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わからない問題で止まる子へ—自分に問いかける 4 つの質問|武蔵野個別指導塾
問題の前で手が止まったら、求めるもの、使える手がかり、変える方法、確かめ方を順に問い直しましょう。短く区切る練習と質問メモを用意し、一人で試すことと人に尋ねることを選び分けられます。

わからない問題で止まる子へ—自分に問いかける 4 つの質問
同じ行を見つめているときに始めたいこと
よくあるのは、バスの待合所で、乗車前に終えるつもりだった数学のノートを開き、同じ問題文を何度も読み返しているという場面です。鉛筆は持っていて、答えを出したい気持ちもあります。それでも、最初の式が書けません。発車の時刻が近づくほど、「またできなかった」という言葉ばかりが浮かんできます。
保護者から見ると、考えているのか、ぼんやりしているのか判断しにくい時間です。「もう少し考えて」と声をかけたくなることもあるでしょう。ただ、何を変えれば先へ進めるかが見えていなければ、考える時間だけを延ばしても、同じところを回り続けてしまいます。
そこで用意したいのが、止まったときに自分へ向ける短い質問です。「何を求める?」「何が使える?」「どこを変える?」「どう確かめる?」の4つを、紙の端に置いてみてください。全部に立派な答えを書く必要はありません。今の自分が動かせるところを探し、必要なら人に尋ねるための足場にします。

考える力を使う先が見えなくなる理由
数学の問題で止まる場所は、いつも同じではありません。問題文の意味がつかめない場合もあれば、使う公式はわかっていて代入する数を選べない場合もあります。式まではできたのに計算で止まることもありますし、答えが出ても合っている気がせず、同じ計算を繰り返すこともあります。どこで止まったかによって、必要な助けは変わります。
ところが、「わからない」という言葉だけでは、この違いが隠れます。「自分は数学が苦手だから」とまとめると、問題のどの部分へ戻ればよいかも見えにくくなります。まず必要なのは、自分の能力を評定することより、今している作業を言葉にすることです。「長さを求めたいが、この数がどの辺の長さかわからない」と言えれば、図へ戻る道ができます。
このように、難しいときに学び方へ目を向ける姿勢を考える手がかりが、戦略的マインドセットの研究です。つまずいた場面で、自分に合う方法や、もっと効果的な進め方を問いかける姿勢に着目しています。効果的な学習法の使用や試験の成績との関係が見られ、働きかけによって学習法の使用と成績が上がったことも報告されています(Chenほか・2025)。
シンガポールの30校以上の青年と成人7,475人、うち現場実験1,070人で得られた知見は、準備の整った生徒と協力的な仲間の環境を含む結果であり、年齢や文化の異なる学習者に質問だけを渡した場合への適用には慎重さが求められます。この結果を家庭で生かすなら、励ましの言葉を増やすだけでなく、問いかけた後に選べる方法をそろえることが要点になります。ここで扱う4つの質問は、その考え方を日々の数学に使いやすく整理したものです。
たとえば「別のやり方は?」と尋ねられても、図にする方法をまだ知らないお子さまには答えようがありません。図の描き方を一緒に確かめて初めて、次の問題で図を使う選択ができます。方法を知ることと、その場に合う方法を選ぶことは、つながりながらも別の練習です。質問には、教科書の例題や、前に解いたノートなど、戻れる手がかりを添えます。
また、取り組んだ方法がうまくいかなかったときも、「自分には無理」という結論を急ぐ必要はありません。文章をもう一度読むだけでは動かなかったなら、数と単位を抜き出す。式を眺めても意味が見えなければ、簡単な図を添える。変える対象を自分全体から目の前の作業へ移すと、次に試すことを具体的に選べます。
保護者の問いかけも、この区別に合わせます。「どうしてできないの?」では、原因を説明することまでお子さまの課題になります。「今、何を求めようとしている?」なら、問題文の最後を指すだけでも返せます。返事の長さや言葉の上手さを求めず、指さし、丸、短いメモから始めてください。問いかけを受けること自体が新しい試験にならないようにします。
4つの質問を使って次の一手を選ぶ
練習には、今使っている教科書か問題集と、余白のある紙を用意します。最初は解説が付いていて、以前習った内容を含む問題を選びます。全く初めての内容は、先に説明を受けるための印を付けておきましょう。問題を解く準備があるものから試すと、問いかけの使いどころを確かめやすくなります。
