家庭の読書と学力—本を買うより先にできること|武蔵野個別指導塾

買った本を子どもが読まないときは、興味の入口と読みづらさを分けて考えます。本の選び方、感想を求めすぎない声かけ、読解の困りごとを塾へ伝える方法まで、今ある本から始める手順が見つかります。

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家庭の読書と学力—本を買うより先にできること

よくあるのは、書店の平積みコーナーで保護者が「この前買った本、まだ読んでいないね」と声をかけ、子どもが手に取った新刊を台に戻して黙ってしまうという場面です。学校の推薦図書も、子どもが好きそうな小説もそろえたのに、手が伸びない。国語の文章問題が苦手だと聞けば、なおさら「読書をさせなければ」と気持ちが急ぐものです。

けれど、新しい本を前にした親子が思い浮かべることは違うかもしれません。保護者は次の学びへの入口を探していても、子どもは家に残した「まだ終わらせていない課題」を思い出していることがあります。善意で増やした本が、いつの間にか親子の気まずさを増やしているなら、買い足す前にできることを探してみてください。

目指したいのは、本棚を埋めることではなく、子どもが文章を通して知りたいことに近づける状態です。そのためには、読書への興味、実際の読みやすさ、教科の問題を解く力を分けて見ます。ここを一緒にしてしまうと、読まない理由がすべて「やる気がない」に置き換わってしまいます。

読書と学力の関係を、家庭への命令に変えない

読書への興味は、国語だけに関わる話ではありません。仕様を読み取る、説明を比べる、疑問の答えを探すなど、文章に向かう場面は教科をまたいで現れます。ベトナムの研究では、読書への興味と理数の成績に関連が見られ、本の入手には家庭の経済状況よりも読書への興味が関わると報告されています(Lêほか・2019)。

この研究はベトナムの中学生1,676名を対象としており、そこで見られた関連から、日本の小学生や高校生にも同じ結果が当てはまる、あるいは読書を増やせば成績が上がるとまでは言えません。家庭で受け取るなら、「買えるだけ買う」ことを目標にするより、本人が何を読みたがっているかを確かめる手がかりになります。

「本を買ってあげたのだから、あとは読むだけ」と考えたくなるときにも、その間にはいくつかの段差があります。題材に関心が持てるか、文字の密度が負担ではないか、知らない言葉が続かないか、途中でやめても責められないか。本が手元にあることと、本人が読み始められることは、別々に確認したい事柄です。

たとえば、宇宙が好きだからと長い解説書を選んでも、知りたいのは惑星の写真と名前だけかもしれません。動物が好きでも、物語を読みたい子もいれば、体の仕組みを調べたい子もいます。「好きな分野」という大きなくくりだけでは、読みたい内容や読み方まで決まりません。

もう1つ分けたいのが、読む楽しさと、読んだ内容を人に説明する課題です。おもしろくて読んでいても、毎回あらすじや教訓を求められれば、次に本を開くときに説明の準備まで意識するかもしれません。感想を尋ねること自体が悪いのではなく、答えを出す義務になっていないかを見ます。

保護者が本好きであるほど、自分の読書経験を基準にしやすい面もあります。「その年齢なら、この本を読めるはず」「私は寝る前に読んでいた」という経験は、候補を出す助けにはなりますが、目の前の子どもの負担を測る物差しにはしきれません。読み始めた位置や、止まった箇所に目を向けましょう。

読書をしないことだけで、学ぶ意欲全体を判断する必要もありません。工作の説明を読む、好きな競技のルールを調べる、歌詞の意味を考えるなど、本人が文章を使っている場面がほかにあるかもしれません。まずはその用途を知ると、家庭で用意する文章の候補が具体的になります。

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本を増やす前に、読む入口を整える

1.「読めそう」より「知りたい」を聞く

最初の声かけは「何の本なら読むの」より、「最近、もう少し知りたいと思ったことはある」が使いやすいでしょう。前者には、本を読む約束まで含まれて聞こえる場合があります。後者なら、話題だけを聞いて終えることもできます。すぐに本の購入へ結びつけず、本人が話した内容を受け止めてください。

好きなゲームに建物が登場するなら建築、料理に関心があるなら材料の違いというように、興味の近くに文章の入口を探します。ただし、大人が「それなら歴史の勉強になる」と先回りして意味づけると、本人の知りたかったことから離れることがあります。まずは話題を本人の言葉で確かめます。

