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【化学】有機化合物の基礎を図解で総まとめ—分類 官能基・元素分析・異性体・構造決定の考え方|武蔵野個別指導塾

燃焼で生じた二酸化炭素と水から分子式を求める例題を通し、官能基と異性体を整理します。結合の違いとシス・トランスの図を読み、反応の情報から構造を絞る手順を確かめましょう。
よくあるのは、塾の玄関の傘立ての前でノートを見返し、「C₂H₆O と書いてあるのに、どうして物質名が1つに決まらないのだろう」と手が止まる場面です。元素記号と数字を読めることと、原子のつながりを読めることは別です。同じ色の傘でも持ち手の形が違うように、原子の種類と数が同じでも、結合の仕方が違えば別の物質になります。ただし、化学でその違いを判断する根拠は印象ではなく、結合と実験結果です。
有機化合物の学習では、多くの名前を覚える前に、式から何がわかり、何がまだわからないのかを区別すると見通しが立ちます。元素分析は原子の数の比を調べる作業、構造決定はその原子をどうつなぐかを調べる作業です。この2つを分けて考えれば、燃焼の計算と性質の知識がつながります。まず炭素の結合の決まりを押さえ、官能基、分子式、異性体の順に進み、最後に観察結果から構造を絞ってみましょう。
この単元で身につけること
- 有機化合物を炭素の骨組みから分類します。鎖状か環状か、炭素と水素だけか、ほかの元素も含むかという別々の観点を使います。
- 官能基を構造式の中から見つけます。酸素があるという大まかな見方から、O-H、C=O、C-O-C のどの結合があるかという見方へ進みます。
- 元素分析から組成式を求めます。生成物の質量をそのまま比べず、そこに含まれる炭素原子と水素原子の物質量へ換算します。
- 組成式と分子量から分子式を決めます。原子数の最も簡単な整数比と、分子1個に含まれる実際の原子数を区別します。
- 構造異性体と立体異性体を見分けます。つながり方の違いなのか、つながり方は同じで空間的な配置が違うのかを確かめます。
- 構造決定の理由を順番に説明します。分子式だけで断定せず、候補を並べ、与えられた反応や性質で候補を減らします。
化学基礎で学んだ共有結合と物質量が土台になります。計算で使う原子量は問題文の値にそろえ、結合の図では炭素の腕が合計4本になることを毎回確かめます。
基本の考え方
炭素の骨組みと有機化合物の分類
有機化合物は、炭素を含む化合物のうち、一酸化炭素 CO、二酸化炭素 CO₂、炭酸塩などの一部を除いたものです。生物がつくる物質だけを指す言葉ではありません。合成されたものも含み、燃料、食品の成分、繊維などに広く見られます。「炭素があるならすべて有機化合物」と決めず、例外も合わせて覚えます。
多くの有機化合物では、原子どうしが電子を共有する共有結合でつながっています。基本となる中性の分子では、炭素 C の結合の手は4本、水素 H は1本、酸素 O は2本です。窒素 N は、ここで扱うアミノ基などでは通常3本です。単結合は手を1本ずつ、二重結合は2本ずつ、三重結合は3本ずつ使います。たとえばエチレン CH₂=CH₂ では、各炭素が二重結合に2本、水素との結合に2本を使うので合計4本になります。
炭素原子は互いに結合して長い鎖や枝分かれ、環をつくれます。炭素と水素だけからなる化合物を炭化水素といい、炭素の骨組みが環をつくらないものを鎖式化合物、環をつくるものを環式化合物といいます。環式化合物のうち、高校で扱うベンゼン環などをもつものは芳香族化合物として学びます。環があるだけで芳香族とはいえず、シクロヘキサンのような脂環式化合物もあります。「芳香族」は分類名なので、においだけで判定するものでもありません。
炭化水素では、炭素間の結合がすべて単結合のものを飽和炭化水素、二重結合や三重結合をもつものを不飽和炭化水素といいます。ここでいう飽和は水溶液の濃さとは関係ありません。また、鎖状で飽和した炭化水素であるアルカンの一般式 CₙH₂ₙ₊₂ を、環状のものにそのまま当てはめることはできません。一般式は、どの分類を対象にしているかと一緒に使います。
有機化合物には、水に溶けにくいものや燃えやすいものが多くありますが、すべてに共通する性質ではありません。エタノールは水とよく混ざり、分子が大きくなったり官能基が変わったりすると溶け方も変わります。「有機だから」という一言よりも、炭素の骨組みと官能基を見て性質を考えるほうが確実です。
官能基は原子の並びで読む
