
武蔵野個別指導塾の特徴
高校数学の公式一覧—数学Ⅰ・A・Ⅱ・B・Ⅲ・Cを科目別に|武蔵野個別指導塾

判別式は数学Ⅰ、内積は数学C、部分積分は数学Ⅲ。6科目の代表の公式を表に並べ、共通テストで使う範囲の目安と、ノート1枚へのまとめ方まで載せています。
| 科目 | 主な単元 | まず手元に置く公式 |
|---|---|---|
| 数学Ⅰ | 数と式、二次関数、図形と計量、データの分析 | 判別式 D = b² − 4ac、余弦定理 a² = b² + c² − 2bc cos A |
| 数学A | 場合の数と確率、図形の性質 | 組合せ nCr = n! / {r!(n − r)!}、余事象の確率 1 − P(A) |
| 数学Ⅱ | いろいろな式、図形と方程式、三角関数、指数と対数、微分と積分 | 加法定理 sin(α + β) = sin α cos β + cos α sin β、微分 (xⁿ)’ = nxⁿ⁻¹ |
| 数学B | 数列、統計的な推測 | 等比数列の和 Sₙ = a(rⁿ − 1) / (r − 1)、二項分布の期待値 E(X) = np |
| 数学Ⅲ | 極限、微分法、積分法 | 積の微分 (fg)’ = f’g + fg’、部分積分 ∫fg’ dx = fg − ∫f’g dx |
| 数学C | ベクトル、平面上の曲線と複素数平面 | 内積 a·b = a₁b₁ + a₂b₂、ド・モアブルの定理 (cos θ + i sin θ)ⁿ = cos nθ + i sin nθ |
a、b、c は係数か辺の長さ、n は自然数、θ、α、β は角、P は確率、E は期待値です。r だけは要注意で、数学Aでは取り出す個数、数学Bでは公比、図形では半径と、科目が変わると中身も変わります。文字の形だけで公式を覚えると、ここでつまずきます。
よくあるのは、新学期の教室で配られた教科書の山を前に、手が止まる場面です。数学Ⅱ、数学B、数学Cの3冊を重ねると、背表紙の幅だけで少し気が重くなる。春休みの課題の答え合わせで余弦定理が出てこない。去年の教科書は家の棚の奥です。スマホで検索するのは、公式そのものより、それがどの科目の話だったのかを確かめたいからでしょう。6科目の居場所を、ここで先に決めてしまいます。
公式の一覧
高校数学は6科目に分かれますが、学ぶ順は1本の線ではありません。図1のように、数学Ⅰから数学Ⅱ、数学Ⅲへと赤い矢印で積み上がる本流があり、数学A、数学B、数学Cはそこに別の単元を足す支流です。枠の色は共通テストの科目のまとまりを表していて、範囲の話はこの節の後半で扱います。

下の表の右の列には、文字の意味と、問題文のどの条件で呼び出すかを書きました。公式より先に右の列を読むと、使いどころから頭に入ります。
数学Ⅰの公式
| 公式 | 文字の意味と呼び出す条件 |
|---|---|
| (a + b + c)² = a² + b² + c² + 2ab + 2bc + 2ca | 項が3つの展開。置き換えで解いた後の確かめに |
| x = {-b ± √(b² − 4ac)} / (2a) | ax² + bx + c = 0 の解。因数分解できないときに |
| D = b² − 4ac | 判別式。正なら実数解2個、0なら重解、負なら実数解なし |
| y = a(x − p)² + q | 頂点 (p, q)、軸 x = p。最大と最小を読むときに |
| sin²θ + cos²θ = 1、1 + tan²θ = 1 / cos²θ | 三角比のうち1つから残りを出すときに |
| a / sin A = b / sin B = c / sin C = 2R | 正弦定理。R は外接円の半径。向かい合う辺と角の組があるときに |
| a² = b² + c² − 2bc cos A | 余弦定理。2辺と間の角、または3辺がわかるときに |
| S = (1/2) bc sin A | 三角形の面積。2辺と間の角から |
