には届きません。

次の5分で、解説を伏せて理由を置く

選んだ箇所について、「求めたいのは何か」「使える条件はどれか」「その条件から何をするか」の順で書きます。長い文章に整える必要はありません。「2回とも赤玉を取る確率を知りたい→玉を戻すか調べる→2回目に残る玉を数える」のように、矢印でつなぐ方法でも構いません。ただし、「なんとなく」「いつもの公式」のところには印を残してください。そこが照合する場所です。

数学なら、「同じものを数え重ねていないか」「この変形の前提は満たされるか」と問いを足せます。英語なら、「この代名詞は何を指すか」「この文が筆者の主張だと考えた根拠は何か」と、本文の語句に戻る問いが使えます。資料を読む問題なら、「比較している時点や単位はそろっているか」を説明します。教科が変わっても、条件と判断のつながりを示す点は共通です。

たとえば英語の選択肢で、本文と同じ語が入っているものを選んだ場合、「同じ語があるから」だけでは判断の途中です。その語について、本文では誰が何をしたのか、選択肢では同じ関係になっているのかを確かめます。意味を知っている単語でも、主語や否定の範囲が違えば、文全体の内容は変わります。日本語で関係を書いてから本文の箇所に印をつけると、語の一致と内容の一致を区別できます。

何も出てこなければ、白紙のまま粘り続けず、「条件は拾えたが、使う関係式が出ない」など、止まった位置を書きます。説明できないことを大きな失敗にせず、質問できる形に変えるためです。時間が来たら、途中でも照合へ進みます。問題の長さや疲れ具合に応じて調整してください。

次の5分で、解説と教科書を使い分ける

解説を開き、自分の説明と対応する箇所を探します。「手順は同じだが条件が書けていない」「条件は合っているが計算が違う」「そもそも求めるものを取り違えた」と、ずれの中身を余白に残します。解説の文章を丸ごと写すと、自分の説明がどこで変わったかを見失います。直すのは、抜けた理由や誤ったつながりです。

定義や公式の意味が曖昧なら、教科書の該当箇所に戻ります。問題集の解説は、その問題を解く手順を確認するために使い、教科書はその手順の土台となる意味を確かめるために使います。問題用紙には使った条件、解説には判断の分かれ目、ノートには直した説明を残す、と役割を決めると、同じ文章を書き写す作業を減らせます。

確率の問題なら、赤玉2個と白玉1個の袋から2回取り出し、2回とも赤となる場合を考えられます。最初の玉を戻すかどうかで、2回目に選べる玉が変わります。「赤は2個だから2回とも2/3」と書いていたら、取り出した玉を袋に戻す条件があるか確かめます。戻さないなら、最初に赤を取った後は赤1個と白1個です。「赤を先に取った場合、残る2個のうち赤は1個なので、2回目は1/2」と書けば、条件と確率がつながります。

樹形図でも、最初に赤を取る枝の先へ、残った玉を描いてみます。2回とも赤となる確率は、戻さない場合は2/3に1/2を掛けた1/3、戻す場合は2/3に2/3を掛けた4/9です。図の枝に書いた確率と式が対応し、言葉で説明した残りの玉とも一致するかを確かめます。計算だけ直して元の説明を消すと、条件の見落としが隠れます。「戻すと思っていた」と修正前の判断も残せば、次の問題で何を先に読むべきかが見えます。

自分の別解が解説と違うときは、言い回しが一致するかではなく、条件を満たし、途中のつながりに飛躍がないかを見ます。正誤を自分で判定できない箇所には「要確認」と書き、塾で質問する候補にします。解説に書かれていない理由を、もっともらしい言葉で埋めないことも、自習を進めるうえで必要です。

最後の4分で、隠す・指す・変える

まず解説を隠し、直した理由をもう一度説明します。先ほど読んだ順番をなぞるだけになっていないかを見るため、問題文の条件から話し始めてください。次に、説明に使った根拠を問題文や図の中で指します。「ここ」と指せず、解説の表現だけが出てくるなら、問題の情報との結びつきを補います。

最後に、「この条件がなかったら同じ方法を使えるか」と問いかけます。数学なら割る量が0の場合、読解なら主語が別の人物の場合、資料なら比較する期間が異なる場合を考えられます。自分で問題を作り替えることが難しければ、教材の近い問題を開き、同じ方法を使う理由だけを確かめます。実際に解くところまで進めるかは、その日の余力に合わせましょう。

