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【化学】非金属元素②を図解で総まとめ—窒素 リン・炭素 ケイ素・アンモニア 硝酸の製法|武蔵野個別指導塾

【化学】非金属元素②を図解で総まとめ—窒素 リン・炭素 ケイ素・アンモニア 硝酸の製法のアイキャッチ 武蔵野個別指導塾
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アンモニアから硝酸への製法を反応式でたどり、炭素の同素体とガラスの性質を結びます。原料の過不足や硝酸の生成量を求める例題で、暗記した知識を使い直せます。

よくあるのは、修学旅行前の教室で、配られたしおりの横に化学のノートを開き、「アンモニアは塩基性、硝酸は酸性」と覚えたところで、なぜその2つが工業的な製法でつながるのか説明できなくなるという場面です。物質名の横に性質を1つずつ書くだけでは、反応式が別の暗記事項に見えます。さらに、同じ炭素なのにダイヤモンドと黒鉛の性質が違う話や、二酸化ケイ素とガラスの話が続くと、何を手掛かりに整理すればよいか迷います。

この範囲は、物質が変化するときに「原子はどこへ移るか」、性質を考えるときに「原子はどうつながっているか」を追うと見通せます。窒素では反応前後の窒素原子の数を、炭素とケイ素では結合の広がりを見ます。反応式を使った計算と、構造から性質を説明する練習を行えば、物質名を思い出すだけでなく、選択肢のどの部分が違うかまで判断できます。

この単元で身につけること

化学基礎で学んだ共有結合、物質量、酸と塩基、酸化還元が土台です。知らない物質が増えても、原子の数をそろえる規則と、gをmolへ直してから係数比を使う規則は変わりません。

基本の考え方

窒素からアンモニア、アンモニアから硝酸へ

窒素N₂は、空気の体積のおよそ78%を占める無色・無臭の気体です。窒素分子の2個の原子は、3組の電子対を共有する三重結合で結び付いています。この強い結合を切る必要があるため、常温では反応しにくい物質です。「窒素という元素が反応しない」のではありません。窒素を含むアンモニアや硝酸はそれぞれ別の性質をもちます。

アンモニアNH₃は無色で刺激臭のある気体で、水によく溶けます。水溶液が塩基性を示すのは、NH₃の一部が水から水素イオンを受け取り、アンモニウムイオンNH₄⁺と水酸化物イオンOH⁻を生じるためです。反応は次のように表せます。

NH₃ + H₂O ⇄ NH₄⁺ + OH⁻

NH₃という化学式にOHがないことと、水溶液中にOH⁻が生じないことは別です。アンモニアは弱塩基であり、溶けた分子のすべてがNH₄⁺になるわけではありません。また、塩化水素と反応すると塩化アンモニウムを生じます。NH₃ + HCl → NH₄Clという式は、アンモニアが酸を受け止めて塩をつくる反応として読めます。

工業的に窒素と水素からアンモニアを合成する方法をハーバー・ボッシュ法といいます。鉄を主成分とする触媒を用い、高温・高圧の条件で次の反応を進めます。触媒は反応を速める物質であり、反応全体では消費されません。

N₂ + 3H₂ ⇄ 2NH₃

正反応は発熱反応です。温度を低くすると生成物側に有利ですが、反応は遅くなります。そのため、実際の製造では反応の速さと生成のしやすさの両方を考えます。また、気体の係数の合計は左辺が4、右辺が2なので、高圧はアンモニアを生成する方向に有利です。触媒を入れることと、高圧にすることの役割を同じものとして覚えないようにします。未反応の原料を再び反応に使う工夫も、工業的な製造を支えています。

硝酸HNO₃をアンモニアから製造する方法がオストワルト法です。アンモニアを酸化して一酸化窒素NOにし、さらに二酸化窒素NO₂にしてから、水と反応させる流れです。最初の段階では白金を主成分とする触媒を用います。

