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【物理】原子核と放射線を図解で総まとめ—同位体・放射性崩壊・半減期・質量とエネルギー|武蔵野個別指導塾

原子核の陽子・中性子の数え方から、崩壊式、半減期、結合エネルギーまでを3枚の図と例題でたどります。核分裂・核融合と素粒子の関係も、保存される量を手がかりに整理できます。
よくあるのは、夕食を待つ台所で半減期の問題を読み、「半減期が2回過ぎたら、半分ずつ減って全部なくなる」と考えたところで、解答の「4分の1」が納得できなくなるという場面です。最初の量の半分を毎回引くのか、その時点で残っている量の半分になるのか。この違いを言葉だけで区別するのは、意外に難しいものです。
原子核の単元には、同位体、放射能、質量欠損など、似ているようで別の意味を持つ言葉も登場します。さらに、元素記号の左上と左下に数字が付き、粒子が出ていくたびにその数字が変わります。けれども、確認する対象を「粒子の数」「電荷」「残っている割合」「エネルギー」に分ければ、一つずつ追えます。
まず原子核の中身を数え、次に崩壊の前後を比べ、最後に質量とエネルギーを結びつけましょう。計算の途中で何を数えているのかを言えるようになると、初めて見る核種の問題にも同じ考え方を使えます。
この単元で身につけること
- 原子番号と質量数から、陽子と中性子の個数を求めます。同じ元素でも中性子の数が異なる同位体を区別します。
- α崩壊、β崩壊、γ崩壊について、出ていくものと原子核の変化を対応させます。崩壊式は左右の質量数と電荷を確かめて完成させます。
- 半減期を「残存数が半分になる時間」と捉えます。半減期が何回過ぎたかを調べ、残存数と崩壊数をそれぞれ求めます。
- 放射能の強さと放射線の区別をつけます。Bqが表すのは単位時間当たりの崩壊数であり、物質の質量や放射線のエネルギーそのものではありません。
- 質量欠損から結合エネルギーを計算します。核分裂と核融合でエネルギーが放出される理由を、反応前後の質量の差から説明します。
- 電子、陽子、中性子と素粒子の関係を整理します。原子核を作る粒子と、現在の分類で内部構造を持たない粒子を区別します。
物理基礎で学んだエネルギー保存と、これまでの電磁気で使った電荷の保存が土台です。電子の状態を扱った原子模型から、今度は原子の中心にある原子核の変化へと視点を移します。
基本の考え方
原子核の中身と同位体
原子は、正の電荷を持つ原子核と、その周囲の電子からできています。原子核を構成する陽子と中性子をまとめて核子といいます。陽子の電荷は正、中性子の電荷は0です。原子番号Zは陽子の個数で、元素の種類を決めます。質量数Aは陽子と中性子の個数の合計なので、中性子の個数はA−Zです。ここでのAは個数を表す整数で、単位を付ける質量とは違います。
核種とは、陽子数と中性子数で区別した原子核の種類です。例えば¹⁴₆Cは炭素14を表し、左上の14が質量数、左下の6が原子番号です。陽子は6個、中性子は14−6=8個です。電気的に中性な原子なら電子も6個ですが、イオンでは電子数だけが変わることがあります。電子を失っても陽子数は変わらないため、それだけで別の元素にはなりません。
同位体は、原子番号が同じで質量数が異なる核種です。¹²₆C、¹³₆C、¹⁴₆Cはすべて炭素の同位体であり、中性子数が異なります。同位体だから必ず放射線を出すわけではありません。安定な同位体も、時間とともに別の核種へ変化する放射性同位体もあります。
原子核の内部では、陽子どうしに電気的な反発が働きます。それでも核子がまとまっているのは、核子間のごく短い距離で働く核力によるものです。原子核は単に正電荷を集めただけの塊ではなく、引きつける働きと反発する働きが関係した系として考えます。
放射性崩壊で何が出ていくか
不安定な原子核が自発的に変化する現象を放射性崩壊といいます。その際に放出される粒子や電磁波が放射線です。放射線を出す性質を放射能といい、日常語では放射性物質と混同されやすいので、「物質」「性質」「放出されるもの」を区別して読みます。
α崩壊では、陽子2個と中性子2個からなるヘリウムの原子核、つまりα粒子が放出されます。残った原子核の質量数は4減り、原子番号は2減ります。例えば²³⁸₉₂U → ²³⁴₉₀Th + ⁴₂Heです。左辺の238は右辺の234+4に、左辺の92は90+2に等しくなります。質量数と電荷を別々に確認するのが基本です。
