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【化学】金属元素①を図解で総まとめ—アルカリ金属 2 族・アルミニウム 亜鉛・炭酸ナトリウムの製法|武蔵野個別指導塾

金属と水の反応から、アンモニアソーダ法、両性水酸化物、テルミットまでを図で整理します。沈殿量や水素の体積を求める例題を通して、反応条件と物質量を結びつけて学べます。
よくあるのは、理科室の実験台の脇で反応の記録を見返し、「白い沈殿ができた」とは書けても、それが炭酸カルシウムなのか水酸化アルミニウムなのか、加えた物質から説明できなくなるという場面です。色だけを覚えると、似た見た目の物質が増えるほど判断が難しくなります。そこで、何の金属を含むか、何を加えたか、その量は少量か過剰かという順に、反応の前後をたどってみましょう。
アルカリ金属、2族の金属、アルミニウム、亜鉛には、同じ金属という共通点と、反応相手によって現れる違いがあります。ナトリウムとカルシウムでは水素の発生量が違い、マグネシウムとカルシウムでは水との反応条件が違います。炭酸ナトリウムの工業的製法も、化学式を並べるだけでなく、溶けにくい物質を取り出し、使った物質を回収する流れとして読めます。反応式を現象の説明と計算の両方に使えるように、順に確かめていきます。
この単元で身につけること
- アルカリ金属と2族の金属を区別します。できやすい陽イオンの電荷を手掛かりに、水酸化物や塩の化学式を組み立てます。
- ナトリウム、カルシウム、マグネシウムの反応条件を読み取ります。同じ水との反応でも、常温の水、熱水、高温の水蒸気を区別します。
- 炭酸塩と炭酸水素塩の変化を追います。気体の発生、沈殿の生成、加熱による分解を、別々の暗記事項ではなく反応式でつなげます。
- アンモニアソーダ法の流れを説明します。直接取り出す物質と最終製品を区別し、アンモニアを再利用する意味を考えます。
- Al・Znの両性とテルミット反応を理解します。酸・強塩基との反応では生成物を、酸化還元反応では電子を失う側と受け取る側を確かめます。
土台になるのは、化学基礎で学んだイオンの電荷、物質量、酸と塩基、酸化還元です。反応式の係数は粒子の個数比であると同時に物質量の比なので、現象の整理ができれば、質量や気体の体積を求める問題にも進めます。
基本の考え方
アルカリ金属と2族は、電荷と反応条件で整理します
アルカリ金属は、周期表の1族のうち水素を除く元素です。Li、Na、Kなどが含まれ、最外殻の電子を1個失って1価の陽イオンになりやすい性質があります。単体は比較的軟らかく、空気や水と反応しやすいため、自然界では主に化合物として存在します。NaやKが石油中で保存されるのは、空気や水分との接触を避けるためです。ここでいう石油は保存用のものであり、金属と水を家庭で反応させて確かめる内容ではありません。
2族にはBe、Mg、Ca、Sr、Ba、Raが入り、2価の陽イオンになりやすい性質があります。高校化学では、BeとMgを除くCa、Sr、Ba、Raをアルカリ土類金属と呼ぶ扱いが一般的です。「2族」と「アルカリ土類金属」を区別する問題では、教科書のこの範囲を押さえます。図1のように、Naが失う電子は1個、Mgが失う電子は2個であり、この違いが化合物の組成に表れます。

図1は電子配置の大きさを描いた図ではなく、原子から陽イオンになる際の電子の移動を整理した模式図です。Na⁺とOH⁻からできる水酸化物はNaOH、Ca²⁺とOH⁻からできる水酸化物はCa(OH)₂です。陽イオンと陰イオンを組み合わせた全体の電荷が0になるように、個数を決めます。硫酸イオンSO₄²⁻なら、ナトリウム塩はNa₂SO₄、カルシウム塩はCaSO₄になります。
Naと常温の水との反応は、2Na + 2H₂O → 2NaOH + H₂です。水素が発生し、水溶液はアルカリ性になります。Kも同じ型で反応し、一般にLi、Na、Kの順に水との反応が激しくなります。ただし、見た目の勢いから発生量を決めることはできません。発生量は、反応した金属の物質量と反応式の係数で決まります。
