
武蔵野個別指導塾の特徴
「やればできる」と言うだけでは足りない—数学の成長マインドセットの使いどころ|武蔵野個別指導塾
励ますほど数学を嫌がるときは、声かけと練習の組み方を一緒に見直しましょう。つまずきを1行に絞り、例題を使って解き直す手順と、家庭で努力の過程を受け止める言葉を具体的に示します。

「やればできる」と言うだけでは足りない—数学の成長マインドセットの使いどころ
励ましのあとに鉛筆が止まるとき
よくあるのは、返却された成績表の封筒を開けたお子さまが、折り目のついた数学の欄を見てため息をつくという場面です。「やればできるよ」と声をかけても、「やったけど、できなかった」と返ってきます。励ましたかった保護者も、それ以上何を言えばよいのか迷います。
このやり取りでは、どちらかの気持ちが足りないわけではありません。保護者は先の可能性を伝え、お子さまは今までの苦労を伝えています。必要なのは、その間をつなぐ具体的な手がかりです。「次は何を変えるのか」が見えないまま努力を求められると、お子さまには、同じ失敗をもう一度繰り返すように聞こえることがあります。
成長マインドセットとは、能力を固定したものと決めつけず、学び方や支援によって伸ばせると捉える考え方です。数学では、この考えを励ましの言葉で終わらせず、問題の選び方、例題の読み方、助けの求め方に結びつけることが要点になります。まずは「もっと頑張る」を、「次の1問で何を試すか」に置き換えてみましょう。

伸びると信じることと、解けるようになることの間
「自分には数学の才能がない」と考えていると、間違いが、その日の解答の問題ではなく、自分全体の評価に見えてしまいます。すると、途中式を見直す前にノートを閉じたくなるかもしれません。成長マインドセットは、その判断をいったん保留し、今の理解を調べ直す余地をつくる考え方として使えます。昨日解けなかった問題も、足りない知識を補い、別の説明に触れれば、取り組み方が変わる可能性があります。
ただし、「能力は伸びる」という考えを持っただけで、分数の意味や方程式の操作が身につくわけではありません。学ぶ方向への気持ちと、実際に使う知識や手順は、分けて考える必要があります。励ましが入口になったら、その先には、どこで止まったかを調べ、扱える大きさの課題を選び、理解を確かめる練習が必要です。
米国の全国代表標本の高校生を対象に、1時間未満のオンライン介入を行った研究では、能力は伸ばせると伝える働きかけによって、成績が低めの生徒の評定が上がり、上級の数学科目の履修も増えました。また、周囲の生徒の規範が介入の内容と合う学校で、その効果が保たれました(Yeagerほか・2019)。伸びる可能性を伝えることに加えて、挑戦する行動を周りがどう受け止めるかにも目を向けたい結果です。
一方、米国の親615人と小学校低学年のお子さまを対象とした15〜18か月の無作為化比較試験では、親向けの数学の成長マインドセット介入により、「数学の力は伸ばせる」「失敗は学びに役立つ」という親の考えは持続的に強まりました。しかし、親の関わり方や、お子さまの数学の成績と考え方は、対照群より良くなりませんでした(MacDonaldほか・2024)。親が前向きになったことと、日々の学習のやり取りが変わったことは、同じではなかったのです。
高校生の結果には周囲の規範と合う学校で効果が保たれたという条件があり、親子の結果では関わり方への波及が見られなかったため、米国の両研究を家庭での励ましだけの効果と読み替えるのは適切ではありません。それでも、考え方だけで完結させず、行動と学ぶ環境まで点検するという、支援を組み立てる視点は得られます。
たとえば、質問すると「さっき説明したでしょう」と返される場では、伸びると信じても、わからない箇所を口にしづらくなります。反対に、間違えた式を一緒に見て、「ここまでは合っている。次の行で何をしたか確かめよう」と扱えば、試し直す場所がはっきりします。前向きな言葉を増やすだけでなく、迷いや間違いを出したときに何が起こるかを変えることが、学習に結びつく支えになります。
努力を認めるときも、「長く机に向かったね」で話を終えるより、「図に書いたら、比べる量を選べたね」と方法に触れると、次に再現する行動が残ります。失敗についても、すべてを無理に良い経験と言い換える必要はありません。悔しさを受け止めたうえで、その解答から使える情報を拾います。伸びるという見方は、つらさを隠すためではなく、次の手を探すために使います。
今日の1問で、努力の向きを変える手順
取り組むときは、手元の教科書、解き方の載った例題、間違えた問題のあるノートを用意します。新しい問題集を増やす前に、答えだけでなく途中の説明をたどれる材料を選びましょう。以下の時間は、家庭で始める際の区切り方の例です。急いで終える競争にはせず、区切りが来たら続け方を判断する合図にします。
