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【化学】化学反応とエネルギーを図解で総まとめ—エンタルピー・反応熱の種類・ヘスの法則・結合エネルギー|武蔵野個別指導塾

【化学】化学反応とエネルギーを図解で総まとめ—エンタルピー・反応熱の種類・ヘスの法則・結合エネルギーのアイキャッチ 武蔵野個別指導塾
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発熱なのにΔHが負になる理由をエンタルピー図から整理し、燃焼・ヘスの法則・生成エンタルピー・結合エネルギーの例題で、符号と物質量を確かめながら計算を進められます。

よくあるのは、祖父母の家の客間で化学の問題集を開き、「熱が出る反応なのに、答えに負の符号が付いている」と手が止まる場面です。発熱という言葉からは熱が増える印象を受けるため、反応のエンタルピー変化が負になる説明に納得できないのです。さらに反応式を逆向きにしたり、係数を半分にしたりすると、熱の値まで変わり、どこを基準に判断すればよいか見失いやすくなります。

この単元の出発点は、「何をひとまとまりとして、その前後を比べるか」を決めることです。反応する物質から周囲へ熱が移れば、物質側のエンタルピーは減ります。この視点を持つと、発熱と負の符号は矛盾しません。反応式の係数、物質の状態、エネルギーの高低をそろえて読む練習をすれば、直接測れない反応のエンタルピー変化も、既知の反応を組み合わせて求められます。図と式を行き来しながら、最後は結合の切断と形成まで結びつけていきましょう。

この単元で身につけること

化学基礎で学んだ物質量と反応式の係数比が、ここではエネルギーの計算の土台になります。質量からmolに直す段階で迷う場合は、熱の式を覚える前に、反応式の「1」に対応する物質量を読み取るところへ戻ると整理できます。

基本の考え方

エンタルピーは「反応後−反応前」で比べます

反応する物質など、いま注目している対象を系、それ以外を周囲と呼びます。たとえば反応によって水が温まる場面では、反応そのものに注目した系と、熱を受け取る水や容器とを区別して考えます。同じ出来事でも、系からは熱が出て、周囲には熱が入ります。「熱が増えた」とだけ言うと、どちらについて述べているかが曖昧になります。

エンタルピーHは、物質の種類、量、温度、圧力、状態などによって決まるエネルギーに関する量です。高校化学では、その絶対値を求めるより、変化の前後の差を扱います。圧力が一定で、体積変化に伴う仕事以外の仕事を考えない条件では、系が受け取る熱量がエンタルピー変化ΔHに等しくなります。ここでのΔは「変化」を表す記号で、Hを何倍かする記号ではありません。

ΔH = 生成物のエンタルピーの合計 − 反応物のエンタルピーの合計

系が熱を周囲へ放出する発熱反応では、反応後のエンタルピーが低くなり、ΔHは負になります。周囲から熱を受け取る吸熱反応では、反応後のほうが高くなり、ΔHは正になります。エンタルピーは温度そのものではありません。反応物と生成物を同じ温度で比べても、物質の種類や状態が変わればエンタルピーには差があります。

図1のように、反応前の高さを基準の0に置いて、反応後への矢印を描くと符号を判断できます。この0は、図を描くために選んだ基準であり、反応物がエネルギーを全く持たないという意味ではありません。図ではH₂が1 mol反応して液体の水が生じるときの差を−286 kJとし、縦の1目盛りを100 kJにそろえています。

図1 水の生成に伴うエンタルピーの低下と熱の放出

図1に対応する反応は、H₂(g) + 1/2O₂(g) → H₂O(l)、ΔH = −286 kJです。gは気体、lは液体、sは固体を表し、aqは水溶液中の状態を表します。係数の1/2は酸素分子を半分に切るという意味ではなく、H₂が1 molならO₂は0.5 mol反応するという物質量の関係です。原子の数の比は、反応式の左右で保たれています。