Caは常温の水と反応し、Ca + 2H₂O → Ca(OH)₂ + H₂となります。一方、Mgは常温の水とはほとんど反応せず、熱水とは徐々に反応してMg(OH)₂とH₂を生じます。高温の水蒸気との反応では、Mg + H₂O → MgO + H₂と表します。水が相手なら常に同じ酸化物や水酸化物になるのではなく、問題文の条件を先に確認する必要があります。
炎色反応は、特定の元素を含む物質を炎に入れたとき、元素に特有の色が見られる現象です。Liは赤色、Naは黄色、Kは赤紫色、Caは橙赤色、Srは紅色、Baは黄緑色と整理します。これは元素を見分ける手掛かりであって、化合物そのものの色ではありません。MgやAlの燃焼時の強い光を、これらの炎色反応と同じ意味で覚えないようにしましょう。
Na・Ca・Mgの化合物は、溶け方と加熱の変化をつなぎます
水酸化ナトリウムNaOHは、水に溶けやすい強塩基です。空気中の水分を吸って溶ける性質を潮解性といい、二酸化炭素も吸収して、2NaOH + CO₂ → Na₂CO₃ + H₂Oのように変化します。炭酸ナトリウムNa₂CO₃の水溶液もアルカリ性ですが、NaOHのように化学式にOHを含むためではありません。炭酸イオンが水と反応する加水分解によって、OH⁻が生じるためです。
炭酸水素ナトリウムNaHCO₃は、Na₂CO₃より水に溶けにくく、水溶液は弱いアルカリ性を示します。加熱すると、2NaHCO₃ → Na₂CO₃ + CO₂ + H₂Oと分解します。Na₂CO₃にもNaHCO₃にも酸を加えるとCO₂が発生しますが、1 molあたりに必要なH⁺は異なります。CO₃²⁻ + 2H⁺ → CO₂ + H₂O、HCO₃⁻ + H⁺ → CO₂ + H₂Oを並べると、違いを電荷から確かめられます。
ナトリウムの多くの塩は水に溶けやすい一方、CaCO₃やBaSO₄は水に溶けにくい物質です。塩化バリウム水溶液などからのBa²⁺とSO₄²⁻は、Ba²⁺ + SO₄²⁻ → BaSO₄として白色沈殿をつくります。CaSO₄も水に溶けにくい物質ですが、「すべての2族の塩が不溶」という規則ではありません。CaCl₂やMgCl₂は水に溶けやすく、陽イオンと陰イオンの組合せごとに整理します。
炭酸カルシウムCaCO₃は石灰石の主成分です。強く加熱するとCaCO₃ → CaO + CO₂と分解し、酸化カルシウムCaOができます。CaOを生石灰、Ca(OH)₂を消石灰といい、CaO + H₂O → Ca(OH)₂の反応では熱が発生します。Ca(OH)₂は水に少し溶け、その澄んだ水溶液が石灰水です。溶けた分は電離して強い塩基として働くので、「溶けにくい」と「弱塩基である」は同じ意味ではありません。
石灰水がCO₂で白く濁るのは、Ca(OH)₂ + CO₂ → CaCO₃ + H₂OによりCaCO₃の微粒子が生じるためです。さらに十分なCO₂があると、CaCO₃ + CO₂ + H₂O → Ca(HCO₃)₂の変化が起こり、沈殿が溶けます。右辺の炭酸水素カルシウムは水溶液中の成分として表しており、Ca²⁺とHCO₃⁻として存在します。「CO₂を加えると白濁する」だけで止めず、過剰になったときの変化まで一組にしましょう。
Mgの代表的な化合物には、白色の酸化マグネシウムMgO、水に溶けにくい水酸化マグネシウムMg(OH)₂、炭酸マグネシウムMgCO₃があります。MgCO₃を加熱するとMgOとCO₂に分かれます。MgOやMg(OH)₂は酸と反応し、たとえばMg(OH)₂ + 2HCl → MgCl₂ + 2H₂Oとなります。Ca²⁺やMg²⁺を多く含む水を硬水と呼び、これらのイオンはせっけんの成分と溶けにくい塩をつくるため、泡立ちに影響します。
炭酸ナトリウムの製法と、Al・Znの特徴を押さえます
アンモニアソーダ法は、主に食塩と石灰石を原料として炭酸ナトリウムを製造する方法です。工業的には、アンモニアを溶かした濃い食塩水にCO₂を作用させることで、比較的溶けにくいNaHCO₃を析出させます。全体をまとめた反応式はNaCl + NH₃ + CO₂ + H₂O → NaHCO₃ + NH₄Clです。最初からNa₂CO₃を沈殿させるのではない点が、重要な分かれ目です。