最初の2分で、困りごとを1行にする
「数学が全部だめ」と書く代わりに、今止まっている場所を1行にします。「文章から式をつくれない」「分母が違うと、足し方がわからない」「この行で符号が変わる理由を説明できない」などです。原因を正しく言い当てる必要はありません。問題のどの部分が読めて、どの部分から進めないかに印をつけるだけでも、調べる範囲が狭くなります。
ノートには、解けなかった問題を丸ごと写さず、止まった式と、その直前の式を残します。文章題なら、尋ねられている量に線を引き、わかっている数を囲みます。図の問題なら、わかっている長さを図に書き込みます。こうして、自分が何を持っていて、何をまだ持っていないかを紙の上に出します。
確かめる問いは、「自分は何がわからないと言えるか」です。言葉にできないときは、「この行までは読める」と指で示せれば十分です。空欄を埋めることより、次に見る場所を決めることを、この時間の目標にします。「まだできない」という言葉を使うなら、「まだ、通分する数を選べない」のように、調べられる内容まで小さくします。
次の5分で、例題から必要な操作を探す
手元の例題のうち、止まった問題と似ているものを1つ開きます。数字が同じかどうかより、求めるものや使う操作が近いかを見ます。たとえば、1/3 + 1/6で止まったなら、分母をそろえてから足す例題を探します。複雑な問題へ先に進まず、今必要な操作が見える例を使います。
例題は、答えを眺めるだけで終えないようにします。1/3 = 2/6という部分を見たら、「分母も分子も2倍にして、同じ大きさを表している」と、自分の言葉で短く説明してみます。それから説明を紙で隠し、どこに同じ操作をしたか書きます。言葉だけでつかみにくければ、同じ長さの帯を3等分した図と6等分した図を描き、量が変わっていないか確かめます。
教材の使い方には、読む、隠して書く、図に置き換えるという違いがあります。最初から全部を行う必要はなく、自分が止まったところに合う方法を選びます。読んでも同じ行で迷うなら、読む回数を増やす前に、図や小さい数へ変えてみます。「努力を増やす」前に「情報の見え方を変える」と考えると、試す行動を決めやすくなります。
ここでの確認は、「なぜ、その操作をしてよいのか」です。正しい式を書けても理由が言えなければ、例題に戻ってかまいません。戻った場所に小さく印を残しておくと、あとで質問するときも、どこまで自分で確かめたか伝えられます。
次の5分で、条件を1つだけ変えて解く
例題を閉じて、数字だけを変えた近い問題を解きます。1/3 + 1/6を確かめたあとなら、1/4 + 1/8のように、同じ操作を使う問題です。ここでは、急に文章題にしたり、計算の段階を増やしたりせず、今選んだ方法を自分で使えるかを見ることに集中します。
答え合わせでは、最終の数と途中の式を別々に確認します。1/4 = 2/8と変えられたか、そのあと2/8 + 1/8 = 3/8と計算できたかを追います。さらに、「1/4に正の数を足したので、答えは1/4より大きい」と、結果の大きさからも確かめます。解答と一致したことに加えて、式のつながりと答えの見当を、自分で点検する練習です。
間違えたら、例題の最初から全部写し直すのではなく、初めて食い違った行を探します。「同じ大きさの分数への直し方」「足す計算」「答えの書き方」のどこが違ったかで、戻る場所を変えます。正解のときにも、偶然合ったのか、理由を使って解けたのかを確かめます。この確認があると、「できた」という感想が、次の問題にも使える手順になります。
分数以外でも、見る場所を絞る考え方は使えます。たとえば、2x + 3 = 11を解く途中で迷うなら、まず両辺から3を引いて2x = 8とする行を確かめます。「3を移すと符号が変わる」とだけ覚えている場合は、左右から同じ数を引いた式を書き、等しい関係を保っていることを見ます。次に両辺を2で割ってx = 4とし、もとの式に4を入れて、左辺も11になるか調べます。操作の理由、計算の結果、もとの条件との一致という、別々の見方で確認できます。
高校の数学でも、長い解答を一度に理解しようとして止まるなら、説明できない最初の等号に印をつけます。その前後の式だけを抜き出し、展開や因数分解など、どの操作を使ったか探します。使った操作は言えるのに計算が合わなければ、その部分だけ簡単な式で練習します。操作そのものがわからなければ、該当する説明を読み直すか質問にします。同じ「解けない」でも、必要な行動は違います。自分で分けられないときには、その2行を示すところまでで十分です。
終わりの3分で、次の自分へのメモを残す
