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数学の公式一覧—中学から高校まで、単元ごとに一枚で見渡す|武蔵野個別指導塾

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中1のおうぎ形から数学Ⅲの部分積分まで、代表の公式を学年と単元の表に並べました。三平方の定理から内積へ続く矢印をたどれば、丸暗記する式は思いのほか減るはずです。

学年・科目 公式 文字の意味
中1 おうぎ形の面積 S = πr² × a/360 r は半径、a は中心角(度)
中1 球の体積 V = (4/3)πr³、球の表面積 S = 4πr² r は半径
中2 一次関数 y = ax + b a は傾き、b は切片
中3 解の公式 x = (-b ± √(b² − 4ac)) / (2a) a、b、c は ax² + bx + c = 0 の係数
中3 三平方の定理 a² + b² = c² a、b は直角をはさむ辺、c は斜辺
数学Ⅰ 余弦定理 a² = b² + c² − 2bc cos A 角 A は辺 a の向かい側の角
数学A 組合せ ₙCᵣ = n! / {r!(n − r)!} n 個から r 個を選ぶ選び方の数
数学Ⅱ sin の加法定理 sin(α + β) = sin α cos β + cos α sin β α、β は角
数学Ⅱ 微分と積分 (xⁿ)’ = nxⁿ⁻¹、∫xⁿ dx = xⁿ⁺¹ / (n + 1) + C n は正の整数、C は積分定数
数学B 等差数列 aₙ = a₁ + (n − 1)d a₁ は初項、d は公差
数学C 内積 a・b = x₁x₂ + y₁y₂ a = (x₁, y₁)、b = (x₂, y₂) はベクトルの成分
数学Ⅲ 部分積分 ∫f g’ dx = fg − ∫f’ g dx f、g は x の関数

よくあるのは、大掃除で押し入れの奥からノートの束が出てくる場面です。中1の頁には鉛筆で描いたおうぎ形、高2の頁には自分の字で並んだ sin と cos。書いた覚えはあるのに、どの学年の式で何に使うのか、すぐには言葉が出てきません。古紙の回収日の前に、開いた頁の公式が全体のどこに座るのかだけ確かめておきたくなります。上の表はその入口で、ここから単元ごとの全体図と、式どうしのつながりへ進みます。

公式の一覧

図1のように、学校で習う公式の置き場所は 1 枚の地図にできます。縦に式、図形、関数、確率の 4 領域を取り、横に中学、数学Ⅰ・A(図では ⅠA)、数学Ⅱ・B(ⅡB)、数学Ⅲ・C(ⅢC)と進みます。升目の語はその場所の目印です。横に読むと同じ領域がどう太くなるかが見え、縦に読むと同じ時期に何を習うかが見えます。右下が「なし」なのは、数学Ⅲと数学Cに確率や統計の単元が無いからです。

図1 公式の置き場所を4領域と4段階で並べた地図

単元と学年の対応表

ノートの頁がどの科目のものかは、次の表で見当がつきます。

学年・科目 主な単元
中1 正の数と負の数、文字式、一次方程式、比例と反比例、平面図形、空間図形、データの分布
中2 式の計算、連立方程式、一次関数、図形の性質と合同、確率、箱ひげ図
中3 式の展開と因数分解、平方根、二次方程式、関数 y = ax²、相似、円周角、三平方の定理、標本調査
数学Ⅰ 数と式、図形と計量、二次関数、データの分析
数学A 図形の性質、場合の数と確率、数学と人間の活動
数学Ⅱ いろいろな式、図形と方程式、指数関数と対数関数、三角関数、微分と積分の考え
数学B 数列、統計的な推測、数学と社会生活
数学C ベクトル、平面上の曲線と複素数平面、数学的な表現の工夫
数学Ⅲ 極限、微分法、積分法

数学Bと数学Cは、学校によって扱う単元や順番が違います。手元の教科書の目次が最後の決め手です。2012年度から2021年度に高校へ入学した人のノートでは、ベクトルが数学B、複素数平面が数学Ⅲに入っています。束の中に家族のノートが混ざっていれば、科目の札が今とずれていても不思議ではありません。

