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【化学】無機 有機の総復習を図解で総まとめ—反応の系統図と覚え方・構造決定の総合問題|武蔵野個別指導塾

金属イオンの沈殿と有機化合物の変化を3枚の図で整理し、燃焼分析やエステルの構造決定を4つの例題でたどります。試薬の量と反応条件を手がかりに、暗記した知識を解答へつなげましょう。
よくあるのは、駅のホームのベンチで化学のノートを開き、「白色沈殿」「銀鏡反応」「エステル化」という言葉は思い出せるのに、問題文の物質を反応の順に結べないという場面です。知識を覚えていないとは限りません。物質名と性質を別々に覚え、何を加えると何に変わるのか、その条件が抜けている場合があります。
無機化学では元素やイオンの性質を、有機化学では炭素を骨格とする化合物の構造や反応を学びます。総復習の段階では、一覧表を眺めるだけでなく、出発物質から生成物へ進む道筋を自分で説明できるかを確かめます。その道筋を矢印で表したものが反応の系統図です。
系統図は、たくさんの名前を1枚に詰め込むための図ではありません。沈殿が生じる理由、官能基が変わる方向、反応する物質の量を結びつけるために使います。既知の物質から生成物を予測する問題と、観察結果から未知の物質を絞る問題の両方を、同じ知識で解けるようにしていきましょう。
この単元で身につけること
- 無機の反応を「出発するイオン・試薬・生成物」の組で説明します。同じ試薬でも少量と過剰では結果が変わることを、矢印の条件として書き添えます。
- 沈殿の色と溶け方を組み合わせて候補を絞ります。白色という観察だけでは物質を特定できないため、次の反応で何が区別できるかを考えます。
- 有機の反応を官能基の変化として読みます。官能基とは化合物の特徴的な性質や反応に関わる原子団で、ヒドロキシ基やカルボキシ基などが例です。
- 元素分析の計算を、組成式から分子式、さらに構造式へ進めます。各段階で決まる情報と、まだ決まらない情報を区別します。
- 反応式の係数を物質量の比に使います。暗記した反応と計算問題を切り離さず、求めた量が観察結果と矛盾しないかまで点検します。
化学基礎で学んだ物質量、酸と塩基、酸化還元が、この総復習の土台です。難しい物質名が並んでも、原子の数と電荷を保存すること、反応する粒子の比を読むことは変わりません。名前が出てこないときにも、まず式から判断できることを探せます。
基本の考え方
無機の系統図は試薬の量まで書く
無機化学で「水酸化ナトリウム水溶液を加える」とあったら、何を含む溶液に、どれだけ加えるのかを一緒に読みます。例えば、アルミニウムイオン Al³⁺ に水酸化物イオン OH⁻ を加えると、白色沈殿の水酸化アルミニウム Al(OH)₃ が生じます。沈殿とは、水溶液中の反応で生じた溶けにくい固体です。反応に直接関わるイオンだけを書くと、次のようになります。
Al³⁺ + 3OH⁻ → Al(OH)₃
さらに過剰の水酸化ナトリウム水溶液を加えると、この沈殿は溶け、テトラヒドロキシドアルミン酸イオン [Al(OH)₄]⁻ を生じます。これは、中心の金属にイオンなどが結びついた錯イオンの1つです。ここで「過剰」は、最初の沈殿をつくるのに必要な量を超えて試薬を加えることを意味します。
Al(OH)₃ + OH⁻ → [Al(OH)₄]⁻
一方、銅(Ⅱ)イオン Cu²⁺ からは青白色沈殿の水酸化銅(Ⅱ) Cu(OH)₂ が生じます。この沈殿は過剰の水酸化ナトリウム水溶液には溶けません。同じ「金属イオンに塩基を加える」反応でも、その先の道筋が違います。
Cu²⁺ + 2OH⁻ → Cu(OH)₂
図1のように、試薬を加えた直後と過剰に加えた後を分けると、沈殿の色と溶解の有無を別々の判断材料にできます。上段は途中で固体が現れてから溶液中のイオンに変わり、下段は沈殿が残る系統です。