この反応で「放出される熱量」を大きさとして尋ねられたら、286 kJと答えます。一方、「エンタルピー変化」を尋ねられたら、−286 kJと答えます。反応式に添えるΔHの単位をkJと書くときは、その式の係数どおりの物質量が反応することを表します。水素1 mol当たりの値として示すなら、燃焼エンタルピーを−286 kJ/molと書きます。この2つの書き方で、計算の基準が変わったわけではありません。

反応熱の名前では、1 molの基準を確かめます

反応に伴って放出または吸収される熱を反応熱と呼び、どの変化に注目するかによって名前を付けます。古い形式の熱化学方程式では、発熱の熱量を右辺に正の大きさとして書く場合があります。エンタルピー変化で表す場合は発熱が負なので、数値だけを別の表記へ移さず、必ず熱の向きを読み直します。以下では、符号を持つエンタルピー変化で統一します。

燃焼エンタルピーは、物質1 molが完全燃焼するときのエンタルピー変化です。たとえばメタンなら、CH₄(g) + 2O₂(g) → CO₂(g) + 2H₂O(l)のように、燃える物質CH₄の係数を1にします。水の係数が2でも、「水2 mol当たりの燃焼エンタルピー」という定義にはなりません。完全燃焼の生成物とその状態を確認して値を使います。

生成エンタルピーは、化合物1 molが、その成分元素の単体から生成するときのエンタルピー変化です。標準生成エンタルピーでは、各物質を標準状態、単体をその温度で基準となる最も安定な状態にそろえます。通常は温度も指定し、25 ℃での値がよく使われます。標準状態は通常1 barを基準とする状態で、「標準」という語だけで温度が0 ℃に決まるわけではありません。

基準となる単体の標準生成エンタルピーは0と定めます。たとえば25 ℃での炭素は黒鉛を基準とし、同じ炭素でもダイヤモンドまで0とするわけではありません。これは基準の定め方ですから、単体には結合もエネルギーもないという意味ではありません。水1 molが単体から生じる反応は、水素1 molの燃焼でもあり、1つの反応が2つの分類に当てはまる場合もあります。

中和エンタルピーは、酸と塩基の中和によって水1 molが生じるときのエンタルピー変化です。十分に薄い強酸と強塩基の水溶液では、主な変化をH⁺(aq) + OH⁻(aq) → H₂O(l)と表せるため、値はほぼ一定で約−57 kJ/molになります。弱酸や弱塩基では電離に伴うエネルギー変化などが加わるため、同じ値を無条件には使えません。また、酸1 molから水が何mol生じるかは、反応式で判断します。

溶解エンタルピーは、物質1 molが溶媒に溶けるときのエンタルピー変化です。どれだけの溶媒に溶かすかなどの条件にも関係するので、問題で与えられた条件をそろえます。溶解には発熱も吸熱もあり、「溶けるから必ず熱を出す」とは決められません。粒子どうしを引き離す変化と、溶媒の粒子との間に新たな相互作用ができる変化とを合わせた結果として、符号が決まります。

この先の数値問題では、問題文で与えた教科書で使う近似値を用います。必要な原子量はH=1.0、C=12、O=16、水の比熱は指定した場合に4.2 J/(g・K)とし、途中の計算では丸めず、最後に指定された有効数字へそろえます。エネルギーの単位は1 kJ = 1000 Jです。

ヘスの法則と結合エネルギーをつなぎます

ヘスの法則は、反応の初めと終わりの状態が同じなら、途中の経路が違っても全体のエンタルピー変化が等しいという法則です。階段で同じ階から同じ階へ移動するとき、途中で別の階を経由しても最終的な高さの差が変わらないことに似ています。ただし化学では、物質の種類と量だけでなく、温度や液体・気体などの状態もそろえる必要があります。

反応式を逆向きにすると、ΔHの符号は反転します。反応式全体を2倍にするとΔHも2倍になり、反応式を足すとΔHも足せます。計算で式を組み合わせることと、実際にその反応経路で実験を行うことは別です。ヘスの法則では、直接測定しにくい変化も、測定できる別の変化から求められます。