4NH₃ + 5O₂ → 4NO + 6H₂O

2NO + O₂ → 2NO₂

3NO₂ + H₂O → 2HNO₃ + NO

最後の式にNOがあることに注目します。このNOを再び酸化して利用するため、最後の式だけを見て「原料の窒素の3分の1は必ず失われる」と判断してはいけません。図1のように、物質名を横につなぐときは、戻って使われる物質も一緒に見る必要があります。

図1 窒素からアンモニアを経て硝酸を得る製法の流れ

図1の上段はアンモニア合成、下段は硝酸製造を表します。下段の戻り矢印は、水との反応で生じるNOを再利用する経路です。すべての窒素原子が最終的に硝酸へ移る理想的な全体反応は、NH₃ + 2O₂ → HNO₃ + H₂Oとまとめられます。これは工程全体を足し合わせた式であり、アンモニアと酸素が途中の反応を経ずに直接硝酸になる、という意味ではありません。

NOは無色ですが、空気中の酸素と反応して赤褐色のNO₂になります。発生直後と空気に触れた後の色が異なる場合、最初からNO₂だったとは限りません。硝酸は強酸であると同時に酸化力をもち、銅とも反応します。代表的な反応式は次の2つです。

Cu + 4HNO₃ → Cu(NO₃)₂ + 2NO₂ + 2H₂O(濃硝酸)

3Cu + 8HNO₃ → 3Cu(NO₃)₂ + 2NO + 4H₂O(希硝酸)

どちらも、この反応では水素が発生しません。酸なら金属と反応して必ずH₂を出す、という覚え方は硝酸には当てはまりません。また、鉄やアルミニウムなどは濃硝酸により表面に緻密な酸化被膜をつくり、反応が進みにくくなることがあります。この状態を不動態といいます。硝酸や窒素酸化物を扱う反応は教科書上で比較し、家庭で発生させたり、においを直接確かめたりしないでください。

リンは同素体と酸化物をつなげる

同素体とは、同じ元素からできている単体で、構造や性質が異なるものです。リンの代表的な同素体には黄リンと赤リンがあります。黄リンはP₄分子からなり、反応性が高く、空気中で自然発火するおそれがあるため水中で保存されます。これは保存方法の知識であり、自分で扱うための手順ではありません。赤リンは黄リンとは異なるつながり方をもち、黄リンに比べて安定です。

リンの同素体の区別では、「色だけが違う」と説明しないことが大切です。粒子のつながり方が違うため、反応のしやすさも違います。また、同位体は中性子の数が異なる原子のことで、単体の構造の違いを表す同素体とは別の用語です。

リンを十分な酸素のもとで燃焼させると、酸化リン(V)を生じます。高校では十酸化四リンP₄O₁₀として扱い、五酸化二リンという名称や組成式P₂O₅も用いられます。分子式P₄O₁₀は分子に含まれる原子数を示し、組成式P₂O₅はリンと酸素の最も簡単な整数比を示します。表記が違っても、リンと酸素の比は2:5で一致します。

P₄ + 5O₂ → P₄O₁₀

P₄O₁₀ + 6H₂O → 4H₃PO₄

P₄O₁₀は水と反応し、リン酸H₃PO₄になります。水を強く取り込む性質があるため、乾燥剤や脱水剤に利用されます。リン酸は水溶液中で段階的に水素イオンを放出する酸です。H₃PO₄という式にHが3個あることから、すべてのHが水中で一度に完全に電離すると考えてはいけません。リン酸を十分な量の水酸化ナトリウムで完全に中和する量的関係は、H₃PO₄ + 3NaOH → Na₃PO₄ + 3H₂Oです。途中まで中和した塩もあるので、何段階まで中和するかが問題の条件になります。

炭素とケイ素は原子のつながり方で読む

炭素の同素体には、ダイヤモンド、黒鉛、フラーレンなどがあります。ダイヤモンドでは、1個の炭素原子が周囲の4個と共有結合し、立体的な網目が広がっています。この結合を切らずに原子の位置を変えることが難しいため、非常に硬い物質です。通常、電気をほとんど通しません。