| s² = {(x₁ − m)² + … + (xₙ − m)²} / n | 分散。m は平均、n は資料の個数。標準偏差 s は分散の正の平方根 |
数学Aの公式
| 公式 | 文字の意味と呼び出す条件 |
|---|---|
| nPr = n! / (n − r)! | n 個から r 個を選んで並べる数 |
| nCr = n! / {r!(n − r)!} | n 個から r 個を選ぶだけの数。順番を区別しないときに |
| P(A∪B) = P(A) + P(B) − P(A∩B) | 和事象の確率。A と B が排反なら最後の項は0 |
| 1 − P(A) | A の余事象の確率。「少なくとも1つ」の問題に |
| nCr × pʳ × (1 − p)ⁿ⁻ʳ | 反復試行。確率 p の試行を n 回行い、ちょうど r 回起きる確率 |
| P(A∩B) / P(A) | 条件付き確率。A が起きたとわかっているときに B が起きる確率 |
| x₁p₁ + x₂p₂ + … + xₙpₙ | 期待値。値 xₖ をとる確率が pₖ のとき |
| (AF/FB) × (BD/DC) × (CE/EA) = 1 | チェバの定理とメネラウスの定理に共通の形。D、E、F は辺 BC、CA、AB(またはその延長)上の点 |
| PA × PB = PC × PD | 方べきの定理。点 P を通る2直線が円と交わるときに |
| AB : AC = BD : DC | 角の二等分線。AD が角 A の二等分線のときに |
数学Ⅱの公式
| 公式 | 文字の意味と呼び出す条件 |
|---|---|
| (a + b)³ = a³ + 3a²b + 3ab² + b³ | 3次の展開 |
| a³ + b³ = (a + b)(a² − ab + b²) | 3次の因数分解。差は a³ − b³ = (a − b)(a² + ab + b²) |
| (a + b)ⁿ = Σ nCk × aⁿ⁻ᵏ × bᵏ | 二項定理。k は0から n まで動く |
| α + β = -b/a、αβ = c/a | 解と係数の関係。α、β は ax² + bx + c = 0 の2つの解 |
| f(x) を x − a で割った余りは f(a) | 剰余の定理。余りが0なら x − a は因数(因数定理) |
| (x − a)² + (y − b)² = r² | 円。中心 (a, b)、半径 r |
| d = (ax₀ + by₀ + c の絶対値) / √(a² + b²) | 点 (x₀, y₀) と直線 ax + by + c = 0 の距離 |
| sin(α + β) = sin α cos β + cos α sin β | sin の加法定理 |
| cos(α + β) = cos α cos β − sin α sin β | cos の加法定理。右辺の符号が左辺と逆になる |
| cos 2θ = 1 − 2 sin²θ、sin 2θ = 2 sin θ cos θ | 2倍角の公式。cos は sin だけの形に直せる |
| sin²(θ/2) = (1 − cos θ) / 2 | 半角の公式。次数を下げたいときに |
| a sin θ + b cos θ = √(a² + b²) sin(θ + α) | 三角関数の合成。r = √(a² + b²) とおくと、角 α は cos α = a / r、sin α = b / r を満たす |
| aᵐ × aⁿ = aᵐ⁺ⁿ、(aᵐ)ⁿ = aᵐⁿ | 指数法則。a は正の数 |
| logₐ MN = logₐ M + logₐ N | 対数の積の公式。M、N は正、a は1でない正の数 |
| logₐ b = (logₖ b) / (logₖ a) | 底の変換。k は1でない正の数。底をそろえたいときに |
| (xⁿ)’ = nxⁿ⁻¹ | 多項式の微分の基本 |
| y − f(a) = f’(a)(x − a) | 点 (a, f(a)) における接線の式 |