官能基とは、有機化合物に特徴的な性質や反応をもたらす原子または原子団です。下の表の R、R′ は炭化水素基を表し、炭化水素から水素原子を1個取り除いたまとまりと考えます。R と R′ は同じ場合も異なる場合もあります。表では結合の位置を見やすくするため、途中の炭素や水素をひとまとまりにして書いています。
| 分類 | 着目する部分 | 具体例と読み方 |
|---|---|---|
| アルコール | ヒドロキシ基 -OH | エタノール CH₃-CH₂-OH。-OH が飽和炭素に結合します。 |
| フェノール類 | ベンゼン環に直接ついた -OH | フェノール C₆H₅-OH。同じ -OH でもアルコールと区別します。 |
| エーテル | エーテル結合 -O- | ジメチルエーテル CH₃-O-CH₃。酸素の両側に炭化水素基があります。 |
| アルデヒド | アルデヒド基 -CHO | アセトアルデヒド CH₃-C(=O)-H。C=O の炭素に H がつきます。 |
| ケトン | カルボニル基 >C=O | アセトン CH₃-C(=O)-CH₃。C=O の炭素の両側が炭化水素基です。 |
| カルボン酸 | カルボキシ基 -COOH | 酢酸 CH₃-C(=O)-OH。C=O と -OH を含むまとまりです。 |
| エステル | エステル結合 -COO- | 酢酸メチル CH₃-C(=O)-O-CH₃。酸素の先に炭化水素基があります。 |
| アミン | アミノ基 -NH₂ など | メチルアミン CH₃-NH₂。窒素を含む分類の入口です。 |
| ニトロ化合物 | ニトロ基 -NO₂ | ニトロベンゼン C₆H₅-NO₂。窒素原子を介して結合します。 |
カルボニル基は C=O の部分を指すため、アルデヒドにも含まれます。C=O があるという情報だけでは、アルデヒドとケトンを区別できません。同様に、カルボキシ基の中に -OH が見えても、それをアルコールの -OH として扱いません。官能基は式の一文字だけでなく、隣にどの原子が結合しているかまで読んで判定します。
図1のように、エタノールとジメチルエーテルは、どちらも C が2個、H が6個、O が1個です。しかし、左には O-H 結合があり、右にはありません。分子式が同じでも、性質が同じとは限らない理由がこの結合の違いにあります。

図1では赤い O に着目すると、左は C と H に、右は2個の C に結合していると読めます。線で示した結合と、CH₃ や CH₂ の中に省略された C-H 結合を合わせて数えてください。構造式の線は電子の共有による結合を示すもので、図に描かれた線の長さを実際の結合距離とみなす必要はありません。
元素分析と異性体の関係
元素分析は、物質を構成する元素の種類や割合を調べることです。炭素、水素、酸素だけからなる純物質を完全燃焼させると、炭素は CO₂、水素は H₂O に移ります。CO₂ の物質量は炭素原子の物質量に等しく、水素原子の物質量は H₂O の物質量の2倍です。生成物の質量からこの関係をたどり、元の試料中の C と H の質量を求めます。
酸素については注意が必要です。燃焼でできた CO₂ と H₂O の酸素には、燃焼のために外部から供給された酸素も含まれます。そのため、生成物中の酸素を全部集めても試料中の酸素の量にはなりません。試料が C、H、O だけからなるとわかっている場合に、試料の質量から C と H の質量を引いた残りを O の質量とします。窒素や別の元素が含まれる可能性がある場合、この差をすべて酸素とすることはできません。
各元素の原子の物質量を最も簡単な整数比にした式が組成式です。一方、分子式は分子1個に含まれる各元素の原子数を示します。組成式が CH₂O なら、その組成式の式量は原子量 H=1.0、C=12、O=16 として30です。分子量が60なら分子式は C₂H₄O₂ ですが、分子量が180なら C₆H₁₂O₆ になります。組成式だけでは分子の大きさは確定しません。分子量は相対的な値なので単位をつけず、モル質量として表すときは g/mol をつけます。
分子式が同じで構造が異なる化合物を異性体といいます。原子のつながり方が異なるものが構造異性体で、炭素の枝分かれ、官能基の位置、官能基の種類の違いなどがあります。つながり方が同じでも空間的な配置が異なるものは立体異性体です。立体異性体にはシス・トランス異性体や鏡像異性体があります。元素分析は異性体どうしを区別する情報を直接は与えないため、その先で構造や性質を調べます。
例題で解き方を確かめる
例題1 省略された水素を数える
CH₃-CH₂-OH と CH₃-O-CH₃ の分子式をそれぞれ求め、化合物の分類を答えましょう。原子量を使う計算は必要ありません。どこまでが1つの原子団なのかを区切って読めるかを確かめる問題です。