黒鉛では、1個の炭素原子が同じ層の3個と共有結合し、六角形が連なった平面構造をつくります。層どうしの結び付きは層内の共有結合に比べて弱く、層がずれやすいため、鉛筆の芯のようにこすって薄くはがれる性質につながります。層内には動きやすい電子があり、電気を通します。一方、代表的なフラーレンC₆₀は60個の炭素原子からなるかご状の分子です。同じ炭素でも、独立した分子をつくる場合と、共有結合が広く続く場合があります。

炭素の酸化物も区別します。一酸化炭素COは無色・無臭で有毒な気体で、還元性をもちます。還元性とは、相手を還元する性質です。例えばFe₂O₃ + 3CO → 2Fe + 3CO₂では、COが鉄の酸化物から酸素を取り去り、自身はCO₂になります。COは中性酸化物として扱いますが、二酸化炭素CO₂は酸性酸化物です。酸性酸化物は塩基と反応して塩をつくる酸化物で、すべてが水に溶けやすいという意味ではありません。

CO₂を石灰水に通したときの白い沈殿は、炭酸カルシウムCaCO₃です。反応はCO₂ + Ca(OH)₂ → CaCO₃ + H₂Oで表されます。さらにCO₂を十分に通すと、CaCO₃ + CO₂ + H₂O → Ca(HCO₃)₂によって水に溶ける炭酸水素カルシウムとなり、沈殿が溶けます。「白く濁る」と「過剰では濁りが消える」を、別々の反応式と結び付けておきます。

ケイ素Siは炭素と同じ14族の元素で、単体は共有結合の結晶をつくります。半導体として利用され、電気の通しやすさは温度や加えた微量の元素などに影響されます。金属と同じように常に電気をよく通す、と覚えるのは不適切です。

二酸化ケイ素SiO₂は石英の主成分です。1個のSiの周囲に4個のOがあり、各Oが2個のSiをつなぐことで立体的な網目が広がります。Oが隣のSiと共有されるため、SiとOの数の比は1:2になります。CO₂のように、SiO₂という独立した小さな分子が並んでいるわけではありません。水にほとんど溶けず、融点が高いこともこの構造と関係します。

SiO₂は酸性酸化物で、例えばSiO₂ + 2NaOH → Na₂SiO₃ + H₂Oという反応が高温で起こります。生成物のNa₂SiO₃はケイ酸ナトリウムです。その濃い水溶液は水ガラスと呼ばれ、酸を加えて生じるゲル状の物質を適切に処理すると、吸湿性をもつシリカゲルが得られます。乾燥剤としてのシリカゲルは、主に表面に水を吸着する性質を利用します。

窓などに用いられる代表的なソーダ石灰ガラスは、SiO₂を主成分とし、Na₂OやCaOに相当する成分を含みます。原料にはケイ砂、炭酸ナトリウム、炭酸カルシウムなどを用います。ガラスは一定の単一分子式で表される物質ではありません。結晶のような長距離にわたる規則的な配列をもたない非晶質であり、加熱するとある温度範囲で徐々に軟らかくなります。石英と石英ガラスのように、主な化学組成が同じでも配列が違う例があります。

例題で解き方を確かめる

例題1 アンモニア合成で余る原料を求める

窒素2.0 molと水素3.0 molからアンモニアをつくります。量的関係だけを考え、少ない側の原料がすべて反応すると仮定します。生成するNH₃の物質量と、余る原料の物質量を求めてください。