「建物の形が気になったの。それとも、どうやって造ったかを知りたいの」と選択肢を小さくすると、答えやすい場合があります。返事がなければ、その場で質問を重ねません。保護者の関心を伝えたところでいったん止め、別の機会に本人が話題を戻せる余地を残しましょう。

2.買う前に、中を見て選ぶ

図書館や家にある本で、表紙だけでなく本文の一部を見てみます。確認したいのは、学年相応という表示より、本人がそのページに向かえるかです。文章の長さ、挿絵、振り仮名、見出しの有無などを一緒に眺め、「このページなら見てみたい」という箇所を探してください。

声かけは「最初から読むならどれ」ではなく、「この中で気になるページはある」で十分です。図鑑なら途中から開いて構いません。短い話を集めた本なら、題名で選んでもよいでしょう。入口の段階では、最初のページから順番に進むことを、読むための条件にしないようにします。

親が選んだ候補と本人が選んだ候補が違ったときは、その違いを直そうとせず、何が気になったのかを聞きます。答えが「なんとなく」でも選択は成立しています。選んだ理由を立派に説明できることまで求めると、読む前から別の課題を背負わせてしまいます。

3.終わり方を、始める前に決める

読み始めることが重い子には、終わりの見通しを用意します。「今日は気になる見開きだけにする」「この短い話の終わりで閉じる」など、本人と相談して区切ります。読む量の目安は家庭で試すための約束であり、学力を伸ばすための決まった分量ではありません。

「途中で合わないと思ったら、閉じても大丈夫だよ」という言葉も添えられます。ただし、そう言いながら翌日に「結局やめたの」と評価すれば、約束は伝わりません。やめたときには、内容が合わなかったのか、文章が難しかったのか、疲れていたのかを、話せる範囲で聞くだけにします。

毎日の連続記録を作るかどうかも、本人の受け止め方で考えてください。印をつけることが楽しい子には使えますが、空欄ができるたびに責められるなら、読書より記録の維持が中心になります。再開した日に「また開けたね」と受け止め、休んだ日の埋め合わせを追加しない方法もあります。

4.親は、答えを採点しない聞き手になる

読み終えたあとに話したそうなら、「どこが気になった」と聞いてみます。「主人公の気持ちは」「作者が言いたいことは」と続ける前に、本人が選んだ部分を一緒に見ましょう。保護者自身がその本を読んでいなくても、「その場面が気になったんだね」と受け止めることはできます。

感想が大人の予想と違っても、その場ですぐに修正する必要はありません。「私は別のところが気になった。聞いてみる」と、話してよいかを確かめてから伝える方法があります。家庭の会話では、同じ文章を読んでも注目する場所が違うことを、そのまま扱ってよいのです。

一方、物語に書かれている出来事と本人の予想が混ざっていれば、「そこは本に書いてあったところかな、これから起きそうと思ったところかな」と穏やかに分けます。違いを確かめることと、感想を間違い扱いすることは別です。本人が嫌がるときは、家庭で読解指導を続けずに止めます。

5.読まない日の扱いまで、用意しておく

避けたい関わりの1つ目は、買った費用や親の苦労を理由に読ませることです。「せっかく買ったのに」と言いたくなったら、「この本は今の興味と合わなかったかな」に置き換えてみてください。購入の判断をした大人の残念さを、子どもが完読する義務に変えないようにします。

2つ目は、兄弟や友人の読書量と比べることです。「あの子はもう読み終わった」では、本人の止まった理由が分かりません。「前に開いたときと比べて、読みやすいところはあった」と、本人の経験の中で尋ねます。比べる対象を変えることで、次に調整する箇所も探しやすくなります。

3つ目は、好きな読み物を取り上げて、役立ちそうな本だけに入れ替えることです。漫画や趣味の本から、どんなことを読み取っているかを先に知りましょう。そのうえで「この話に出てきたことを、別の本でも見てみる」と提案できます。受け入れられなければ、今の読み物を楽しむ時間を守ります。

読書を生活に置く際には、保護者も毎回付き添う約束をしなくて構いません。「今日は私は隣で別のものを読むね」「話したくなったら教えてね」と関わり方を選べます。大人の余裕がない日に無理に読み聞かせを続けるより、続けられる形を親子で探すことを優先してください。