時間は、問題の整理に2分、選んだ方法を試すのに3分、解説と照らすのに2分という区切りを出発点にできます。最後に1分で、次にすることを書きます。これは練習を始めるための目安です。読み取りに時間がかかるなら延ばして構いません。時間が来たら能力を判定するのではなく、今の方法を続けるか、変えるかを決めます。
質問1「何を求める?」で終点をはっきりさせる
問題文の最後を読み、「求めたいもの」を短く書きます。「答え」だけではなく、「1袋に入る個数」「長方形の横の長さ」「条件を満たすx」のように、何を出せば終わるのかまで書きましょう。単位が必要なら、その単位も隣に添えます。答えるものが複数ある問題では、空欄を分けておくと扱いやすくなります。
たとえば、同じ値段のノートを3冊と120円のペンを買い、代金が合計480円だったとします。ノート1冊の値段を求める問題なら、紙に「ノート1冊は何円?」と書きます。480円を見てすぐ割り算を始める前に、求めたいのが買い物全体の平均ではなく、ノート1冊の値段だと確かめます。
自分で点検するときは、「今書いた答えの欄に、何という単位が付く?」と読んでみてください。円を求めるのに冊数を答えようとしていたら、問題文へ戻ります。何を求めるか自体が言えない場合は、意味のつかめない言葉に線を引きます。その線が、人に尋ねる場所になります。読み直すたびに問題文全体へ戻る代わりに、その言葉の意味を教科書で調べるか、次に聞くこととして残してください。
質問2「何が使える?」で手がかりを集める
次に、わかっていることを抜き出します。ノートの問題なら「ノートは3冊」「ペンは120円」「全部で480円」の3つです。数だけを並べず、数の意味を短く添えます。「3、120、480」とだけ書くと、何を掛けたり引いたりするのかが曖昧なままです。言葉を添えたメモを使って、全体と部分の関係を見ます。
教材へ戻るときは、解答の数字が似ている問題ではなく、同じ関係を扱う例題を探します。目次や単元名から場所を絞り、例題の問題文と今の問題文を並べて読みます。「全体から一部を除く」「同じ量に分ける」など、共通する動きを見つけてください。使えそうな式があれば、各数字が何を表すのかも確かめます。
ノートの問題なら、「ノート3冊の代金」と「ペンの代金」を横に並べた図が手がかりになります。全体が480円だと書き込めば、まずペンの分を引く見通しが立ちます。ここまで進んだら、「問題文の条件を図やメモに置き忘れていないか」を自分で点検します。すべての条件を毎回使うと決めつけず、使った条件がどこにあるかを追いましょう。
質問3「どこを変える?」で試す方法を1つ選ぶ
手がかりがあっても式が出ないときは、同じ読み方を続ける前に作業を変えます。文章を図にする、複雑な条件を部分ごとに分ける、似た例題の最初の一手を見る、といった候補から1つ選びます。一度に何通りも試そうとせず、「今は図にする」と決めて手を動かします。何を変えたかが残ることも、後の振り返りに役立ちます。
ノートの問題なら、買い物全体を一度に考えるのをやめ、「ノートだけの代金はいくらか」に分けます。480 − 120 = 360と書けたら、次に360 ÷ 3へ進みます。文字を使って考えている人なら、3x + 120 = 480という式の中で、ノートの部分が3xだと指せるかを確かめます。同じ関係を、自分が扱える表し方で見る練習です。
解説を使う場合は、まず結論を紙で隠し、最初の式だけを見ます。その式を使う理由を問題文や図に戻って確かめ、解説を閉じて続きを書いてみてください。最初の式の意味がつかめなければ、その1行を質問メモへ移します。写した量を増やすより、説明してほしい場所を絞る使い方です。
方法を変えた後は、元の問いとつながっているかも見ます。図をきれいに描くことに集中して、求める長さを入れ忘れていたら、その長さの位置へ印を足します。例題を読んでいるうちに別の単元まで進んでしまったら、今ほしい手がかりを紙に書き直します。「図を描いた」「解説を読んだ」という作業の名前だけで終えず、その作業から何を取り出すかを決めておきます。
選んだ方法を試す時間が終わったら、「新しくわかったことがあるか」を見ます。式が完成していなくても、「この120円はノートの値段ではない」と整理できたなら、その点を残します。同じ計算を書き直しただけなら、別の表し方へ移るか、質問する準備に切り替えます。何も変わらないまま時計だけを見る時間を、ここで区切ります。
質問4「どう確かめる?」で答えを条件に戻す
ノート1冊が120円と出たら、買い物の条件へ戻します。120 × 3 + 120 = 480となるので、ノート3冊とペンを合わせた代金に合っています。「答えが解答と一致した」ことに加え、何を確かめた式なのかも言葉にします。答えの値を元の状況へ戻すと、途中の計算とは違う方向から見直せます。