- まず炭素と酸素を数えます。両方とも炭素が2個、酸素が1個です。分子式をつくるときは結合の線を数えず、元素ごとの原子数を集めるからです。
- 水素は各まとまりに含まれる数を足します。左は3+2+1=6個、右は3+3=6個です。左の最後の H は O に結合していますが、分子式ではほかの H と一緒に数えます。
- 分類は酸素の両隣を見て決めます。左は -OH をもつアルコール、右は C-O-C のつながりをもつエーテルです。同じ分子式になったあとも、結合の情報を捨てないことが必要です。
答え:どちらも C₂H₆O で、CH₃-CH₂-OH はアルコール、CH₃-O-CH₃ はエーテルです。
この2つは構造異性体です。左の式を右から H-O-CH₂-CH₃ と書き直すだけなら、つながり方は変わらず、別の異性体にはなりません。紙面の左右と分子の構造は分けて考えます。
例題2 燃焼の結果から組成式と分子式を求める
C、H、O だけからなる純粋な有機化合物0.900 gを完全燃焼させたところ、CO₂ が1.32 g、H₂O が0.540 g生じました。別の測定で分子量が60とわかっています。組成式と分子式を求めましょう。原子量は H=1.0、C=12、O=16 とします。
- CO₂ のモル質量44 g/molを使い、1.32 g ÷ 44 g/mol = 0.0300 mol とします。CO₂ 1分子には C が1個あるため、試料中の炭素原子も0.0300 molです。その質量は0.0300 mol × 12 g/mol = 0.360 gとなります。
- H₂O のモル質量18 g/molを使い、0.540 g ÷ 18 g/mol = 0.0300 mol とします。H₂O 1分子には H が2個あるため、水素原子は0.0600 molです。その質量は0.0600 mol × 1.0 g/mol = 0.0600 gです。途中の換算では桁を保って進めます。
- 酸素の質量は0.900−0.360−0.0600=0.480 gです。試料に含まれる元素が C、H、O だけなので、この引き算が使えます。酸素原子の物質量は0.480 g ÷ 16 g/mol = 0.0300 molです。
- C:H:O = 0.0300:0.0600:0.0300 = 1:2:1 より、組成式は CH₂O です。その式量は30なので、分子量60は2倍です。各原子の個数をすべて2倍にし、分子式を C₂H₄O₂ とします。
答え:組成式は CH₂O、分子式は C₂H₄O₂ です。
図2のように、CO₂ と H₂O からそれぞれ C と H に戻し、O は試料の質量との差から求めます。計算の途中で使う数字がどの物質や原子を表すのかを、矢印ごとに確かめると混乱を防げます。

図2の最後の比は、質量比ではなく原子の物質量の比です。また、この結果から酢酸だと断定することはできません。同じ分子式をもつエステルもあるため、構造を決めるには追加の情報が必要です。組成式、分子式、構造式を別々の到達点として答案に残しましょう。
例題3 同じ炭素の骨組みを重複して数えない
分子式 C₄H₁₀ をもつ鎖式の飽和炭化水素について、構造異性体をすべて書きましょう。炭素が4個という条件を先に使い、その後で水素を補います。水素から書き始めるよりも、骨組みの候補を整理しやすくなります。
- 炭素4個を枝分かれのない1本の鎖につなぎます。両端の炭素には H が3個ずつ、内側の炭素には H が2個ずつつくので、CH₃-CH₂-CH₂-CH₃ です。炭素の手を4本ずつ満たすと水素数が自動的に決まります。
- 最長の炭素の鎖を3個にし、残る炭素1個を中央につなぎます。CH₃-CH(CH₃)-CH₃ となり、中央の CH に3個の CH₃ が結合します。水素数は3+1+3+3=10個です。
- 3個の鎖の端に炭素を追加すると、結局は4個の1本の鎖になります。紙面で折れ曲がって見えても最初の候補と同じです。4個の炭素からなる連結した環のない骨組みは、分岐点がない鎖か、1個の炭素から3方向に分かれる形に限られるので、以上で尽くしています。
答え:CH₃-CH₂-CH₂-CH₃ と CH₃-CH(CH₃)-CH₃ の2種類です。
異性体の数え上げでは、名称を先に思い出せなくても構いません。まず結合の相手を確定し、各炭素につく水素を確認し、最後にブタンと2-メチルプロパンという名称を対応させれば、名前だけの暗記になりにくくなります。
例題4 分子式と反応の情報をつなぐ
