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【化学】化学結合を図解で総まとめ—イオン結合 共有結合 金属結合・電気陰性度・極性・分子間力|武蔵野個別指導塾

HClの電子式、CO₂とH₂Oの極性、水素結合を3枚の図で読み解きます。電子対の数え方やイオンの比を求める例題を通して、結晶の性質まで理由を添えて説明できるようにしましょう。
よくあるのは、夕方の台所のテーブルで、食塩と水の化学式を見ながら「NaClもH₂Oも原子がくっついているのに、なぜ結合の名前が違うのか」と手が止まる場面です。さらに水は共有結合でできていると習った直後に、水素結合という名前が出てくると、どちらが正しいのか迷うこともあります。名前だけを一列に並べると、結びついている相手の違いが見えなくなります。
化学結合を整理するときは、最初に「何と何の間を見ているのか」を決めます。陽イオンと陰イオンなのか、分子の中の原子どうしなのか、別々の分子どうしなのかで、説明する力が違うからです。次に電子の位置や動きに注目すると、結合の種類から、融点や電気の通しやすさまで理由をたどれます。この順序で考えれば、電子式、分子の形、結晶の性質は別々の暗記項目ではなくなります。
この単元で身につけること
- イオン結合と共有結合と金属結合を、電子の関わり方から区別します。物質名を見たときに、どの粒子が集まっているかを説明できることが目標です。
- 電子式と構造式を読み分けます。共有電子対と非共有電子対を数え、構造式の線が何個の電子を表しているかを確かめます。
- 配位結合ができる前後を説明します。電子対を出す側と受け入れる側を見つけ、できた後の結合との違いを整理します。
- 電気陰性度から結合の極性を考え、分子の形から分子全体の極性を判断します。「極性のある結合がある」だけで答えを決めないことが要点です。
- 分子間力と水素結合を使って物質の性質を説明します。さらに結晶を構成粒子で分類し、融解や通電のときに何が変わるかを考えます。
中学校で学んだ原子・分子・イオンと、化学基礎で学んだ電子配置が出発点です。最外殻の電子数を確かめる作業に戻れると、結合の名称を忘れても、自分で判断し直すための手がかりが残ります。
基本の考え方
電子を受け渡す場合と共有する場合
原子のうち、結合に主に関わる電子を価電子といいます。高校で扱う典型元素では、希ガスを除き、最外殻の電子数を価電子数として考えます。希ガスの価電子数は通常0と扱うため、「最外殻に電子があること」と「結合に使う価電子があること」は同じ意味ではありません。まずはHが1個、Cが4個、Nが5個、Oが6個、Clが7個の価電子をもつことを足場にします。
イオン結合は、陽イオンと陰イオンの間にはたらく静電気的な引力による結合です。例えばNa原子は電子1個を失ってNa⁺になり、Cl原子は電子1個を受け取ってCl⁻になります。異符号の電荷が引き合うことで、多数のイオンが規則正しく並んだ結晶ができます。電子の受け渡しはイオンのでき方を説明しており、できたイオンを結びつける力がイオン結合です。この二つの説明を続けて理解しましょう。
NaClという式は、結晶全体のNa⁺とCl⁻の個数比が1:1であることを示す組成式です。普通の食塩の結晶中に、独立したNaCl分子が並んでいるわけではありません。一つの陽イオンは複数の陰イオンに囲まれ、結びつきが結晶全体に続きます。電荷の合計が0になるという条件を使えば、Mg²⁺とCl⁻の場合には個数比が1:2になることも導けます。
共有結合は、原子どうしが電子対を共有することでできる結合です。2個の電子を一組として扱ったものが電子対で、結合をつくる電子対を共有電子対と呼びます。H₂では各H原子が電子を1個ずつ出して一組を共有し、それぞれのH原子のまわりに2個の電子がある状態をつくります。共有電子対1組を構造式の線1本で表せば、H-Hとなります。