結合エネルギーは、気体の分子の結合1 molを切り離して気体の原子にするのに必要なエネルギーです。結合を切るにはエネルギーを受け取り、逆に同じ結合を形成するときには同じ大きさのエネルギーを放出します。多原子分子の結合エネルギーとして表に示される値は平均値の場合があるので、それを用いる反応熱の計算は一般に見積もりになります。

反応物をいったん気体の原子にばらし、そこから生成物をつくる経路を考えると、ΔHは「切る結合のエネルギーの合計−できる結合のエネルギーの合計」です。これはヘスの法則を、原子を経由する経路に適用したものです。液体の水が生成する反応に気体分子の結合エネルギーだけを使う場合は、気体から液体になる変化も別に加える必要があります。

例題で解き方を確かめる

例題1 水素の燃焼から水の温度変化まで求める

H₂(g) + 1/2O₂(g) → H₂O(l)、ΔH = −286 kJとします。H₂を0.500 mol完全燃焼させたときの、物質側のエンタルピー変化と放出される熱量を求めます。さらに、その熱がすべて1.00×10³ gの水に伝わるとき、水の温度上昇を求めます。水の比熱を4.2 J/(g・K)とし、容器の吸熱、外への熱損失、水の蒸発は無視します。温度上昇は有効数字2桁で答えます。

  1. 反応式のH₂の係数1を、1 molの基準として読みます。実際の0.500 molはその0.500倍なので、エンタルピー変化も同じ割合になります。
  2. 物質側のΔHを、−286 kJ × 0.500 = −143 kJと計算します。発熱で物質側のエンタルピーが下がるため、負の符号を残します。
  3. 水が受け取る熱の大きさを、143 kJ = 1.43×10⁵ Jに直します。比熱の単位がJを含むので、ここで熱量の単位を合わせる必要があります。
  4. 水が受け取る熱量qはq = mcΔTなので、ΔT = 1.43×10⁵ ÷ (1.00×10³ × 4.2) = 34.047… Kです。最後に有効数字2桁へ丸めます。

答え:エンタルピー変化は−143 kJ、放出される熱量は143 kJ、水の温度上昇は34 Kです。

温度の差は、Kで表しても℃で表しても数値が同じなので、34 ℃上がると言っても同じ内容です。ただし、これを水の最終温度が34 ℃になるという意味にしてはいけません。最終温度を求めるには初めの温度が必要です。この例題は熱量の関係を計算する問題であり、家庭で燃焼を行うための手順ではありません。

例題2 ヘスの法則で一酸化炭素の燃焼を求める

次の2つの反応のΔHが、同じ温度・圧力で与えられています。

A:C(黒鉛) + O₂(g) → CO₂(g)、ΔH = −394 kJ

B:C(黒鉛) + 1/2O₂(g) → CO(g)、ΔH = −111 kJ

CO(g) + 1/2O₂(g) → CO₂(g)のΔHを求めます。図2では、出発点をC(黒鉛) + O₂(g)に統一しています。中間の段にはCOだけでなく、まだ反応していない1/2O₂も残っていることが重要です。

図2 炭素から二酸化炭素への直接経路と中間経路
  1. 目標の反応式でCOが左辺にあることを確認し、Bを逆向きにします。CO(g) → C(黒鉛) + 1/2O₂(g)となり、ΔHは+111 kJになります。
  2. 逆向きにしたBとAを足します。両辺のC(黒鉛)を消し、左辺のO₂から右辺の1/2O₂を差し引くと、目標の式が得られます。
  3. 式と同じ操作をΔHにも行い、−394 + 111 = −283 kJとします。物質を消去する操作とエンタルピー変化の加算を対応させるためです。