最後に、「試した方法」「助かったところ」「残った疑問」を短く書きます。「図で大きさを見た」「分母だけ変えてはいけないと気づいた」「分母を何にそろえるかで迷う」という形です。長い反省文にせず、次にノートを開いた自分が行動を決められる情報を残します。
「今日は集中できなかった」とだけ書くより、「例題を開いたまま解いたので、自分で選べたかは次に確かめる」と書けば、次の課題が決まります。できなかった理由を性格でまとめず、使った条件に目を向けます。翌日に少し時間を取り、同じ種類の問題を、説明を見ずに1問解いてください。そこで再び止まったら、前日のメモを手がかりに戻ります。
自力で進まないときは、「ここまでは書けた」「この行の意味がわからない」「図も試した」という3点を質問用に残して終えます。答えが出るまで座り続けることを、努力の証明にする必要はありません。助けを求める準備までできれば、その時間には具体的な成果があります。疑問を持ち越すときも、再開する場所が決まっていれば、次に取りかかる手がかりになります。
次の練習を決める際は、手応えだけで量を増やさず、残したメモと実際の解答を見比べます。理由を説明でき、近い問題も解けたなら、少し条件の違う問題へ進みます。例題を見れば解けるなら、まずは同じ種類で、見る部分を減らして試します。例題の説明自体が読めないなら、問題数を足すより、その説明に含まれる言葉や計算を調べる段階です。進む、支えを減らす、前に戻るという選択を、その日の解答から決めます。
時間の区切りが来たら、「あと1問」と続ける前に、今何を確かめているか言ってみてください。目的が言えて、続けたい気持ちがあれば、短く延ばす相談もできます。目的が曖昧になり、同じ式を眺めるだけになったら、疑問を残していったん閉じます。休むことを失敗と扱わず、次はどのページから始めるかを決めておきます。続けた時間ではなく、試した方法について何がわかったかを振り返ると、次回の努力の向きを選びやすくなります。

個別指導を選ぶときに確かめたい支援の中身
家庭で「伸びる可能性を信じよう」と言うだけでは、問題の難しさや説明の量を調整するのは難しいものです。個別指導を検討するなら、前向きな声かけの多さに加えて、つまずいた解答をどのように扱うかを見てください。「頑張ればできる」と伝えたあとに、何を教え、何をお子さま自身に任せるのかが具体的であることが、判断の材料になります。
指導側に担ってもらいたいのは、まず、止まった原因を解答から見立てることです。問題文の意味がつかめないのか、必要な計算を思い出せないのか、解き方は知っていても選べないのかでは、次の課題が違います。「やる気がない」「基礎が弱い」という大きな言葉だけで説明を終えず、どの知識や操作を確認するのか聞いてみましょう。
次に確かめたいのは、方法を変える判断です。説明を繰り返す、図を使う、数を簡単にする、前の計算に戻るなど、試せる手は複数あります。お子さまが同じところで迷っているなら、指導側は何を見て、どの手に切り替えるのでしょうか。体験授業や面談で確かめてください。「本人が前向きになるまで待つ」という説明だけでは、学習を進める手がかりが不足します。
また、助けた直後の正解と、自分で解けた正解を区別してもらえるかも見たい点です。途中まで式を示してもらえば進める段階は、学習の大事な途中です。ただ、それを最初から自力でできたことと同じに扱うと、家庭で再び止まったときに、本人も保護者も戸惑います。どこまで支えがあれば進めるかを、責めずに確かめる説明があると、次の練習の難しさを相談しやすくなります。
進み具合を見る材料には、「例題を見ながらできた」「説明を閉じてできた」「別の日にも同じ操作を選べた」という区別が使えます。点数だけを並べるより、どの支えが必要だったかを一緒に残すと、変化の中身が見えます。記録を希望する場合は、こうした内容をどの程度共有できるか、体験授業や面談で確かめてください。立派な書式より、次に何を試すかにつながる情報が役立ちます。
家庭が持つ役割は、授業をもう一度行うことより、学習に戻れる条件を整えることです。取りかかる時間を相談する、机に必要な物を置けるようにする、止まった問題に印をつけて持っていけるようにするなど、保護者が数学を解説しなくてもできる支えがあります。お子さまが「今は話したくない」と言うなら、答え合わせの直後に感想を求めず、落ち着いてから聞く方法も選べます。
声をかけるなら、「今日は何問できた」だけでなく、「昨日と違うやり方を使ったところはある」と尋ねてみてください。答えが出なくても、図を描いた、例題の場所を見つけた、質問をメモしたといった行動が見えてきます。そこで「すごい」と評価を重ねるより、「その図が、どの数を使うか考える手がかりになったんだね」と、本人の説明を受け止めることもできます。
