5-5 選挙と代表制のジレンマ - 《武蔵境駅徒歩30秒》武蔵野個別指導塾

5-5　選挙と代表制のジレンマ

現代の日本では、すべての国民が直接政治を行うわけではなく、

「国民が代表者を選び、その代表が国会などで意思決定を行う」という仕組みがとられています。

この仕組みを**代表制民主主義（Representative Democracy）**といいます。この制度の利点は、

という点にあります。しかしその一方で、代表制には**国民の意志との乖離（かいり）**という問題もあります。

選挙制度にはいくつかの方式があり、それぞれにメリットとデメリットがあります。

制度名	概要	メリット	デメリット
小選挙区制	1つの選挙区から1人だけを選出	明確な勝者を生む／政権が安定	死票が多く、少数意見が反映されにくい
比例代表制	各政党の得票数に応じて議席を分配	多様な意見を反映／死票が少ない	政権が不安定になりやすい
中選挙区制（旧制度）	1選挙区から複数の議員を選出	比例と小選の中間的性格	派閥政治や利益誘導が起こりやすい

現在の衆議院は「小選挙区比例代表並立制」を採用しており、

小選挙区（289）＋比例代表（176）で構成されています。

日本国憲法第15条では、

「公務員を選定し、及びこれを罷免することは、国民固有の権利である」と規定され、選挙が主権者たる国民の基本的権利であることが明記されています。

しかしながら、近年の日本では、

これらを克服するためには、

主権者教育や模擬選挙などを通じて、政治への関心と判断力を育てる取り組みが求められます。

代表制は、国民の意見を「代表者」というフィルターを通して実現する仕組みです。しかしこの構造には、次のような問題点があります：

これらは、代表が“国全体”ではなく“一部の声”ばかりに応えることによって起こるひずみです。

代表制の限界を補う手段として、次のような制度も導入されています：

制度	内容
住民投票	地方自治体で重要な事項について、住民が直接投票で意思表示する制度（例：合併、原発の是非など）
パブリックコメント	法律や政策案に対して、国民が意見を提出できる制度
シチズン・アセンブリー（市民会議）	無作為に選ばれた市民が、熟議を通じて政策提言を行う仕組み（欧州で実施例）

ryomiyagawa Founder

早稲田大学大学院文学研究科哲学専攻修士号修了、同大学大学院同専攻博士課程中退。日本倫理学会員早稲田大学大学院文学研究科にてカント哲学を専攻する傍ら、精神分析学、スポーツ科学、文学、心理学など幅広く研究に携わっている。