答え:CO(g) + 1/2O₂(g) → CO₂(g)のΔHは−283 kJです。

図2のように、全体の低下394 kJは、初めの低下111 kJと残りの低下283 kJの和です。図の中では状態記号を省略していますが、炭素は黒鉛、酸素・一酸化炭素・二酸化炭素は気体です。式を逆転して足す方法と、高さの差を読む方法が同じ値になれば、符号の判断を確認できます。

例題3 生成エンタルピーからメタンの燃焼を求める

同じ温度での標準生成エンタルピーを、CH₄(g)は−75 kJ/mol、CO₂(g)は−394 kJ/mol、H₂O(l)は−286 kJ/molとします。CH₄(g) + 2O₂(g) → CO₂(g) + 2H₂O(l)のΔHと、CH₄を8.0 g完全燃焼させたときに放出される熱量を求めます。原子量はC=12、H=1.0とし、質量から求めた熱量は有効数字2桁で答えます。

  1. 生成物側の標準生成エンタルピーを、係数を掛けて足します。CO₂が1 mol、水が2 molなので、−394 + 2 × (−286) = −966 kJです。
  2. 反応物側についても同じ計算をします。基準となる単体O₂の標準生成エンタルピーは0なので、−75 + 2 × 0 = −75 kJです。
  3. 生成物側から反応物側を引きます。ΔH = −966 − (−75) = −891 kJとなり、負の数を引く箇所では括弧を残します。
  4. CH₄のモル質量16 g/molを使い、8.0 ÷ 16 = 0.50 molとします。放出される熱量の大きさは891 × 0.50 = 445.5 kJで、これを丸めます。

答え:反応式に対するΔHは−891 kJ、CH₄ 8.0 gから放出される熱量は4.5×10² kJです。

「生成物の合計−反応物の合計」という形を使えるのは、ここで与えられている値が同じ基準から測った生成エンタルピーだからです。燃焼エンタルピーの表を、そのまま同じ位置に入れてはいけません。生成の反応は単体から目的の物質へ向かい、燃焼の反応は各物質から共通の燃焼生成物へ向かうので、基準へ進む向きが違います。

また、CO₂の分子式に酸素原子が2個あるからといって、−394を2倍するのは誤りです。掛けるのは反応式の係数であり、化学式の下付き数字ではありません。水について2倍するのは、反応式に2H₂Oとあるためです。

例題4 結合エネルギーから気体の反応を求める

H₂(g) + Cl₂(g) → 2HCl(g)のΔHを求めます。結合エネルギーはH−Hが436 kJ/mol、Cl−Clが243 kJ/mol、H−Clが431 kJ/molとし、この問題では与えられた値をそのまま用います。すべて気体として扱うので、液化などのエンタルピー変化は加えません。

  1. 左辺で切る結合を数えます。H₂ 1 molにH−H結合が1 mol、Cl₂ 1 molにCl−Cl結合が1 molあるので、必要なエネルギーは436 + 243 = 679 kJです。
  2. 右辺でできる結合を数えます。HClが2 molできるため、H−Cl結合は2 mol形成され、放出されるエネルギーは431 × 2 = 862 kJです。
  3. 原子へばらす段階の+679 kJと、結合をつくる段階の−862 kJを足します。ΔH = 679 − 862 = −183 kJとなります。

答え:H₂(g) + Cl₂(g) → 2HCl(g)のΔHは−183 kJです。

結合を切る段階だけでは吸熱ですが、その後の結合形成でより多くのエネルギーを放出するため、全体は発熱になります。この計算で原子を経由させるのはエネルギーの差を求めるためであり、実際の反応が必ずすべての分子を同時に原子へばらしてから進むと主張しているわけではありません。

つまずきやすいところと直し方

発熱量の正の大きさを、そのままΔHに書いてしまいます

誤った書き方は、「H₂が1 mol燃焼して286 kJの熱を出すので、ΔH = +286 kJ」です。どこが違うかというと、周囲が受け取る熱の大きさと、物質側のエンタルピーの増減を同じ向きとして扱っています。正しい書き方は、「放出される熱量は286 kJ、物質側のΔHは−286 kJ」です。