分離したNaHCO₃を加熱するとNa₂CO₃になります。一方、石灰石からはCaCO₃ → CaO + CO₂によってCO₂を得ます。生じたCaOをCa(OH)₂にし、2NH₄Cl + Ca(OH)₂ → 2NH₃ + CaCl₂ + 2H₂OによってNH₃を回収します。NaHCO₃の熱分解で生じるCO₂も再利用できます。中間で使った物質を差し引くと、全体の正味の反応は2NaCl + CaCO₃ → Na₂CO₃ + CaCl₂となります。NH₃は工程中で反応してから回収される物質であり、単に触媒と書いて済ませず、どの段階で戻るかまで説明します。
AlとZnは、酸にも強塩基の水溶液にも溶ける両性金属です。酸に溶ける場合、2Al + 6HCl → 2AlCl₃ + 3H₂、Zn + 2HCl → ZnCl₂ + H₂と表せます。強塩基性の水溶液では、2Al + 2OH⁻ + 6H₂O → 2[Al(OH)₄]⁻ + 3H₂、Zn + 2OH⁻ + 2H₂O → [Zn(OH)₄]²⁻ + H₂となります。角括弧で囲まれた粒子は錯イオンで、金属イオンに他のイオンや分子が配位してできたイオンです。ここでは名称と組成を押さえ、大学で扱う結合の理論まで進む必要はありません。
[Al(OH)₄]⁻はテトラヒドロキシドアルミン酸イオン、[Zn(OH)₄]²⁻はテトラヒドロキシド亜鉛(Ⅱ)酸イオンです。Al³⁺にOH⁻が4個なら電荷は−1、Zn²⁺にOH⁻が4個なら−2になると数えれば、式の右上の電荷を点検できます。Al₂O₃とZnOは両性酸化物、Al(OH)₃とZn(OH)₂は両性水酸化物で、これらも酸・強塩基の両方と反応します。ただし、水酸化物を溶かす反応では、金属単体を溶かす場合と違って水素は発生しません。
Alの表面には緻密な酸化物の被膜ができ、内部の腐食を妨げます。常温の濃硝酸などでこの保護作用が強まって反応しにくくなる状態が不動態です。「酸に溶ける」という一般的な性質にも条件があると理解しましょう。またAlは酸素と結びつきやすく、Fe₂O₃ + 2Al → Al₂O₃ + 2Feの反応で酸化鉄(Ⅲ)から鉄を取り出せます。これがテルミット反応で、多量の熱が発生します。学習では反応式と酸化還元の関係を扱い、混合や着火の方法は扱いません。
例題で解き方を確かめる
計算では、必要な原子量を各問題で与えます。気体については、標準状態を0 ℃、1.013×10⁵ Paとし、1 molの体積を22.4 Lとして扱います。気体の種類にかかわらず、問題がこの条件を指定しているかを確認してから体積へ換算します。
例題1 ナトリウムから発生する水素
Na 0.460 gが十分な水と完全に反応したとき、発生するH₂の標準状態での体積を求めます。原子量はNa=23.0とします。水は十分にあり、Naがすべて反応するという条件に注目します。
- 反応式を2Na + 2H₂O → 2NaOH + H₂と書きます。水素は2個のH原子からなる分子なので、NaとH₂の係数比は2:1です。
- Naの物質量を0.460 g ÷ 23.0 g/mol = 0.0200 molと求めます。係数比を使う前に、質量を物質量に直すためです。
- H₂は0.0200 mol × 1/2 = 0.0100 molなので、体積は0.0100 mol × 22.4 L/mol = 0.224 Lです。反応式の比を適用してから、求めたい量に換算します。
答え:H₂の体積は標準状態で0.224 Lです。
同じ0.0200 molのCaなら、係数比はCa:H₂=1:1なので、H₂は0.0200 molです。金属の物質量が同じでも、水素の発生量が同じとは限りません。また、同じ質量で比較する場合には、金属のモル質量も違うので、先にmolへ直す手順を省かないようにします。
例題2 アンモニアソーダ法の製品量
アンモニアソーダ法で分離した純粋なNaHCO₃ 16.8 gを、完全に熱分解したとします。生じるNa₂CO₃の質量とCO₂の標準状態での体積を求めます。原子量はH=1.0、C=12、O=16、Na=23とします。水蒸気を含めた混合気体の体積ではなく、CO₂だけの体積を問う問題です。