自分で確かめる観点は、解説なしで言えるか、根拠の箇所を示せるか、条件が変わったときに判断を見直せるか、の3つです。すべてに丸がつかなくても、今日の成果を消す必要はありません。「根拠は示せたが、条件が変わると迷う」と書けば、次の練習が決まります。翌日の復習の冒頭には、同じ問題の答えを見る前に理由を短く言ってみてください。前日の説明をそのまま覚えているかより、問題を見て判断を組み立てられるかを確かめます。

演習の全問でこの手順を行うと、復習が重くなります。まずは迷った1問の、判断が分かれた1か所から始めてください。時間を測って解く練習では解答を進め、終了後に説明の時間を設けると、演習と理解の確認を両立できます。毎回残す記録は「使った条件」「直した理由」「次に確かめること」で十分です。

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個別指導では、言葉の奥にある判断を確かめる

自己説明を取り入れた個別指導では、講師が聞きたいのは、解説とそっくりな言葉ではありません。「ここを同じにしたかった」という短い発言にも、何をそろえようとしたのかを確かめる入口があります。生徒の言葉を受けて、該当する式や図を指してもらい、どの条件を見ていたかを一緒に確認します。口調の滑らかさと、内容の正確さを分けて捉えます。

塾が持つべき役割は、説明の正確さの点検、問いの難しさの調整、次に使う問題の選定です。本人が「この公式を使う問題だから」と答えたら、公式名を言い直させるだけでは終えません。「どの条件がそろっていると使えるか」「似た式の別の公式では何が合わないか」と、選んだ理由が見える問いにします。問いを重ねるたびに困惑が強くなるなら、教科書の定義や具体的な図まで戻ります。

知識が足りない生徒に、問いだけを投げ続けることは避けます。たとえば用語の意味が曖昧な場合は、その意味を講師が説明し、簡単な例で確認してから、元の問題に戻ります。説明のための材料がそろって初めて、自分でつなぐ練習ができます。「自分で考えて」と待つ時間にも目的が必要です。どの情報を使って考えればよいかが見えているかを、講師が確かめます。

一方、手順を十分に理解している生徒には、講師の説明を減らして、判断が分かれる箇所を任せます。解き方を選んだ理由が明確なら、毎行を言葉にさせる必要はありません。条件の異なる問題で同じ判断ができるかへ進めます。自分でできる部分を残し、詰まった部分にだけ支援を置くことが、授業での助け方の基本になります。

誤った説明が出たときも、直ちに正解の説明で上書きせず、どこまで筋が通っているかを見ます。資料の増減を読む方向は合っていて、比較の基準だけが違うなら、その基準を見直すように促します。直す箇所が限定されると、生徒は「全部わかっていなかった」ではなく、「ここを変えればつながる」と捉えられます。講師は、正しかった判断と修正する判断を区別して伝えます。

進み具合は、説明に必要だった助けと、その後の行動で残します。たとえば「講師が条件を指すと理由を言えた」「条件を自分で探せた」「別の問題でも方法を選べた」という記録です。同じ正解でも、助けを借りた正解か、自力で根拠を探した正解かで、次の課題は変わります。授業中に言えた説明が、次の授業の冒頭でも出てくるかを確かめる予定まで含めておきます。

記録には、講師が何を言ったかも短く残します。「理由を説明できた」とだけ書くと、直前に講師がほとんど答えを示した場合と、生徒が自分で条件を探した場合が同じに見えるためです。たとえば、最初は「この語に注目して」と促し、次には「根拠はどの段落にあるか」と範囲を広げ、最後は手がかりを示さずに選んでもらいます。支援の量を変えながら、本人が引き受けられる判断を確かめます。

次の問題で再び迷ったときは、前の説明を忘れたと即断せず、迷いの場所を見ます。条件の表現が変わったために拾えないのか、条件は拾えても方法が結びつかないのかで、必要な練習は違います。前者なら条件の言い換えを並べ、後者なら条件と使う方法を対応させます。できた回数だけでなく、どの手がかりで動けたかを見れば、同じ問題を繰り返すか、別の問題へ進むかの判断にも理由を持たせられます。

