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【物理】交流回路を図解で総まとめ—実効値・抵抗 コイル コンデンサーの位相・リアクタンス・共振|武蔵野個別指導塾

抵抗・コイル・コンデンサーの波形と電圧の合成図から、実効値や位相差を読み解きます。RLC直列回路の共振と変圧器まで、計算例と練習問題で理解を確かめられます。
よくあるのは、塾の玄関の傘立ての前で、帰る前にノートを開き、「直列なら電圧は足せるはずなのに、なぜ交流では平方根が出るのですか」と手が止まる場面です。抵抗にもコイルにもコンデンサーにも電圧がかかるのに、それぞれの値を足した答えが電源の電圧と合いません。直流回路で身につけた規則が使えなくなったように感じるかもしれません。
実際には、キルヒホッフの法則は交流でも成り立ちます。変わるのは、電圧と電流が時間とともに変化し、その山や谷が現れる時刻が部品によってずれることです。このずれを「位相」で表せば、なぜ単純に足せないのかが見えてきます。まず瞬間の値と実効値を区別し、次に各部品の波形を読み、最後に回路全体を組み立てましょう。共振や変圧器の計算も、この順序で考えると意味のある式として扱えます。
この単元で身につけること
- 交流の周期・周波数・角周波数を結びつけます。1回の変化にかかる時間と、単位時間あたりの回数を区別し、正弦波の式から必要な量を読み取ります。
- 瞬間値・最大値・実効値を使い分けます。実効値は単なる平均ではなく、抵抗で生じる熱を基準にした値だと説明できるようにします。
- 抵抗・コイル・コンデンサーの位相関係を波形で確かめます。何に対して何が進むのか、比較する量を省略せずに表現します。
- リアクタンスとインピーダンスを求めます。単位がどちらもΩでも、抵抗と同じように熱を消費する量ではないことを押さえます。
- RLC直列回路の共振と理想的な変圧器を計算します。共振では打ち消される電圧が何か、変圧器では保存される量が何かを説明します。
前提になるのは、直流回路のオームの法則、コンデンサーの電気容量、コイルの自己誘導です。三角関数は角度の計算だけでなく、繰り返す変化を表す道具として使います。計算に進む前に、電圧を読む場所と電流の正の向きを決める習慣をつけておくと、符号の混乱を減らせます。
基本の考え方
交流の発生と実効値
交流とは、大きさと向きが周期的に変わる電流です。高校物理で基本にするのは、正弦関数で表される正弦波交流です。時間tにおける電圧の瞬間値をv、電圧の最大値をV₀とすると、時間の原点を適切に選んでv=V₀sinωtと書けます。ここでωは角周波数で、単位はrad/sです。1周期Tの間に位相ωtが2πだけ進むため、ωT=2π、したがってω=2πf、f=1/Tとなります。周波数fの単位はHz、周期Tの単位はsです。
交流を発生させる基本の仕組みは電磁誘導です。一様な磁場の中でコイルを一定の角速度で回すと、コイルを貫く磁束が変わります。磁場の大きさをB、コイルの面積をSとし、面に垂直な向きと磁場のなす角をωtに選ぶと、1巻きあたりの磁束はΦ=BScosωtです。N巻きの誘導起電力は磁束の変化の速さに比例し、その変化を妨げる向きに生じます。ファラデーの電磁誘導の法則から、向きの取り方をそろえればe=NBSωsinωtとなり、最大値はNBSωです。
この関係は微分を使うとe=−N dΦ/dtで確かめられます。微分を使わずに波形を読むなら、コイルの面が磁場に垂直な瞬間には磁束が最大でも、その前後の変化が小さいことに注目します。面が磁場に平行になる瞬間には磁束は0ですが、変化は最も速くなります。「磁束が大きいと起電力も大きい」のではなく、「磁束が速く変わると起電力が大きい」のです。正弦波を表す回転の射影を使えば、磁束と起電力の山が1/4周期ずれることも説明できます。