  1. 反応式N₂ + 3H₂ → 2NH₃を書きます。原料のmol数の大小を直接比べるのではなく、必要な割合を先に確定するためです。
  2. それぞれの物質量を係数で割ります。窒素は2.0 ÷ 1 = 2.0、水素は3.0 ÷ 3 = 1.0です。比べた値の小さい水素が、先に使い切られる原料です。
  3. 水素3.0 molを基準に、NH₃は3.0 × 2 ÷ 3 = 2.0 molと求めます。図2のように、1 molのN₂と3 molのH₂から2 molのNH₃ができる関係を使います。
  4. 消費されたN₂は3.0 × 1 ÷ 3 = 1.0 molなので、余るN₂は2.0 − 1.0 = 1.0 molです。生成物だけでなく残った原料も数えると、原子の行き先を確認できます。

答え:NH₃は2.0 mol生成し、N₂が1.0 mol余ります。

図2 アンモニア合成における各気体の物質量の比

図2の棒の長さは、分子の大きさではなく物質量を表しています。気体の物質量の合計は4 molから2 molに変わりますが、窒素原子も水素原子も失われていません。なお、実際の合成は可逆反応なので、原料が必ずすべて反応するわけではありません。この例題の値は、示された仮定のもとで求めた最大の生成量です。

例題2 アンモニアから得られる硝酸の質量を求める

NH₃を3.40 g用い、オストワルト法で硝酸を製造します。NOは再利用され、窒素原子は失われないとしたときの理論上のHNO₃の質量と、全工程の収率が80.0%のときに実際に得られるHNO₃の質量を求めてください。原子量はH=1.0、N=14、O=16とします。収率は、実際に得られた量を理論上得られる量で割った割合です。

  1. NH₃のモル質量を14 + 3 × 1.0 = 17.0 g/molと求めます。質量に係数比をそのまま掛けず、3.40 ÷ 17.0 = 0.200 molへ直します。
  2. 全体反応NH₃ + 2O₂ → HNO₃ + H₂Oを使います。NH₃とHNO₃の比が1:1なので、理論上のHNO₃は0.200 molです。途中でできるNOを再利用する条件が、この比の根拠になります。
  3. HNO₃のモル質量は1.0 + 14 + 3 × 16 = 63.0 g/molです。したがって理論上の質量は0.200 × 63.0 = 12.6 gです。
  4. 全工程の収率を掛け、12.6 × 0.800 = 10.08 gを得ます。有効数字3桁で表すと10.1 gです。80.0%は工程全体についての値なので、段階ごとに3回掛ける必要はありません。

答え:理論上は12.6 g、収率80.0%では10.1 gのHNO₃が得られます。

生成物の質量が原料のNH₃の質量より大きくても、質量保存の法則に反していません。酸素という別の原料が反応に加わっているからです。また、ここで求めたのはHNO₃そのものの質量であり、水を含む硝酸水溶液全体の質量ではありません。

例題3 銅と希硝酸の反応で生じる気体を求める

銅6.40 gが十分な量の希硝酸と反応したとき、生じるNOの標準状態での体積を求めてください。原子量はCu=64とし、気体は理想気体として扱います。この後も標準状態は0 ℃、1.013 × 10⁵ Paとし、気体1 molの体積には教科書の値22.4 L/molを用います。

  1. 希硝酸との反応式3Cu + 8HNO₃ → 3Cu(NO₃)₂ + 2NO + 4H₂Oを選びます。濃硝酸との反応式ではNO₂が生成し、係数比も違うため、計算前に条件を確かめます。
  2. 銅の物質量を6.40 ÷ 64 = 0.100 molと求めます。反応式の係数が表すのは質量比ではなく物質量の比です。
  3. Cu:NO = 3:2より、NOは0.100 × 2 ÷ 3 molです。循環小数になるので、途中では丸めずに次へ進みます。
  4. 体積は0.100 × 2 ÷ 3 × 22.4 = 1.493… Lです。与えられた測定値に合わせて有効数字3桁にします。気体が発生後に空気と反応する場合とは区別し、反応式で生じるNOの量を求めています。