電子式は元素記号のまわりに価電子を点で示した式です。図1のようにHClを表すと、原子の間の共有電子対だけでなく、Clのまわりに残る電子対も見えます。このように結合に直接使われていない電子対を非共有電子対といいます。図の点の位置は電子式を読みやすくするための配置であり、電子がその場所に静止しているという意味ではありません。

図1では、赤い点2個が共有電子対1組、緑の点6個が非共有電子対3組です。Hから1個、Clから7個の計8個の価電子が、どこにも重複せずに描かれています。一方、各原子のまわりの電子数を確かめるときは共有した2個を両方の原子に含めるので、Hのまわりは2個、Clのまわりは8個と数えます。「図全体の実際の電子数」と「各原子が共有分も含めて数える電子数」を混ぜないことが大事です。
構造式は、共有電子対を線に置き換えた式です。HClならH-Clとなり、ふつう非共有電子対は省略します。共有電子対が2組なら二重結合でO=O、3組なら三重結合でN≡Nと表します。線が増えるのは原子の個数が増えることではなく、同じ2原子の間で共有する電子対が増えることです。なお、原子が必ず8個の電子に囲まれるという決まりは万能ではなく、まずHは2個で考える必要があります。
配位結合と金属結合は電子の出どころを見る
配位結合は、共有電子対を一方の原子だけが提供してできる共有結合です。NH₃のN原子には非共有電子対が1組あり、H⁺は電子をもっていません。Nがこの電子対を提供してH⁺と結びつくと、NH₄⁺ができます。式ではNH₃ + H⁺ → NH₄⁺です。全体の電荷は左辺も右辺も+1で、H原子の数も両辺で4個になっています。
結合ができる経緯を示す場合には、NからH⁺へ向かう矢印で電子対の提供を表せます。ただし、NH₄⁺ができた後の4本のN-H結合は同等で、最後にできた1本だけが特別な性質の結合として残るわけではありません。「配位結合は共有結合とはまったく別」と覚えるより、共有する電子対をどちらが用意したかに特徴があると考える方が正確です。H₂Oが非共有電子対を提供してH⁺と結びつくH₃O⁺も、同じ見方で説明できます。
金属結合では、金属原子の価電子の一部が特定の原子から離れ、金属全体を動ける自由電子になります。正の電荷を帯びた金属の粒子と自由電子との間の静電気的な引力が、金属全体を結びつけます。銅線が電気を通すのは、この自由電子が移動して電荷を運べるためです。金属をたたいて薄く広げられる展性、引き伸ばして線にできる延性も、粒子の並びがずれても自由電子による結びつきが保たれることと関係します。
一方、イオン結晶では並びがずれると、同符号のイオンが近づいて反発し、割れやすくなります。金属とイオン結晶を単に「どちらも固い物」とまとめると、この性質の違いを説明できません。力を加えたときにも、何がどの粒子を結びつけているかを追う必要があります。
電子の偏りから分子間の引力へ
電気陰性度は、共有結合をしている原子が共有電子対を引きつける強さの尺度です。一般に周期表の同じ周期では右側ほど、同じ族では上側ほど大きく、Fが最も大きいことを押さえます。希ガスは高校の通常の比較から除きます。孤立した原子から電子を取り去るためのエネルギーであるイオン化エネルギーとは、考えている場面が違います。
HClではClの方がHより電気陰性度が大きいため、共有電子対がCl側に偏ります。このような電荷の偏りを結合の極性といい、H側をδ⁺、Cl側をδ⁻と表します。δは部分的な電荷を表す記号です。Hδ⁺をH⁺と書き換えてしまうと、共有結合中の部分的な偏りを、独立したイオンの電荷と取り違えることになります。
分子全体の極性は、各結合の偏りと分子の形を合わせて判断します。CO₂のC=O結合はそれぞれ極性をもちますが、分子が直線形なので両側の偏りが打ち消し合い、分子全体は無極性です。H₂Oは折れ線形なのでO-H結合の偏りが打ち消されず、極性分子になります。結合の名称だけでも、原子の種類だけでも、最後まで判断できない理由がここにあります。