中学の公式

学年 単元 公式 文字・条件
中1 比例と反比例 y = ax、y = a/x a は比例定数
中1 円 円周 ℓ = 2πr、面積 S = πr² r は半径
中1 おうぎ形 弧 ℓ = 2πr × a/360、面積 S = πr² × a/360 a は中心角(度)
中1 立体の体積 柱 V = Sh、錐 V = (1/3)Sh S は底面積、h は高さ
中1 球 体積 V = (4/3)πr³、表面積 S = 4πr² r は半径
中1 データの分布 相対度数 = (その階級の度数) / (度数の合計) すべて足すと 1
中2 一次関数 y = ax + b、変化の割合 = (y の増加量) / (x の増加量) = a 変化の割合は傾きと同じ値
中2 多角形の角 内角の和 180 × (n − 2) 度、外角の和 360 度 n 角形
中2 確率 p = (起こる場合の数) / (全部の場合の数) どの場合も同様に確からしいとき
中2 箱ひげ図 四分位範囲 = 第3四分位数 − 第1四分位数 データの中央の約半分の広がり
中3 乗法公式 (x + a)(x + b) = x² + (a + b)x + ab 和と積で係数が決まる
中3 平方の展開 (a + b)² = a² + 2ab + b²、(a − b)² = a² − 2ab + b² 真ん中の項を落とさない
中3 和と差の積 (a + b)(a − b) = a² − b² 真ん中の項が消える
中3 平方根 √a × √b = √(ab) a > 0、b > 0
中3 二次方程式 x = (-b ± √(b² − 4ac)) / (2a) ax² + bx + c = 0、a ≠ 0
中3 関数 y = ax² x が p から q まで変わるときの変化の割合 = a(p + q) p と q は異なる値
中3 相似 相似比 m:n のとき面積比 m²:n²、体積比 m³:n³ 体積比は相似な立体のとき
中3 円周角 円周角 = 中心角 ÷ 2 同じ弧に対する角
中3 三平方の定理 a² + b² = c² c は斜辺

数学Ⅰと数学Aの公式

科目 単元 公式 文字・条件
数学Ⅰ 二次関数 y = a(x − p)² + q の頂点は (p, q)、軸は x = p 平方完成で作る形
数学Ⅰ 絶対値 √(a²) は a の絶対値 a < 0 のときは -a になる
数学Ⅰ 判別式 D = b² − 4ac D > 0 で実数解 2 個、D = 0 で 1 個、D < 0 で 0 個
数学Ⅰ 三角比の相互関係 sin²θ + cos²θ = 1、tan θ = sin θ / cos θ、1 + tan²θ = 1 / cos²θ tan を含む式は cos θ ≠ 0 のとき
数学Ⅰ 正弦定理 a / sin A = b / sin B = c / sin C = 2R R は外接円の半径
数学Ⅰ 余弦定理 a² = b² + c² − 2bc cos A 2 辺と間の角、または 3 辺がわかるとき
数学Ⅰ 三角形の面積 S = (1/2)bc sin A A は b と c の間の角
数学Ⅰ 分散と標準偏差 s² = (x² の平均) − (x の平均)²、s = √(s²) s は標準偏差
数学A 順列 ₙPᵣ = n! / (n − r)! n 個から r 個を選んで並べる
数学A 組合せ ₙCᵣ = n! / {r!(n − r)!} 順番を区別せずに選ぶ
数学A 余事象 (A が起きない確率) = 1 − P(A) 「少なくとも」の問題で効く
数学A 反復試行 ₙCᵣ pʳ (1 − p)ⁿ⁻ʳ 確率 p の試行を n 回行って r 回起きる
数学A 条件付き確率 (A のもとで B が起きる確率) = P(A∩B) / P(A) P(A) > 0
数学A 方べきの定理 PA × PB = PC × PD 点 P を通る 2 直線が円と A、B および C、D で交わる