電圧の1周期の平均をとると、正の部分と負の部分が打ち消されて0になります。しかし、交流を抵抗に流すと熱は発生します。電流の向きが逆になっても、ジュール熱は負にならないからです。そこで、同じ抵抗で同じ時間に同じ熱量を発生させる直流の電流を、交流電流の実効値Iと定義します。電圧についても同様に実効値Vを定めます。
抵抗Rにi=I₀sinωtが流れると、瞬間の電力はRi²=RI₀²sin²ωtです。sin²θとcos²θの和が1で、両者は1周期全体では同じ平均をもつので、sin²ωtの1周期平均は1/2です。このため平均電力はRI₀²/2になります。直流の電力RI²と等しく置くと、I=I₀/√2です。同様にV=V₀/√2となります。この導き方なら積分を使う必要はありません。√2で割る関係は正弦波交流のもので、形の異なる周期波に無条件で当てはめてはいけません。
以後、大文字V・Iは実効値、下付き0のあるV₀・I₀は最大値、小文字v・iは瞬間値として区別します。数値計算は教科書で用いる円周率πを使い、途中では桁を保って最後に有効数字3桁に丸めます。理想的なコイルの巻線抵抗やコンデンサーの損失は無視し、回路をつないだ直後の過渡的な変化が終わった、定常状態の正弦波交流を考えます。
抵抗・コイル・コンデンサーの波形
位相とは、周期的な変化が1周期のどの位置にあるかを示す量です。2つの波形が同じ時刻に山になり、同じ向きに0を通るなら同位相です。一方の山が他方より先に現れるなら、その波形の位相が進んでいると表現します。1/4周期の時間差は、位相差ではπ/2 radです。
抵抗だけなら、どの瞬間にもv=Riが成り立ちます。v=V₀sinωtを加えるとi=(V₀/R)sinωtとなり、電圧と電流は同位相です。最大値どうしでも実効値どうしでもV=RIという形の関係が使えます。電圧が正のとき電流も正になり、積viは負になりません。
コイルでは自己誘導が電流の変化を妨げます。自己インダクタンスをL、単位をHとすると、誘導起電力は−L di/dtです。電流が入る側から出る側への端子電圧は、この起電力と符号を区別してv=L di/dtと書きます。電流をi=I₀sinωtとすればv=ωLI₀cosωtなので、電圧の位相が電流よりπ/2進みます。同じことを電流について言えば、「コイルの電流は電圧よりπ/2遅れる」です。
微分を使わずに考えるには、正弦波の電流の傾きを見ます。電流が0から増える瞬間は変化が速いため、大きな電圧が必要です。電流が最大になる瞬間は増加から減少に移るため、変化の速さも電圧も0になります。正弦波の傾きは1/4周期先の波形に対応し、その振幅には角周波数ωがかかります。この関係からV₀=ωLI₀、つまりV=X_LI、X_L=ωLとなります。X_Lは誘導リアクタンスで、交流の電流を流れにくくする働きの大きさを表し、単位はΩです。
コンデンサーの電気容量をC、単位をFとすると、一方の極板の電荷qと端子電圧vはq=Cvで結ばれます。その極板へ流れ込む電流は電荷の増加の速さなので、i=dq/dtです。v=V₀sinωtならi=ωCV₀cosωtとなり、電流が電圧よりπ/2進みます。微分を使わない場合も、電圧が0を通って急に増える瞬間には極板へ電荷を速く運ぶ必要があり、電流が最大になると考えられます。電圧が最大の瞬間には蓄えた電荷も最大で、増加が止まるため電流は0です。
振幅の関係I₀=ωCV₀から、V=X_CI、X_C=1/(ωC)を得ます。X_Cは容量リアクタンスです。周波数を高くするとX_Lは大きくなり、X_Cは小さくなります。コイルは速い電流変化を強く妨げ、コンデンサーは電圧の向きが速く変わるほど充放電の電流が流れやすくなる、と結びつけて覚えましょう。理想的なコンデンサーの極板間を電荷が通り抜ける、という意味ではありません。
図1のように、各部品に加える電圧を同じ正弦波にそろえると、電流のずれを直接比較できます。赤は電圧、紺は電流で、振幅はそれぞれの最大値で割って1にそろえてあります。抵抗では重なるので、紺の破線の隙間に赤線が見えます。横軸は時間tを周期Tで割ったt/Tであり、各段の縦軸は同じ尺度です。