| ∫xⁿ dx = xⁿ⁺¹ / (n + 1) + C | 不定積分。C は積分定数、n は0以上の整数 |
| a から b までの定積分 = F(b) − F(a) | F は f の不定積分の1つ。面積を求めるときの土台 |
数学Bの公式
| 公式 | 文字の意味と呼び出す条件 |
|---|---|
| aₙ = a + (n − 1)d | 等差数列の一般項。a は初項、d は公差 |
| Sₙ = n{2a + (n − 1)d} / 2 | 等差数列の初項から第 n 項までの和 |
| aₙ = arⁿ⁻¹ | 等比数列の一般項。r は公比 |
| Sₙ = a(rⁿ − 1) / (r − 1) | 等比数列の和。r = 1 のときは Sₙ = na |
| Σk = n(n + 1) / 2、Σk² = n(n + 1)(2n + 1) / 6 | k は1から n まで。k の多項式の和に |
| Σk³ = {n(n + 1) / 2}² | 3乗の和。Σk の2乗と同じ形 |
| aₙ = a₁ + (b₁ + b₂ + … + bₙ₋₁) | 階差数列 bₙ から一般項を出す式。n ≥ 2 のとき |
| aₙ₊₁ = paₙ + q なら α = pα + q を解く | 漸化式の基本の型(p ≠ 1)。aₙ₊₁ − α = p(aₙ − α) に直せる |
| E(X) = x₁p₁ + … + xₙpₙ、V(X) = E(X²) − {E(X)}² | 確率変数 X の期待値と分散 |
| E(X) = np、V(X) = np(1 − p) | 二項分布 B(n, p) の期待値と分散 |
| Z = (X − m) / σ | 標準化。m は平均、σ は標準偏差 |
| 標本平均 ± 1.96 × σ / √n | 母平均の信頼度95%の信頼区間。n は標本の大きさ |
数学Ⅲの公式
| 公式 | 文字の意味と呼び出す条件 |
|---|---|
| a / (1 − r) | 無限等比級数の和。a は初項、公比 r は -1 < r < 1 |
| x を0に近づけると sin x / x は1に近づく | 三角関数の極限の基本 |
| n を限りなく大きくすると (1 + 1/n)ⁿ は e に近づく | 自然対数の底 e の定義 |
| (fg)’ = f’g + fg’ | 積の微分 |
| (f/g)’ = (f’g − fg’) / g² | 商の微分 |
| {f(g(x))}’ = f’(g(x)) g’(x) | 合成関数の微分 |
| (sin x)’ = cos x、(cos x)’ = -sin x、(tan x)’ = 1 / cos²x | 三角関数の微分。x の単位は弧度法 |
| (eˣ)’ = eˣ、(log x)’ = 1/x | 指数と対数の微分。log の底は e |
| ∫sin x dx = -cos x + C、∫cos x dx = sin x + C | 三角関数の積分。符号は微分の逆向き |
| ∫eˣ dx = eˣ + C、∫(1/x) dx = log(x の絶対値) + C | 指数と 1/x の積分。xⁿ の公式の n = -1 の場合はこちら |
| ∫f(g(x)) g’(x) dx = ∫f(u) du | 置換積分。u = g(x) とおく |
| ∫fg’ dx = fg − ∫f’g dx | 部分積分。積の形の積分に |
| V = π∫y² dx | x 軸のまわりの回転体の体積 |
数学Cの公式
| 公式 | 文字の意味と呼び出す条件 |
|---|---|
| a·b = (a の大きさ) × (b の大きさ) × cos θ | ベクトル a、b の内積。θ はなす角 |
| a·b = a₁b₁ + a₂b₂ | 内積の成分の式。a = (a₁, a₂)、b = (b₁, b₂) のとき |
| a·b = 0、a = kb | 順に垂直の条件と平行の条件。a、b は 0 ベクトルでない |