答え:標準状態で1.49 LのNOが生じます。

例題4 構造から物質を見分ける

物質Aは炭素の単体で、層状の構造をもち、電気を通します。物質Bはケイ素と酸素からなり、独立した分子をつくらず立体的な網目をつくります。物質Aの名称と物質Bの化学式を答え、BでSiの周囲にOが4個あるのにSiO₄と表さない理由を説明してください。

  1. Aは「炭素」と「層状」を組み合わせて判断します。電気を通すという条件だけで金属を選ばず、黒鉛の構造と照らし合わせます。
  2. Bは二酸化ケイ素と判断します。「ケイ素を含む」というだけでは単体Siも候補ですが、酸素を含む条件と網目構造がSiO₂に対応します。
  3. Siの周囲のOは、各々が2個のSiに共有されています。Si1個当たりのOを重複なく数えると4 ÷ 2 = 2個です。近くにある原子の数と、物質全体の原子数の比を区別します。

答え:Aは黒鉛、BはSiO₂で、Oが2個のSiに共有されるためSi:O = 1:2になります。

つまずきやすいところと直し方

誤り1 硝酸製造の最後の式だけで全体の比を決める

誤った書き方は「3NO₂から2HNO₃なので、3NH₃から得られるHNO₃も必ず2 mol」です。違うのは、同時に生成するNOを使い直す条件を無視している点です。最後の反応を1回だけ行い、NOを回収しない場合の比を、製造工程の全体に当てはめています。

正しい書き方は「NOを再利用して窒素がすべて硝酸へ移れば、NH₃:HNO₃ = 1:1」です。図1に戻り矢印がある理由を説明してから、全体反応を書いてください。量的な関係は、覚えた係数だけでなく、何を反応系の外へ取り出すかにも左右されます。問題文に再利用や収率の条件があれば、先に印を付けます。

誤り2 黒鉛が軟らかいのは共有結合が弱いからだとする

誤った書き方は「黒鉛では炭素どうしの共有結合が弱いので、軟らかく電気を通す」です。違うのは、層内の結合、層と層の間の力、電子の動きやすさを一緒にしている点です。軟らかさと電気伝導性は、同じ一言で説明できません。

正しい書き方は「層内の共有結合は強いが、層どうしの結び付きが弱いためずれやすい。層内を動きやすい電子があるため電気を通す」です。図3のように、ダイヤモンドの立体的なつながりと、黒鉛の平面内のつながりを描き分けると、どの部分を説明しているか明確になります。

図3 ダイヤモンドの立体構造と黒鉛の層状構造の比較

図3の左は、1個の炭素の周りの4個を正四面体の配置として平面に投影したものです。右は黒鉛の隣り合う層の一部分を模式的に表し、層内の六角形と層の分離を見せています。どちらも結晶全体ではなく、結合の広がり方を見るための図です。紙面上の線の長さを原子間距離として比較する図ではありません。

誤り3 SiO₂をCO₂と同じ分子の集まりとする

誤った書き方は「SiO₂はSi1個とO2個からなる小さな分子なので、CO₂と同じような気体になる」です。違うのは、化学式の原子数の比だけから、独立した分子の有無を決めている点です。CO₂の化学式は1分子の原子数を示しますが、通常の固体SiO₂では全体の組成比を示します。

正しい書き方は「CO₂は独立した分子をつくり、SiO₂は共有結合の網目が広がる固体である」です。さらに、石英とガラスの違いでは、結晶か非晶質かという配列の規則性にも注目します。「透明だから分子が同じように並んでいる」と見た目だけで判断せず、結合のつながりと配列の規則性を別々に確かめます。

練習問題

練習1

N₂ 0.300 molとH₂ 0.600 molからNH₃をつくります。少ない側の原料がすべて反応すると仮定し、生成するNH₃と余る原料の物質量を求めてください。実際の可逆反応での生成量を求める問題ではありません。