点検の方法は問題に合わせて選びます。文章題なら数と単位を戻す、方程式なら求めた値を元の式に入れる、図形なら長さや角度が与えられた条件と合うか図で見る、といった方法があります。計算を最初からなぞり直すだけでなく、別の見方が使えないか探してください。証明では、結論までに使った性質と、その性質を使える条件を対応させます。
最後は解説を閉じ、「最初に何をしたか」を短く説明します。説明できたら、次の練習で同じ関係の問題を選び、質問メモを見ながら始めてみましょう。答えを覚えている問題でも、式を選んだ理由が言えるかを点検できます。「合っていた」「間違った」に加えて、「ペンの分を先に引くと決められた」のように行動を残します。
進まない日は質問メモまでで区切る
4つの質問を全部使っても進まない日はあります。そのときは、「求めるもの」「試したこと」「止まった行」を書いて終えます。たとえば「ノート1冊の値段を求めたい。図にした。合計から引くものが決められない」と残せます。理由を長く説明できなくても、問題番号と止まった場所の印があれば、次に相談する入口になります。
質問メモには、自分の予想を書き添えても役立ちます。「先に120円を引くと思ったが、引く理由を説明できない」と書けば、答えの数字より、全体と部分の関係を教わりたいことが伝わります。予想が外れていても消さずに残し、説明を受けた後で、どの言葉や図を手がかりに考えを変えたかを書き足します。間違えた跡が、次に見返す目印になります。
翌日は、そのメモを読んでから始めます。すぐ解き直せそうなら最初の一手を書き、同じ場所で止まるなら、教わる項目として持っていきます。質問を使い続けること自体を目標にせず、問題を理解するために使ってください。慣れた問題では短く済ませ、止まった問題で必要な問いを取り出す形で十分です。

教わる部分と一人で試す部分を分ける
個別指導を考えるときは、止まったところへどのように関わるかを、体験授業や面談で確かめてください。見るべき点は、解説を聞いた直後に答えが書けることだけではありません。次の問題で、お子さま自身が求めるものをつかみ、手がかりを選び、最初の一手を出せるかまで見たいところです。
指導を受ける側から伝えたいのは、「数学が全部わかりません」という大きな困り事だけでなく、実際に止まった紙です。消してきれいにする前の式、書きかけの図、解説を見た行の印を持っていきます。どこまで一人で考えたかが残っていると、説明が必要な部分と、問いかけで進めそうな部分を分けて相談できます。
講師に確かめたい役割の1つは、必要な知識を補うことです。たとえば等式の意味が曖昧なままなら、「何が使える?」と繰り返し尋ねるだけでは進みにくいでしょう。何を等しいと見ているかを説明してもらい、短い問題で扱えるかを見ます。問いかけが効かないときに、問いの回数を増やすのでなく、教える内容を選べるかが着眼点です。
もう1つは、考え方を見える形で示してもらうことです。「合計がわかっているので、先にペンの代金を除きます」と、問題文の言葉と操作を結びつける説明を聞きます。その後は、お子さまが同じ部分を自分の言葉や図で表してみます。講師の説明をそっくり覚えることより、どの条件を使ったのかが本人に見えているかを確かめます。
さらに、助けをどのくらい減らせるかも相談できます。最初は「何を求める?」と声をかけてもらい、次は紙の質問を自分で見る、その次は止まったときに必要な問いを選ぶ、と段階を分けます。すぐに全てを一人で行わせる必要はありません。どの助けがあれば進めて、どこから自分でできるのかを具体的にすることが目的です。
教わった後の確認では、数字だけを変えた問題をすぐ解くことに加え、「ここで全体から一部を引くのはなぜか」と説明できるかを見ます。計算が合っていても、たまたま知っている形に当てはめただけなら、次の問題で迷うかもしれません。逆に計算を間違えていても、関係の捉え方は合っていることがあります。式を選ぶところと計算するところを分けて見てもらえるか、相談してみてください。
家庭が持つ部分は、学習内容の説明をすべて引き受けることではありません。取り組む時間の終わりを一緒に決める、質問メモを次に持っていける場所へ置く、できた操作を言葉にして聞く、といった支え方を選べます。忙しい日には「どの行を聞きたいか印を付けておこう」と声をかけるだけでも、相談の準備はできます。
お子さまに説明してもらうときは、答えの正しさをその場で裁くより、「どの条件を使ったの?」と紙を一緒に見ます。保護者が解法を知らない場合は、そのまま講師への質問にして構いません。わかったふりをして説明を重ねるより、疑問を残して尋ねる姿勢のほうが、家庭で無理なく続けられるでしょう。