図1の中央では、電流の山が電圧の山より右側にあります。横軸は右ほど後の時刻なので、右にある波形が遅れています。最下段は逆で、電流の山が先に来ます。波形の上下の位置だけで進み・遅れを判断せず、同じ山や同じ向きの0の通過を比較するのが確実です。
直列回路の合成と共振、変圧器
抵抗R、コイルL、コンデンサーCを直列につなぐと、すべての部品に同じ瞬間電流が流れます。この共通の電流を位相の基準にすれば、抵抗の電圧は同位相、コイルの電圧はπ/2進み、コンデンサーの電圧はπ/2遅れます。後ろの2つの電圧は互いにπだけずれるので、その合成の大きさは差になります。
電流をi=I₀sinωtとすると、各電圧の和はv=RI₀sinωt+(X_L−X_C)I₀cosωtです。sinとcosの項は位相がπ/2異なるため、振幅は直角三角形の斜辺に対応します。よってV₀=I₀√{R²+(X_L−X_C)²}です。両辺を√2で割れば、実効値でもV=IZ、Z=√{R²+(X_L−X_C)²}になります。Zはインピーダンスと呼び、回路全体の交流の流れにくさを表します。
電源電圧が電流より進む位相差をφとすると、tanφ=(X_L−X_C)/Rです。R>0とし、φは−π/2からπ/2の間で選びます。X_L>X_Cなら電流が電源電圧より遅れ、X_L<X_Cなら進みます。またcosφ=R/Zです。電源の平均電力PはVIcosφ=RI²となり、cosφを力率と呼びます。瞬間の電圧と電流の積を1周期で平均すると、同位相成分だけが残るためです。理想的なコイルとコンデンサーはエネルギーを一時的に蓄えて返すので、1周期平均では電力を消費しません。
電源の実効値Vを一定にして周波数を変えると、X_L=X_CのときZが最小のRとなり、電流は最大のV/Rになります。これがRLC直列回路の共振です。ωL=1/(ωC)からω²LC=1となるため、共振角周波数ω₀=1/√(LC)、共振周波数f₀=1/(2π√(LC))です。ここではR>0の回路を扱います。抵抗が全くない理想回路では、共振時に一定振幅の定常電流が流れるという扱い自体ができません。
変圧器は、交流による磁束の変化を2つのコイルで共有し、電圧を変える装置です。一次側の巻数をN₁、二次側をN₂とします。同じ磁束の変化を受けるなら、誘導起電力は巻数に比例するので、理想的な変圧器では実効値についてV₂/V₁=N₂/N₁です。巻線抵抗や磁束の漏れなどによる損失を無視すると、負荷に電力を送っているときV₁I₁=V₂I₂となり、I₂/I₁=N₁/N₂です。ここで電流の積で電力を表す場合は抵抗負荷を考えます。電圧を上げても電力が増えるわけではなく、その分だけ二次電流は小さくなります。一定の直流では持続する磁束変化がないので、この変圧の仕組みは働きません。
例題で解き方を確かめる
例題1 最大値から実効値と電力を求める
電圧v=100√2 sin(100πt) Vの交流電源に、抵抗50.0 Ωをつなぎます。tの単位はsです。周波数、電圧の実効値、電流の実効値、平均電力を求めましょう。式の係数は与えられた値として扱い、答えを有効数字3桁で表します。
- sinの中のtの係数を読み、ω=100π rad/sとします。周波数は角周波数そのものではなく、f=ω/(2π)=50.0 Hzです。1周期で位相が2π進むことが、この割り算の理由です。
- 電圧の最大値V₀=100√2 Vを√2で割ります。よってV=1.00×10² Vです。振幅と実効値を区別してから、オームの法則へ進みます。
- 抵抗だけなのでV=RIを使い、I=100/50.0=2.00 Aと求めます。電圧と電流が同位相であるため、平均電力はP=VI=2.00×10² Wです。RI²でも同じ値になることを確かめられます。