β⁻崩壊では、原子核内の中性子1個が陽子に変わり、電子と電子反ニュートリノが放出されます。中性子が陽子に置き換わるため核子の合計は変わらず、質量数は一定、原子番号は1増えます。炭素14なら¹⁴₆C → ¹⁴₇N + ⁰₋₁e + 電子反ニュートリノです。電子に付く0は核子数の帳尻を示す表記で、電子の質量が0という意味ではありません。電子反ニュートリノの電荷と核子数はどちらも0です。
β線の電子は、原子の周囲にあった電子が単に飛び出したものではありません。核内の変化によって放出されます。また、β⁺崩壊では陽子1個が中性子に変わり、電子と同じ質量で正の電荷を持つ陽電子と、電子ニュートリノが放出されます。この場合、質量数は一定で原子番号は1減ります。β崩壊という言葉を見たら、負の電子を出すβ⁻か、陽電子を出すβ⁺かを確認します。
γ崩壊では、高いエネルギーの状態にある原子核が、より低いエネルギーの状態へ移るときにγ線を放出します。γ線は電磁波で、原子番号も質量数も変わりません。ただしエネルギーを失うため、原子核の質量まで完全に同じだとはいえません。質量数はあくまで核子の個数です。
図1のように、出ていくものを矢印の上に、残る原子核の数字を矢印の先に置くと、3種類の違いが見えます。図のβはβ⁻崩壊で、γの「高」「低」は原子核のエネルギーの状態を示しています。

α線は正の電荷を持つ粒子、β⁻線は負の電荷を持つ電子なので、電場や磁場から力を受けます。γ線には電荷がありません。物質を電離させる働きは一般にα線で強く、透過力は一般にγ線で大きくなりますが、到達距離や遮へいの程度は放射線のエネルギーと物質によって変わります。放射線の名称だけから、人体への影響の大小を一律に決めることはできません。
半減期と結合エネルギー
半減期Tは、多数の同じ放射性核種について、まだ崩壊していない原子核の数が半分になるまでの時間です。一つの原子核が「Tだけ待って必ず崩壊する」という寿命ではありません。個々の崩壊時刻は予測できなくても、多数の原子核を集めたときの割合には規則があります。
初めの残存数をN₀とすると、T後はN₀/2、2T後はN₀/4、3T後はN₀/8です。同じ時間ごとに残っている数へ1/2を掛けるため、t時間後の残存数NはN=N₀×(1/2)ᵗ⁄ᵀと表せます。上付きのt/Tは半減期が何回分過ぎたかを意味します。半減期が整数回なら、指数の一般式を使わず、半分にする操作を繰り返して求められます。これは対象核種の新たな生成や試料の出入りがない場合の式です。
放射能の強さをRとすると、単位はBqで、1 Bqは平均して1 s当たり1回の崩壊に相当します。同じ核種では、一つの原子核が短時間に崩壊する確率が共通なので、Rはその時点のNに比例します。したがってR=R₀×(1/2)ᵗ⁄ᵀです。R=λNと書く場合のλは崩壊定数で、λ=ln 2/Tです。lnは自然対数を表しますが、以下の計算は半分を繰り返す方法で解けます。
一方、原子核の質量は、ばらばらにした同数の陽子と中性子の質量の合計より小さくなっています。この差が質量欠損Δmです。陽子の質量をmₚ、中性子の質量をmₙ、原子核の質量をMとすると、Δm=Zmₚ+(A−Z)mₙ−Mです。比較しているのは、同じ粒子が離れている状態と結合している状態です。
原子核をばらばらの核子に分けるのに必要なエネルギーを結合エネルギーといいます。質量とエネルギーの関係E=mc²により、結合エネルギーはE=Δmc²です。逆に核子が結合すると、この分のエネルギーが外へ放出されます。以下では教科書で用いる近似値として、光速c=3.00×10⁸ m/s、1 eV=1.60×10⁻¹⁹ Jを使い、計算結果は有効数字3桁で示します。1 MeVは10⁶ eVです。核子の個数などの整数は測定値ではなく、正確な数として扱います。
例題で解き方を確かめる
例題1 同位体の中身を数え、崩壊式を完成させる
²³⁸₉₂Uの陽子数と中性子数を求め、この原子核がα崩壊してできる核種の質量数と原子番号を答えます。続いて、¹⁴₆Cがβ⁻崩壊した後の核種の陽子数と中性子数も求めます。
- 元素記号の左下を見て、ウランの陽子数を92個と読みます。元素を決めるのは陽子数なので、質量数238を陽子数として使わないことが出発点です。
- 中性子数は238−92=146個です。質量数は核子の合計なので、合計から陽子数を引けば中性子数だけを取り出せます。