年齢に合わせて、支える場所を変える

小学校高学年では、内容への関心があっても、長い文章や知らない言葉で止まる場合があります。本人が望むなら、難しいところを保護者が読み、続きは本人が読むように分けてもよいでしょう。「自分で読まないと意味がない」と決めず、どの助けがあれば内容に近づけるかを試します。

その際、わからない言葉をすべて調べる約束にする必要はありません。話の流れに関わる言葉なら意味を確かめ、ほかは読み進めてから戻る方法も選べます。「ここは意味がわからないと困りそう。それとも、先を読んでから考える」と尋ねると、保護者が毎回判断する形から少し離れられます。

中学生では、部活動や宿題との兼ね合いを本人に聞いてください。空いているように見える時間にも、本人なりの休息が必要なことがあります。「どこに読書を足せるか」だけでなく、「今の生活で、文章を読みたいと思う場面はあるか」と聞けば、時間割への追加とは違う話ができます。

高校生には、趣味や進路に関わる文章を本人が選び、必要に応じて大人に知らせる形もあります。読んだものをすべて報告させる必要はありません。「探している本があるときは声をかけて」と、入手を助ける窓口を開いておく程度の関わりが、本人の望む距離に合う場合もあります。

どの年齢でも、年下向けの本を選んだことを恥ずかしがらせない配慮は共通です。分かりやすい説明で関心を確かめてから、詳しい本へ進んでも構いません。逆に、難しい本を選んだときも、その選択を喜ぶあまり「最後まで読めるよね」と完読を約束させないようにしましょう。

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試したあとは、量より条件を見直す

本人が本を開かなかったときは、すぐに別の方法を重ねず、「今は読みたくない」「この本には関心がない」「読みたいけれど難しい」を分けて聞いてみます。本人にも理由がわからないなら、答えを急がせません。「今日はやめておこう。気になったらまた見よう」と終えれば、拒否した理由を説明し続ける負担を減らせます。

読み始められたときも、翌日からすぐに分量を増やさないようにします。短い区切りだから手を伸ばせたのかもしれません。「昨日の区切り方で続ける。それとも変える」と聞き、本人が扱いやすかった条件を残します。大人にとって物足りない量でも、まずはその形で本人がどう読むかを見てください。

見直すときは、本の難しさ、読む時間帯、親の付き添い方を一度に変えず、困っている点に近いものから調整します。疲れているなら別の時間にする、文字が詰まっているなら見やすい本を探す、といった具合です。何が助けになったかを親子で確かめるための試行として、うまくいかなかった方法も次の選択に使います。

家庭と個別指導で、見るものを分担する

家庭は「何に手が伸びたか」を持つ

家庭で知りたいのは、読んだ冊数より、どんな入口なら自ら近づいたかです。表紙の写真で開いた、知っている登場人物がいたので続きを見た、目次から疑問に合う項目を探した。そうした小さな事実があれば、次の読み物を選ぶ助けになります。感想を引き出せなくても、観察できることはあります。

記録をつけるとしても、毎日の詳細な読書日誌にする必要はありません。「自分で選んだ」「途中の説明で止まった」「翌日も同じページを見た」など、変化があったときの短いメモで足ります。子どもを採点する表ではなく、大人が支え方を考えるための情報として扱ってください。

家庭でわからないのは、止まった理由のうち、どこまでが読解の課題なのかという部分です。難しいと言われたからと、保護者がすべての文を解説する必要はありません。「この説明のところから進まなかった」という事実を残し、教科の文章でも同じことが起きるかを塾に確かめてもらいます。

塾は「どこで意味がつながらなくなるか」を見る

個別指導に求めたいのは、「読書量を増やしましょう」で終わらない確認です。言葉の意味がわからないのか、主語と述語の関係を追いにくいのか、指示語が何を指すかで迷うのか、段落同士のつながりを見失うのか。短い文章を使って、本人が困る箇所を具体的にします。

文章を読めていても、問題で何を求められたかを捉えにくい場合があります。「理由を答える」と「内容を説明する」を同じように扱っているのかもしれません。その場合、家庭で読む本を増やすだけでは、必要な練習がはっきりしません。設問の読み取りと答えの根拠を確かめる指導を分けて考えます。

理科や数学でも、文章題が苦手なら、条件を読み落としたのか、用語の意味が曖昧なのか、計算の手順で止まったのかを区別します。「本を読まないから数学も苦手」とまとめてしまうと、計算や知識の課題まで読書に背負わせることになります。読書への興味と、教科の練習はつなぎながらも分担します。