アルミニウムの沈殿が塩基に溶けることは、酸に溶けることと組にすると整理しやすくなります。酸にも強塩基にも反応して溶ける水酸化物を両性水酸化物といい、Al(OH)₃ や Zn(OH)₂ が代表例です。酸に対する反応では Al(OH)₃ + 3H⁺ → Al³⁺ + 3H₂O と書けます。両性という言葉だけで終えず、酸性側と塩基性側でどのイオンになるのかまで追うと、矢印を逆向きにたどれます。
ただし、沈殿を溶かす試薬をすべて同じものとして扱ってはいけません。Cu(OH)₂ は過剰のアンモニア水には溶け、深青色のテトラアンミン銅(Ⅱ)イオン [Cu(NH₃)₄]²⁺ を生じます。「過剰で溶ける」とだけ覚えたカードには、肝心の試薬名がありません。NaOH と NH₃ を必ず書き分けることが、識別問題の正確さにつながります。
有機の系統図は変わる部分を見つける
有機化合物では、分子全体を毎回別物として覚えると関係が見えにくくなります。エタノール CH₃-CH₂-OH、アセトアルデヒド CH₃-CHO、酢酸 CH₃-COOH を並べると、炭素原子2個の骨格を保ったまま末端の部分が変わっています。エタノールを穏やかに酸化するとアセトアルデヒドになり、さらに酸化すると酢酸になります。
第一級アルコールは、ヒドロキシ基のつく炭素原子に、ほかの炭素原子が1個結びついたアルコールです。エタノールはこれに当たり、酸化によるアルデヒド、カルボン酸への変化を復習する代表例になります。アルデヒドは -CHO、カルボン酸は -COOH をもつ化合物です。第二級アルコールの酸化ではケトンが生じるため、どのアルコールも同じ生成物になるわけではありません。
ここで、酸化という矢印を燃焼と混同しないようにします。エタノールを完全燃焼させると CO₂ と H₂O になりますが、系統図で扱う穏やかな酸化では炭素骨格が保たれます。問題文の「完全燃焼」「穏やかに酸化」という条件は、反応後の物質を決める重要な情報です。
酢酸とエタノールが反応して酢酸エチル CH₃-COO-CH₂-CH₃ と水を生じる反応がエステル化です。エステルは、カルボン酸の -COOH の H が炭化水素基に置き換わった形の構造をもちます。この反応は可逆反応なので、全体の反応式は両向きの矢印で表せます。
CH₃COOH + C₂H₅OH ⇄ CH₃COOC₂H₅ + H₂O
逆向きに、水と反応して結合が切れる変化を加水分解といいます。水酸化ナトリウムとの反応ではカルボン酸そのものではなくカルボン酸のナトリウム塩を生じます。この違いは、後の構造決定で生成物を読むときにも必要です。
覚える単位は物質名より反応の組
覚え方を変えるなら、まず1本の矢印を説明する練習から始めます。紙の左に Al³⁺、右に Al(OH)₃ を書き、その間に OH⁻ を書いて、色を添えます。次に右側を隠して生成物を答え、最後に左側を隠して出発物質を答えます。どちらの向きでも説明できれば、単純な生成物予測と未知物質の推定の両方に使える知識です。
反応式は、丸ごと文字列として覚えるより、原子数と電荷を照合しながら書く方が修正しやすくなります。Al³⁺ + 3OH⁻ の電荷の合計は0で、生成する Al(OH)₃ も電荷をもちません。[Al(OH)₄]⁻ ができる段階では、左辺も右辺も電荷が −1 になります。係数やイオンの電荷が抜けても、こうした点検で気づけます。
また、色は有力な情報ですが、単独で名前を決める規則ではありません。白色沈殿には複数の候補があり、有機の検出反応にも共通の性質を示す物質があります。「この結果ならこの物質」とすぐ決めず、「この結果なら候補のどれが残るか」と考えると、知識の使い過ぎを防げます。
例題で解き方を確かめる
例題1 沈殿の色と溶け方からイオンを決める
