2つの式を同時に満たす解を図で確かめ、加減法・代入法から分数を含む式や代金の文章題まで順に学べます。符号の直し方と練習問題で、解き直すときの確認点もつかめます。
よくあるのは、図書館の机で宿題を開き、縦に並んだ2つの式を見て「足すのか、引くのか」で手が止まるという場面です。解答ではすぐに y が消えているのに、自分で計算すると文字が2つ残ります。そこで必要なのは、足すか引くかを当てることではなく、消したい文字の係数を見ることです。
連立方程式では、2つの条件を同時に満たす数の組を求めます。買った物の合計個数だけでは内訳が決まらなくても、合計金額もわかれば内訳を絞れます。計算の方法と文章題の式づくりは別々に見えますが、どちらも「2つの条件を一緒に使う」という考え方でつながっています。
多くの教科書では中2で学びます。最初は式の横に①、②と番号を付け、何を何倍し、どちらからどちらを引いたのかを書き残しましょう。その記録があると、答えが合わないときにも戻る場所を見つけられます。
この単元で身につけること
- 2元1次方程式の解を、x と y の値の組として捉えます。1つの値だけでなく、2つを同時に決めるのが目標です。
- 加減法では係数をそろえ、式どうしを足したり引いたりして文字を1つ消します。符号を見て操作を選びます。
- 代入法では、一方の文字を表す式をもう一方の式に入れます。数の代わりに式全体を入れる点に注意します。
- かっこ・分数・小数のある式を、計算しやすい形に直します。A=B=C は2つの等式に分けて扱います。
- 文章から異なる2つの条件を取り出し、単位をそろえて式にします。最後は求めた値が条件に合うか確かめます。
前に学んだ1次方程式の移項や等式の性質、文字式の同類項の計算が土台です。途中で文字が1つになったら、そこから先は既に学んだ1次方程式として解けます。新しく身につけるのは、その形に持ち込むための操作です。
基本の考え方
解は2つの条件に共通する数の組
x+y=5 のように、2つの文字を含む1次方程式を2元1次方程式といいます。この場合、x=1、y=4 も、x=2、y=3 も式を成り立たせます。問題で整数などの指定がなければ、x=0.5、y=4.5 という組も使えます。1つの式だけでは、ふつう組が1つに決まりません。
そこに x-y=1 という条件を加えます。x=2、y=3 は最初の式には合いますが、2-3=-1 なので後の式には合いません。一方、x=3、y=2 は 3+2=5 と 3-2=1 の両方を成り立たせます。このように、2つ以上の方程式を組にしたものが連立方程式で、すべての式を成り立たせる値の組がその解です。
図1のように、各式を成り立たせる組を座標の点として表すと、2本の直線が同じ点を通ります。横の座標が x、縦の座標が y なので、交点 (3,2) が共通の解を表します。今は直線を自分でかけなくても、片方の線上にあるだけでは足りない、という意味を押さえましょう。

なお、どんな連立方程式にも解が1組あるとは限りません。x+y=5 と x+y=6 は同時に成り立たず、解がありません。x+y=5 と 2x+2y=10 は同じ条件なので、共通の解は無数にあります。計算して 0=1 になれば条件が矛盾し、0=0 になればその式から新しい条件は得られません。
加減法と代入法は文字を1つにする方法
加減法は、左辺どうしと右辺どうしを足す、または引く方法です。x+y=5 と x-y=1 を足すと、y と -y が打ち消し合い、2x=6 になります。等しいものに等しいものを足しているので、新しい等式も成り立ちます。これで x=3 が求まり、元の式に戻せば y=2 です。
同じ文字の係数が同じ符号なら引き、反対の符号なら足すと消せます。たとえば 2x+3y=13 と 4x-3y=-1 では、足すと y が消えます。係数がそろっていない場合は、式の両辺を何倍かしてそろえます。そのときは一部の項だけでなく、右辺を含む式全体を同じ数倍します。
代入法は、一方の式で表した文字を、もう一方の式の中で置き換える方法です。y=2x-1 とわかっていれば、別の式の y の位置に 2x-1 を入れます。「y と同じ値だから置き換えられる」と考えます。y=… や x=… という形が初めからあるときに使いやすい方法です。
どちらを使っても同じ解になります。迷ったら、すぐ消せる係数があるか、すぐ代入できる形があるかの順に見ます。操作後の式だけでは元の条件をすべて表せないこともあるので、文字が1つ求まったら必ず元の式と組み合わせて、もう1つを求めます。