直すときは、計算の前に反応物の横線を描き、発熱なら生成物の横線を下に置きます。高低を決めてから「後−前」を行えば、言葉の印象に引きずられずに符号を決められます。逆反応なら図の矢印も逆向きになるため、ΔHは+286 kJです。数値だけに負号を付けるのではなく、反応の向きも一緒に直します。

物質量をそろえても、液体と気体をそろえていません

誤った書き方は、「H₂O(l)とH₂O(g)は同じ水なので、ヘスの法則でそのまま消去できる」です。どこが違うかというと、水を蒸発させるにはエネルギーが必要で、同じ物質量でも状態が違えばエンタルピーが違う点を見落としています。正しい書き方は、「同じ状態の水だけを消去し、状態が異なる場合は蒸発または凝縮の変化を加える」です。

液体の水の生成を、気体の水の生成に置き換えるには、その後に水を蒸発させる経路を考えます。蒸発エンタルピーは正なので、気体の水を生成するときのΔHは、液体の水を生成するときより大きくなります。どちらも発熱の場合には、気体の水をつくるほうが放出される熱量は小さくなります。「大きい」を負の数の大小に使うのか、放出熱の大きさに使うのかも区別しましょう。

結合を切ると熱が出ると考えてしまいます

誤った書き方は、「反応物の結合が切れるとエネルギーが出るので、ΔH = できる結合の合計−切る結合の合計」です。どこが違うかというと、結びついている原子を引き離すには、外からエネルギーを与える必要がある点を逆にしています。正しい書き方は、「ΔH = 切る結合の合計−できる結合の合計」です。

図3のように、例題4では気体の原子へ向かう矢印は上向き、HClをつくる矢印は下向きになります。2本の矢印の長さは679対862にそろえてあり、下向きのほうが長いため、終点は出発点より183 kJ低くなります。図のすべての粒子は気体で、縦の値は反応式どおりの量についての相対値です。

図3 結合の切断による吸熱と結合の形成による発熱

図3は、反応物・気体の原子・生成物のエンタルピーを比べる図です。実際の反応が進む途中の山を描いた図ではないので、上向きの679 kJをそのまま活性化エネルギーと呼ぶことはできません。結合エネルギーと、反応が始まるために越えるエネルギーの壁とは、別の意味を持つ量です。

練習問題

練習1 反応式の逆転と定数倍

H₂(g) + 1/2O₂(g) → H₂O(l)、ΔH = −286 kJが与えられています。2H₂O(l) → 2H₂(g) + O₂(g)のΔHを求めてください。計算の前に、逆向きにする操作と2倍にする操作を言葉で書きます。

練習2 中和する量を決める

0.200 mol/Lの塩酸50.0 mLと、0.100 mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液150 mLを中和させる計算を考えます。十分に薄い溶液として扱い、水1 mol生成当たりの中和エンタルピーを−57.0 kJ/molとします。希釈による熱の出入りは無視し、反応する量と放出される熱量を求めてください。熱量は有効数字3桁で答えます。

練習3 溶解で水溶液が冷える場合

ある物質の溶解エンタルピーは、指定された条件で+25.0 kJ/molです。この物質0.0200 molが溶けるとき、周囲から吸収する熱量を求めてください。さらに、溶解に必要な熱がすべて水溶液自身の冷却によって供給されるとし、水溶液の質量100 g、比熱4.2 J/(g・K)から温度低下の大きさを有効数字2桁で求めてください。容器の吸熱と外部との熱の移動は無視します。

練習4 未知の生成エンタルピー

CO(g) + 1/2O₂(g) → CO₂(g)のΔHが−283 kJで、CO₂(g)の標準生成エンタルピーが−394 kJ/molです。同じ温度のCO(g)の標準生成エンタルピーを求めてください。O₂(g)は基準となる単体です。未知の値をxと置き、生成物から反応物を引く式を立てます。