未知の水溶液には Al³⁺、Cu²⁺、Fe³⁺ のうち1種類だけが含まれています。水酸化ナトリウム水溶液を少量加えると白色沈殿が生じ、さらに過剰に加えると沈殿が溶けました。含まれるイオンを決め、沈殿が溶ける反応をイオン反応式で書きましょう。これらは問題文として与えられた観察結果です。
- 候補ごとの沈殿を並べます。Al(OH)₃ は白色、Cu(OH)₂ は青白色、Fe(OH)₃ は赤褐色です。まず観察された色と候補の性質を対応させるためです。
- 過剰の NaOH に対する性質を照合します。3候補のうち、生成した沈殿がこの条件で溶けるのは Al(OH)₃ です。別の手がかりでも結論が一致するかを確かめます。
- 溶解後の形を式にします。Al(OH)₃ に OH⁻ が1個加わって [Al(OH)₄]⁻ になるので、Al、O、H の数と電荷が両辺でそろいます。
答え:Al³⁺、Al(OH)₃ + OH⁻ → [Al(OH)₄]⁻ です。
この問題で Al³⁺ と決められるのは、候補が3種類に限られていることも理由です。Zn²⁺ が候補に入ると、白色沈殿が過剰の NaOH に溶けるという2つの観察だけでは区別できません。設問にない候補をむやみに増やす必要はありませんが、結論がどの候補の範囲で成り立つかは意識しておきます。
例題2 沈殿の反応を物質量の計算につなげる
CaCl₂ 水溶液 0.200 mol/L を 50.0 mL 用い、十分な量の Na₂CO₃ 水溶液と反応させます。Ca²⁺ がすべて CaCO₃ として沈殿するとして、沈殿の質量を求めましょう。原子量は Ca=40、C=12、O=16 とします。
- 量の関係に必要なイオン反応式を書きます。Ca²⁺ + CO₃²⁻ → CaCO₃ より、Ca²⁺ と CaCO₃ の物質量の比は 1:1 です。塩化物イオンやナトリウムイオンは、この沈殿をつくる反応に直接関与しません。
- 溶液の体積を L に直し、Ca²⁺ の物質量を求めます。50.0 mL = 0.0500 L なので、0.200 mol/L × 0.0500 L = 0.0100 mol です。CaCl₂ の式1つにつき Ca²⁺ は1個である点も確認します。
- 生じた CaCO₃ を質量に直します。モル質量は 40 + 12 + 16 × 3 = 100 g/mol ですから、0.0100 mol × 100 g/mol = 1.00 g となります。与えられた濃度と体積に合わせ、答えは有効数字3桁にします。
答え:CaCO₃ の質量は 1.00 g です。
「十分な量」という条件により、Na₂CO₃ の不足を調べる計算は不要です。両方の物質量が与えられた場合は、反応式の係数の比と比べて、どちらが先になくなるかを判断します。沈殿の名前がわかることと、その量を決められることは別の段階なので、反応式を間に置いてつなぎます。
例題3 燃焼分析と性質からアルコールを決める
C、H、O だけからなる化合物 A 0.460 g を完全燃焼させると、CO₂ 0.880 g と H₂O 0.540 g が得られました。A の分子量は46です。また、A はナトリウムと反応して水素を発生します。原子量は H=1.0、C=12、O=16 として、A の分子式と構造式を求めましょう。
- CO₂ から C の物質量を求めます。CO₂ のモル質量は 44 g/mol なので、0.880 ÷ 44 = 0.0200 mol です。CO₂ 1分子に C は1個あるため、A に含まれていた C も 0.0200 mol、質量は 0.240 g です。
- H₂O から H の物質量を求めます。0.540 ÷ 18 = 0.0300 mol の水には、その2倍の 0.0600 mol の H が含まれます。H の質量は 0.0600 g であり、水の物質量をそのまま H の物質量にしないことが要点です。