| (na + mb) / (m + n) | 線分を m : n に内分する点の位置ベクトル |
| (a + b + c) / 3 | 三角形の重心の位置ベクトル |
| z = r(cos θ + i sin θ) | 複素数の極形式。r は絶対値、θ は偏角 |
| (cos θ + i sin θ)ⁿ = cos nθ + i sin nθ | ド・モアブルの定理。n は整数 |
| y² = 4px | 放物線。焦点 (p, 0)、準線 x = -p |
| x²/a² + y²/b² = 1 | 楕円。軸の長さは 2a と 2b |
| x²/a² − y²/b² = 1 | 双曲線。漸近線は y = ±(b/a)x |
共通テストで使う範囲の目安
令和9年度の大学入学者選抜に向けた出題方法で見ると、共通テストの数学は2つの枠です。1つ目は「数学Ⅰ、数学A」か「数学Ⅰ」を選ぶ枠で、数学Aは図形の性質と場合の数と確率の2項目をすべて解きます。2つ目は「数学Ⅱ、数学B、数学C」の枠で、数列、統計的な推測、ベクトル、平面上の曲線と複素数平面の4項目から3項目を選びます。試験時間はどちらも70分で、数学Ⅲはここに入りません。
だから公式の表は、3つの段に分けて持つと無駄が出ません。
- 数学Ⅰ、数学Aの2項目、数学Ⅱの公式は必答の範囲です。問題を読んだら手が動く状態を目指します。
- 数列、統計的な推測、ベクトル、平面上の曲線と複素数平面は、自分が選ぶ3項目を先に決めます。残りの1項目の表は、個別試験で要らなければ後に回せます。
- 数学Ⅲは個別試験のための範囲です。共通テストの演習の時間に混ぜず、別の1枚にまとめます。
どの枠を受けるか、数学Ⅲが要るかは、志望校の募集要項で決まります。学校で習う順と学年も、学校やコースによって違います。翌年度以降の形は、大学入試センターの発表で確かめてください。
見落としやすい公式
表の上のほうの公式の陰に隠れやすいのに、計算の時間を大きく縮める式を4本挙げます。
- 6分の1公式: α から β までの (x − α)(x − β) の定積分は -(β − α)³ / 6 です。放物線と x 軸で囲まれた面積なら、展開せずに1行で終わります。
- 和から一般項を出す式: aₙ = Sₙ − Sₙ₋₁(n ≥ 2)です。和の式だけが与えられた数列に使い、n = 1 は a₁ = S₁ で別に確かめます。
- 分散のもう一つの式: s² = (x² の平均) − (x の平均)² です。平均が小数になる資料では、偏差を1つずつ2乗するより計算が短くなります。
- 成分で三角形の面積を出す式: a = (a₁, a₂)、b = (b₁, b₂) を2辺とする三角形の面積は、a₁b₂ − a₂b₁ の絶対値の半分です。座標がわかっていれば、角度を経由せずに答えが出ます。
なぜこの形になるのか
表の行を数えると、70行を超えます。ただ、何もないところから生まれた式はずっと少ない。図2は、科目をまたいで公式がどこから枝分かれしたかを、3本の幹にまとめたものです。

幹1は三平方の定理です。半径1の円の上の点 (cos θ, sin θ) に三平方の定理を当てると、sin²θ + cos²θ = 1 が出ます。三角形 ABC の頂点 C から辺 AB に垂線を引き、同じ定理を当てると a² = (c − b cos A)² + (b sin A)² となり、先の相互関係を使って整理すれば余弦定理です。A = 90° なら cos A = 0 で、元の三平方の定理に戻ります。内積はその先にあります。a、b を2辺とする三角形に余弦定理を使い、第3の辺 a − b の大きさの2乗を成分で展開すると、a₁b₁ + a₂b₂ = (a の大きさ) × (b の大きさ) × cos θ が残ります。数学Ⅰの定理と数学Cの内積は、別の冊子に載っているだけで中身は同じです。
