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正弦定理—公式と外接円の半径、余弦定理との使い分け|武蔵野個別指導塾

向かい合う辺と角が 1 組そろえば a / sin A = 2R で辺も外接円の半径も出せます。余弦定理との判断表と、角が 2 つ出る問題の見分け方まで、例題 4 問で手を動かせます。
a / sin A = b / sin B = c / sin C = 2R
- a、b、c は三角形の 3 辺の長さです。
- A、B、C はそれぞれの辺の向かいにある角の大きさです。
- R は 3 つの頂点を通る円(外接円)の半径で、2R はその直径です。
向かい合う辺と角の組なら、どの組で割っても同じ値になり、その値が外接円の直径に等しくなります。高校では数学Ⅰの図形と計量で学びます。
よくあるのは、放課後の体育館の入口の階段で、部活が始まるまでの 10 分に問題集を開くという場面です。2 つの角と 1 つの辺が与えられ、残りの辺を求める問題。余弦定理を書いてみたら知らない文字が 2 つ残り、シャープペンが止まります。背中の扉の向こうでは、もうボールが弾んでいる。膝の上のスマートフォンに「正弦定理」と打ちます。知りたいのは、割るのか、かけるのか、2R はどこに付くのか、それだけのはずです。
公式の形と文字の意味
読むときの決まりは 1 つです。小文字は辺、大文字は角で、同じ文字の辺と角は三角形の中で向かい合います。図1では、向かい合う組を同じ色でそろえました。赤の辺 a の正面に赤の角 A があり、緑とオレンジも同じ関係です。正弦定理は、この 3 組について「辺 ÷ sin 角」がすべて等しいと言っています。

同じ定理でも、問題に合わせて形を変えて使います。次の 5 つはどれも同じ内容で、等号の左右を入れ替えたり分母を払ったりしただけです。
| 形 | 式 | 使う場面 |
|---|---|---|
| 比の形 | a / sin A = b / sin B | 組が 1 つわかっていて、別の辺か角を求める |
| 半径の形 | a / sin A = 2R | 外接円の半径を求める |
| 辺を出す形 | a = 2R sin A | 半径と角から辺を求める |
| sin を出す形 | sin A = a / (2R) | 半径と辺から角を求める |
| 連比の形 | a : b : c = sin A : sin B : sin C | 辺の比と角の関係を読む |
計算で実際に書くのは、多くの場合、等号 1 つぶんだけです。3 つの分数をすべて並べる必要はありません。わかっている 3 つの値と知りたい 1 つの値が入る 2 組を選べば、未知数が 1 つの式になります。
計算に入れる sin の値は、次の表のものがほとんどです。鈍角の sin は sin(180° − θ) = sin θ で鋭角に直せるので、0° から 180° の間で sin が負になることはありません。
| 角 | 30° | 45° | 60° | 90° | 120° | 135° | 150° |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| sin | 1/2 | √2 / 2 | √3 / 2 | 1 | √3 / 2 | √2 / 2 | 1/2 |
余弦定理との使い分け
余弦定理は a² = b² + c² − 2bc cos A です。角を求めるときは cos A = (b² + c² − a²) / (2bc) の形にします。どちらを使うか迷ったら、向かい合う辺と角の組が 1 組でもそろっているかを見てください。そろっていれば正弦定理、そろっていなければ余弦定理です。
| わかっているもの | 向かい合う組 | 最初に使う定理 | 出てくるもの |
|---|---|---|---|
| 2 角と 1 辺 | ある(3 つ目の角は角の和から出る) | 正弦定理 | 残りの辺 |
| 1 辺とその向かいの角 | ある | 正弦定理 | 外接円の半径 |
| 2 辺と、その間にない角 | ある | 正弦定理 | もう 1 つの角(2 つ出ることがある) |
| 2 辺とその間の角 | ない | 余弦定理 | 残りの辺 |
| 3 辺 | ない | 余弦定理 | 角 |
理由は式の形にあります。正弦定理は 2 組の辺と角、合わせて 4 つの量の関係なので、どの組も埋まっていないと未知数が 2 つ残ります。余弦定理は 3 辺と 1 つの角の関係で、組がなくても、3 つわかれば残りの 1 つが出ます。組がないのに半径を聞かれたときは、先に余弦定理で角か辺を出して組を作り、そのあとで正弦定理に渡します。
なぜこの形になるのか
sin はもともと、直角三角形で「対辺 ÷ 斜辺」と決めた比です。ところが問題の三角形に直角があるとは限りません。そこで、外接円の直径を 1 本引いて直角を作ります。正弦定理の証明の発想は、この一手に尽きます。
図2のように、頂点 B から円の中心 O を通る直径を引き、円とぶつかる点を D とします。斜辺にあたる BD の長さは 2R です。角 A が鋭角のとき、次の 3 段階で式が出ます。