分子式 C₂H₆O の物質 A について、候補をエタノールとジメチルエーテルの2つとします。水を含まない A がナトリウムと反応して水素を発生するという情報から、A の構造を決めましょう。これは実験結果を読み取る問題で、家庭で実験を行う必要はありません。
- 2つの候補の構造式を並べます。CH₃-CH₂-OH と CH₃-O-CH₃ です。どちらも分子式に合うので、原子数の情報だけでは選べません。
- 反応に関係する結合を比べます。エタノールには O-H 結合があり、この H が Na に置き換わる反応によって水素が生じます。ジメチルエーテルには O-H 結合がなく、与えられた条件で同じ反応を示しません。水を含まないという条件は、水と Na の反応による水素を除いて考えるために必要です。
- 反応式を 2C₂H₅OH + 2Na → 2C₂H₅ONa + H₂ と書きます。左右で C、H、O、Na の数がそれぞれ一致することを確認すると、O-H の H が水素分子になる関係も確かめられます。
答え:A はエタノールで、構造式は CH₃-CH₂-OH です。
水素発生という観察だけで、あらゆる物質の中からエタノールを選べるわけではありません。ここでは分子式と2つの候補が与えられているから絞れます。構造決定では、結論に使った条件を省かず、「この候補の中で、この反応を示すのはどれか」と考えます。
つまずきやすいところと直し方
質量の比をそのまま組成式にする
誤った書き方は、「C、H、O の質量が0.360 g、0.0600 g、0.480 gだから、比6:1:8より C₆HO₈」です。どこが違うかというと、同じ質量でも原子の種類が違えば原子の個数は違います。原子量の大きい元素ほど、同じ質量に含まれる原子数は少なくなります。
正しい書き方は、それぞれの質量を原子のモル質量で割り、0.0300:0.0600:0.0300 = 1:2:1 として CH₂O を得ることです。割る前の g と、割った後の mol を必ず書き添えます。比が1:1.5:1のようになった場合は、1.5を無理に丸めず、すべてを2倍して2:3:2という整数比にします。
式を反対向きに書くと別の異性体になると思う
誤った書き方は、「CH₃-CH₂-CH₂-OH と HO-CH₂-CH₂-CH₃ は異性体」です。どこが違うかというと、どちらも炭素3個が順につながり、端の炭素に -OH がついています。紙面上の向きを変えただけで、結合の相手はまったく変わっていません。
正しい書き方は、この2つを同一物質とし、CH₃-CH(OH)-CH₃ を別の構造異性体として挙げることです。後者では -OH が中央の炭素につくため、結合の相手の関係が異なります。見た目が違う候補を見つけたら、端から順に番号を振り直し、官能基や枝の位置が本当に違うかを確認します。
二重結合があれば必ずシス・トランスがあると思う
誤った書き方は、「CH₂=CH-CH₃ には二重結合があるからシス形とトランス形がある」です。どこが違うかというと、左の炭素には同じ H が2個ついています。その2個を入れ替えても別の配置にはならないので、二重結合があることだけでは十分ではありません。
正しい判断には、二重結合をつくる炭素のそれぞれに、互いに異なる2種類の原子や原子団が結合していることを確かめます。2-ブテン CH₃-CH=CH-CH₃ では、二重結合の各炭素に H と CH₃ が1つずつついています。図3のように、2個の CH₃ が同じ側にあるシス形と、反対側にあるトランス形を区別できます。

図3は二重結合の周囲を平面内に描いたものです。炭素を結ぶ2本の線を軸として、左では CH₃ がともに上側、右では上下に分かれています。二重結合のまわりでは自由に回転できないため、この違いが保たれます。一方、単結合の回転によって生じる普通の向きの違いは、この段階の異性体の数え上げでは別物として数えません。
立体異性体には、鏡像異性体もあります。たとえば乳酸 CH₃-CH(OH)-COOH の中央の炭素には、H、OH、CH₃、COOH という4種類の異なる原子や原子団が結合しています。このような炭素を不斉炭素原子といい、乳酸には鏡に映した関係で重ね合わせられない2つの配置があります。炭素の4本の結合は実際には立体的に伸びるため、平面の略式だけではその違いを表しきれません。構造異性体とは異なり、結合の相手は変わらない点を押さえてください。
練習問題
練習1 官能基から分類する
次の4つを、それぞれアルコール、アルデヒド、ケトン、カルボン酸のいずれかに分類しましょう。あわせて、判断に使った構造の部分を答えてください。アは CH₃-CH₂-OH、イは CH₃-C(=O)-H、ウは CH₃-C(=O)-CH₃、エは CH₃-C(=O)-OH です。
