地域の人と探究のテーマを決めてよいか——地域参加型でも若者との協働は少数|武蔵野個別指導塾が薦める学習の仕方

地域の人と探究のテーマを決めるなら、本人も課題を選ぶ側に入ります。参加型研究では、若者と大人が研究の問いや優先課題を考える実践が報告されています。家庭では、誰の困りごとを扱うかと、誰が選ぶ決定に加わったかを書き分けます。

地域の活動に参加した子どもが、「この問題を探究したい」と帰ってきます。保護者は、自分で考えたテーマなのか、地域の大人から渡されたテーマなのかが気になります。けれども、外から聞いた話が出発点になったことと、本人の問いがなくなったことは別です。見るところは、テーマを決めるときに本人が何を考え、どの判断に加わったかです。

探究には、個人で問いを作る進め方と、他者と課題を選ぶ進め方があります。地域の人と課題を選ぶ研究もあります。そのとき、話を聞く相手がいるだけで共同の研究になるのか、若者は決定のどこに参加しているのかを、論文の違いに沿って考えます。

1. 論文を役割で並べる

Jacquez ほか(2013)は、子どもや若者に関わる地域参加型研究を見直し、地域で行われていても地域との連携や参加型の要素を欠く研究があったと報告しています。若者が協働者として参加した研究では、研究の問いや優先課題を特定したり、研究を設計・実施したりする関わり方が多く見られました。単なる参加者と、決定を分け合う協働者を区別する役割の論文です。[1]Jacquezらが見直した文献は399本で、そのうち研究のいずれかの段階で若者と協働したものは56本でした。文献の数と、若者が実際に協働者となった研究の数を比べると、地域参加型という名称と参加の実態の違いが見えてきます。協働した研究では、問いや優先課題を特定すること、設計や実施に入ることが多く見られました。テーマを聞かれただけなのか、その後の段階にも関わったのかまで見るレビューです [1]。

Preece ほか(2023)は、地域の若者と専門職が、若者の心の健康に関する優先課題を特定し、見直し、絞り込む実践を報告しています。本人たちの反応を受けて振り返りながら修正する進め方を採り、帰属意識、心の健康への理解、教育・仕事・余暇の機会に関する課題が次の検討に選ばれました。共同で課題を決める過程を具体的に示す役割です。[2]

Teixeira ほか(2021)は、若者と大人の参加型研究における倫理と力関係を論じています。若者の参加を重んじる考え方と、大学などの研究組織の仕組みがぶつかる点や、大人中心の見方が意味のある参加を妨げる問題を取り上げています。協力するという言葉の裏にある決定権の偏りを点検する役割の論文です。[3]

2. 地域で活動すれば共同で決めたことになりますか?

自分の探究では、「地域の人から情報を聞いた」「テーマの候補を一緒に考えた」「候補から選ぶ判断を共有した」を書き分けます。取材先の名前を並べるだけでは、相手がテーマ決定にどう関わったかは見えてきません。何を聞いたかに加えて、何を決めるときにその話を使ったかを記します。

本人も、共同で考えた候補のうち、なぜその問いを調べたいのかを説明します。大人が困っていることを受け取るだけで終えず、自分がどこに疑問を持ったかを書き添えます。地域の人の経験と本人の関心を同じ文章の中へ入れ、どちらの言葉かを読者が分かるようにします。

3. 意見が分かれたら誰の困りごとを選びますか?

Preece らの実践では、候補の見直しと優先順位づけを行いました。若者と専門職が課題を特定し、見直し、絞り込んで優先順位をつけています。参加者の反応を受けて、進め方にも振り返りと調整を入れています。[2]

日本の家庭でこれを作業に置き換えるなら、聞いた困りごとを並べ、その中から選んだ理由を書きます。誰が最初に口にしたかだけで選ばず、話し合いで何が確かめられ、どこが変わったかを本人に説明してもらいます。これは、共同で課題を選ぶ過程を見える形にするための手順です。

地域の人の発言をまとめるときは、意見の違いも残します。違う意見が出た箇所と、最終的に扱う問いを別々に書けば、何を選び、何を今回扱わないと決めたかが読めます。全員の言葉を一つの結論へ押し込むより、課題を絞り込んだ過程を示します。

4. 大人が手伝うと本人の探究は薄まりますか?