図2のように、NaClを含む溶液からNaHCO₃を取り出す段階と、NaHCO₃を加熱してNa₂CO₃にする段階を分けます。今回与えられた質量は中央のNaHCO₃の量なので、計算に直接使うのは後半の反応式です。

- 2NaHCO₃ → Na₂CO₃ + CO₂ + H₂Oを書きます。NaHCO₃の係数が2であるため、生成物をそれぞれ同じmolだけつくるのではないと判断できます。
- NaHCO₃のモル質量は23 + 1.0 + 12 + 16 × 3 = 84 g/molです。したがって、16.8 g ÷ 84 g/mol = 0.200 molとなります。
- Na₂CO₃とCO₂はいずれも0.200 mol × 1/2 = 0.100 molです。Na₂CO₃のモル質量は23 × 2 + 12 + 16 × 3 = 106 g/molなので、質量は10.6 gです。
- CO₂の体積は0.100 mol × 22.4 L/mol = 2.24 Lです。固体の質量を求めるときと気体の体積を求めるときで、最後に掛ける量を使い分けます。
答え:Na₂CO₃は10.6 g、CO₂は標準状態で2.24 Lです。
図2の「2:1」は質量比ではなく、NaHCO₃とNa₂CO₃の物質量比です。質量を半分の8.40 gにしてしまうと、異なる物質のモル質量を無視したことになります。また、工程全体の正味の式にはCO₂が現れませんが、個別の熱分解段階ではCO₂が発生します。全工程と一段階のどちらを問われたかも、計算に使う式の選択に関わります。
例題3 水酸化アルミニウムの生成と再溶解
Al³⁺を0.0100 mol含む水溶液に、NaOH水溶液を加えます。共存する酸などの影響を無視し、反応が式どおり進むものとします。Al³⁺がすべてAl(OH)₃になったときの沈殿の質量と、その沈殿をすべて[Al(OH)₄]⁻として溶かすまでに必要なOH⁻の合計の物質量を求めます。原子量はH=1.0、O=16、Al=27とします。
- 沈殿生成をAl³⁺ + 3OH⁻ → Al(OH)₃と書きます。Al³⁺の正電荷3個分を打ち消すため、OH⁻が3倍必要です。
- Al(OH)₃は0.0100 mol生じます。モル質量は27 + (16 + 1.0) × 3 = 78 g/molなので、質量は0.0100 mol × 78 g/mol = 0.780 gです。
- 再溶解をAl(OH)₃ + OH⁻ → [Al(OH)₄]⁻と書きます。この段階では、沈殿1 molにつきOH⁻をさらに1 mol消費します。
- 沈殿をつくるのに0.0300 mol、できた沈殿を溶かすのにさらに0.0100 mol必要です。合計は0.0400 molとなり、最初からの変化はAl³⁺ + 4OH⁻ → [Al(OH)₄]⁻とまとめられます。
答え:沈殿の質量は0.780 g、必要なOH⁻の合計は0.0400 molです。
「さらに必要な量」なら0.0100 mol、「最初からの合計」なら0.0400 molです。実際の沈殿生成や溶解には平衡も関係しますが、この問題では与えられた条件のもとで反応式の量的関係を使います。NaOHを加えると必ず沈殿が残るのではなく、加えた量によって観察される状態が変わります。
例題4 テルミット反応で得られる鉄
Fe₂O₃ 16.0 gとAl 5.40 gが、Fe₂O₃ + 2Al → Al₂O₃ + 2Feに従って完全に反応したとします。生成するFeの質量を求め、AlとFeのどちらが酸化されるか答えます。原子量はO=16、Al=27.0、Fe=56.0とします。両方の反応物の量が示されているので、どちらか一方を見て計算を終えないことが大切です。
- Fe₂O₃のモル質量は160 g/molなので、16.0 gは0.100 molです。Alは5.40 g ÷ 27.0 g/mol = 0.200 molとなります。
- 係数比Fe₂O₃:Al=1:2と比べます。0.100 molのFe₂O₃に必要なAlは0.200 molであり、今回は両方が過不足なく反応します。