ただし、家庭での問いかけも、毎回報告させる試験のようになると負担になります。話したいときにノートの1か所だけ見せてもらう、口頭で説明しにくければ印をつけてもらうなど、お子さまが答えやすい形を相談します。保護者が知りたいことをすべてその場で聞くより、次の学習を邪魔しない量に絞りましょう。
指導側へ相談する際は、「家ではやる気がありません」という評価だけでなく、「例題を見れば書き始めるが、閉じると最初の式で止まる」と、見えた行動を伝えると話が具体的になります。続けて、「家ではどこまで試し、どこから質問として持っていけばよいか」と聞くと、家庭が抱える範囲を決めやすくなります。保護者だけで原因を判断したり、毎晩説明をやり直したりする必要はありません。
お子さま自身にも、助け方を選ぶ余地があります。「答えを教えて」だけでなく、「最初の式だけ相談したい」「図が合っているか見てほしい」と頼めると、考える部分を手元に残せます。このような質問が歓迎されるか、間違いを見せたあとにどう扱われるかも、体験授業や面談で確かめてください。挑戦を勧める言葉と、挑戦したあとの対応がつながっているかを見ることが、成長マインドセットを学習に生かす視点です。
努力と励ましについての3つの疑問
「頑張ったね」とほめるのも控えた方がよいですか
頑張りを認める言葉を控える必要はありません。ただ、何をしていたかを見ずに言うと、お子さまには気持ちが届きにくいことがあります。「途中式を残したから、間違いの場所が見つかったね」のように、行動と結果を結びつけると、その努力を次に使いやすくなります。
結果が伴わなかった日は、「時間をかけたのに悔しいね」と受け止めてから、「同じやり方で続けるか、説明を変えてみるか」を相談します。ほめるために無理に成果を探すより、実際にしたことを丁寧に見てください。努力の長さだけを基準にせず、役立った方法と、変えてよい方法を分けて扱います。
「まだできない」と言い換えれば前向きになりますか
「まだ」という言葉は、今の状態を将来まで固定しないために使えます。しかし、本人が困っている内容を置いたまま言い換えだけ求めると、「できないと言ってはいけない」と受け取られることもあります。「できない」と話せたことを、次に調べる入口にしましょう。
たとえば「まだ式をつくれない。その前に、何を求める問題か線を引こう」と、すぐ試せる行動まで添えます。言い換えに乗り気でなければ、無理に復唱させず、問題を一緒に小さくします。前向きな言葉を口にすることより、困ったときに使える手が1つ増えることを目指します。
方法を変えても、すぐに解けないときはどうしますか
その日の方法が役立たなければ、「自分には成長マインドセットがない」と結論づける必要はありません。選んだ例題が難しかったのか、言葉の意味で迷っているのか、以前の計算を確かめる必要があるのかを見直します。問題を簡単にすることも、質問を用意して終えることも、次へ進むための選択です。
家庭では、励ましを重ねる前に、どの行で止まったかを残してください。指導を受ける場では、その記録を使って、説明や課題を相談できます。気持ちが前向きであることを支援の条件にせず、困ったままでも助けを求められる形を用意すると、学び直しを始める場所が定まります。
可能性を、次に試せる行動へつなぐ
「やればできる」は、未来への期待を込めた言葉です。その期待をお子さまが使えるものにするには、「何を、どう試すか」を添える必要があります。今日選ぶのは、止まった行を囲む、例題を隠して書く、疑問を1つ残すといった、小さな行動でかまいません。
うまくいったら、役立った方法を確かめます。うまくいかなければ、課題や支え方を変えます。その往復の中で、「努力する」とは同じことを我慢して続けるだけではなく、手がかりを集めて取り組み直すことだと伝えられます。「次は図にして試そう」まで具体化してこそ、成長への期待を今日の学習で使えます。
参考文献
- Yeagerほか(2019). A national experiment reveals where a growth mindset improves achievement. https://doi.org/10.1038/s41586-019-1466-y
- MacDonaldほか(2024). 親向けの数学の成長マインドセット介入に関する無作為化比較試験. https://doi.org/10.1037/dev0001768
本気になった日が、入塾の日。
お子様の教育、迷ったら「丸投げ」してください。必ず、期待以上の結果で返します。武蔵野で育む、武蔵境で学ぶ。
電話は年中無休。365日、24時間、お電話可能。