- A 中の O を質量の差から求めます。0.460 − 0.240 − 0.0600 = 0.160 g より、O は 0.160 ÷ 16 = 0.0100 mol です。燃焼で生じた CO₂ や H₂O の O には燃焼に使った酸素も含まれるため、そこから直接 A 中の O は数えません。
- 原子の物質量の比を最小の整数比にします。C:H:O = 0.0200:0.0600:0.0100 = 2:6:1 なので組成式は C₂H₆O です。組成式の式量が46で分子量と一致するため、分子式も C₂H₆O になります。
- 同じ分子式の候補を性質で区別します。CH₃-CH₂-OH と CH₃-O-CH₃ は、原子の結びつきが異なる構造異性体です。前者はナトリウムと反応して水素を発生しますが、後者にはこの反応をする O-H 結合がありません。
答え:分子式は C₂H₆O、構造式は CH₃-CH₂-OH、物質名はエタノールです。
図2のように、決定したエタノールを酸化の系統へ戻すと、構造決定の答えを他の反応とつなげられます。図の酸化の矢印は穏やかな酸化を表し、下向きの矢印は酢酸にエタノールを反応させるエステル化の方向を示しています。図では片方向を抜き出していますが、エステル化の反応自体は可逆反応です。

アセトアルデヒドは銀鏡反応を示すので、酸化の途中にアルデヒドができたという情報も構造を考える手がかりになります。ただし、銀鏡反応は還元性を調べる反応であり、陽性になる物質がすべてアルデヒドに分類されるわけではありません。ギ酸や還元糖も陽性になるため、分子式や候補の範囲と合わせて判断します。
例題4 加水分解の生成物からエステルを組み立てる
分子式 C₄H₈O₂ の鎖式の飽和エステル B を十分に加水分解すると、カルボン酸 C とアルコール D が得られました。D は例題3で決めた A と同じ物質でした。B の構造式を求め、さらに B 0.0200 mol を十分な量の NaOH と反応させたときに生じるカルボン酸のナトリウム塩の質量を求めましょう。原子量は H=1.0、C=12、O=16、Na=23 とします。
- アルコール側から構造を固定します。D はエタノールなので、元のエステルのアルコール由来の部分は -O-CH₂-CH₃ です。エステル名を先に当てるより、確定した生成物の構造を利用するためです。
- 残った炭素数を数えます。B 全体の C は4個で、アルコール側に2個あるため、カルボン酸側にはカルボキシ基の炭素を含めて2個残ります。したがって C は酢酸 CH₃-COOH と決まります。
- 酸とアルコールをエステルの形で結びます。CH₃-COO-CH₂-CH₃ が得られ、C、H、O を数え直すと C₄H₈O₂ に一致します。分子式は構造式をつくる材料であるとともに、最後の検査にも使えます。
- NaOH との反応を式にします。CH₃COOC₂H₅ + NaOH → CH₃COONa + C₂H₅OH より、B と酢酸ナトリウムの物質量の比は 1:1 です。酢酸ナトリウムは 0.0200 mol 生じます。
- 塩の質量を計算します。CH₃COONa のモル質量は 12 × 2 + 1.0 × 3 + 16 × 2 + 23 = 82 g/mol なので、0.0200 mol × 82 g/mol = 1.64 g です。生成物を酢酸と取り違えるとモル質量が変わるため、式を書いてから数値を入れます。
答え:B は CH₃-COO-CH₂-CH₃、酢酸エチルで、酢酸ナトリウムは 1.64 g 生じます。
この問題は、分子式だけでは決まらなかった結びつきが、分解して得られたアルコールの情報で決まる例です。「分子式を決める」「反応から部分構造を決める」「全体を組み立てる」という順を保つと、計算と暗記のどちらを使う場面なのかが明確になります。
つまずきやすいところと直し方