大人がいること自体より、若者がどの決定に関われるかを見ます。Teixeira らが論じるのは、参加を掲げても、大人中心の見方や組織の仕組みが意味のある参加を妨げる問題です。若者の声を聞くことと、その声が判断に入ることを区別します。[3]

保護者は、子どもに「何を担当したか」だけでなく、「どの決定を自分も考えたか」を尋ねます。連絡係や発表係を担ったという説明と、調べる問いを選ぶ判断に加わったという説明は、違う働きを表しています。担当した作業と、考えた判断の両方が書かれているかを見ます。

一緒に決めたテーマを文章にする際には、小論文・作文の書き方の手順も参考にします。地域の声を紹介する部分と、自分が問いを選んだ理由を述べる部分を分けて組み立てます。協力者が増えたことを誇る文章より、協力を受けて何を考えたかが読める文章にします。

【反証】この回が言えないこと

共同で課題を決めることで学力や入試の評価が上がるという因果効果は、今回の研究から言えません。Jacquez らは参加のあり方を整理し、Preece らは地域で優先課題を選ぶ実践を報告しています。Teixeira らは倫理と力関係を論じており、成績を比較した研究ではありません。[1][2][3]

Preece らの実践は、英国の農村地域の心の健康に関する課題を扱っています。交通や仕事の機会など、その地域の事情が報告されています。日本の高校で同じテーマが優先されるわけではありません。[2] また、地域参加型という名前でも協働を欠く研究があったという反対の所見を忘れることはできません。[1] 一部の協力者の話を、その地域の全員の意見とみなすこともできません。

実務——家でできる 3 つの確認

初めに、テーマの候補を誰と考えたかを整理します。話を聞いた相手と、選ぶ判断に加わった相手を分け、本人がどこで意見を出したかを添えます。地域の人が関わったという大きな言葉を、実際の決定の場面にほどいていきます。

そのあと、候補を選んだ理由を、メモを見ずに話してもらいます。アクティブリコールとして、「なぜ別の候補ではなくこの問いなのか」を自分の言葉で説明します。親は正解を渡す役より、本人の理由と協力者の理由を聞き分ける相手になります。

さらに、日をあけて話し合いの記録を読み、最初の候補から何が変わったかを振り返ります。間隔反復を、決定の理由をたどり直す機会にします。武蔵野個別指導塾は完全 1 対 1 で、他者との対話を本人の説明に結びつける学びを支えます。共同の活動を自分の問いとして整理する相談は、武蔵境の総合型選抜対策で扱っています。

よくある質問

Q. 地域の人からテーマを出されても使えますか?

地域の人が出した候補も、本人が検討して選ぶ探究の問いとして扱います。誰が最初に言ったかだけでなく、選ぶ判断に本人がどう入ったかを示します。研究の問いを特定することは、若者が協働した研究で見られた関わり方です。[1]

Q. 全員の意見をテーマに入れますか?

話し合いで出た意見と、実際に調べる対象は分けて記します。地域で課題を見直し、絞り込んだ実践を踏まえ、選んだ理由と今回は扱わない話題を残します。[2]

Q. 保護者が地域の人との調整をしてよいですか?

保護者が調整を担う場合も、問いを選ぶ判断は本人が説明します。大人の助けを受けた箇所を明らかにし、本人が考える部分を本人の言葉で説明します。参加の中身を決定への関わりから点検します。[3]

出典

  1. Youth as Partners, Participants or Passive Recipients: A Review of Children and Adolescents in Community-Based Participatory Research (CBPR)(F. Jacquez et al.、2013、American Journal of Community Psychology)
  2. A community-based approach to identifying and prioritising young people’s mental health needs in their local communities(Cristina Preece et al.、2023、Research Involvement and Engagement)
  3. Participatory Research Approaches with Youth: Ethics, Engagement, and Meaningful Action.(Samantha Teixeira et al.、2021、American journal of community psychology)

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