幹2は加法定理です。β = α とおくだけで2倍角の公式になり、cos 2α = cos²α − sin²α に相互関係を入れると cos 2α = 1 − 2 sin²α です。これを sin²α について解いて α を θ/2 に置き換えれば半角の公式で、新しいことは何もしていません。合成は加法定理を右から左へ読んだものです。√(a² + b²) sin(θ + α) を展開すると √(a² + b²)(sin θ cos α + cos θ sin α) となり、cos α と sin α の値を入れると a sin θ + b cos θ に戻ります。
幹3は微分です。積分は微分の逆なので、(xⁿ)’ = nxⁿ⁻¹ を逆に読めば xⁿ の積分が出ます。積の微分 (fg)’ = f’g + fg’ の両辺を積分して移項すると部分積分、合成関数の微分を逆向きに読むと置換積分です。数学Ⅲの積分の公式が多く見えるのは、微分の公式を裏返した数だけあるからです。
幹に乗らない線も2本あります。1本は数え上げです。数学Aの nCr は、数学Ⅱの二項定理の係数になり、数学Bの二項分布の確率になります。(p + q)ⁿ を展開した1つの項 nCr × pʳ × qⁿ⁻ʳ は反復試行の確率そのもので、q = 1 − p なら全部の和は 1ⁿ = 1 です。確率の合計が1になることと、二項定理は同じ事実を言っています。もう1本は平均です。数学Ⅰの「2乗の平均から平均の2乗を引く」分散の式は、数学Bでは V(X) = E(X²) − {E(X)}² と書かれるだけで、形を変えていません。対数の公式も、指数法則 aᵐ × aⁿ = aᵐ⁺ⁿ を「かけ算は肩の足し算」と読み替えたものです。
例題で使い方を確かめる
公式を選ぶ力は、問題文のどの条件に反応するかで決まります。次の4問は、どれも最初の手順が計算ではなく条件の読み取りです。科目を順に並べず、やさしい順に置きました。
例題1(数学Ⅰ)2辺と間の角から残りを求める
三角形 ABC で b = 5、c = 8、A = 60° のとき、a と面積 S を求めなさい。
- 条件を読みます。2辺とその間の角がそろっているので、余弦定理と面積の公式の両方が使えると判断します。
- 余弦定理に入れます。a² = 5² + 8² − 2 × 5 × 8 × cos 60° = 25 + 64 − 40 = 49 です。cos 60° = 1/2 なので、80 の半分を引くことになります。a は長さで正の数なので a = 7 です。
- 面積の公式に入れます。S = (1/2) × 5 × 8 × sin 60° = 20 × (√3 / 2) = 10√3 です。b、c、A だけで決まる式なので、先に求めた a は使いません。
答え: a = 7、S = 10√3
例題2(数学C)成分からなす角を出し、面積までつなぐ
a = (2, 1)、b = (1, 3) のとき、なす角 θ(0° ≤ θ ≤ 180°)と、a、b を2辺とする三角形の面積 S を求めなさい。
- 内積を成分で計算します。a·b = 2 × 1 + 1 × 3 = 5 です。成分が与えられているときは、θ を知らなくても内積の値が先に出ます。
- 2つの大きさを出します。a の大きさは √(2² + 1²) = √5、b の大きさは √(1² + 3²) = √10 です。内積のもう一つの式に入れるのに必要だからです。
- cos θ を求めます。cos θ = 5 / (√5 × √10) = 5 / √50 = 5 / (5√2) = 1 / √2 なので、θ = 45° です。
- 面積は数学Ⅰの式で出します。S = (1/2) × √5 × √10 × sin 45° = (1/2) × 5√2 × (1 / √2) = 5/2 です。2辺と間の角がそろえば、ベクトルの問題でも同じ式が使えます。
答え: θ = 45°、S = 5/2
例題3(数学Ⅱ)放物線と x 軸で囲まれた面積
放物線 y = x² − 4x − 5 と x 軸で囲まれた部分の面積 S を求めなさい。