答え:f=50.0 Hz、V=1.00×10² V、I=2.00 A、P=2.00×10² Wです。
例題2 コイルとコンデンサーを別々につなぐ
角周波数1.00×10³ rad/s、実効値20.0 Vの交流電源があります。自己インダクタンス40.0 mHの理想コイルを単独でつないだ場合と、電気容量10.0 μFの理想コンデンサーを単独でつないだ場合について、リアクタンスと電流の実効値、位相関係を求めます。
- 単位をHとFに直し、L=4.00×10⁻² H、C=1.00×10⁻⁵ Fとします。mは10⁻³、μは10⁻⁶なので、この変換を先に済ませると桁の取り違えを防げます。
- コイルはX_L=ωL=40.0 Ωです。電流はI=V/X_L=20.0/40.0=0.500 Aとなり、電圧よりπ/2遅れます。流れにくさを計算してから、別に位相を述べます。
- コンデンサーはX_C=1/(ωC)=1.00×10² Ωです。電流はI=V/X_C=0.200 Aで、電圧よりπ/2進みます。どちらもΩを使いますが、同位相の抵抗に置き換えたという意味ではありません。
答え:コイルはX_L=40.0 Ω、I=0.500 Aで電流がπ/2遅れ、コンデンサーはX_C=1.00×10² Ω、I=0.200 Aで電流がπ/2進みます。
例題3 RLC直列回路の電流と電圧
ある周波数でR=30.0 Ω、X_L=80.0 Ω、X_C=40.0 Ωとなる直列回路に、実効値1.00×10² Vの交流電圧を加えます。電流の実効値、各部品の電圧の実効値、平均電力を求め、電流の位相も説明します。
- まずリアクタンスの差をとり、X_L−X_C=40.0 Ωとします。コイルとコンデンサーの電圧は互いに逆位相なので、80.0+40.0とはしません。
- Z=√(30.0²+40.0²)=50.0 Ωを求め、I=V/Z=2.00 Aとします。抵抗の成分とリアクタンスの差は位相がπ/2異なるので、三平方の定理を使います。
- 同じ電流が流れることを使い、V_R=IR=60.0 V、V_L=IX_L=1.60×10² V、V_C=IX_C=80.0 Vとします。電源電圧は√{V_R²+(V_L−V_C)²}=1.00×10² Vとなり、与えられた値に戻ります。
- 平均電力はP=RI²=1.20×10² Wです。力率R/Z=0.600を使ってVIcosφを計算しても同じです。X_L>X_Cなので電流は電源電圧より遅れ、tanφ=40.0/30.0から位相差は53.1°です。
答え:I=2.00 A、V_R=60.0 V、V_L=1.60×10² V、V_C=80.0 V、P=1.20×10² Wで、電流は電源電圧より53.1°遅れます。
図2のように、共通の電流の位相を右向きにとると、抵抗の電圧を右、コイルとコンデンサーの合成電圧を上に描けます。斜めの矢印が電源電圧です。これは回路内の空間的な方向を示す図ではなく、正弦波の大きさと位相の関係を表す図です。

図2の横と縦はそれぞれ60.0 Vと80.0 Vで、同じ尺度で描かれています。コイルの電圧が電源の100 Vを超えていても矛盾しません。コンデンサーの電圧と逆位相で打ち消し合う部分があるからです。瞬間値の和と、最大値や実効値の和を分けることが、この例題の中心です。
例題4 理想的な変圧器で電圧を下げる
一次巻数500、二次巻数100の理想的な変圧器で、一次側の実効値1.00×10² Vを変圧します。二次側には10.0 Ωの抵抗を接続します。二次電圧、二次電流、一次電流を求めましょう。巻数は正確な個数として扱います。
- V₂=V₁N₂/N₁=100×100/500=20.0 Vと求めます。共通の磁束による誘導起電力が巻数に比例することを使っています。
- 二次側の抵抗にオームの法則を使い、I₂=V₂/R=2.00 Aとします。負荷が決まることで、二次側が受け取る電力V₂I₂=40.0 Wも決まります。