- α粒子が核子4個と正電荷2個分を運び出すので、生成核種は質量数234、原子番号90です。²³⁸₉₂U → ²³⁴₉₀Th + ⁴₂Heと書き、上下の数字をそれぞれ足して検算します。
- 炭素14のβ⁻崩壊では中性子が陽子に変わるため、生成核種¹⁴₇Nは陽子7個、中性子14−7=7個です。放出された電子の負電荷も含めると、右辺の電荷は7−1=6となります。
答え:ウランは陽子92個・中性子146個、α崩壊後は質量数234・原子番号90、炭素14のβ⁻崩壊後は陽子7個・中性子7個です。
核種を答える問題では、元素名を思い出す前に数字を確定させると整理しやすくなります。周期表などで元素記号を調べるのはその後で十分です。β⁻崩壊で陽子が増えた分だけ中性子が減ることも、数の合計で確かめられます。
例題2 半減期から残存数と放射能を求める
ある放射性核種の半減期は6.00 hです。初めに8.00×10⁹個の原子核があり、その核種による放射能の強さは2.57×10⁵ Bqでした。18.0 h後の残存数、初めからその時刻までの崩壊数、その核種による放射能の強さを求めます。新たな生成と試料の出入りはないとします。
- 経過時間を半減期で割り、18.0/6.00=3.00回分と求めます。hどうしの割り算なので単位は消え、半分にする回数だけが残ります。
- 残る割合は(1/2)³=1/8です。残存数は8.00×10⁹/8=1.00×10⁹個となります。毎回引く量を一定にせず、その時点の残存数を半分にします。
- 崩壊数は初めの数から残存数を引いて、8.00×10⁹−1.00×10⁹=7.00×10⁹個です。「残った数」と「崩壊した数」は足すと初めの数になります。
- 同じ核種の放射能の強さも1/8になるため、2.57×10⁵/8=3.21×10⁴ Bqです。ここで問うのは元の核種による放射能であり、生成核種の放射能を加える問題ではありません。
答え:残存数1.00×10⁹個、崩壊数7.00×10⁹個、放射能の強さ3.21×10⁴ Bqです。
図2のように横軸をt/T、縦軸をN/N₀にすると、核種ごとに違う時間や個数を、共通の減り方として表せます。t/T=1、2、3の位置の高さは、それぞれ1/2、1/4、1/8です。図では縦軸の目盛りを1/4ずつ等間隔に取り、1/8の点は0と1/4の中間に置いています。

初めの6.00 hには4.00×10⁹個、次の6.00 hには2.00×10⁹個、その次には1.00×10⁹個が崩壊します。減る「割合」は同じでも、減る「個数」は少なくなるので、グラフは直線になりません。初めの放射能は、ln 2を約0.693として、半減期をsに直した値からも確認できます。
例題3 質量欠損から結合エネルギーを求める
陽子1個と中性子1個からなる重水素の原子核を考えます。陽子と中性子を離した状態の質量の合計から、原子核の質量を引いた差が3.96×10⁻³⁰ kgでした。結合エネルギーをJとMeVで求め、核子1個当たりの結合エネルギーもMeVで答えます。
- 与えられた差は「ばらばらの質量−結合後の質量」なので、そのまま正の質量欠損Δmです。引く順序が逆だと、分解に必要なエネルギーが負になってしまいます。
- E=Δmc²に代入すると、3.96×10⁻³⁰×(3.00×10⁸)²=3.56×10⁻¹³ Jです。光速は数値だけでなく10⁸の部分も2乗し、単位kg·m²/s²がJに一致することを確かめます。
- 1 MeV=1.60×10⁻¹³ Jなので、丸める前のエネルギーをこの値で割り、2.23 MeVを得ます。JをMeVへ変える操作は、基準となる1 MeVが何個分含まれるかを求める割り算です。
- 核子は2個なので、核子1個当たりでは結合エネルギーを2で割り、1.11 MeVです。核子数が異なる原子核の結合の強さを比べるときは、合計だけでなく1個当たりを見る必要があります。
答え:結合エネルギー3.56×10⁻¹³ J=2.23 MeV、核子1個当たり1.11 MeVです。
原子核の質量ではなく中性原子の質量が与えられた場合は、電子を含むかどうかを先に確認します。原子の質量をそのまま核の質量Mとして代入すると、比較する粒子の組合せがそろいません。質量欠損は小さい差なので、入力値の桁数も重要です。この例題では差そのものを与えることで、粗い質量の丸めから生じる誤差を避けています。
例題4 核分裂の式と放出エネルギー