練習2 元素分析から分子式まで求める
C、H、O だけからなる純物質0.920 gを完全燃焼させると、CO₂ が1.76 g、H₂O が1.08 g生じました。分子量は46です。原子量 H=1.0、C=12、O=16 として、組成式と分子式を求めましょう。途中で炭素、水素、酸素それぞれの原子の物質量も書いてください。
練習3 アルコールの構造異性体を探す
分子式 C₃H₈O をもつ鎖式のアルコールの構造異性体をすべて書きましょう。エーテルは数に含めません。左右を入れ替えただけの式を除き、各式の C、H、O の数が分子式に合うかも確かめてください。
練習4 立体異性体の成立条件を読む
ア CH₂=CH-CH₂-CH₃、イ CH₃-CH=CH-CH₃、ウ CH₂=C(CH₃)₂ のうち、シス・トランス異性体をもつものを選び、残りがもたない理由を答えましょう。さらに、エ CH₃-CH(OH)-COOH の不斉炭素原子がどれかを、結合する4種類の原子や原子団とともに示してください。
答えと解説
練習1:アはアルコール、イはアルデヒド、ウはケトン、エはカルボン酸です。アは飽和炭素についた -OH、イは -CHO、ウは両側に炭化水素基をもつ >C=O、エは -COOH が判断の根拠です。エに含まれる -OH を単独で切り出してアルコールに分類しないようにします。
練習2:炭素原子は1.76 ÷ 44 = 0.0400 mol、水素原子は2 × 1.08 ÷ 18 = 0.120 molです。C の質量は0.480 g、H の質量は0.120 gなので、O の質量は0.920−0.480−0.120=0.320 g、酸素原子は0.0200 molです。C:H:O = 2:6:1 より組成式は C₂H₆O となります。その式量は46で分子量と等しいため、分子式も C₂H₆O です。組成式と分子式が同じになる場合もありますが、これだけでエタノールとは確定できません。
練習3:CH₃-CH₂-CH₂-OH と CH₃-CH(OH)-CH₃ の2種類です。3個の炭素の鎖では、-OH が端か中央かという2通りになります。両端は向きを逆にすれば同じです。CH₃-O-CH₂-CH₃ も分子式は C₃H₈O ですが、エーテルなので今回の答えには含めません。
練習4:シス・トランス異性体をもつのはイだけです。アとウはいずれも二重結合の一方の炭素に H が2個ついており、異なる2種類という条件を満たしません。ウはもう一方にも CH₃ が2個ついています。エの不斉炭素原子は中央の CH の炭素で、H、OH、CH₃、COOH が結合しています。
次の単元へのつながりと家庭での確かめ方
次に炭化水素の反応を学ぶときは、単結合だけか、二重結合や三重結合を含むかという分類が、置換反応や付加反応の理解につながります。アルコールやカルボン酸へ進めば、官能基の変化を追って反応を整理できます。分子式を求める計算ができても反応の候補を選べない場合は、官能基を構造式から見つける練習を戻り先にします。
家庭では、5分の確認を2つ試せます。1つ目は、C₂H₆O とだけ書いた紙から2つの構造式を描き、各炭素の結合の手と水素数を数えることです。2つ目は、例題2の数値を見ながら「CO₂ から C、水から H、残りから O」と言葉で説明し、最後に原子の物質量の比を書き出すことです。答えを隠して説明すると、計算と構造のどちらで止まったのかが見つかります。
個別指導では、燃焼生成物の物質量への換算で止まるなら質量と mol の関係まで、構造式で止まるなら C、H、O の結合の手まで戻って確かめます。保護者の方がお子さまのノートを見るときも、物質名の正誤だけでなく、「その構造に決めた理由」が書かれているかが、理解の様子を知る手がかりになります。
まとめ
構造決定の答案で説得力をもつのは、最後に書いた物質名だけではありません。燃焼結果が原子数を制限し、分子量が分子の大きさを決め、反応の情報が結合の候補を減らしたという道筋です。途中までしか決まらないときに、残る候補を正しく残せることも理解の一部です。ノートの最後には、結論とともに候補を分けた条件を一文で添えてみてください。
C₂H₆O という分子式で止まった理解は、酸素の両隣を確かめたところから、物質を見分ける力に変わります。
本気になった日が、入塾の日。
お子様の教育、迷ったら「丸投げ」してください。必ず、期待以上の結果で返します。武蔵野で育む、武蔵境で学ぶ。
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