- 損失がないので一次側から入る電力も40.0 Wです。I₁=V₂I₂/V₁=0.400 Aとなります。電圧と同じ比で電流も小さくするのではなく、電力の一致を基準に考えます。
答え:V₂=20.0 V、I₂=2.00 A、I₁=0.400 Aです。
つまずきやすいところと直し方
誤り1 平均が0だから電力も0にする
誤った書き方は「交流電圧の平均は0なので、抵抗の平均電力も0」です。違うのは、電圧の平均と、電圧・電流の積の平均を同じものとしている点です。抵抗では電圧と電流が同時に正負を変えるため、その積は負になりません。平均をとる前に、何の量を平均しているのかを明確にします。
正しい書き方は「抵抗の平均電力はP=VI=RI²で、VとIは実効値」です。最大値を使うならP=V₀I₀/2となります。たとえば最大値と実効値を混ぜてV₀Iとすると、必要な平均処理と一致しません。計算の行の最初に「実効値」と書くか、記号の下付き0を確認してから代入します。
誤り2 直列なので実効値をそのまま足す
誤った書き方は「V=V_R+V_L+V_C」です。違うのは、最大になる時刻が異なる電圧の大きさを、同時刻の値のように足している点です。キルヒホッフの法則が保証するのは、向きをそろえて定義した瞬間値の関係v=vᵣ+vₗ+v꜀です。各部品の最大値が同時に並ぶわけではありません。
正しい書き方は「V=√{V_R²+(V_L−V_C)²}」です。式を忘れたら、まず図2の横向きの抵抗電圧、上向きのコイル電圧、下向きのコンデンサー電圧を描き直します。電流を基準にするという約束を守れば、どの成分を引き、どの成分で直角三角形をつくるかを再現できます。共振時にはV_L=V_Cですが、両者が個別に0になるわけではありません。
誤り3 周波数を上げれば電流は増え続ける
誤った書き方は「周波数を上げるとコンデンサーに流れやすくなるので、RLC直列回路の電流はずっと増える」です。違うのは、同じ回路のコイルの変化を見落としている点です。低周波側では容量リアクタンスが大きく、高周波側では誘導リアクタンスが大きくなります。両方を含めたZを見なければ、電流の増減は決まりません。
正しい書き方は「電源電圧を一定にすると、電流は共振周波数で最大になり、その前後で小さくなる」です。図3はR=50.0 Ω、L=0.200 H、C=20.0 μFの場合を、横軸f/f₀、縦軸I/(V/R)で表したものです。共振点の横座標と縦座標はともに1です。曲線は低周波側と高周波側で左右対称にはならず、共振の手前と後でどちらのリアクタンスが支配的かも変わります。

図3の左端の0は、周波数を0に近づけた極限で電流が0に近づくことを表します。一定の直流では、充電が終わるとコンデンサーが定常電流を通さないこととつながります。抵抗Rを小さくすれば、同じ電源電圧で共振時の電流V/Rは大きくなりますが、現実の回路では巻線抵抗などの損失もあります。実験結果を理想式と比べるときは、何を無視したかまで見直します。
練習問題
練習1
最大値60.0√2 V、周波数50.0 Hzの正弦波交流を30.0 Ωの抵抗に加えます。電圧の実効値、電流の実効値、平均電力、周期を求めてください。最初に最大値から実効値への変換を書き、周期の式には角周波数ではなく周波数を使いましょう。
練習2
ある周波数で、コイルの誘導リアクタンスが25.0 Ω、コンデンサーの容量リアクタンスが1.00×10² Ωです。周波数を2倍にしたとき、それぞれのリアクタンスはいくらになりますか。また、この2つを抵抗と直列につないだ回路では、変更後の電流と電源電圧の位相はどうなりますか。LとCは一定とします。
練習3
R=50.0 Ω、L=0.200 H、C=20.0 μFのRLC直列回路に、実効値1.00×10² Vの交流電圧を加えます。共振周波数、共振時の電流、コイルとコンデンサーそれぞれの電圧の実効値、平均電力を求めてください。図3の頂点が、この条件に対応します。
