【中3数学】三平方の定理を図解で総まとめ—証明の図から空間図形の長さまで|武蔵野個別指導塾

直角と斜辺の見つけ方から、正方形を使う証明、座標上の距離、直方体の対角線、円錐の高さまで順に学べます。例題と練習問題で、図から式を立てる手順を確かめましょう。

よくあるのは、部活帰りの自転車置き場でノートを開き、斜めに描かれた三角形を見て「どの辺を2乗して足すのだろう」と手が止まる場面です。a²+b²=c²という式を覚えていても、図が回転したり、立体の中に三角形が隠れたりすると、文字と辺の対応を見失いやすくなります。

三平方の定理の出発点は、数を式へ入れることよりも、直角の場所を確かめることです。そこから斜辺が決まり、足すのか引くのかを自分で判断できます。直角を見つける目が育つと、方眼上の斜めの距離も、箱の中を通る対角線も、同じ考え方で求められます。

ここでは正方形の面積を使って定理の理由を確かめ、平面から空間へ順に進みます。平方根や式の展開も使いますが、途中式を一つずつつないでいけば大丈夫です。計算の前に図へ直角の印を入れる習慣から始めましょう。

この単元で身につけること

  • 直角三角形の斜辺を見つけます。直角の向かい側にある、最も長い辺が斜辺です。
  • 三平方の定理で未知の辺を求めます。斜辺を求める場合と、残りの辺を求める場合を区別します。
  • 正方形の面積から定理を説明します。図を分けて数えた面積と、全体の面積を等式で結びます。
  • 定理の逆と特別な辺の比を使います。3辺から直角を判定し、45°や30°のある直角三角形を扱います。
  • 座標や立体の中に直角三角形を作ります。補助線で、求めたい長さを含む三角形を取り出します。

これまで学んだ正方形の面積、式の展開、平方根、相似の考え方がつながる単元です。多くの教科書では中3で学びます。図を見て必要な長さを選ぶ力と、根号を含む計算をする力の両方を使うので、どちらで止まったのかを分けて確かめると復習しやすくなります。

基本の考え方

直角の向かい側が斜辺です

直角三角形で、直角をはさむ2辺の長さをa、b、斜辺の長さをcとすると、a²+b²=c²が成り立ちます。これが三平方の定理です。「平方」は2乗のことで、2辺の長さそのものの和ではなく、2乗した値の和を考えます。長さはすべて同じ単位にそろえます。

たとえば、壁と床が垂直で、床から壁へ立てかけた棒を考えると、壁に沿う高さと床に沿う距離が直角をはさむ2辺です。棒の長さが斜辺に当たります。紙の上で棒が右上がりでも左上がりでも、この対応は変わりません。「斜めに見える辺」ではなく「直角の向かい側の辺」と覚えます。

斜辺が未知数xなら、x²=a²+b²と置きます。一方、斜辺cと一方の辺aがわかっているなら、a²+x²=c²からx²=c²-a²へ進みます。長さは正なので、x²=25ならx=5です。方程式だけを解けば5と-5ですが、図形の長さとしては正の値を選びます。

正方形の面積から理由を確かめます

図1のように、直角をはさむ辺がa、b、斜辺がcの合同な直角三角形を4枚並べます。外側は1辺がa+bの正方形で、中央にも正方形ができます。図はa:b=3:4の場合の形ですが、面積による説明は任意の正のa、bで成り立ちます。

図1 合同な直角三角形を並べた正方形による証明

中央の四角形の各辺は三角形の斜辺なので、すべてcです。また、直角三角形の残りの2角の和は90°です。中央の各頂点では、その2角と中央の角を合わせて180°になるため、中央の角は90°になります。4辺が等しいだけで済ませず、角も確かめることで正方形といえます。

外側の正方形の面積は(a+b)²です。内側から数えると、三角形4枚と中央の正方形なので、4×ab/2+c²になります。同じ面積を表しているため、(a+b)²=4×ab/2+c²です。左辺を展開するとa²+2ab+b²=2ab+c²となり、両辺から2abを引けばa²+b²=c²が得られます。図1の中央の面積が、計算後に残るc²に対応しています。

逆と特別な辺の比を区別します

三平方の定理の逆も成り立ちます。三角形の最も長い辺をcとし、残りをa、bとしたとき、a²+b²=c²なら、cの向かい側の角は直角です。定理は「直角だから辺の関係がいえる」、逆は「辺の関係から直角がいえる」という向きの違いがあります。3辺が5、12、13なら、5²+12²=25+144=169=13²なので直角三角形です。