家庭と共有するのは、解き直しの前後に本人が残した短い説明です。玉を戻さない問題で2回目も同じ確率を使っていたなら、「いつも赤は2個」という記録と、問いかけ後の「赤を取った後の袋を描く」を並べます。次に玉の数が違う問題でも、残った内訳から確率を決められたら、その説明へ日付を添えます。保護者も、同じ数を掛けていた状態から、取り出した後の条件を見る状態へ変わったことをたどれます。説明が止まった枝は質問として残します。

家庭では、お子さまが短く振り返れる時間を作り、話したいことを受け止めます。お子さまが話したいときに、「今日はどこを説明してみたの」と聞き、話し終えるまで待つだけでも構いません。説明の中身が正しいか判断しにくければ、「そこは次の授業で確かめよう」と記録しておきます。保護者がその場で教材を読み込み、授業を再現する必要はありません。

「なぜ」を続けて聞くと、本人には問い詰められているように聞こえる場合があります。家庭で聞くなら、本人が選んだ箇所に限り、「問題のどこを見たの」と具体的に尋ねてください。疲れている日はノートの印を見せるだけでもよいでしょう。家庭で説明できなかったことを、努力の不足と結びつけず、質問したい箇所として塾に渡します。

相談の際には、正解した答案だけでなく、途中の説明が止まったノートも持参できます。「なぜその式なのかが言えない」「解説を閉じると条件が出てこない」といった言葉があれば、困り方を具体的に共有できます。

自己説明で迷いやすい3つのこと

声に出すことが苦手でも取り組めますか

はい。短いメモ、図への書き込み、式の横の一言でも取り組めます。たとえば「赤を取った後は赤1個、白1個」と書き、樹形図の対応する枝へ矢印を引く方法です。最初から誰かに説明すると、相手の反応が気になって考えにくい人もいるでしょう。まず自分だけが見る紙に、条件と判断を置いてください。

頭の中だけで説明すると、曖昧な箇所を通り過ぎることがあります。すべてを文章にする必要はありませんが、迷った理由は外に残しておくと照合できます。塾で見てもらうときも、話す速さや文章の巧みさを評価するのではなく、そのメモがどの条件を指すのかを確かめてもらいましょう。口頭か筆記かは、理解を点検しやすい方法を選べます。

正解していた問題にも説明が必要ですか

すべての正解を説明し直す必要はありません。選択肢を勘で選んだ問題、消去した理由が曖昧な問題、公式は浮かんだが条件を見ていない問題を優先します。「なぜこの答えを選べるのか」と「他の答えを外せる根拠は何か」の両方を短く確かめると、偶然の正解を見つけやすくなります。

反対に、根拠を自分で示せて、計算や読解の過程も追えるなら、そこで区切って次へ進みます。説明を増やすこと自体を目標にすると、すでに確かめた内容に時間を使いすぎます。正解でも理由が残っていない問題には印をつけ、復習する問題を選ぶ手がかりにしてください。

説明が長くなり、演習が進まなくなります

最初に説明する箇所を絞りましょう。「この問題のすべて」ではなく、「最初の式を立てた理由」などにします。書いた後で、操作だけを並べた部分と、理由を書いた部分を見比べてください。「計算して、代入して」と続く部分が多ければ、判断を支える条件に戻ります。

また、時間を測って解く最中には、毎問説明を完成させなくても構いません。迷った箇所に小さな印を残し、採点後にその箇所を選びます。説明に時間がかかる原因が用語の不足なら、先に定義を確認する課題へ切り替えます。時間が長いことだけで判断せず、どこで止まっているかに合わせて、次にすることを変えてください。

「ここが言えない」を、次の学習の入口にする

今日の復習では、問題を1問選び、「この条件から、この方法を使う」と書いてみてください。続けて、根拠の箇所を指し、解説と照らします。言えなかった箇所が残れば、その箇所を次に尋ねる質問に変えましょう。説明を完成させることと同じくらい、どこを補えばよいかが見えることに意味があります。

保護者の方も、お子さまの説明が途中で止まったとき、すぐに答えへ導く必要はありません。止まった場所がわかれば、塾に具体的な相談を渡せます。正誤の記録に、理由の記録が加わると、本人の努力を次の課題へつなげる材料が増えます。

答えに丸がついた後も、「なぜ、この一手なのか」とたどれば、まだ結べない条件が見つかることがあります。言葉に詰まったその箇所に、次の復習で解きほぐすべき問いが潜んでいます。

参考文献


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