白色沈殿という観察だけで物質名を決める
誤った書き方は「白色沈殿ができたので Al(OH)₃」です。どこが違うかというと、白色という特徴は Zn(OH)₂ などにも共通しているため、候補を1つに絞る条件として不足しています。過剰の NaOH に溶けるという情報を加えても、Al と Zn の区別はまだできません。
正しい書き方は「白色沈殿が過剰の NaOH に溶けたため、候補に Al³⁺ と Zn²⁺ があれば両方を残す」です。別の試料について過剰のアンモニア水への溶解性が示されれば、Zn(OH)₂ は溶けて [Zn(NH₃)₄]²⁺ を生じ、Al(OH)₃ は溶けないという差を使えます。前の試薬が混ざった液に続けて加える場合とは条件が異なるので、問題文の「別の試料」を読み落とさないようにします。
組成式が出た段階で構造まで決まったと思う
誤った書き方は「組成式が C₂H₆O なのでエタノール」です。どこが違うかというと、組成式が示すのは原子数の最も簡単な整数比であり、分子1個に含まれる原子数や原子の結びつきまでは示さないからです。まず分子量との比較が必要で、その後にも異性体の検討が残ります。
正しい書き方は「組成式の式量は46で、分子量も46なので分子式は C₂H₆O。候補にはエタノールとジメチルエーテルがあり、ナトリウムとの反応から前者と決める」です。答案では長い説明を短くしてもかまいませんが、判断の段階は省かないようにします。分子式だけ与えられた設問で、その分子式をもつ代表的な物質を答える癖にも、この区別が有効です。
エステルの酸側とアルコール側を入れ替える
誤った書き方は「酢酸エチルを加水分解するとプロピオン酸とメタノールができる」です。どこが違うかというと、炭素数の合計は合っていても、元のエステルの結合関係を保っていないからです。CH₃-COO-CH₂-CH₃ の酸側には C が2個、アルコール側にも C が2個あります。
図3のように、C=O を含む部分と、その隣の O の先にある炭化水素基を色分けして読むと、酸側とアルコール側を区別できます。この図は結合のつながりを示す模式図であり、分子の実際の結合角や原子間距離を表すものではありません。

正しい書き方は「酸性条件での加水分解では酢酸とエタノール、NaOH との反応では酢酸ナトリウムとエタノール」です。図3の色分けは炭素骨格の所属を読むためのもので、水の酸素原子の由来を追跡する図ではありません。構造を戻す際は、カルボン酸側を -COOH、アルコール側を -OH の形にし、それから条件に応じて塩の形へ直します。
練習問題
ここからは、先に答えを見ずに、どの観察や数値を根拠にしたかを1つずつ書いてみましょう。数値問題では途中の単位を残し、構造決定では分子式と構造式を分けて書きます。化学反応の観察はすべて問題文の条件として扱い、家庭で実験して確かめる必要はありません。
練習1
Al³⁺、Zn²⁺、Cu²⁺ のいずれか1種類を含む水溶液があります。少量の NaOH を加えると白色沈殿が生じ、過剰に加えると溶けました。同じ未知溶液の別の試料にアンモニア水を加えたところ、初めに沈殿が生じ、過剰に加えると溶けました。未知のイオンは何ですか。最初の NaOH の結果だけで決められない理由も答えましょう。
練習2
CaCl₂ 水溶液 0.150 mol/L を 40.0 mL 用い、十分な量の Na₂CO₃ 水溶液と反応させました。Ca²⁺ がすべて沈殿するとして、生じる CaCO₃ の質量を求めましょう。原子量は Ca=40、C=12、O=16 とします。
練習3
分子式 C₃H₆O の未知物質について、候補はプロパナール CH₃-CH₂-CHO とアセトン CH₃-CO-CH₃ の2つです。この物質は銀鏡反応を示しました。物質名と構造式を答え、判断に使った部分構造を示しましょう。
練習4
