同類項をまとめる図や符号の対応図を使い、多項式の加減から単項式の乗除、式の値、文字式による説明、等式の変形まで学べます。手順つきの例題と練習問題で、計算の理由まで確かめましょう。
よくあるのは、部活帰りの自転車置き場で友達と宿題の答えを比べ、3x+2y を 5xy とした自分の計算に首をかしげるという場面です。数字の 3 と 2 はたせるのに、文字があると何が違うのでしょうか。ここで確かめたいのは計算の速さではなく、「何をひとまとまりとして数えているか」です。
式の計算では、同じ種類の項をまとめることと、文字どうしをかけることを区別します。この区別がつくと、文字が2つ以上ある式や、かっこの前にマイナスがある式も、手順を決めて整理できます。さらに、文字を使って数の性質を説明したり、面積の公式を高さについての式に直したりできるようになります。
まずは項の見分け方から始め、計算した式が何を意味するのかまで追っていきましょう。途中式に残す符号やかっこには、それぞれ間違いを防ぐ役割があります。
この単元で身につけること
- 単項式と多項式を区別します。項を符号ごとに取り出し、係数と次数を読み取ります。
- 同類項を見つけてまとめます。文字の部分が同じかを見て、多項式の加法・減法を進めます。
- 単項式の乗法・除法を計算します。係数と文字の部分を分け、かけ算とたし算の決まりを使い分けます。
- 式を簡単にしてから値を求めます。負の数の代入ではかっこを使い、計算する量を減らします。
- 文字式で性質を説明し、等式を変形します。文字の意味や割る数の条件も言葉で添えます。
多くの教科書では中2で学ぶ内容で、中1の文字式の計算と、方程式で使った等式の性質が土台になります。文字が増えても、同じものをまとめることや両辺に同じ操作をすることは変わりません。答えを見て合っているかだけでなく、隣り合う途中式が同じ量を表しているかも確かめていきます。
基本の考え方
項・係数・次数を読み取る
3x や -2ab のように、数や文字についての乗法だけで表された式を単項式といいます。7 のような数だけの式も単項式です。単項式の和の形で表された式が多項式で、3x-2y+7 の項は 3x、-2y、7 です。引き算を負の数のたし算と見れば、符号を含めて項を取り出す理由がわかります。
文字を含む項の数の部分が係数です。-2y の係数は -2、x の係数は 1、-x の係数は -1 です。目に見える数字がなくても、係数がないわけではありません。数字だけの項は定数項と呼びます。
単項式の次数は、かけ合わされている文字の個数です。3x²y は x×x×y を含むので3次、-5ab は2次です。係数の 3 や -5 は数えません。0でない定数の次数は0です。多項式の次数は、同類項をまとめたあとの各項の次数のうち、最も大きいものです。2x²+3xy-4 は2次式であり、各項の次数を全部たして4次とするのではありません。
同類項は「文字の部分」が同じ項
3x と 2x は、どちらも x を単位として数えているので、3x+2x=(3+2)x=5x とできます。このように文字の部分が同じ項を同類項といいます。x と x²、x と y は同類項ではありません。ab と ba はかけ算の順序を入れ替えた同じ文字の部分なので、同類項です。
図1のように、同じ文字を記した箱の列をまとめると、係数だけをたす意味が見えます。箱は文字の値や長さを表すものではなく、同じ種類の項を数える印です。x が負の数であっても 3x+2x=5x は成り立ちます。

1本 x 円の鉛筆3本と2本なら、代金は合わせて 5x 円です。一方、1個 y 円の消しゴム2個と鉛筆3本なら、代金は 3x+2y 円のままです。種類を表す文字が異なるものを 5xy とまとめることはできません。例えば x=10、y=20 なら 3x+2y=70 ですが、5xy=1000 です。
多項式の加法ではかっこを外して同類項を集めます。減法では、引く多項式のすべての項の符号を変えてから集めます。また、2(3x-y) は分配法則によって 6x-2y です。かっこの外の数は、中の先頭だけでなく、各項にかけます。
単項式の乗除と式の値
単項式をかけるときは、係数どうし、文字どうしをかけます。例えば 2x×3x=6x² です。x が2回かけられるため x² となり、同類項をたした 2x+3x=5x とは結果が違います。(-2ab)² は (-2ab)×(-2ab) なので 4a²b² です。かっこの中全体を2回かけるため、係数も2乗します。