答えと解説

練習1の答えは+572 kJです。反応を逆向きにして+286 kJとし、係数を2倍にして+572 kJにします。液体の水から水素と酸素へ戻す変化なので、与えられた生成反応とは逆に吸熱になります。

練習2では、H⁺は0.200 × 0.0500 = 0.0100 mol、OH⁻は0.100 × 0.150 = 0.0150 molです。1:1で反応するため、H⁺とOH⁻がそれぞれ0.0100 mol反応し、水が0.0100 mol生じます。放出される熱量は57.0 × 0.0100 = 0.570 kJです。余るOH⁻の分まで中和したことにしてはいけません。物質側のエンタルピー変化なら−0.570 kJです。

練習3の答えは、吸収する熱量が0.500 kJ、温度低下が1.2 Kです。25.0 × 0.0200 = 0.500 kJを500 Jに直し、500 ÷ (100 × 4.2) = 1.190… Kを丸めます。溶解のΔHが正であることと、水溶液の温度変化が負であることは両立します。溶解に必要なエネルギーが、水溶液の温度低下を伴って供給されるためです。

練習4の答えは−111 kJ/molです。−283 = −394 − xと立式すると、x = −111になります。結果はC(黒鉛) + 1/2O₂(g) → CO(g)に対応する値です。COの燃焼エンタルピーと生成エンタルピーは、同じ物質名が含まれていても異なる反応の値だと確認できます。

次の単元へのつながりと家庭での確かめ方

発熱か吸熱かがわかっても、それだけで反応が速く進むとは限りません。次に反応速度を学ぶときは、反応の前後の差であるΔHと、途中で越える必要のある活性化エネルギーを区別します。触媒が反応を速めても、反応物と生成物が同じならΔHは変わりません。初めと終わりをそろえるというヘスの法則の考え方が、ここでも役立ちます。

もう1つの視点がエントロピーです。エントロピーは、粒子やエネルギーの分散の程度を表す量で、同じ物質では一般に固体、液体、気体の順に大きくなります。「乱雑さ」という言葉だけで覚えるより、粒子が広い範囲に分布できる状態や、エネルギーが分散する状態を思い浮かべると理解につながります。反応や状態変化が自然に起こる向きを考えるには、系だけでなく周囲も含めたエントロピーの変化を見る必要があります。

たとえば氷が融点より高い温度の周囲から熱を受け取って融ける変化は吸熱ですが、自然に進みます。「発熱なら必ず進み、吸熱なら進まない」という判断はできません。ここではエンタルピーとエントロピーを混同せず、エネルギーの出入りと分散という2つの見方があることを押さえれば十分です。

家庭での確かめ方は、紙と筆記用具だけでできます。1つ目は、5分で水の生成反応と逆反応を上下2段の図にし、矢印の向きとΔHの符号を声に出して説明する方法です。2つ目は、別の5分で例題2の反応式を紙片に書き、逆向きにした式を並べて、左右から消える物質に線を引く方法です。答えの数値を見ず、酸素がどれだけ残るかまで確かめます。

個別指導で確認する際は、負の数の引き算、係数とmolの対応、状態記号の読み分けのどこで止まったかを切り分けます。保護者がお子さまの説明を聞く場合も、「なぜ負になるのか」「この熱量は何mol分か」の2点に絞ると、計算結果だけでは見えない理解を確かめられます。

まとめ

反応熱の計算で迷ったら、数式に数字を入れる前に、反応物と生成物を状態記号付きで書き、何molが変化するのかをそろえます。そのうえでエンタルピーの高低を描けば、符号、係数、途中で消去する物質の役割をそれぞれ説明できます。難しい式を増やすことより、式が表している変化を最後まで同じ基準で追うことが、初めて見る問題を解く支えになります。熱の符号は暗記の飾りではなく、反応する物質から見たエネルギーの行き先です。

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