塾で練習したことを家庭へ返す際には、「接続語が課題です」だけでは動きにくいでしょう。「説明の途中に『しかし』が出たとき、前の内容と何が変わったかを一緒に確認しています」のように、実際の行動まで伝えてもらいます。ただし、それを家でも毎回実施する宿題にするかは別に相談します。

連絡には「入口・止まった場所・頼みたい確認」を書く

保護者からの連絡は、たとえば「動物の本は自分で選びました。写真の説明は読みますが、長い段落になると閉じます。授業でも文章が長くなると止まるか、見ていただけますか」という形にできます。好きな題材、見えた行動、塾に確認してほしい点がそろい、本人の性格を決めつけずに伝えられます。

読まなかったときも、「読書の習慣がありません」だけより、「借りた本は開きませんでしたが、目次は一緒に見ました。本人は知らない言葉が多いと言っています」と書くほうが具体的です。保護者が見た事実と、本人が話したことを分ければ、塾も確認の出発点を置きやすくなります。

塾からは、できれば「授業で確かめたこと・次に練習すること・家庭でお願いすること」を分けて返してもらいましょう。家庭への依頼が「興味のある本を選ぶところまで」であれば、保護者は毎晩の読み取り問題を作らずに済みます。反対に、短い音読などを頼む場合には、目的と終わり方まで確認します。

学校や以前の塾から「もっと本を読ませてください」とだけ言われ、困ってきたご家庭もあるでしょう。その説明で動けなかったからといって、家庭の熱意が足りなかったとは限りません。「今どこで困っているのか」「読書で支える部分はどこか」と聞き直してよいのです。武蔵野個別指導塾への相談でも、その具体を出発点にしてください。

よくある質問

Q.漫画や図鑑ばかりでも、読書として扱ってよいですか

家庭で読む入口として大切にして構いません。登場人物の言葉を追う、図と説明を照らす、知りたい項目を探すなど、何をしているかを見てください。「活字の本ではないから無意味」と一括りにする必要はありません。子どもが見つけた内容を話したときは、種類を評価する前に聞いてみましょう。

ただし、それだけで教科書や試験の長い文章も読めると決めることはできません。授業の文章で困っているなら、その形式に合う練習は塾や学校で行います。家庭では今の読み物を守りながら、同じ題材の短い説明文を候補に加えるなど、本人が選べる範囲を少しずつ広げます。

Q.読んでも国語の点数が上がりません。続ける意味はありますか

点数の変化だけで、本人が楽しんでいる読書を中止する必要はありません。知りたいことを調べられた、続きを楽しみにしたという経験は、それ自体として受け止められます。読書のたびに点数との交換条件を置くと、何を楽しんでいるのかが親子の話題から抜け落ちてしまいます。

成績の困りごとは、答案を見て別に扱いましょう。本文の意味を捉えられないのか、条件に合う答えを書けないのかでは、必要な支援が異なります。「読んでいるのになぜできないの」と本人に理由を求めるより、どの設問で何が起きたかを指導者と確かめるほうが、次の練習を決められます。

Q.保護者が本を読まない家庭では、難しいでしょうか

保護者が読書家であることを、始める条件にしなくて大丈夫です。毎日読書する姿を見せようと無理をするより、本人が知りたがったことを一緒に探す、図書館で候補を見る、頼まれたときに本を手配するなど、引き受けられる支え方を選んでください。忙しい時期は候補の相談だけでも構いません。

大人も知らないことがあれば、「私もそこはわからない。説明があるところを見てみよう」と言えます。答えを教える役に徹する必要はありません。親が読む量を競うのではなく、文章を使うと疑問に近づけることを、無理のない場面で一緒に経験していくと考えてみてください。

次の1冊の前に、今の1ページを見る

買った本が読まれていないとき、次の本で解決しようとする前に、今ある本のどこなら開けるかを確かめてみましょう。気になる題材を聞く、中を見て選ぶ、途中で閉じる約束をする。今夜はこのうち1つを試すだけでも、親子のやり取りを変えるきっかけになります。

その後に見るのは、冊数だけではありません。自ら開いたか、わからないところを言えたか、合わない本を断れたか。そうした姿と、授業で確認する読解の課題を持ち寄れば、家庭だけで抱え込まずに支え方を考えられます。子どもの「ここを知りたい」が、買う1冊と授業で一緒に読む1ページを決める出発点です。

参考文献


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