数学Ⅱの公式

単元 公式 文字・条件
3 次の展開 (a + b)³ = a³ + 3a²b + 3ab² + b³ 係数は 1、3、3、1
3 次の因数分解 a³ + b³ = (a + b)(a² − ab + b²)、a³ − b³ = (a − b)(a² + ab + b²) 後ろのかっこの符号に注意
二項定理 (a + b)ⁿ の一般項は ₙCᵣ aⁿ⁻ʳ bʳ r は 0 から n まで
相加平均と相乗平均 (a + b) / 2 ≧ √(ab) a > 0、b > 0。等号は a = b のとき
虚数単位 i² = -1 判別式が負の二次方程式も解ける
解と係数の関係 α + β = -b/a、αβ = c/a ax² + bx + c = 0 の 2 解を α、β とする
2 点間の距離 √{(x₂ − x₁)² + (y₂ − y₁)²} 座標平面上の 2 点
円の式 (x − a)² + (y − b)² = r² 中心 (a, b)、半径 r
点と直線の距離 d = (ax₁ + by₁ + c の絶対値) / √(a² + b²) 点 (x₁, y₁)、直線 ax + by + c = 0
指数法則 aᵐ × aⁿ = aᵐ⁺ⁿ、(aᵐ)ⁿ = aᵐⁿ a > 0
対数の性質 logₐ(MN) = logₐ M + logₐ N M > 0、N > 0、a > 0、a ≠ 1
底の変換 logₐ b = (log₁₀ b) / (log₁₀ a) 10 以外の底でも同じ形
弧度法 180 度 = π ラジアン、弧 ℓ = rθ、面積 S = (1/2)r²θ θ はラジアン
cos の加法定理 cos(α + β) = cos α cos β − sin α sin β β を -β にすれば差の形
2 倍角 sin 2θ は 2 sin θ cos θ、cos 2θ は 1 − 2 sin²θ 加法定理で α = β = θ と置く
合成 a sin θ + b cos θ を √(a² + b²) sin(θ + α) にまとめる α は点 (a, b) の向きの角
微分 (xⁿ)’ = nxⁿ⁻¹ n は正の整数
接線 y − f(a) = f’(a)(x − a) 点 (a, f(a)) での接線
不定積分 ∫xⁿ dx = xⁿ⁺¹ / (n + 1) + C n は 0 以上の整数、C は積分定数
定積分 ∫ₐᵇ f(x) dx = F(b) − F(a) F は f の原始関数
6 分の 1 公式 ∫ₐᵇ (x − a)(x − b) dx = -(b − a)³ / 6 a、b は積分の両端

数学Bと数学Cの公式

科目 単元 公式 文字・条件
数学B 等差数列 aₙ = a₁ + (n − 1)d、Sₙ = n(a₁ + aₙ) / 2 d は公差
数学B 等比数列 aₙ = a₁rⁿ⁻¹、Sₙ = a₁(rⁿ − 1) / (r − 1) r ≠ 1。r = 1 なら Sₙ = na₁
数学B Σ の公式 Σk は n(n + 1) / 2、Σk² は n(n + 1)(2n + 1) / 6、Σk³ は {n(n + 1) / 2}² k は 1 から n まで
数学B 階差数列 aₙ = a₁ + (b₁ から bₙ₋₁ までの和) n ≧ 2、bₙ = aₙ₊₁ − aₙ
数学B 確率変数 V(X) = E(X²) − {E(X)}² E は平均、V は分散
数学B 二項分布 E(X) = np、V(X) = np(1 − p) X は n 回中に起きる回数
数学B 標準化 Z = (X − m) / σ m は平均、σ は標準偏差
数学C ベクトルの大きさ √(x² + y²)、空間なら √(x² + y² + z²) 成分 (x, y)、(x, y, z)
数学C 内積 a・b = (a の大きさ)(b の大きさ) cos θ θ はなす角
数学C 垂直の条件 a・b = 0 どちらも零ベクトルでないとき
数学C 内分点 (na + mb) / (m + n) 位置ベクトル a、b を結ぶ線分を m:n に内分
数学C 重心 (a + b + c) / 3 a、b、c は三角形の頂点の位置ベクトル
数学C 楕円 x²/a² + y²/b² = 1 a > 0、b > 0
数学C ド・モアブルの定理 (cos θ + i sin θ)ⁿ = cos nθ + i sin nθ n は整数

数学Ⅲの公式

単元 公式 文字・条件
極限 x → 0 のとき sin x / x → 1 x はラジアン
積の微分 (fg)’ = f’g + fg’ f、g は x の関数
商の微分 (f/g)’ = (f’g − fg’) / g² g ≠ 0
合成関数の微分 {f(g(x))}’ = f’(g(x)) g’(x) 外の微分と中の微分の積
三角関数の微分 (sin x)’ は cos x、(cos x)’ は -sin x、(tan x)’ は 1 / cos²x x はラジアン
指数と対数の微分 (eˣ)’ = eˣ、(log x)’ = 1/x log の底は e
基本の積分 ∫sin x dx = -cos x + C、∫eˣ dx = eˣ + C 微分の表を逆に読む
1/x の積分 ∫(1/x) dx = log(x の絶対値) + C x ≠ 0
部分積分 ∫f g’ dx = fg − ∫f’ g dx 積の微分の逆
置換積分 ∫f(x) dx = ∫f(g(t)) g’(t) dt x = g(t) と置く
回転体の体積 V = π∫ₐᵇ y² dx x 軸のまわりに回す