- 直径に対する円周角は 90° なので、角 BCD = 90° です。これで三角形 BCD は直角三角形になります。
- 角 BDC と角 BAC は、同じ弧 BC に対する円周角なので等しくなります。つまり角 D = 角 A です。
- 直角三角形 BCD で sin D = BC / BD = a / (2R) です。角 D = 角 A なので sin A = a / (2R) となり、式を変形すると a / sin A = 2R が出ます。

頂点 C から直径を引けば b / sin B = 2R、頂点 A から引けば c / sin C = 2R が同じ手順で出ます。3 つとも 2R に等しいので、公式のように等号でつながります。
角 A が鋭角でないときも結論は変わりません。角 A が 90° なら辺 BC そのものが直径で、a = 2R かつ sin 90° = 1 ですから、a / sin A = 2R はそのまま成り立ちます。角 A が鈍角のときは、点 D が弦 BC をはさんで A の反対側に来ます。四角形 ABDC は円に内接するので向かい合う角の和が 180° になり、角 D = 180° − A です。ここで sin(180° − A) = sin A が効いて、結局 sin A = a / (2R) に戻ります。
a = 2R sin A の形で読み直すと、この定理の正体が見えます。同じ円の中では、弦の長さは、その弦を見込む円周角の sin だけで決まるということです。同じ弦を円の反対側から見込むと、角は A から 180° − A に変わりますが、sin の値は変わりません。あとで出てくる「解が 2 つになる場合」は、この性質の裏返しです。
例題で使い方を確かめる
4 問とも、最初にするのは向かい合う組を探すことです。そこで使う定理が決まります。
例題1 2 角と 1 辺から辺を求める
三角形 ABC で A = 45°、B = 60°、a = 4 のとき、b を求めてください。
- 組を探します。a と A がそろっているので正弦定理を選びます。組があれば未知数を 1 つに絞れるからです。
- a / sin A = b / sin B と書きます。求める b と、その向かいの B が入る 2 組だけで足りるからです。
- 値を入れて 4 / (√2 / 2) = b / (√3 / 2) とします。両辺に √3 / 2 をかければ b だけが残るので、b = 4 × (√3 / 2) ÷ (√2 / 2) = 4√3 / √2 です。
- 分母を有理化して 4√3 / √2 = 4√6 / 2 = 2√6 とします。答えの形を整えるためです。
- 大小で確かめます。B は A より大きいので、b は a より長いはずです。2√6 はおよそ 4.90 で、4 より長いので筋が通っています。
答え: b = 2√6
例題2 鈍角の三角形で外接円の半径を求める
三角形 ABC で A = 120°、a = 9 のとき、外接円の半径 R を求めてください。
- a と A の組がそろっています。半径を聞かれているので、2R の入った形 a / sin A = 2R を書きます。
- sin 120° = sin(180° − 60°) = sin 60° = √3 / 2 とします。鈍角の sin は鋭角に直すと値を間違えにくいからです。
- 9 / (√3 / 2) = 18 / √3 = 18√3 / 3 = 6√3 と計算します。分数で割るのは逆数をかけることで、そのあと分母を有理化しています。これが 2R の値です。
- 最後に 2 で割って R = 3√3 とします。ここまでの値は直径で、半径ではないからです。
- 長さで確かめます。弦は直径より長くなれません。2R = 6√3 はおよそ 10.39 で、a = 9 より長いので問題ありません。
答え: R = 3√3
例題3 3 辺から外接円の半径を求める
三角形 ABC で a = 7、b = 5、c = 3 のとき、外接円の半径 R を求めてください。
- 組を探します。角が 1 つもわからないので組がありません。このままでは正弦定理に入れないので、余弦定理で角を出して組を作ります。
- いちばん長い辺 a の向かいの角 A を選びます。三角形で鈍角になりうるのは最大の角だけなので、それを先に調べると形まで読めるからです。
- cos A = (5² + 3² − 7²) / (2 × 5 × 3) = (25 + 9 − 49) / 30 = -15 / 30 = -1/2 と計算します。cos の形にしておけば、値を入れるだけで済むからです。
- A = 120° と決まります。0° から 180° の間で cos は角ごとに違う値をとるので、候補は 1 つだけです。
- a と A の組ができたので、7 / sin 120° = 2R に入れます。半径の形にそのまま入れれば、b や c をもう使わなくて済むからです。2R = 7 / (√3 / 2) = 14 / √3 = 14√3 / 3 です。