直角二等辺三角形では、等しい2辺をaとすると斜辺の2乗は2a²なので、斜辺はa√2です。辺の比は、直角をはさむ辺、直角をはさむ辺、斜辺の順に1:1:√2です。残りの角は45°ずつになります。

正三角形を頂点から底辺へ垂直に二等分すると、30°、60°、90°の直角三角形ができます。元の正三角形の1辺を2aとすれば、底辺の半分はa、高さの2乗は(2a)²-a²=3a²です。したがって、30°の向かい側、60°の向かい側、斜辺の順にa:a√3:2a、つまり1:√3:2になります。比を覚えたら、どの角の向かい側の辺なのかも必ず対応させます。

例題で解き方を確かめる

例題1 直角をはさむ辺から斜辺を求める

直角をはさむ2辺が6cm、8cmの直角三角形で、斜辺の長さを求めます。まず基本の形で、式と長さの関係を確かめましょう。

  1. 斜辺をxcmと置き、6²+8²=x²と書きます。未知の辺が直角の向かい側なので、その2乗を単独の側に置きます。
  2. 36+64=100より、x²=100です。6+8を先に計算するのではなく、それぞれを2乗してから足します。
  3. xは長さなのでx=10を選びます。10は6、8のどちらよりも長く、斜辺としての大小関係も合っています。

答え:10cmです。

例題2 正三角形の高さを求める

1辺が8cmの正三角形ABCで、頂点Aから底辺BCへ下ろした垂線の足をHとします。高さAHと、正三角形の面積を求めます。

  1. BH=HC=4cmとします。正三角形の頂点から底辺へ下ろした垂線は底辺を二等分するので、直角三角形ABHを使えます。
  2. AHをhcmとし、h²+4²=8²と書きます。斜辺はABの8cmであり、高さhではありません。
  3. h²=64-16=48より、h=√48=4√3です。48=16×3と分けると、平方根を簡単にできます。
  4. 面積は8×4√3÷2=16√3と求めます。面積の計算には半分の底辺4cmではなく、元の底辺8cmを使います。

答え:高さは4√3cm、面積は16√3cm²です。

30°、60°、90°の辺の比からも、斜辺8cmの半分が4cm、もう一方が4√3cmと確かめられます。比を使った答えと三平方の定理で求めた答えが一致すれば、辺の対応を確かめる手掛かりになります。

例題3 座標上の2点間の距離を求める

座標平面上のA(-2,1)、B(4,5)の距離を求めます。座標の1目盛りを長さの1とし、図2のようにC(4,1)を置いて、横と縦の辺を作ります。

図2 座標上の二点を結ぶ線分と横縦の直角三角形
  1. 横の長さACを4-(-2)=6、縦の長さCBを5-1=4と求めます。点の座標そのものではなく、座標の差が移動した長さになるためです。
  2. ACは横向き、CBは縦向きなので、∠ACB=90°です。求めたいABが、この直角三角形の斜辺になります。
  3. AB²=6²+4²=36+16=52より、AB=√52=2√13です。52=4×13と分けて根号を整理します。

答え:2点間の距離は2√13です。

図2でAからCを通ってBへ行く道のりは6+4=10ですが、ABは2点をまっすぐ結ぶ距離です。横と縦の長さをそのまま足すと、求めている経路が変わってしまいます。座標の差が負になる順序で引いた場合は、その絶対値が辺の長さです。

例題4 直方体の対角線を求める

縦3cm、横4cm、高さ12cmの直方体で、1つの頂点から最も遠い頂点までを結ぶ対角線を求めます。この線分は表面だけでなく、直方体の内部を通ります。

  1. まず底面の対角線をdcmと置きます。底面は長方形なので、d²=3²+4²=25よりd=5です。
  2. 底面の対角線5cmと、高さの辺12cmで直角三角形を作ります。高さの辺は底面に垂直なので、その接点を通る底面の対角線とも垂直です。
  3. 直方体の対角線をxcmとすると、x²=5²+12²=169よりx=13です。最初に求めた5cmは底面だけの長さで、最後の答えへの途中段階です。

答え:直方体の対角線は13cmです。

2つの式をつなぐと、x²=3²+4²+12²とも書けます。3辺をa、b、cとする直方体なら対角線は√(a²+b²+c²)ですが、これは直角三角形の計算を2回行った結果です。式だけが思い出せなくても、底面の三角形から順に取り出せば解き直せます。