分子式 C₃H₆O₂ の鎖式の飽和エステルを加水分解すると、酢酸とあるアルコールが生じました。エステルの構造式とアルコールの名前を答えましょう。また、このエステル 0.0100 mol を十分な量の NaOH と反応させたときに生じるアルコールの質量を求めましょう。原子量は H=1.0、C=12、O=16 とします。
答えと解説
練習1の答えは Zn²⁺ です。Al(OH)₃ と Zn(OH)₂ は、どちらも白色で過剰の NaOH に溶けるので、最初の結果だけでは区別できません。別の試料で得られた沈殿が過剰のアンモニア水にも溶けることから Zn²⁺ と決めます。Cu²⁺ なら最初の沈殿が青白色で、過剰の NaOH に溶けるという条件にも合いません。
練習2の答えは 0.600 g です。Ca²⁺ は 0.150 mol/L × 0.0400 L = 0.00600 mol で、CaCO₃ も同じ物質量です。100 g/mol を掛けると 0.600 g になります。答えを 0.6 g とすると有効数字1桁になるため、与えられた値に合わせて3桁を示します。
練習3の答えはプロパナール、CH₃-CH₂-CHO です。候補のうちアルデヒド基 -CHO をもち、銀鏡反応を示すのはプロパナールです。アセトンはケトンであり、この反応を示しません。銀鏡反応だけであらゆる物質から一意に決まるのではなく、指定された2候補を区別している点が要所です。
練習4の答えは CH₃-COO-CH₃、アルコールはメタノールで、その質量は 0.320 g です。酢酸側に C が2個あるため、アルコール側は C が1個となります。反応式 CH₃COOCH₃ + NaOH → CH₃COONa + CH₃OH の係数比から、メタノールは 0.0100 mol 生じます。モル質量は 12 + 1.0 × 4 + 16 = 32 g/mol なので、質量は 0.0100 × 32 = 0.320 g です。
次の単元へのつながりと家庭での確かめ方
無機と有機の系統図を読めるようになると、化学全体を整理するときに、物質の性質と反応の量を往復できます。特にエステル結合の生成と加水分解は、ポリエステルや油脂の理解につながります。単分子のどこに結合ができ、どこで切れるのかを読めれば、高分子の長い式も繰り返す部分に分けて考えられます。
家庭で5分あれば、1つ目の確かめ方として、図1を見た後に閉じ、Al³⁺ から先の2本の矢印を書き直してみましょう。試薬名、量の条件、沈殿の色のうち、どれが抜けたかを図と比べます。2つ目は、酢酸エチルの構造式を書き、加水分解後の2物質を復元する練習です。酸性条件の場合と NaOH を使う場合を並べ、酸と塩の違いまで言葉にします。
個別指導で答案を確かめるときは、沈殿の候補を知らないのか、試薬の条件を読み落としたのか、係数から物質量に直す段階で止まったのかを分けます。必要に応じてイオンの電荷、官能基、mol と質量の換算まで戻ると、復習すべき箇所を具体的に決められます。
まとめ
反応をたくさん覚えたのに解けないときは、知識を増やす前に、矢印の両端と条件がそろっているかを点検してみましょう。白色沈殿から名前へ飛びついたのか、分子式から構造を決めつけたのかが見えれば、答案を直す手がかりが得られます。無機では試薬と量、有機では変わる結合を言葉にすると、判断の根拠を自分でたどれます。
沈殿を溶かす1行の条件と、エステルを分ける1本の結合には、物質名の丸暗記では届かない解答の根拠があります。
本気になった日が、入塾の日。
お子様の教育、迷ったら「丸投げ」してください。必ず、期待以上の結果で返します。武蔵野で育む、武蔵境で学ぶ。
電話は年中無休。365日、24時間、お電話可能。



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