- x 軸との交点を出します。x² − 4x − 5 = (x + 1)(x − 5) = 0 より、x = -1、5 です。積分の範囲がここで決まるからです。
- 上下を確かめます。-1 < x < 5 では放物線が x 軸より下にあるので、面積は -(x² − 4x − 5) を積分して求めます。符号を忘れると負の面積が出ます。
- 6分の1公式を使います。S = {5 − (-1)}³ / 6 = 6³ / 6 = 36 です。因数分解できた時点で、展開して積分する手間は要りません。
- 展開して確かめます。F(x) = -x³/3 + 2x² + 5x とすると、F(5) = 100/3、F(-1) = -8/3 で、差は 108/3 = 36 です。2つの道の答えが一致したので安心できます。
答え: S = 36
例題4(数学Ⅲ)積の形の定積分
0 から π までの x sin x の定積分 I を求めなさい。
- 形を読みます。x と sin x の積で、片方を微分すると簡単になるので、部分積分を選びます。
- 役を決めます。f = x、g’ = sin x とすると、f’ = 1、g = -cos x です。微分して1になる x を f に回すと、次の積分が簡単になるからです。
- 公式に入れます。∫x sin x dx = x(-cos x) − ∫1 × (-cos x) dx = -x cos x + sin x + C です。
- 範囲を入れます。x = π のとき -π cos π + sin π = π、x = 0 のとき 0 なので、差をとると π です。
答え: I = π
まちがえやすいところ
次の3つの誤りは、根が同じです。かっこの中の足し算やかけ算を、外の記号がそのまま配ってくれると思い込むことです。どれも数を1つ入れるだけで見破れます。
1つ目: 加法定理を足し算にする
誤った書き方は sin(α + β) = sin α + sin β です。
どこが違うかは、α = β = 30° を入れるとわかります。左辺は sin 60° ≒ 0.866、右辺は 0.5 + 0.5 = 1 です。図3のように、sin のグラフは曲がっているので、角を2倍しても高さは2倍になりません。赤い線の分だけ、足し算の答えが飛び出します。

正しい書き方は sin(α + β) = sin α cos β + cos α sin β です。同じ値を入れると 0.5 × 0.866 + 0.866 × 0.5 ≒ 0.866 となり、左辺と合います。
2つ目: 積の微分を微分の積にする
誤った書き方は (fg)’ = f’g’ です。
どこが違うかは、f = x、g = x² で試すとわかります。fg = x³ なので正しい答えは 3x² ですが、誤った式では 1 × 2x = 2x となり、次数すら合いません。
正しい書き方は (fg)’ = f’g + fg’ です。1 × x² + x × 2x = 3x² で、正しい答えと合います。
3つ目: 対数で真数の足し算をばらす
誤った書き方は logₐ(M + N) = logₐ M + logₐ N です。
どこが違うかは、a = 2、M = 2、N = 6 を入れるとわかります。左辺は log₂ 8 = 3、右辺は 1 + log₂ 6 ≒ 3.585 です。対数の足し算に変わるのは、真数の足し算ではなくかけ算です。
正しい書き方は logₐ MN = logₐ M + logₐ N です。log₂(2 × 6) = log₂ 12 ≒ 3.585 で、右辺の値と合います。
覚え方と忘れたときの戻り方
70行を全部暗記する必要はありません。暗記するのは幹と、幹まで戻る道順です。試験中に公式が消えたら、次の順で戻ります。
- 半角の公式が出てこなければ、2倍角の cos 2α = 1 − 2 sin²α を解きます。2倍角も出てこなければ、加法定理で β = α とおきます。
- 余弦定理が出てこなければ、三角形に垂線を引いて三平方の定理を当てます。