単項式で割るときは分数の形にして、共通する因数を約分すると見通しがよくなります。例えば 12x²y÷3xy=4x です。ここでは割る式 3xy が0にならない、つまり x≠0、y≠0 が条件です。約分後に y が消えても、もとの割り算で必要だった条件は残ります。
式の値は文字に数を代入して求めますが、先に同類項をまとめると計算が短くなります。x=-2 のとき x²=(-2)²=4 です。-x² はその値にマイナスをつけるので -4 となり、負の数を入れる位置とかっこの範囲を区別する必要があります。
例題で解き方を確かめる
例題1 多項式を引いてから式の値を求める
(3x+2y)-(x-4y) を簡単にし、x=-2、y=1 のときの値を求めます。引く式の中にもマイナスがあるので、かっこを外した直後の行を省かずに書きます。
- 引く多項式の各項の符号を変え、3x+2y-x+4y とします。-(x-4y) は (-1)×(x-4y) なので、-x+4y になります。
- 同類項を並べ、(3-1)x+(2+4)y=2x+6y とします。x の項と y の項を別々に集めるためです。
- 整理した式に代入し、2×(-2)+6×1=-4+6=2 と求めます。負の数をかっこで囲むと、かけ算の符号が見やすくなります。
答え:簡単にした式は 2x+6y、式の値は 2 です。
図2では、引く式 x-4y の各項がどう変わるかを対応させています。上段の x と -4y の両方に -1 をかけるので、下段は -x と +4y になります。

もとの式でも、3×(-2)+2×1=-4、(-2)-4×1=-6 なので、(-4)-(-6)=2 です。先に整理した答えと一致します。この確認は代入の計算ミスを見つける助けになりますが、式がいつでも等しい理由は手順1、2の計算の決まりにあります。
例題2 単項式の乗除を続けて計算する
(-6a²b)×3ab÷(-9ab) を簡単にします。ただし、a≠0、b≠0 とします。乗法と除法は同じ優先順位なので、ここでは左から進めます。
- 最初の2つをかけ、(-6a²b)×3ab=-18a³b² とします。係数は -6×3、文字は a²×a と b×b に分けて数えます。
- 割り算を (-18a³b²)/(-9ab) と書きます。割る式全体が分母になる形にすると、符号と約分する部分を確認できます。
- 係数は (-18)÷(-9)=2、文字は a³÷a=a²、b²÷b=b なので、2a²b とします。分子・分母に共通する文字の因数を1つずつ取り除いた結果です。
答え:2a²b です。
a³÷a を a² とするのは、a×a×a を a で割るからです。指数を操作するだけで不安なときは、このようにかけ算へ戻せます。途中で符号を判断しにくくなった場合も、係数だけを先に計算すると整理できます。
例題3 連続する3つの整数の和を説明する
連続する3つの整数の和が3の倍数になることを説明します。いくつかの数で確かめるだけでは、すべての場合の説明にはならないので、文字でまとめて表します。
- 真ん中の整数を n とし、3つを n-1、n、n+1 と表します。n が整数であることを明記すると、負の整数や0を含む場合も扱えます。
- 和を (n-1)+n+(n+1)=3n と計算します。定数項の -1 と +1 が打ち消し合い、n の項が3つ残ります。
- n は整数なので 3n は3の倍数である、と結論づけます。3がかかっているだけでなく、その相手が整数であることが根拠です。
答え:和は整数 n の3倍である 3n となるので、3の倍数です。
最も小さい整数を n と置いても、n+(n+1)+(n+2)=3n+3=3(n+1) と説明できます。この場合は n+1 が整数であることを添えます。文字をどの数に割り当てたかで途中式は変わりますが、最後に整数の3倍と示す点は同じです。
例題4 公式を指定された文字について解く
三角形の面積の公式 S=ah/2 を、h について解きます。ただし底辺の長さ a は正とします。「h について解く」とは、h=… という形に変形することです。
- 両辺に2をかけ、2S=ah とします。右辺の分母をなくす操作を、左辺にも同じように行います。
- 両辺を a で割り、2S/a=h とします。a>0 なので0で割ることにはならず、h の係数を1にできます。
- 左右を入れ替え、h=2S/a と書きます。求めたい文字を左に置くと、ほかの量から計算する形がはっきりします。