なぜこの形になるのか

表に並ぶと別々の式に見えますが、多くは 1 本の式から生えた枝です。図2のように、太い筋だけを抜き出すと 3 本に収まります。矢印の元を覚えていれば、矢印の先は紙の上で作り直せます。

図2 三平方の定理、平方完成、球の体積から出る3本の筋

いちばん太いのは三平方の定理から出る筋です。a² + b² = c² を座標平面に置くと、2 点の距離 √{(x₂ − x₁)² + (y₂ − y₁)²} になります。点 (a, b) からの距離が r である点を集めれば (x − a)² + (y − b)² = r² で、これが数学Ⅱの円の式です。斜辺が 1 の直角三角形で同じ定理を読むと、sin²θ + cos²θ = 1 が出ます。

余弦定理は、距離の式と sin²θ + cos²θ = 1 が合流した先にあります。頂点 A を原点に置き、B を (c, 0)、C を (b cos A, b sin A) とします。BC の長さを距離の式で書き、sin²A + cos²A = 1 でまとめると、a² = b² + c² − 2bc cos A が現れます。A = 90 度なら cos A = 0 で、三平方の定理に戻ります。さらに、2 つのベクトルが作る三角形に余弦定理を当てて成分で書くと、(a の大きさ)(b の大きさ) cos θ = x₁x₂ + y₁y₂ という内積の式が残ります。中3の定理が、数学Cの内積まで一続きです。

2 本目は平方完成です。(x + p)² = x² + 2px + p² を逆に使って ax² + bx + c = 0 を変形すると、解の公式が出ます。根号の中の b² − 4ac を取り出したものが判別式で、実数解の個数はこの符号だけで決まります。同じ変形を y = ax² + bx + c に施すと、頂点の座標 (-b / (2a), -(b² − 4ac) / (4a)) が出ます。中3の二次方程式と数学Ⅰの二次関数は、同じ計算の別の読み方です。

3 本目は意外な近道です。球の体積 (4/3)πr³ を r で微分すると 4πr² で、表面積になります。円の面積 πr² を微分すれば 2πr で、円周になります。半径をほんの少し増やすと、増えた分は薄い皮のような形になり、その広さが表面積だからです。中1で別々に覚えた 2 つの式の片方は、数学Ⅱの微分 1 回で作れます。

ほかにも短い矢印があります。等差数列の和 n(a₁ + aₙ) / 2 は、台形の (上底 + 下底) × 高さ ÷ 2 と同じ形です。指数法則 aᵐ × aⁿ = aᵐ⁺ⁿ を log で読み替えると logₐ(MN) = logₐ M + logₐ N になり、加法定理で α = β と置けば 2 倍角です。数学Ⅲの部分積分は、積の微分 (fg)’ = f’g + fg’ の両辺を積分して並べ替えた式です。

例題で使い方を確かめる

どの問題でも、最初の仕事は計算ではなく、表のどの行を使うかを決めることです。易しい順に 4 問、学年をまたいで確かめます。

例題1 半径 6 cm、中心角 120 度のおうぎ形の弧の長さと面積を求めてください(中1)

  1. 中学の表からおうぎ形の行を選びます。問題文にあるのが半径と中心角で、この 2 つだけで決まる式だからです。
  2. 中心角の割合を 120/360 = 1/3 と先に約分します。おうぎ形は円の一部なので、円の何分のいくつかを決めておくと計算が短くなります。
  3. 弧の長さを 2π × 6 × 1/3 = 4π と計算します。円周 12π の 3 分の 1 を取っているだけです。
  4. 面積を π × 6² × 1/3 = 12π と計算します。半径を 2 乗するのは面積だけで、弧では 2 乗しません。

答え: 弧の長さ 4π cm、面積 12π cm²

例題2 二次方程式 2x² − 3x − 1 = 0 を解いてください(中3)

  1. 先に因数分解を試します。短く済む道があるなら、そちらを使いたいからです。(2x + 1)(x − 1) = 2x² − x − 1 も (2x − 1)(x + 1) = 2x² + x − 1 も -3x の項が合わないので、解の公式の行へ移ります。
  2. a = 2、b = -3、c = -1 と符号ごと読み取ります。公式は符号を含めた係数を入れる式なので、ここで符号を落とすと最後まで狂います。
  3. 根号の中を b² − 4ac = 9 + 8 = 17 と先に計算します。判別式として読めば正の値なので、実数解が 2 個あると見通せます。
  4. -b = 3 と 2a = 4 を入れて x = (3 ± √17) / 4 とまとめます。17 は平方数を因数に持たないので、これ以上は簡単になりません。