- FeはFe₂O₃の2倍の0.200 mol生じるため、質量は0.200 mol × 56.0 g/mol = 11.2 gです。係数比が過不足の判定にも生成量の計算にも使われています。
- Alの酸化数は0から+3、Feは+3から0へ変わります。酸化数が増えるAlが酸化され、Fe₂O₃中のFeは還元されます。
答え:Feは11.2 g生成し、Alが酸化されます。
Alは相手の酸化鉄(Ⅲ)を還元するので、還元剤です。「還元剤だからAl自身が還元される」とすると、働きと自身の変化が逆になります。2個のAl原子が合計6個の電子を失い、2個のFeが合計6個の電子を受け取ると確かめると、反応式と酸化還元を結びつけられます。
つまずきやすいところと直し方
1 族が同じなら、常温の水との反応も同じにしてしまう
誤った書き方は「MgとCaはいずれも常温の水とよく反応し、水酸化物と水素を生じる」です。どこが違うかというと、Mgの反応条件を省き、Caの性質を2族全体に広げている点です。周期表の族は共通点を探す道具ですが、個々の反応性の違いを消すものではありません。
正しい書き方は「Caは常温の水と反応するが、Mgは常温の水とほとんど反応せず、熱水とは徐々に反応する」です。さらに高温の水蒸気なら、MgOを生成物にします。反応式を覚えるカードを作るときにも、左辺のH₂Oの横へ水の状態と温度条件を言葉で添えると、似た式の取り違えを防げます。
2 白色沈殿なら、NaOHを加え続けても残ると思ってしまう
誤った書き方は「Al³⁺ + 3OH⁻ → Al(OH)₃だから、NaOHが過剰でもAl(OH)₃が残る」です。どこが違うかというと、沈殿をつくる反応だけを見て、両性水酸化物が強塩基に溶ける次の反応を落としている点です。正しい書き方は「少量のNaOHで白色沈殿を生じ、過剰のNaOHではAl(OH)₃ + OH⁻ → [Al(OH)₄]⁻により溶ける」です。

図3のように、中央のAl(OH)₃から、酸性側と強塩基性側の両方へ溶解が進みます。酸ではAl(OH)₃ + 3H⁺ → Al³⁺ + 3H₂O、強塩基では上の錯イオン生成の式です。「両性」は中性という意味でも、あらゆる酸・塩基と同じ速さで反応するという意味でもありません。
Zn(OH)₂もZn(OH)₂ + 2OH⁻ → [Zn(OH)₄]²⁻によって過剰のNaOHに溶けます。一方、過剰のアンモニア水に対しては違いがあり、Zn(OH)₂は[Zn(NH₃)₄]²⁺を生じて溶けますが、Al(OH)₃は溶けません。アンモニアがZn²⁺に配位することが理由なので、「塩基ならどれでも同じ」とせず、NaOHとNH₃を区別します。
3 炭酸塩の製法で、沈殿と製品を取り違える
誤った書き方は「アンモニアソーダ法では、食塩水からNa₂CO₃を沈殿させる」です。どこが違うかというと、工程の途中で分離する物質と最終的に得る物質を一つにしている点です。正しい書き方は「NaHCO₃を析出させ、分離してから熱分解し、Na₂CO₃を得る」です。図2の中央の化学式にHが1個あることまで確認しましょう。
この区別は、石灰水の白濁とその後の透明化にも役立ちます。どちらも「今ある固体は何か」「追加した試薬で別の水溶性の物質になるか」を追います。白色という観察だけで結論を出さず、加えた物質、固体の化学式、その先の反応という順にノートへ並べると、見た目が同じ沈殿を整理できます。
練習問題
練習1
Ca 0.800 gが十分な水と完全に反応しました。発生するH₂の標準状態での体積を求めてください。原子量はCa=40.0とし、気体1 molの体積は22.4 Lとします。Naの場合の係数比をそのまま使わず、Caの反応式を書いてから計算しましょう。
練習2
純粋なNaHCO₃ 8.40 gを完全に熱分解しました。残るNa₂CO₃の質量と、CO₂およびH₂Oがすべて固体から離れたことによる質量の減少を求めてください。原子量はH=1.0、C=12、O=16、Na=23とします。質量の減少は、CO₂だけの質量とは限りません。
練習3