- 2 で割って R = 7√3 / 3 とします。式の値は直径だからです。
答え: R = 7√3 / 3
余弦定理で組を作り、正弦定理で半径に渡す。使い分けとは、どちらか一方を選ぶことだけでなく、使う順番を決めることでもあります。
例題4 解が 2 つになる場合
三角形 ABC で A = 45°、a = 2、b = √6 のとき、B、C、c を求めてください。
- a と A の組がそろっていて、b もわかっています。正弦定理で b の向かいの角 B の sin を出します。残る未知数が sin B だけだからです。
- a / sin A = b / sin B を変形すると sin B = b sin A / a です。値を入れて sin B = √6 × (√2 / 2) / 2 = √12 / 4 = 2√3 / 4 = √3 / 2 となります。
- 0° から 180° の間で sin B = √3 / 2 となる角は 60° と 120° の 2 つです。sin は θ と 180° − θ で同じ値になるので、必ず両方を候補に挙げます。
- それぞれ角の和を調べます。三角形になるには A + B が 180° 未満でなければならないからです。45° + 60° = 105°、45° + 120° = 165° で、どちらも 180° 未満です。したがって C は 75° または 15° です。
- c は余弦定理で求めます。a、b、A から c の 2 次方程式が立ち、2 つの解をまとめて扱えるからです。4 = 6 + c² − 2 × √6 × c × (√2 / 2) を整理すると c² − 2√3 c + 2 = 0 で、解の公式から c = √3 ± 1 です。
- 長さと角を対応させます。大きい角の向かいの辺ほど長いので、C = 75° のほうが c = √3 + 1、C = 15° のほうが c = √3 − 1 です。
答え: B = 60°、C = 75°、c = √3 + 1 または B = 120°、C = 15°、c = √3 − 1
図3は、この 2 つの三角形を重ねて描いたものです。点 A に 45° の角を作って AC = √6 を引き、C から長さ 2 の辺を振ると、底辺の上の 2 か所に届きます。遠いほうが B₁、近いほうが B₂ です。C から底辺までの高さは √6 × sin 45° = √3 で、およそ 1.73 です。a = 2 はこの高さより長く、b = √6(およそ 2.45)より短い。だから 2 か所に届きます。

図3の三角形 C B₁ B₂ は 2 辺が同じ長さの二等辺三角形で、底の 2 つの角はどちらも 60° です。三角形 A B₂ C の B₂ の角は、その隣なので 180° − 60° = 120° になります。sin が同じ値になる 2 つの角が、図の中に並んで見えています。
角 A が鋭角のとき、三角形の個数は高さ h = b sin A と a、b の大小で決まります。
| a の長さ | 三角形の個数 | 図3での様子 |
|---|---|---|
| a < h | 0 個 | 底辺まで届かない |
| a = h | 1 個 | 底辺にちょうど触れて、直角三角形になる |
| h < a < b | 2 個 | 底辺の 2 か所に届く |
| a ≥ b | 1 個 | A より右で届くのが 1 か所だけになる |
角 A が 90° 以上のときは、a が b より長ければ 1 個、そうでなければ 0 個です。試験の場で表を引くひまがなければ、a と b を比べてください。a が b より長いと、A のほうが B より大きいので、B は鋭角に決まり、解は 1 つです。
まちがえやすいところ
R と 2R を取り違える
- 誤った書き方: a = 5、A = 30° のとき a / sin A = R として、R = 10 とする。
- どこが違うか: a / sin A の値は半径ではなく直径です。R = 10 とすると、外接円が倍の大きさになってしまいます。
- 正しい書き方: a / sin A = 2R なので、5 / (1/2) = 10 が 2R で、R = 5 です。
辺と角の組をずらす
- 誤った書き方: A = 30°、B = 45°、a = 2 のとき a / sin B = b / sin A として、b = √2 とする。
- どこが違うか: 分子が a なら、分母は向かいの sin A です。組をずらすと大小まで逆転します。B は A より大きいのに、√2 は a = 2 より短い。この時点でおかしいと気づけます。
- 正しい書き方: a / sin A = b / sin B なので、b = 2 × (√2 / 2) ÷ (1/2) = 2√2 です。およそ 2.83 で、a より長くなります。
sin から角を出すときに 1 つで止める
- 誤った書き方: A = 30°、a = √2、b = 2 のとき、sin B = 1 / √2 から B = 45° とだけ書く。