答え: x = (3 ± √17) / 4

例題3 三角形 ABC で b = 3、c = 5、A = 120 度のとき、辺 a の長さと面積 S を求めてください(数学Ⅰ)

  1. 2 辺とその間の角がわかっているので、余弦定理の行を選びます。正弦定理は向かい合う辺と角の組が要るので、ここでは使えません。
  2. a² = 3² + 5² − 2 × 3 × 5 × cos 120度 と書き、cos 120度 = -1/2 を入れます。鈍角の cos は負の値なので、引き算が足し算に変わります。
  3. a² = 9 + 25 + 15 = 49 より a = 7 です。辺の長さは正なので、-7 は取りません。
  4. S = (1/2) × 3 × 5 × sin 120度 = (1/2) × 15 × √3/2 = 15√3/4 と計算します。b と c の間の角がそのまま使えるので、求めたばかりの a は要りません。

答え: a = 7、S = 15√3/4

例題4 放物線 y = x² − 4x + 3 と x 軸で囲まれた部分の面積を求めてください(数学Ⅱ)

  1. x² − 4x + 3 = (x − 1)(x − 3) と因数分解し、x 軸との交点 x = 1、3 を出します。積分の範囲は交点で決まるので、中3の表の式から始めます。
  2. 1 < x < 3 では y が負なので、面積を求める式は -∫₁³ (x² − 4x + 3) dx です。グラフが x 軸より下にあると定積分の値は負になり、そのままでは面積になりません。
  3. 原始関数 F(x) = x³/3 − 2x² + 3x を作ります。F(3) = 9 − 18 + 9 = 0、F(1) = 1/3 − 2 + 3 = 4/3 なので、定積分は 0 − 4/3 = -4/3 で、面積はその符号を変えた 4/3 です。
  4. 6 分の 1 公式で確かめます。(3 − 1)³ / 6 = 8/6 = 4/3 で一致します。別の道で同じ値が出れば、計算の誤りをほぼ消せます。

答え: 面積は 4/3

例題4は、中3の因数分解で範囲を決め、数学Ⅱの積分で面積を出しました。学年の表を行き来して解く問題は珍しくありません。単元の境目に壁は無いと思って、表を横断してください。

まちがえやすいところ

一覧で見渡すと、学年が違うのに同じ型の誤りが繰り返されていることに気づきます。3 つに絞ります。

足し算をかっこの外へ配ってしまう

誤った書き方: (a + b)² = a² + b²。同じ型に、√(a + b) = √a + √b、sin(α + β) = sin α + sin β、log(a + b) = log a + log b があります。

どこが違うか: 2 乗も根号も sin も log も、足し算を分けて配ってはくれません。図3のように、a = 3、b = 4 として 1 辺 7 の正方形を切ると、全体の面積は 49 です。a² と b² の 2 枚は 9 + 16 = 25 しかなく、残りの長方形 2 枚、12 + 12 = 24 が抜け落ちています。その 24 が 2ab です。根号でも、√(9 + 16) = 5 に対して √9 + √16 = 7 で一致しません。

図3 1辺7の正方形を切ると長方形2枚ぶんの2abが見える

正しい書き方: (a + b)² = a² + 2ab + b² です。sin(α + β) は加法定理で開きます。log が和に開くのは中身が積のときで、logₐ(MN) = logₐ M + logₐ N です。

条件を落として式を使う

誤った書き方: √(a²) = a とする。公比 1 の等比数列の和を a₁(rⁿ − 1) / (r − 1) で出す。∫(1/x) dx を、∫xⁿ dx = xⁿ⁺¹ / (n + 1) + C に n = -1 を入れて計算する。

どこが違うか: 公式は表の右の欄の条件とひと組です。a = -3 なら √((-3)²) = √9 = 3 で、-3 にはなりません。残りの 2 つは分母が 0 になり、式そのものが意味を失います。

正しい書き方: √(a²) は a の絶対値です。r = 1 のときの和は Sₙ = na₁ です。∫(1/x) dx = log(x の絶対値) + C です。

度のまま、ラジアンの式へ入れる

誤った書き方: 半径 6、中心角 120 度のおうぎ形の弧を ℓ = rθ = 6 × 120 = 720 とする。

どこが違うか: 中1のおうぎ形の式は度で、数学Ⅱの ℓ = rθ はラジアンで書かれています。半径 6 の円は 1 周しても 12π、約 37.7 しかありません。弧が 720 になるはずがないと、大きさを見れば気づけます。