分子と分子の間にはたらく引力を分子間力といいます。高校ではファンデルワールス力を分子間にはたらく弱い引力として扱い、無極性分子の間にもはたらくことを押さえます。極性分子では、分子の正に偏った部分と負に偏った部分との引力も関係します。無極性であっても電子の分布は常に完全に均一とは限らず、瞬間的な偏りに由来する引力があるため、分子どうしが集まって液体や固体になることができます。
分子量が大きいほどファンデルワールス力は一般に強くなる傾向がありますが、分子の形や水素結合の有無も影響します。異なる種類の物質の沸点を、分子量だけで機械的に並べることはできません。物質の性質を比較するときは、似た形の分子どうしか、同じ種類の分子間力を比べているかを先に確かめます。
水素結合は、高校で扱う代表例では、F・O・Nに共有結合したHと、別のF・O・Nの非共有電子対との間にはたらく比較的強い引力です。HF、H₂O、NH₃などで見られ、分子間力の一つとして扱います。Hを含む物質なら何でも水素結合をつくるわけではありません。CH₄のC-H結合だけでは、水と同じような水素結合を説明する条件にならないことに注意します。
例題で解き方を確かめる
例題1 HClの電子を二通りに数える
Hの価電子数を1、Clの価電子数を7とします。HClの電子式を考え、共有電子対と非共有電子対が何組ずつあるかを求め、構造式を書きましょう。
- まず価電子の総数を1 + 7 = 8個とします。最初に使える電子の数を固定すると、電子式を描いた後で余分な点や不足した点を発見できます。
- HとClの間に電子2個を置いて共有電子対1組とします。Hはこの1組を共有すればまわりの電子が2個になるため、それ以上の共有電子対をつくらない形を考えます。
- 残りの8 − 2 = 6個をClのまわりに2個ずつ置きます。これで非共有電子対は6 ÷ 2 = 3組となり、Clのまわりも共有分を含めて8個になります。
- 共有電子対を線1本に置き換えます。構造式は結合関係を簡潔に表すものなので、非共有電子対を省略してH-Clとします。
答え:共有電子対1組、非共有電子対3組、構造式はH-Clです。
図1に戻って点を一つずつ数えると、総数が8個であることと、Clのまわりが8個であることを別々に確認できます。Hのまわりの2個とClのまわりの8個を足して「計10個」とするのは、同じ共有電子対を二重に数えた結果です。電子式を描く問題では、総数の確認と各原子の周囲の確認の両方が必要になります。
例題2 電荷からイオンの個数比を決める
Mg²⁺とCl⁻からなるイオン結晶の組成式を求めましょう。また、Mg²⁺が3個ある範囲で電荷の合計を0にするには、Cl⁻が何個必要でしょうか。
- Mg²⁺1個の電荷を+2、Cl⁻1個の電荷を−1としてそろえます。ここでは電荷を電気素量の何倍かで比べればよく、異符号というだけで1:1とは決められません。
- Mg²⁺1個に対してCl⁻2個を組み合わせます。+2 + 2 × (−1) = 0となる最小の整数比が、組成式の下付きの数につながります。
- 個数比1:2をMgCl₂と書きます。イオン結晶の式は特定の1分子を表すものではなく、結晶中のイオンの最も簡単な整数比を表します。
- Mg²⁺が3個なら、Cl⁻は3 × 2 = 6個とします。正の電荷の合計+6と負の電荷の合計−6が打ち消し合うかを最後に確かめます。
答え:組成式はMgCl₂で、Mg²⁺3個に対してCl⁻は6個必要です。
Mgの右下に2を付けるMg₂Clでは、電荷の合計は2 × (+2) + (−1) = +3となり、電気的に中性ではありません。下付きの数は、その原子やイオンの電荷を写した数字ではありません。電荷を打ち消すために相手が何個必要かを考えた結果です。
例題3 配位結合ができた後の電子対を数える