- どこが違うか: 0° から 180° の間で sin B = 1 / √2 となる角は 45° と 135° の 2 つです。片方を黙って捨てると、もう 1 つの三角形を落とします。かといって、確かめずに 2 つとも答えるのも誤りです。
- 正しい書き方: B = 45° と B = 135° を候補に挙げ、A + B を調べます。30° + 45° = 75°、30° + 135° = 165° でどちらも 180° 未満なので、B = 45° または B = 135° です。
覚え方と忘れたときの戻り方
暗記の言葉は 1 行で足ります。「向かい合う組で割ると直径」。語呂を探すより、この一言のほうが R と 2R の迷いまで一緒に片づきます。
式そのものを忘れたら、高さを 2 通りに書いて戻ります。
- 三角形 ABC を描き、頂点 C から辺 AB に垂線を下ろして、長さを h とします。
- 左側の直角三角形で h = b sin A、右側の直角三角形で h = a sin B と書きます。同じ h の 2 つの表し方です。
- b sin A = a sin B の両辺を sin A sin B で割ると、a / sin A = b / sin B になります。
2R か R かで迷ったときは、特別な三角形を入れて確かめます。角が 30°、60°、90° で、辺が 1、√3、2 の直角三角形です。1 / sin 30° = 2、√3 / sin 60° = 2、2 / sin 90° = 2 と、どの組でも 2 になります。直角三角形の斜辺は外接円の直径ですから、この 2 は斜辺、つまり直径です。だから式の右辺は 2R で、R ではありません。この確かめは問題用紙の余白で 30 秒あれば済みます。
練習問題
例題と同じように、まず向かい合う組を探してから式を立ててください。
- 三角形 ABC で B = 45°、C = 105°、a = 6 のとき、b と外接円の半径 R を求めてください。
- 外接円の半径が 5 の三角形 ABC で、A : B : C = 1 : 2 : 3 のとき、3 辺の長さ a、b、c を求めてください。
- 三角形 ABC で A = 60°、a = 3√2、b = 2√3 のとき、B を求めてください。三角形がいくつできるかも答えてください。
答えと解説
練習 1: 向かいの角 A がまだ書かれていないので、角の和から A = 180° − 45° − 105° = 30° を出します。これで a と A の組がそろい、6 / sin 30° = 12 が 2R です。よって R = 6 です。b は b = 2R sin B = 12 × (√2 / 2) = 6√2 と求まります。
答え: b = 6√2、R = 6
練習 2: 角の和が 180° なので、1 : 2 : 3 に分けて A = 30°、B = 60°、C = 90° です。辺は a = 2R sin A の形で 1 つずつ出します。2R = 10 なので、a = 10 × (1/2) = 5、b = 10 × (√3 / 2) = 5√3、c = 10 × 1 = 10 です。C が直角なので c は斜辺で、直径の 10 と一致しています。
答え: a = 5、b = 5√3、c = 10
練習 3: a と A の組がそろっているので、sin B = b sin A / a = 2√3 × (√3 / 2) / (3√2) = 3 / (3√2) = 1 / √2 です。候補は B = 45° と B = 135° の 2 つです。角の和を調べると、60° + 45° = 105° は 180° 未満ですが、60° + 135° = 195° は 180° を超えるので三角形になりません。a はおよそ 4.24、b はおよそ 3.46 で a のほうが長く、B が鋭角に決まることとも合っています。
答え: B = 45°、三角形は 1 つ
次に確かめる公式
- 余弦定理: 2 辺とその間の角、または 3 辺しかわからない、向かい合う組のない問題の最初の一手に使います。
- 三角形の面積の公式 S = (1/2) bc sin A: 2 辺と間の角から面積を出すときに使い、sin A = a / (2R) を入れると S = abc / (4R) にもなります。
- 鈍角の三角比 sin(180° − θ) = sin θ、cos(180° − θ) = -cos θ: 120° や 135° の値を鋭角に直すときに使います。
個別指導で正弦定理につまずいた人を見るときは、式より先に、有名角の sin の値と円周角の定理が言えるかを確かめます。そこが抜けたまま問題数だけ増やしても、次の問題でも同じところで止まるからです。
まとめ
正弦定理を使うかどうかは、向かい合う組を探せばすぐ決まります。組があれば正弦定理、なければ余弦定理で、sin から角を出したときだけ候補を 2 つ調べます。向かい合う辺と角が 1 組そろった瞬間に、その三角形を囲む円の大きさはもう決まっています。
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