正しい書き方: 120 度 = 2π/3 ラジアンに直し、ℓ = 6 × 2π/3 = 4π とします。例題1の答えと一致します。

覚え方と忘れたときの戻り方

どこまで暗記するかは、導き直しにかかる時間と使う回数で決めます。試験中に何度も使うのに導くと 1 分以上かかる式は暗記し、数十秒で導ける式は導き方を覚えます。使う時期が限られる式は、その範囲のテストの前に覚え直せば足ります。

扱い 公式の例 決め手
暗記する 乗法公式、解の公式、三平方の定理、sin²θ + cos²θ = 1、余弦定理、加法定理、xⁿ の微分と積分、等差数列と等比数列の一般項 何度も使い、ほかの式の出発点になる
導き直す 2 倍角、判別式、球の表面積、等差数列の和、部分積分、6 分の 1 公式 矢印の元から数行で作れる
試験前に覚え直す 点と直線の距離、方べきの定理、標準化、ド・モアブルの定理 範囲に入った時期だけ要り、普段は表で確かめれば足りる

忘れたときは、次の順に戻ります。

  1. 図1で領域と学年を決めます。科目の見当がつけば、どの教科書を開くかが定まります。
  2. 図2の矢印を 1 本さかのぼります。余弦定理が出なければ、距離の式と sin²θ + cos²θ = 1 に戻ります。
  3. 作った式に特別な値を入れます。余弦定理なら A = 90 度で三平方の定理に戻るか、cos 2θ = 1 − 2 sin²θ なら θ = 0 で 1 になるかを見ます。

値は 2 組試してください。1 組だけだと偶然の一致に出会います。誤った式 log(a + b) = log a + log b でも、底を 2、a = b = 2 にすると両辺とも 2 で一致してしまいます。a = 2、b = 6 に変えれば左辺は 3、右辺は約 3.58 で、誤りが見えます。

語呂は補助として使えます。球の体積は「身の上に心配あるので参上」、表面積は「心配ある事情」、sin の加法定理は「咲いたコスモス、コスモス咲いた」がよく使われる語呂です。ただ、語呂は条件までは運んでくれません。お子さまのノートを一緒に開くときは、暗唱させるより、図2の矢印を 1 本説明してもらってください。説明が止まった場所が、戻る場所です。

練習問題

計算を始める前に、表のどの行を使うかを声に出してから解いてください。

練習1 半径 3 cm の球の体積と表面積を求めてください。

練習2 3 辺の長さが 5、7、8 の三角形で、長さ 7 の辺の向かい側の角の大きさを求めてください。

練習3 等比数列 2、6、18、… の第 5 項と、初項から第 5 項までの和を求めてください。

答えと解説

練習1 使うのは中学の表の球の行です。体積は V = (4/3)π × 3³ = 36π cm³、表面積は S = 4π × 3² = 36π cm² です。どちらも 36π という値ですが、単位が cm³ と cm² で別の量なので、比べても意味はありません。この一致は半径がちょうど 3 のときにだけ起きます。

練習2 使うのは数学Ⅰの余弦定理の行で、3 辺がわかっているので角について解きます。求める角を θ とすると、7² = 5² + 8² − 2 × 5 × 8 × cos θ です。これを cos θ について解くと、cos θ = (25 + 64 − 49) / 80 = 40/80 = 1/2 で、θ は 60 度です。

練習3 使うのは数学Bの等比数列の行で、初項は 2、公比は 3 です。第 5 項は 2 × 3⁴ = 162 です。和は 2(3⁵ − 1) / (3 − 1) = 243 − 1 = 242 で、2 + 6 + 18 + 54 + 162 と直接足しても 242 になります。公比が 1 でないことを先に確かめるのを忘れないでください。

次に確かめる公式

個別指導では、公式が出てこない場面でも式を書き写して覚え直すことから始めません。図2の矢印を逆にたどり、自分の言葉で説明できるところまで戻って確かめます。

まとめ

ノートの束は学年ごとに分かれていても、式は学年の区切りを知りません。余弦定理で手が止まっても、戻る先は中3の直角三角形です。束を古紙に出した後も、矢印だけは紙に描き直せます。公式を 1 つ忘れても、失うのは枝 1 本で、幹は残っています。三平方の定理を書ける手は、内積の入口にもう届いています。

読んで終わりにするか、ここから変えるか。

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