練習4
一次巻数200、二次巻数1000の理想的な変圧器で、一次電圧の実効値12.0 Vを変圧します。二次側に抵抗負荷をつなぎ、二次電流の実効値が0.300 Aになりました。二次電圧と一次電流を求めてください。巻数は正確な個数として扱います。
答えと解説
練習1の答えは、V=60.0 V、I=2.00 A、P=1.20×10² W、T=2.00×10⁻² sです。最大値を√2で割ってからI=V/Rを使います。抵抗だけなので力率は1で、電力はVIです。周期は1/50.0 sであり、1/(2πf)ではありません。
練習2の答えは、X_L=50.0 Ω、X_C=50.0 Ωで、電流と電源電圧は同位相です。X_Lはfに比例して2倍、X_Cはfに反比例して半分になります。変更後はX_L−X_C=0なので、回路は共振しています。個々のコイル・コンデンサーの電圧と電流の位相差がなくなるのではなく、回路全体の位相差が0になります。
練習3の答えは、f₀=79.6 Hz、I=2.00 A、V_L=V_C=2.00×10² V、P=2.00×10² Wです。LC=4.00×10⁻⁶ s²からω₀=5.00×10² rad/sとなり、2πで割るとf₀が得られます。共振時はZ=RなのでI=100/50.0です。またX_L=ω₀L=1.00×10² Ωで、両部品の電圧は電流との積で求めます。各200 Vは逆位相で相殺され、電源の100 Vは抵抗の電圧と一致します。
練習4の答えは、V₂=60.0 V、I₁=1.50 Aです。巻数比が5なので二次電圧は5倍になります。二次側の電力は60.0×0.300=18.0 Wですから、一次電流は18.0/12.0=1.50 Aです。電圧を上げた側の電流が小さいことも、保存される電力から確かめられます。
次の単元へのつながりと家庭での確かめ方
コイルには磁場のエネルギー、コンデンサーには電場のエネルギーが蓄えられます。この2つの間でエネルギーが移り変わる見方は、次に学ぶ電気振動や電磁波の発生につながります。交流で「電流が流れる」と「電力を消費する」を分けて考えた経験は、エネルギーがどこに蓄えられ、どこへ運ばれるかを追う土台になります。
家で5分程度で確かめる方法は2つあります。1つ目は、紙に電圧の正弦波を描き、R・L・Cそれぞれの電流の山をどこに置くか記す方法です。描いた後で「電圧に対して電流が」と主語をそろえて読み上げると、進み・遅れの取り違えに気づけます。2つ目は、例題3の60、80、100の直角三角形を描き、縦の80が何と何の差か説明する方法です。数値を暗記するのでなく、電圧の向きを自分で再現できるかを確かめます。
個別指導で確かめる際には、実効値の計算だけを繰り返す前に、三角関数の山の位置や、コンデンサーのq=Cv、自己誘導の意味まで戻ります。お子さまが途中式を説明する場合も、答えの一致に加えて、どの電圧とどの電流を比べているかが言葉になっているかを見ると、理解の位置をつかめます。家庭での確認は紙と筆記具で十分です。家庭用コンセントへ部品や測定器を直接つなぐ必要はありません。
まとめ
交流の問題で式が止まったら、数値を入れる前の波形へ戻れます。電圧と電流の山が同時なのか、1/4周期ずれるのかが定まると、使うべき和や差の形も定まります。例題3のように部品の電圧が電源電圧を超える結果も、その山が同時ではないと説明できれば、不自然な答えではなくなります。
ノートに残した直角三角形は、公式を思い出すためだけの印ではありません。瞬間ごとの電圧の和を、位相を保ちながらまとめた図です。交流回路の足し算を決めるのは、値の大きさと、その値に達する時刻です。
本気になった日が、入塾の日。
お子様の教育、迷ったら「丸投げ」してください。必ず、期待以上の結果で返します。武蔵野で育む、武蔵境で学ぶ。
電話は年中無休。365日、24時間、お電話可能。