Nの価電子数を5、Hの価電子数を1とします。NH₃にH⁺が結びついてNH₄⁺になるとき、電子対を提供する原子を答えましょう。また、NH₄⁺のNのまわりの共有電子対と非共有電子対を数えましょう。
- NH₃の価電子の総数を5 + 3 × 1 = 8個とします。N-H結合3本に6個を使うので、Nには残り2個からなる非共有電子対1組があります。
- H⁺には電子がないことを確かめます。H原子とH⁺を区別すれば、結合をつくる2個の電子をH⁺側から出すことはできないと判断できます。
- Nの非共有電子対1組をH⁺との共有電子対にします。電子の組そのものが増えるのではなく、非共有だった一組が結合に使われる点に注目します。
- NH₄⁺全体の価電子数を5 + 4 × 1 − 1 = 8個と確かめます。正電荷1個分だけ中性原子の合計から電子を引くので、Nのまわりには共有電子対4組、非共有電子対0組となります。
答え:Nが電子対を提供し、NH₄⁺のNのまわりは共有電子対4組、非共有電子対0組です。
NH₃ + H⁺ → NH₄⁺で、電子が突然2個増えたわけではありません。結合前の非共有電子対が結合後の共有電子対になるため、合計8個は保たれます。また、できたNH₄⁺では4本のN-H結合は同等なので、配位結合としてできたものだけを切り離して「弱い1本」とする説明も適切ではありません。
例題4 結合が極性をもっていても分子は無極性になるか
CO₂は直線形、H₂Oは折れ線形で、OはCやHより電気陰性度が大きいとします。どちらが極性分子で、どちらが無極性分子でしょうか。図2では、結合ごとの電子の偏りをO側へ向く赤い矢印で示しています。これは偏りの向きを比べる模式的な矢印で、長さは電荷の実測値ではありません。

- それぞれの結合で、電気陰性度の大きいO側へ電子が偏ると判断します。まず1本ずつを見ることで、「無極性分子なら結合にも極性がない」という取り違えを避けます。
- CO₂ではCを中央にしてOが一直線上の両端にあると確かめます。同じ大きさの偏りが反対向きなので打ち消され、分子全体の極性はなくなります。
- H₂Oでは2本のO-H結合が一直線ではないと確かめます。左右方向の偏りは打ち消せても、O側へ向く成分が残るため、分子全体に極性が生じます。
- 結合の極性と分子の極性を分けて答えます。答えの根拠には、電気陰性度に加えて分子の形も含めます。
答え:CO₂は無極性分子、H₂Oは極性分子です。
図2の水の結合角は約104.5°です。水ではOのまわりに共有電子対2組と非共有電子対2組があり、電子対どうしが反発して広がるため、原子の並びは折れ線形になります。電子対の配置を考えるときには非共有電子対も含めますが、分子の形の名前は原子の配置に付けます。NH₃は三角錐形で極性分子、CH₄は正四面体形で無極性分子という代表例も、この違いを意識すると整理しやすくなります。
つまずきやすいところと直し方
誤り1 水が沸騰すると共有結合が切れる
誤った書き方は「水が沸騰するとO-H結合が切れ、HとOに分かれる」です。違うのは、水という分子の内部と、水分子どうしの間を同じものとして扱っている点です。通常の沸騰では水分子はH₂Oのまま気体になり、水素と酸素への化学変化は起こりません。正しい書き方は「液体中で接近していた水分子どうしが、分子間の引力に逆らって離れ、水蒸気になる」です。
図3のように、分子内のO-Hを実線、異なる分子の間の水素結合を破線で区別すると、どちらの関係を説明しているかがはっきりします。図は水素結合の一例だけを取り出しており、液体の水のすべての分子が同じ向きに固定されているという意味ではありません。

図3の破線は、一方のOに共有結合したHと、別の水分子のOの間に引いてあります。水素結合をHとHの間に描くのは誤りです。水は分子量の近い物質と比べて沸点が高く、分子間に水素結合を形成することがその理由の一つです。また、氷では水素結合によりすき間の多い結晶構造ができるため、液体の水より密度が小さくなります。「固体なら必ず液体より密に詰まる」という思い込みも、粒子の配置を見れば修正できます。