中性子を吸収したウラン235が、次のように核分裂したとします。空欄xと、核分裂1回で放出されるエネルギーを求めます。反応前の粒子の静止質量の合計は反応後より3.56×10⁻²⁸ kg大きいとします。
²³⁵₉₂U + ¹₀n → ¹⁴¹₅₆Ba + ⁹²₃₆Kr + x個の¹₀n
- 左辺の質量数の合計は235+1=236です。入射した中性子も反応に参加しているので、ウラン235だけを数えると1個分ずれます。
- 右辺の原子核2個の質量数の合計は141+92=233です。中性子1個の質量数は1なので、x=236−233=3となります。電荷も56+36=92で一致します。
- 失われた静止質量にc²を掛け、E=3.56×10⁻²⁸×(3.00×10⁸)²=3.20×10⁻¹¹ Jです。MeVでは、丸める前の値を1.60×10⁻¹³で割って2.00×10² MeVとなります。
答え:放出中性子は3個、放出エネルギーは3.20×10⁻¹¹ J=2.00×10² MeVです。
この核分裂式は可能な分裂の一例であり、毎回必ず同じ2核種になるという意味ではありません。放出エネルギーは主に生成粒子の運動エネルギーなどとして現れます。また、質量数が保存されることと、粒子の静止質量の合計が保存されることは別です。保存されるエネルギーには、質量に対応するエネルギーも含めて考えます。
つまずきやすいところと直し方
誤り1 β⁻崩壊で質量数を1減らす
誤った書き方は「¹⁴₆Cが電子を1個出すので、質量数は13になる」です。どこが違うかというと、質量数を「すべての粒子の数」と扱っている点です。質量数は陽子と中性子の合計で、電子を数えません。核内では中性子1個が陽子1個に変わるので、合計14は変わりません。
正しい書き方は「質量数14を保ち、原子番号が6から7になる」です。さらに、放出電子と電子反ニュートリノを添えると、原子核だけに注目した変化と反応全体の電荷保存を両方確かめられます。電子反ニュートリノは、崩壊前後のエネルギーや運動量を考えるうえでも役割を持ちます。
誤り2 半減期が2回なら残存数を0にする
誤った書き方は「N=N₀−N₀/2−N₀/2=0」です。どこが違うかというと、2回目も初めの数N₀の半分を引いている点です。半減期ごとに半分になる対象は、その時点でまだ崩壊していない原子核です。
正しい書き方は「N=(N₀/2)/2=N₀/4」です。図2で点の高さをたどると、同じ幅だけ右へ進んでも、下がる高さは毎回小さくなっています。多数の原子核についての式では有限の時間でNがちょうど0にはなりませんが、ごく少数になった実際の試料を整数個として扱う場合は、統計的なばらつきが無視できなくなります。
誤り3 核分裂だけが質量をエネルギーに変える
誤った書き方は「原子核を分ければ必ずエネルギーが出て、くっつけると必ずエネルギーが必要になる」です。どこが違うかというと、結合前後の状態を比べず、分裂か融合かという操作だけで判断している点です。原子核を核子まで完全にばらすには、結合エネルギーを与える必要があります。
正しい書き方は「反応後の静止質量の合計が小さくなれば、その差に対応するエネルギーが放出される」です。重い原子核の核分裂や、軽い原子核どうしの核融合では、生成物の核子1個当たりの結合エネルギーが一般に大きくなり、エネルギーが放出されます。核子1個当たりの結合エネルギーは鉄付近で大きく、どの核種でも分裂や融合からエネルギーを得られるわけではありません。
図3のように、同じ核子をばらばらにした状態を上に、結合した状態を下に描くと、結合エネルギーの意味を確かめられます。下向きの矢印は結合してエネルギーを放出する過程、上向きは核子に分解するためにエネルギーを供給する過程です。これは数値目盛りを持つグラフではなく、2状態のエネルギー差を示す模式図です。

核分裂で放出された中性子が別の原子核を分裂させ、その過程が続くことを連鎖反応といいます。中性子が外へ逃げたり、分裂を起こさず吸収されたりすることもあるため、中性子が出るだけで必ず連鎖が続くわけではありません。核融合では、正の電荷を持つ原子核どうしが近づく際に電気的反発があるため、十分に高い温度など、近づきやすくする条件が必要です。太陽などの恒星では核融合がエネルギー源になっています。
練習問題
練習1 核種の数字を読む
²¹⁰₈₄Poの陽子数と中性子数を求めます。この原子核がα崩壊してできる核種の質量数と原子番号も答え、上下の数字の保存を確認してください。
練習2 残存割合から時間を逆算する