つまずきやすいところと直し方

直角の確認を飛ばしてしまう

誤った書き方は「3辺が4、5、6だから、4²+5²=6²」です。三角形ならいつでも三平方の定理が使えるわけではありません。この場合は16+25=41、6²=36で一致しないため、正しい結論は「この三角形は直角三角形ではない」です。

直角の印があるか、長方形の角などから直角だといえるかを先に探します。直角かどうかを調べる問題なら、最長辺の2乗と残り2辺の2乗の和を別々に計算して比較します。見た目で角が90°に近くても、それだけでは根拠になりません。

平方根を足し算に分けてしまう

誤った書き方は「√(9+16)=√9+√16=7」です。平方根は、和の項ごとに分けられません。正しくは√(9+16)=√25=5です。確かめるなら、5²は25ですが、7²は49になることを比べます。

積では√(9×16)=√9×√16=12とできますが、和とは計算の決まりが異なります。根号の中が足し算なら、まず中を計算するのが基本です。また、x²=20からx=10としてしまった場合は、2乗を戻す操作を「2で割ること」と取り違えています。長さならx=√20=2√5と直します。

円錐の高さと母線を取り違える

誤った書き方は「半径5cm、母線13cmの円錐だから、高さ²=13²+5²」です。母線は頂点から底面の円周上の点へ引いた線分で、高さとは別です。図3は円錐の頂点と底面の中心を通る切り口で、Oは底面の中心、Aは底面の円周上の点です。

図3 円錐の切り口に現れる半径と高さと母線の関係

図3の直角はOにあり、斜辺は母線SAです。正しくはh²+5²=13²、h²=144、h=12となります。底面の直径10cmを使わず、中心Oから円周までの半径5cmを使う点にも注意します。高さが斜辺の13cmより長くなったら、足す辺を取り違えていないか図に戻りましょう。

練習問題

計算を始める前に、使う直角三角形と斜辺を自分で決めてください。図のない問題では簡単な図をかき、わかっている長さを書き込むところから取り組みます。

練習1 斜辺が17cm、一方の直角をはさむ辺が8cmの直角三角形で、もう一方の辺を求めます。

練習2 直角二等辺三角形の斜辺が10cmです。等しい2辺の長さをそれぞれ求めます。

練習3 3辺が7cm、24cm、25cmの三角形は直角三角形ですか。計算を根拠に答えます。

練習4 底面の半径が3cm、母線が6cmの円錐の高さを求めます。

答えと解説

練習1 15cmです。x²+8²=17²より、x²=289-64=225なので、x=15となります。

練習2 それぞれ5√2cmです。2x²=100よりx²=50、x=√50=5√2です。10÷√2を有理化しても同じ答えになります。

練習3 直角三角形です。7²+24²=49+576=625=25²なので、三平方の定理の逆から、25cmの辺の向かい側が直角です。

練習4 3√3cmです。h²+3²=6²よりh²=27、h=√27=3√3です。半径が母線の半分なので、特別な辺の比とも一致します。

次の単元へのつながりと家庭での確かめ方

座標上の距離は、関数のグラフ上にできる三角形の周の長さにも使えます。立体では、ここで求めた高さが円錐の体積の計算につながります。相似で辺の長さを求め、その後に三平方の定理を使うなど、別の単元と組み合わせる場面もあります。

家庭で5分だけ確かめるなら、1つ目は例題1の三角形を回転させてかき、斜辺を指してから式を書く方法です。2つ目は例題4について、底面の三角形と内部の三角形を別々にかき、5cmの辺が両方でどう使われるか説明する方法です。

個別指導で確かめる際は、斜辺を選べなければ直角の意味まで、式を立てた後に止まれば平方根の計算まで戻ります。お子さまのノートを見るときも、答えの正誤に加えて、直角の印と最初の等式を見れば、次に確かめる場所を絞れます。

まとめ

求めた長さに根号が残っていても、それだけで途中というわけではありません。長さとして正か、斜辺が最も長いか、単位が合うかまで確かめれば、答えを自分で点検できます。解き直すときは、計算を隠して図だけを見て、最初の等式をもう一度作ってみましょう。

三平方の定理を使えるようになった証拠は、公式を唱えられることだけでは測れません。複雑な図の中でも、どの直角を根拠にその式を書いたかを説明できることが、長さを求める確かな力です。


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