練習2

NH₃ 1.70 gからオストワルト法で硝酸を製造しました。NOは再利用され、全工程の収率は90.0%でした。得られたHNO₃そのものの質量を求めてください。原子量はH=1.0、N=14、O=16とします。

練習3

P₄O₁₀ 2.84 gが十分な水と反応し、すべてH₃PO₄になりました。このH₃PO₄をNa₃PO₄まで完全に中和するために必要なNaOHの物質量を求めてください。原子量はP=31、O=16とします。P₄O₁₀ + 6H₂O → 4H₃PO₄とH₃PO₄ + 3NaOH → Na₃PO₄ + 3H₂Oを使います。

練習4

次の文の誤りを、それぞれ1文で直してください。「黄リンと赤リンは同位体である」「黒鉛は層内の共有結合が弱いためはがれやすい」「ガラスは原子が長距離にわたって規則正しく並ぶ結晶である」。

答えと解説

練習1の答えは、NH₃が0.400 mol生成し、N₂が0.100 mol余る、です。係数で割ると、N₂は0.300 ÷ 1、H₂は0.600 ÷ 3 = 0.200となるため、H₂が先に使い切られます。N₂の消費量は0.200 mol、NH₃の生成量は0.200 × 2 = 0.400 molです。

練習2の答えは5.67 gです。NH₃は1.70 ÷ 17.0 = 0.100 molなので、HNO₃の理論上の質量は0.100 × 63.0 = 6.30 gです。全工程の収率を1回掛けて6.30 × 0.900 = 5.67 gとします。

練習3の答えは0.120 molです。P₄O₁₀のモル質量は4 × 31 + 10 × 16 = 284 g/molなので、物質量は2.84 ÷ 284 = 0.0100 molです。H₃PO₄はその4倍の0.0400 mol生じ、完全中和には3倍の0.120 molのNaOHが必要です。最初から最後までの比はP₄O₁₀:NaOH = 1:12ですが、途中の物質を一度書くと比の由来を確認できます。

練習4は、「黄リンと赤リンは構造や性質が異なる同素体です」「黒鉛は層どうしの結び付きが弱いためはがれやすいです」「ガラスは長距離にわたる規則的な配列をもたない非晶質です」と直します。用語を置き換えるだけでなく、原子の種類、結合、配列のどの違いを述べる文なのかも確かめてください。

次の単元へのつながりと家庭での確かめ方

金属元素の学習では、COの還元性が鉄の製錬につながり、硝酸の酸化力が金属との反応を判断する手掛かりになります。有機化学では炭素原子どうしのつながりを読む力を使います。無機化学の物質名を単独で覚えるより、反応で担う役割と構造を添えた方が、次の範囲でも使いやすくなります。

家庭での5分の確認には、紙と筆記用具で行える方法が2つあります。1つ目は、N₂、NH₃、NO、NO₂、HNO₃を順に書き、矢印の横に必要な原料や触媒を書き添える方法です。最後にNOを戻す矢印を加え、窒素原子を追います。2つ目は、ダイヤモンド、黒鉛、SiO₂について「隣の原子とのつながり」と「その結果としての性質」を1組ずつ書く方法です。知っている性質を並べるだけでなく、その理由を1文で補います。

個別指導では、計算が止まった箇所に応じて、係数とmolの関係、または質量からmolへの換算まで戻って確かめます。性質の説明で止まった場合は、化学式を覚え直す前に、独立した分子があるのか、結合が広く続くのかを図で整理します。

まとめ

物質名を聞いて性質を答えられても、原料の量が変わったり、反応の途中の物質を再利用したりすると、覚えた答えだけでは判断できません。条件が変わっても確かめられるのは、反応前後で保存される原子の数と、構造の中で各原子が結び付く相手です。計算の式にも性質を説明する文にも、その根拠を残すと、自分で誤りを直せます。

窒素の行き先と炭素のつながりを説明できたとき、非金属元素の暗記は、反応と性質を読み解く知識に変わります。

本気になった日が、入塾の日。

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