- 等比数列の和が出てこなければ、S と rS を上下に並べて引きます。項がずれて、両端だけが残ります。
- 部分積分が出てこなければ、積の微分を書いて両辺を積分します。
加法定理の sin には「咲いたコスモス、コスモス咲いた」というよく使われる語呂があります。ただし語呂が教えてくれるのは sin と cos の並び方だけで、どちらに α が入るかは教えてくれません。そこは α = 30°、β = 60° を入れて確かめます。
教科書の山を1枚に畳むなら、次の手順で進めます。
- 教科書を閉じて、書ける公式を白紙に書き出します。書けなかった公式が、今いちばん要る行です。
- 書き出した式を、図2のように幹から枝へ矢印でつなぎます。科目ごとに並べ直すより、戻り道が目に見えます。
- 公式の横に、呼び出す条件を1行添えます。余弦定理なら「2辺と間の角か、3辺」です。条件がないと、問題文を読んでも式が浮かびません。
- 確かめに使う値を1つ書いておきます。A = 90°、α = β = 30°、n = 1 のように暗算で済む値があれば、試験中に自分の記憶を疑えます。
練習問題
3問とも、上の表と「見落としやすい公式」のどの式を呼び出すかを先に決めてから計算してください。
- 練習1(数学A)袋に赤玉4個と白玉3個が入っています。同時に2個取り出すとき、少なくとも1個が白玉である確率を求めなさい。
- 練習2(数学B)初項から第 n 項までの和が Sₙ = n² + 4n である数列の一般項 aₙ を求めなさい。
- 練習3(数学Ⅱ)log₂ 12 − log₂ 3 + log₄ 16 の値を求めなさい。
答えと解説
練習1の答えは 5/7 です。「少なくとも1個」の言葉で余事象を呼び出します。2個とも赤玉である確率は 4C2 / 7C2 = 6 / 21 = 2/7 なので、1 − 2/7 = 5/7 です。白玉が1個の場合と2個の場合を足しても同じ値になりますが、場合分けが増える分だけ遠回りです。
練習2の答えは aₙ = 2n + 3 です。和の式が与えられているので、和から一般項を出す式を呼び出します。n ≥ 2 のとき aₙ = Sₙ − Sₙ₋₁ = n² + 4n − {(n − 1)² + 4(n − 1)} = 2n + 3 です。この式は n ≥ 2 でしか保証されないので、別に確かめます。a₁ = S₁ = 1 + 4 = 5 で、2 × 1 + 3 = 5 と一致するので、n = 1 でも成り立ちます。
練習3の答えは 4 です。底が2の項どうしは商の形にまとめて log₂(12 / 3) = log₂ 4 = 2 です。残りは底が違うので底の変換を呼び出し、log₄ 16 = log₂ 16 / log₂ 4 = 4 / 2 = 2 です。合わせて 2 + 2 = 4 になります。
次に確かめる公式
- 加法定理: 75° や 15° のように、有名な角の和や差で書ける角の sin と cos の値を求めるときに使います。
- シグマの公式: k の多項式の和を、n の式にまとめるときに使います。
- 解と係数の関係: 2つの解を求めずに、α + β や αβ から式の値を出すときに使います。
個別指導では、公式を思い出せない生徒に表を見せ直す前に、どの幹まで戻れば手が動くかを確かめます。部分積分なら積の微分まで、積の微分があやしければ数学Ⅱの (xⁿ)’ まで戻ります。
まとめ
70行を見て気が重くなるのは、1行ずつを別の物として数えているからです。新しい教科書を開いた最初の週に、表の行へ幹からの矢印を引いてみてください。矢印の引けない行だけが、本当に覚える行です。春の教科書の山は、それで低くなります。
教科書が6冊あっても、公式の住所を決めるのは科目名ではなく、どの幹から枝分かれしたかです。
読んで終わりにするか、ここから変えるか。
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