誤り2 極性のある結合を見つけたら極性分子とする
誤った書き方は「CO₂にはC=O結合の極性があるので、CO₂は極性分子です」です。違うのは、一つ一つの結合の偏りを見ただけで、分子全体について結論を出している点です。正しい書き方は「C=O結合には極性があるが、直線形で両側の偏りが打ち消し合うため、CO₂は無極性分子です」となります。
直し方は、構造式の横に原子の並びを描き、O側へ向かう矢印を加えることです。図2のように向きが完全に反対なのか、折れ曲がっているのかを比べます。ただし、紙面上の構造式だけで立体の形を決めつけてはいけません。CH₄の4本の結合を十字形に書いても、実際の分子は平面の十字形ではなく正四面体形です。形に関する知識を使って、偏りが打ち消されるかを判断します。
誤り3 結晶はどれも分子が並んだものと考える
誤った書き方は「食塩もダイヤモンドも分子が集まった結晶です」です。違うのは、結晶をつくる粒子と、それらを結びつける力を確かめていない点です。正しい書き方は「食塩はイオン結晶、ダイヤモンドは共有結合の結晶で、どちらも独立した分子を構成粒子としません」です。結晶とは構成粒子が規則正しく配列した固体であり、「結晶」と「分子が集まった物」は同義ではありません。
| 結晶の種類 | 構成粒子と結びつき | 代表例と性質 |
|---|---|---|
| イオン結晶 | 陽イオンと陰イオンがイオン結合で結びつく | NaCl。一般に融点が高く、固体では電気を通さない |
| 分子結晶 | 分子が分子間力で集まる | ドライアイスのCO₂、ヨウ素I₂。一般に融点が低い |
| 共有結合の結晶 | 原子が共有結合で広い範囲につながる | ダイヤモンド、SiO₂。一般に硬く、融点が高い |
| 金属結晶 | 金属の粒子を自由電子が結びつける | Cu、Al。固体でも電気を通し、展性・延性を示す |
分子結晶では、分子内部の共有結合と分子間の引力を分けます。ドライアイスが昇華するときにCO₂がCとOに分解するわけではありません。一方、SiO₂では独立したSiO₂分子が並んでいるのではなく、SiとOの共有結合のつながりが結晶全体へ続きます。同じような化学式でも、分子式なのか組成式なのかという違いが性質の説明に関わります。
電気伝導性では、電荷をもつ粒子が存在することに加え、その粒子が動けることが必要です。NaClの固体にはイオンがありますが、位置が固定されているので電気を通しません。融解した状態や水に溶けた状態ではイオンが動けるため、電気を通します。すべてのイオン結晶が水によく溶けるわけではないので、「水溶液が電気を通す」と「必ず水に溶ける」も分けて考えます。
結晶の性質には例外もあります。黒鉛は共有結合の結晶ですが、層状の構造をもち、層どうしがずれやすく、電気も通します。層の内部で動ける電子があるためです。「共有結合の結晶なら全部、硬くて電気を通さない」と断定せず、ダイヤモンドと黒鉛の構造の違いを添えて整理しましょう。また、NH₄Clのように多原子イオンを含むイオン結晶では、NH₄⁺内部の共有結合と、NH₄⁺とCl⁻の間のイオン結合が共存します。分類は、結晶全体をどの粒子が構成しているかで決めます。
練習問題
練習1
Nの価電子数を5とします。N₂の共有電子対と、分子全体の非共有電子対をそれぞれ何組か答え、構造式を書きましょう。電子の総数も確認して、線の本数と電子の個数を区別してください。
練習2
Al³⁺とO²⁻からできる電気的に中性のイオン結晶について、イオンの最小の整数比と組成式を求めましょう。Al³⁺が4個ある場合に必要なO²⁻の個数も答え、正負の電荷の合計が等しいことを確かめましょう。
練習3