複雑な式はまず形を整える
かっこは分配法則で外し、同類項をまとめます。分数は分母の最小公倍数を両辺にかけて整数の係数に直します。たとえば x/2+y/3=2 なら、両辺を6倍して 3x+2y=12 です。小数なら 0.2x+0.3y=1.2 を10倍し、2x+3y=12 とすれば見やすくなります。
A=B=C は、3つの式の値が等しいという意味です。A=B と B=C に分けても、A=C と B=C に分けても同じ条件を表します。たとえば x+y=2x-y=6 は、x+y=6 と 2x-y=6 に分けられます。足すと 3x=12 なので x=4、戻すと y=2 です。最初と最後だけを取り出した x+y=6 の1本で終えないようにします。
例題で解き方を確かめる
例題1 加減法で解く
x+y=5 …①、x-y=1 …② を解きます。y の係数が +1 と -1 なので、足せば消せます。
- ①+②を計算します。左辺は x+y+x-y=2x、右辺は 5+1=6 なので、2x=6 です。左右で同じ操作をするため、右辺も忘れずに足します。
- 両辺を2で割り、x=3 を求めます。文字が1つになったので、1次方程式と同じ手順です。
- ①に x=3 を代入して、3+y=5 より y=2 です。残った文字を求めるには、元の式のうち計算が簡単な方を使えます。
- ②でも 3-2=1 になるか確かめます。代入に使わなかった式を確認すると、途中の計算違いを見つけやすくなります。
答え:x=3、y=2。
例題2 代入法で解く
y=2x-1 …①、3x+y=9 …② を解きます。①が y=… の形なので、そのまま②に代入できます。
- ②の y を 2x-1 に置き換え、3x+(2x-1)=9 とします。代入した部分をかっこで囲むと、どこを置き換えたかが見えます。
- 同類項をまとめると 5x-1=9、移項して 5x=10、したがって x=2 です。かっこの前が + なので、中の符号は変えません。
- ①へ戻して y=2×2-1=3 と求めます。元の式を使うことで、x に対応する y が決まります。
- ②に入れて 3×2+3=9 と確認します。x と y の順序を入れ替えていないかも見ます。
答え:x=2、y=3。
例題3 かっこと分数を整えてから解く
2(x+y)-y=7 …①、x/2-y/3=7/6 …② を解きます。今の形で加減するより、先に両方を ax+by=c の形へ直すと係数を比較できます。
- ①のかっこを外して 2x+2y-y=7、まとめて 2x+y=7 …③ とします。2はかっこの中の両方の項にかけます。
- ②の両辺を6倍して 3x-2y=7 …④ とします。左辺の分数だけでなく、右辺の 7/6 にも6をかけます。
- ③を2倍して 4x+2y=14 …⑤ とします。④と⑤を足すと y が消えるように、係数を +2 と -2 にそろえました。
- ④+⑤より 7x=21、x=3 です。③に戻すと 6+y=7 より y=1 となります。元の①は 2(3+1)-1=7、元の②は 3/2-1/3=7/6 で、両方とも成り立ちます。
答え:x=3、y=1。
例題4 個数と代金の条件を式にする
1本120円のペンと1冊180円のノートを合わせて8個買い、代金は1140円でした。それぞれ何個買ったかを求めます。値段を文字にするのではなく、まだわからない個数を文字にします。
- ペンを x 本、ノートを y 冊とします。合計個数の条件は x+y=8 …① です。文字の意味を先に決めると、答えの単位も定まります。
- 合計代金の条件は 120x+180y=1140 …② です。単価に個数をかけると代金になるので、両辺の単位が円でそろいます。図2のように個数と代金を分けて見ると、条件を取り違えにくくなります。

- ②を60で割り、2x+3y=19 …③ とします。①を2倍した 2x+2y=16 を③から引くと y=3、①に戻して x=5 です。先に係数を小さくすると計算が軽くなります。
- 5+3=8、120×5+180×3=1140 を確かめます。個数は0以上の整数である必要もあり、今回の値はその条件に合っています。
答え:ペン5本、ノート3冊。