進み具合を見たいなら、ノートに「一人で書けたところ」「助けを使ったところ」「次に試すこと」を短く残す方法があります。「式は自分で作れた。計算は例題を見た。次は式に答えを戻して確かめる」と書けます。正答数だけでは見えにくい、助けの必要な場所の変化を読み取るための記録です。毎回長い感想文にする必要はありません。
同じ正解でも、解説を見ながら最後まで写した場合と、最初のヒントだけで続きを進めた場合では、次に練習したい部分が違います。どちらも正解の印だけにすると、その違いが消えます。「例題を見た」「質問カードを見た」など、使った助けも残しましょう。助けを使うことを隠さずに済む記録なら、次に必要な支援を相談しやすくなります。
家庭と講師で話す機会には、「この問題では図を描けましたが、式を決めるところで止まりました。次は何を練習するとよいでしょうか」と伝えられます。これに対して、どの知識を補うか、どの練習を家庭で行うか、お子さまが何を自分で確かめるかを相談します。使う問題や練習の量も、実際に取り組めた様子から決めるのがよいでしょう。
武蔵野個別指導塾についても、こうした問いかけと説明の使い分けを、体験授業や面談で確かめてください。お子さまの紙を前にして、「この止まり方なら、どんな手がかりを渡しますか」と尋ねると、学び直しの進め方を具体的に話しやすくなります。
つまずいたときの質問についてのQ&A
Q1 4つを毎回、順番どおりに言わせますか?
最初は順番があると始めやすいですが、毎回全部を言わせる必要はありません。求めるものが明らかで計算だけ止まったなら、使える例題を探すところからで構いません。答えが出た後なら、確かめ方を選ぶ問いが役立ちます。お子さまがどこで止まっているかに合わせ、必要なところを使ってください。
口に出すのが負担なら、紙の問いを指しても、短い言葉を書いてもよいでしょう。「何が使える?」の下に例題のページを書くだけでも、次に見る場所は決まります。質問へ上手に答えることより、質問の後で作業が1つ進むかを見ます。
Q2 途中で解説を見ると、自分で考える力が育ちませんか?
解説を読む場面も、自分で考える場面につなげられます。見た後に閉じて、なぜその式を使うかを問題文から説明し、続きを書いてみてください。わからなかった行に必要な説明を受け、もう一度試すことも練習の一部です。何も手がかりがないまま長く待つ必要はありません。
気を付けたいのは、答えを見て安心したところで終わることです。「どの条件に気付いたか」「次に同じところで止まったら何を見るか」を残します。翌日、解説を閉じた状態で最初の一手を出せるかを確かめると、次に教わりたい点も見えてきます。
Q3 保護者が聞くと「わからない」と怒ってしまいます。
まず、その場で質問を重ねるのを止めてください。疲れているときや、正解を求められていると感じるときには、短い問いにも返しにくいことがあります。「今日は聞きたいところに印を付けて終わろう」と、返事以外の終え方を示します。落ち着いてから、どの声かけなら受け取りやすいかを相談しましょう。
保護者が先に答えを言ったり、全ての問いを読み上げたりせず、紙を置いて本人が使える形にする方法もあります。会話を増やすことより、お子さまが次に尋ねる場所を残せたかを見てください。取り組める日には、まず本人が選んだ1つの問いから再開します。
次の一手を選べたところを残す
今日の練習では、途中で止まった問題を1つ選んでください。「何を求める?」「何が使える?」「どこを変える?」「どう確かめる?」を紙に書き、今使えそうな問いに丸を付けます。その問いから図を描く、例題を開く、質問する行を決めるなど、具体的な行動へ移してみましょう。
最後まで解けた日も、質問メモまでの日も、次に使う手がかりを残して終えます。保護者は「全部終わった?」に加えて、「次はどこから始められそう?」と紙を見てください。お子さま自身が選んだ行動が見えれば、明日の始め方を一緒に確かめられます。
止まった行に自分で付けた印は、教わりたいことを伝える言葉になります。鉛筆で囲んだ疑問から、教わる内容を自分で選ぶ学習が始まります。
参考文献
- Chen P, Teo QK, Foo DXY ほか(2025). A strategic mindset predicts and promotes effective learning and academic performance. npj Science of Learning. https://doi.org/10.1038/s41539-025-00367-6
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