答え:h=2S/a です。
例えば S=12、a=6 なら h=24/6=4 です。もとの公式に戻しても 6×4/2=12 となります。等式の変形は文字を勝手に動かす操作ではなく、等しい関係を保ちながら式の見方を変える操作です。
つまずきやすいところと直し方
誤り1 たし算でも文字をかけてしまう
誤った書き方は 2x+3x=5x² です。係数をたすところまでは合っていますが、x の個数を数える計算で x×x を作ってしまっています。正しい書き方は 2x+3x=(2+3)x=5x です。
図3のように、たし算のまとまりと、かけ算のまとまりを分けて見ます。上段は x が2個と3個で合計5個、下段は 2×3 と x×x の積です。記号を見てから、その計算が何をしているのかを言葉にすると取り違えを減らせます。

誤り2 引く式の先頭の符号だけを変える
誤った書き方は (4x+3y)-(x-2y)=4x+3y-x-2y です。引く対象は x だけではなく x-2y 全体なので、-2y の符号も変わります。正しくは 4x+3y-x+2y=3x+5y です。
かっこの前に – があるときは、先に -1 をかけると書き換えてみます。「マイナスを消す」と覚えるより、各項に分配する作業として確かめるほうが、項が3つに増えた場合にも対応できます。
誤り3 等式の片方の項だけを割る
y=3x+2 を x について解くとき、x=y/3-2 とするのは誤りです。3で割る前に、まず両辺から2を引いて y-2=3x とする必要があります。正しい書き方は x=(y-2)/3 です。
この分数の分子は y-2 全体です。かっこを落とした y-2/3 は「y から 2/3 を引く」という別の式になります。x=2 のときもとの等式では y=8 なので、(8-2)/3=2 と戻れるかを確認すると、変形の誤りに気づけます。
練習問題
練習1は項の見分け、練習2は加減と代入、練習3は乗除、練習4は等式の変形です。答えを見る前に、かっこを外した行や分数に直した行を1行ずつ残してみましょう。
練習1
3x²y-2xy+5 の各項と次数を答え、多項式全体の次数も求めましょう。
練習2
2(3x-y)-(x+4y) を簡単にし、x=-1、y=2 のときの値を求めましょう。
練習3
8a²b÷(-4ab)×3b を簡単にしましょう。ただし、a≠0、b≠0 とします。
練習4
長方形の周の長さの式 l=2a+2b を b について解きましょう。
答えと解説
練習1:項は 3x²y、-2xy、5 で、それぞれ3次、2次、0次です。最も大きい次数を取るので、多項式全体は3次式です。
練習2:6x-2y-x-4y=5x-6y です。代入すると 5×(-1)-6×2=-5-12=-17 となります。
練習3:まず 8a²b/(-4ab)=-2a、次に (-2a)×3b=-6ab です。後ろの ×3b まで分母に入れず、左から順に計算します。
練習4:両辺から 2a を引くと l-2a=2b、両辺を2で割ると b=(l-2a)/2 です。b=l/2-a と書いても同じです。
次の単元へのつながりと家庭での確かめ方
同類項をまとめる力は、連立方程式で文字を消去するときに使います。また、等式を指定された文字について解くことは、一次関数で式とグラフを結びつける準備になります。文字式による説明では、文字の意味を最初に決め、式の形を言葉で読み取る力が育ちます。
家庭では5分を2つの確認に分けてみましょう。前半は 3x+2y-x+y の同類項を丸と四角で囲み、2x+3y に整理します。後半は x=1、y=2 をもとの式と整理後の式に入れ、どちらも8になることを確かめます。値が一致しても一般的な証明にはなりませんが、書き落としを探す手がかりになります。
個別指導で確かめるときは、誤答の位置に応じて、正負の数の乗法、分配法則、等式の性質まで戻ります。お子さまのノートを見るときも、答えだけでなく、符号が変わった行に注目すると困っている箇所を見つけやすくなります。
まとめ
途中式で迷ったら、「ここで数えているのは何か」「今、両辺に何をしたか」を書き添えてみましょう。計算の理由を短く言えると、見慣れない文字に変わっても手順を選べます。文字が増えたことよりも、たす・引く・かける・割るのどの操作をしているかが、次の一手を決めます。
3x+2x が 5x になる理由を説明できる一行は、答えだけが並んだ十行より、次の計算を支える確かな足場です。