半減期4.00 hの核種による放射能の強さが、初めの6.40×10³ Bqから4.00×10² Bqになりました。何時間が経過したでしょうか。元の原子核のうち、崩壊した割合も百分率で答えます。新たな生成はありません。
練習3 核融合の式と質量差を結びつける
²₁H + ³₁H → ⁴₂He + ¹₀nという核融合を考えます。左右の質量数と原子番号の合計を確認し、反応前後の静止質量の合計の減少が3.13×10⁻²⁹ kgのとき、放出エネルギーをJとMeVで求めます。
練習4 γ線が出た後に変わるもの
ある原子核がγ線だけを放出して、低いエネルギーの状態に移りました。陽子数、中性子数、質量数、原子核のエネルギーについて、それぞれ変わるかどうかを答えます。質量数が同じなら、原子核の質量も厳密に同じといえるでしょうか。
答えと解説
練習1:陽子84個、中性子126個です。生成核種の質量数は206、原子番号は82となります。210=206+4、84=82+2が成り立ちます。生成核種の中性子数は206−82=124個で、初めから2個減ることも確認できます。
練習2:経過時間は16.0 h、崩壊した割合は93.8%です。残存割合は4.00×10²/(6.40×10³)=1/16=(1/2)⁴なので、半減期4回分です。崩壊した割合は1−1/16=15/16で、百分率にして有効数字3桁に丸めます。放射能の比を個数の比として使えるのは、同じ核種について比較しているためです。
練習3:質量数の合計は左右とも5、原子番号の合計は左右とも2です。放出エネルギーは3.13×10⁻²⁹×(3.00×10⁸)²=2.82×10⁻¹² J、MeVに直すと17.6 MeVです。融合後にはヘリウムの原子核だけでなく中性子もあるので、その静止質量も反応後の合計に含めます。生成物が一つになることが、核融合の条件ではありません。
練習4:陽子数、中性子数、質量数は変わらず、原子核のエネルギーは減少します。原子核の質量も減少するため、厳密に同じとはいえません。粒子の個数を表す質量数と、エネルギーに対応する質量を分けて考える問題です。γ線は電荷も核子も運び出しませんが、エネルギーを運び出します。
次の単元へのつながりと家庭での確かめ方
原子核からさらに内部へ視点を進めると、素粒子の分類につながります。素粒子とは、現在の物理で内部構造を持たない基本的な粒子として扱うものです。電子とニュートリノはレプトンという仲間で、陽子と中性子はそれぞれ3個のクォークからできています。陽子はアップクォーク2個とダウンクォーク1個、中性子はアップクォーク1個とダウンクォーク2個です。原子核の構成粒子だからといって、陽子や中性子がそのまま素粒子になるわけではありません。
アップクォークの電荷は電気素量eの2/3、ダウンクォークは−1/3です。陽子では2/3+2/3−1/3=1、中性子では2/3−1/3−1/3=0となり、知っている電荷につながります。光の粒子である光子も素粒子の一つです。名前の暗記を広げすぎず、どの段階の構造を説明しているかを整理しましょう。
家庭での5分の確かめ方は二つあります。一つ目は紙に16、8、4、2、1と書き、隣り合う数の間にTを書き込む方法です。最後に「残り1/16」と「崩壊した15/16」を言い分けます。二つ目はα、β⁻、γの3行を作り、質量数と原子番号の変化だけを資料を閉じて埋める方法です。実物の放射性物質を使う必要はなく、数字と図だけで確かめられます。
個別指導では、半減期で止まるときは割合を掛ける操作へ、崩壊式で止まるときは陽子と中性子の数え分けへ戻って確認します。保護者の方がお子さまの説明を聞くなら、答えの数値に加えて「何が残っている数なのか」を尋ねると、理解している対象が見えます。
まとめ
崩壊式を完成させること、半減期から残存数を求めること、質量差からエネルギーを求めることは、見た目の異なる問題です。それでも、初めと終わりで同じ対象を比べる姿勢は共通しています。どの粒子を数え、どの電荷を足し、どの状態の質量を引いたのかを、式のすぐそばに書き添えてみましょう。
答えが合わないときに戻る場所は、公式集の最初とは限りません。「半分にする前の数」や「飛び出した粒子」を一つ確かめるだけで、計算の筋が通ることがあります。原子核の計算を支えるのは、消えたように見えるものの行き先まで含めて保存を確かめる一行です。
本気になった日が、入塾の日。
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