文章題では、計算の答えが出てもそこで終わりではありません。文字が表す数量に戻し、問題文の2つの条件を実際の数で確かめるところまでが解答です。式を解くと負の個数になった場合は、そのまま答えにせず、文字の決め方や式を読み直します。
つまずきやすいところと直し方
誤り1 式を何倍かするときに一部だけ変える
誤った書き方は、x+2y=7 を3倍して 3x+2y=21 とすることです。左辺の 2y だけが3倍されていないので、元と同じ条件を表せなくなっています。
正しくは 3(x+2y)=3×7、つまり 3x+6y=21 です。慣れるまでは両辺にかける数を先に書き、左辺の各項と右辺のすべてに届いているかを確かめます。「係数をそろえる」という目的があっても、等式の性質を省くことはできません。
誤り2 引く式の負の項をそのまま残す
誤った書き方は、(3x+2y)-(3x-y)=2y-y とすることです。後ろの式全体を引くので、3x だけでなく -y も符号が変わります。
正しくは 3x+2y-3x+y=3y です。図3のように、引く式をかっこで囲んでから外すと、-(-y)=+y の部分を見落としにくくなります。縦に式を並べる場合も、引き算の線の下へすぐ答えを書かず、負の項を引く箇所だけは一度横に書いて確かめましょう。

誤り3 違う数量を同じ合計に足してしまう
誤った書き方は、例題4で 120x+y=1140 とすることです。120x はペンの代金ですが、y はノートの冊数です。円と冊を足しても、合計代金を表せません。
正しくは、個数なら x+y=8、代金なら 120x+180y=1140 です。式の各項の下に単位を小さく書くと、どこがそろっていないか見えます。速さの問題なら「速さ×時間=道のり」を使い、時間を分と時間で混ぜないことも必要です。計算に入る前に単位を確認する方が、最後に全体を解き直すより手早く直せます。
練習問題
使う方法を決めたら、その理由も一言書いてから解きましょう。練習4は、時間を文字にすると2つの条件を作れます。
練習1
2x+3y=13、4x-3y=-1 を解きます。どちらの文字がそのまま消せるかを見ます。
練習2
x=3y-2、2x+y=10 を解きます。代入した部分のかっこを省かずに書きます。
練習3
x+2y=3x-y=7 を解きます。まず2つの等式に分けましょう。
練習4
時速3kmで歩き、続けて時速10kmで自転車に乗り、合計2時間で13km進みました。歩いた時間と自転車に乗った時間を求めます。途中の休憩はないものとします。
答えと解説
練習1:x=2、y=3。2式を足すと 6x=12、x=2 です。最初の式に戻して 4+3y=13 から y=3 となります。
練習2:x=4、y=2。2(3y-2)+y=10 より 7y=14、y=2 です。x=3×2-2=4 となります。
練習3:x=3、y=2。x+2y=7 と 3x-y=7 に分けます。後者を2倍して前者と足すと 7x=21 です。元の3つの式の値はすべて7になります。
練習4:歩いた時間は1時間、自転車に乗った時間も1時間です。それぞれ x 時間、y 時間とすると x+y=2、3x+10y=13 です。後者から前者の3倍を引くと 7y=7 となり、道のりも 3×1+10×1=13km と確認できます。
次の単元へのつながりと家庭での確かめ方
次に一次関数を学ぶと、2本の直線の交点を計算で求める場面に進みます。図1の交点は、2つの式が同時に成り立つ点でした。この意味を覚えておくと、連立方程式とグラフが結びつきます。
家庭で5分確かめるなら、1つ目は例題1の解を両方の式に入れ、左右が等しいか声に出して確認することです。2つ目は例題3の「③を2倍する理由」を説明することです。お子さまに答えの数だけを尋ねるより、どの文字を消したいのかを聞くと、手順を理解しているか確かめられます。
個別指導では、係数を見る段階で止まるのか、かっこの外し方で誤るのかを分けて確認します。必要に応じて、負の数の引き算や等式の両辺を同じ数倍するところまで戻ります。
まとめ
答えが合わないときは、式を最初から眺めるだけでなく、最後の値を元の2式に代入してみましょう。一方だけ合うなら、もう一方の条件がどの操作で失われたかを追えます。2式に合っても文章の個数や時間として不自然なら、式を立てたところへ戻る手がかりになります。
途中式の1行には、文字を減らすための理由があります。その理由と元の条件を往復できれば、係数や文章が変わっても解く道筋を選べます。連立方程式の答えは、2つの条件への同時の返事です。