H₂OがH⁺に非共有電子対を提供し、H₃O⁺になりました。Oの価電子数を6、Hの価電子数を1として、H₃O⁺のOのまわりの共有電子対と非共有電子対を数えましょう。また、NH₃を三角錐形、CO₂を直線形としたとき、どちらが極性分子かを答えましょう。NはHより、OはCより電気陰性度が大きいとします。
練習4
NaCl、Cu、ダイヤモンド、氷を結晶の種類で分類しましょう。このうち、通常の条件で固体のまま電気をよく通すものを一つ選び、理由を答えましょう。さらに、氷が融けるときにH₂O分子内のO-H結合が切れるのかを説明しましょう。
答えと解説
練習1の答えは、共有電子対3組、分子全体の非共有電子対2組、構造式N≡Nです。価電子は5 × 2 = 10個で、共有に6個、各Nの非共有電子対に2個ずつ、合わせて4個を使います。各Nのまわりは共有分6個と非共有分2個で8個です。非共有電子対2組は分子全体での数なので、N原子1個あたりなら1組となります。
練習2の答えは、Al³⁺:O²⁻ = 2:3、Al₂O₃、O²⁻は6個です。電荷の大きさ3と2の最小公倍数は6なので、+3を2個、−2を3個にすると合計0になります。Al³⁺4個なら電荷は+12で、O²⁻6個の−12と打ち消し合います。Al₂O₃を「5個の原子からなる1分子」と読むのではなく、構成粒子の比として読んでください。
練習3の答えは、H₃O⁺の共有電子対3組、非共有電子対1組、極性分子はNH₃です。H₃O⁺の価電子は6 + 3 × 1 − 1 = 8個で、3本のO-H結合に6個、非共有電子対に2個を使います。NH₃では三角錐形のためN側への偏りが打ち消されません。CO₂では直線形で両端のO側への偏りが打ち消されるので、無極性分子となります。
練習4の答えは、NaClがイオン結晶、Cuが金属結晶、ダイヤモンドが共有結合の結晶、氷が分子結晶です。固体で電気をよく通すのはCuで、自由電子が移動できるためです。氷が融けるときは水素結合による規則的な構造が崩れますが、H₂O分子のO-H結合が切れて別の物質になるわけではありません。液体の水でも水素結合は存在するため、「融けると水素結合が全部なくなる」という説明も正確ではありません。
次の単元へのつながりと家庭での確かめ方
次に結晶格子を学ぶと、粒子の種類に加えて、どのように並んでいるかを詳しく調べます。気体・液体・固体の状態変化では分子間力が、溶液では溶質と水の間の引力が説明の土台になります。有機化合物でも、O-Hをもつかどうかや分子の形が、沸点や水への溶けやすさを考える手がかりになります。
家庭では、5分でできる確かめ方が二つあります。一つ目は、紙にHClとN₂の電子式を描き、点の総数と各原子のまわりの電子数を別々に数えることです。二つ目は、H₂O、NaCl、Cuの名前を並べ、「構成粒子」「粒子を結びつけるもの」「電荷を運んで動けるもの」を言葉で書き足すことです。物質を加熱したり通電したりせず、紙の上だけで確かめられます。
個別指導で答案を確認するときは、結合名を答えた箇所だけでなく、価電子数やイオンの電荷を決めたところまで戻ります。お子さまの説明を聞く際にも、「その線は原子どうしの間、それとも分子どうしの間ですか」と対象を確かめると、理解が止まっている位置を見つけやすくなります。
まとめ
食塩が固体で電気を通さず、銅が通す理由は、結合名を唱えるだけでは十分に説明できません。どの粒子があり、何が動けるかまで述べると、性質の違いに筋道が通ります。水の共有結合と水素結合も、対象を示してはじめて矛盾なく並べられます。
結合名を正しく選べても、線の両端が何なのか言えなければ、その答えにはまだ確かめる余地があります。化学結合の理解は、引いた一本の線の両端を説明できるところに現れます。
本気になった日が、入塾の日。
お子様の教育、迷ったら「丸投げ」してください。必ず、期待以上の結果で返します。武蔵野で育む、武蔵境で学ぶ。
電話は年中無休。365日、24時間、お電話可能。