Zn²⁺を0.00500 mol含む水溶液にNaOH水溶液を加えます。共存する酸などの影響は無視し、式どおりに反応するとします。Zn(OH)₂がすべて沈殿したときの質量と、その沈殿をすべて[Zn(OH)₄]²⁻にするまでに必要なOH⁻の最初からの合計を求めてください。原子量はH=1.0、O=16、Zn=65.4とします。
練習4
石灰水にCO₂が作用して白く濁り、さらに十分なCO₂があると透明になりました。白い固体の化学式と、透明になるときの反応式を書いてください。また、アンモニアソーダ法でNaHCO₃とともに生じるNH₄ClからNH₃を回収するために用いるカルシウム化合物を答えてください。
答えと解説
練習1の答えは0.448 Lです。Ca + 2H₂O → Ca(OH)₂ + H₂より、CaとH₂は1:1です。Caは0.800 g ÷ 40.0 g/mol = 0.0200 molで、H₂も0.0200 molとなり、22.4 L/molを掛けます。
練習2の答えは、Na₂CO₃が5.30 g、質量の減少が3.10 gです。NaHCO₃は8.40 ÷ 84 = 0.100 molなので、Na₂CO₃は0.0500 molです。固体の質量は0.0500 × 106 = 5.30 gとなり、8.40 − 5.30 = 3.10 gが固体から離れます。CO₂は2.20 g、水は0.900 gで、合計からも確かめられます。
練習3の答えは、沈殿が0.497 g、OH⁻の合計が0.0200 molです。Zn(OH)₂のモル質量は99.4 g/molで、0.00500 molに掛けると0.497 gです。Zn²⁺ + 2OH⁻ → Zn(OH)₂で0.0100 mol、Zn(OH)₂ + 2OH⁻ → [Zn(OH)₄]²⁻でさらに0.0100 molを消費します。Alの場合とは、沈殿までと再溶解までの内訳が異なります。
練習4の答えは、白い固体がCaCO₃、透明になるときの式がCaCO₃ + CO₂ + H₂O → Ca(HCO₃)₂、NH₃回収に用いる物質がCa(OH)₂です。白濁を生じるときと消すときには、同じCO₂でも反応相手が違います。NH₃の回収は2NH₄Cl + Ca(OH)₂ → 2NH₃ + CaCl₂ + 2H₂Oと表し、アンモニウム塩から塩基によってNH₃が遊離すると理解します。
次の単元へのつながりと家庭での確かめ方
この単元で学んだ沈殿の生成、過剰の試薬による再溶解、錯イオンの生成は、鉄・銅・銀などの金属イオンを区別する学習につながります。金属が変わっても、「何をどれだけ加えたか」を読む姿勢は同じです。テルミット反応での酸化数の増減は、製錬や電池の反応を整理するときにも使えます。
家庭では、薬品を使わず、紙の上で5分ずつ確かめられます。1つ目は、Na、Ca、Mgを縦に並べ、できる陽イオンと水との反応条件を書いてから本文と照合する方法です。2つ目は、NaCl、NaHCO₃、Na₂CO₃を矢印でつなぎ、どこで沈殿を取り出し、どこで加熱するかを口頭で説明する方法です。お子さまの説明を聞く場合も、名称を多く言えたかより、矢印の前後で何が変わったかに注目すると理解を確かめられます。
個別指導では、Na₂CO₃をNaCO₃と書く場合はイオンの電荷まで、正しい式から質量を半分にしてしまう場合はmolと係数比まで戻って確かめます。間違えた箇所に応じて戻る位置を変えると、知識の不足なのか量の扱いの問題なのかを切り分けられます。
まとめ
白い沈殿という短い観察にも、金属イオンの種類、加えた試薬、加えた量という条件が隠れています。その条件を言葉にしてから反応式を書くと、NaHCO₃を取り出す製法も、Al(OH)₃が消える変化も、理由を伴って説明できます。計算は、その反応式が示す物質量の関係を質量や体積へ移す作業です。
NaHCO₃のHを消さず、過剰のOH⁻を見落とさずに読む一歩が、無機化学の暗記を反応の説明へ変えます。
本気になった日が、入塾の日。
お子様の教育、迷ったら「丸投げ」してください。必ず、期待以上の結果で返します。武蔵野で育む、武蔵境で学ぶ。
電話は年中無休。365日、24時間、お電話可能。




