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【化学】非金属元素①を図解で総まとめ—ハロゲン・酸素 硫黄・水素・性質と製法と反応|武蔵野個別指導塾

【化学】非金属元素①を図解で総まとめ—ハロゲン・酸素 硫黄・水素・性質と製法と反応のアイキャッチ 武蔵野個別指導塾
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ハロゲンの酸化力、酸素とオゾン、硫酸の接触法を3枚の図で整理し、気体の体積や硫酸の生成量を求める例題から、性質と反応式を結びつけて学べます。

よくあるのは、保健室の前の長椅子で化学のノートを見返し、「塩素は酸化剤、二酸化硫黄は還元剤」と覚えたものの、反応式のどちら側に電子を書くのかで手が止まるという場面です。物質の色や名前を覚えることと、反応式をつくることが別々になっていると、新しい組合せが出たときに判断できなくなります。

非金属元素の学習では、物質の名前に性質を一対一で貼り付けるだけでは足りません。同じ元素でも、単体か化合物か、どの相手と反応するかで役割が変わります。酸素とオゾンの違い、希硫酸と熱濃硫酸の違いも、その見方で整理できます。

まず色・状態・水への溶けやすさを押さえ、次に電子の移動を考え、最後に反応式の係数で量を結びます。この順序を身につけると、性質の選択問題と気体の計算問題を同じ知識から解けるようになります。製法は反応の原理として学び、有害な気体の発生や薬品の混合を家庭で再現することはしません。

この単元で身につけること

化学基礎で学んだ周期表、物質量、酸化還元が土台になります。計算では原子量を各問題で与え、標準状態は 0 ℃・1.013×10⁵ Pa、気体 1 mol の体積は教科書で用いる 22.4 L とします。気体の体積を比べる場合は、温度と圧力が等しいことを確かめます。

基本の考え方

ハロゲンは「単体」と「イオン」を分けて見る

ハロゲンは周期表の17族の元素です。ここではフッ素 F、塩素 Cl、臭素 Br、ヨウ素 I を扱います。これらの原子の価電子は7個で、電子を1個受け取ると1価の陰イオンになります。単体は F₂、Cl₂、Br₂、I₂ という二原子分子で存在します。Cl は元素記号、Cl₂ は塩素の単体の分子式、Cl⁻ は塩化物イオンの式です。この3つを同じものとして扱わないことが出発点です。

常温・常圧では、フッ素は淡黄色の気体、塩素は黄緑色の気体、臭素は赤褐色の液体、ヨウ素は黒紫色の固体です。ヨウ素には固体から直接気体になる昇華が見られ、その蒸気は紫色です。ただし「昇華するから液体にはならない」という意味ではありません。状態は温度と圧力で決まるため、色を覚えるときにも「固体の色か、蒸気の色か」を添えます。

酸化剤とは、相手から電子を受け取って相手を酸化する物質です。自身は電子を受け取るので還元されます。塩素の場合は Cl₂ + 2e⁻ → 2Cl⁻ と表せます。左の単体の塩素は酸化数0、右の塩化物イオン中の塩素は酸化数−1です。酸化数は、電子の偏りを形式的な数で表して酸化還元を追うための目印です。

図1のように、ハロゲン単体の酸化力は F₂ > Cl₂ > Br₂ > I₂ の順です。この図の間隔は強さの差を数量で表したものではなく、順序を示しています。水溶液での置換反応は主に塩素・臭素・ヨウ素の組合せで考え、フッ素は水自体とも激しく反応するため、同じ操作の延長として扱いません。

図1 ハロゲン単体の酸化力の順序と常温での状態

たとえば Cl₂ + 2Br⁻ → 2Cl⁻ + Br₂ では、塩素が臭化物イオンから電子を受け取っています。同様に臭素はヨウ化物イオンを酸化できますが、ヨウ素を塩化物イオンに作用させても同様の置換は起こりません。「強い単体が、弱い単体に対応する陰イオンを酸化する」と文章で説明してから式を書くと、反応の向きを取り違えにくくなります。

塩素が水に溶けると、一部が水と反応して塩酸と次亜塩素酸 HClO を生じます。式は Cl₂ + H₂O ⇄ HCl + HClO です。HClO の酸化作用が漂白などに関係します。塩素水の漂白を、塩化物イオンが色を消す反応と説明するのは誤りです。また、乾燥した塩素と水分のある塩素では、漂白の条件が異なります。

ハロゲン化水素は HF、HCl、HBr、HI です。塩化水素 HCl は水によく溶け、その水溶液が塩酸です。高校化学で扱う水溶液では塩酸・臭化水素酸・ヨウ化水素酸は強酸、フッ化水素酸は弱酸に分類します。強酸・弱酸は水中での電離の程度による分類であり、危険性の大小を直接表す言葉ではありません。

ハロゲン化物イオンの識別には、銀イオンとの沈殿生成も使います。Ag⁺ + Cl⁻ → AgCl の塩化銀は白色、臭化銀 AgBr は淡黄色、ヨウ化銀 AgI は黄色です。これらは単体の色とは別に整理します。塩化銀はアンモニア水に溶ける一方、ヨウ化銀は溶けにくく、沈殿の色と溶解の違いが識別の手がかりになります。

酸素・オゾンと硫黄を、構造と反応から整理する

酸素 O₂ は無色・無臭の気体で、水に溶けにくく、物質の燃焼を助ける助燃性があります。酸素自身が燃料として燃える可燃性とは区別します。酸素は空気の主成分の1つで、工業的には液体空気の分留で得られます。分留は、沸点の違いを利用して混合物の成分を分ける方法です。

オゾン O₃ は淡青色で特有の刺激臭をもつ気体です。酸素より強い酸化作用を示し、不安定で酸素に変わりやすい性質があります。酸素中での無声放電などによって生じ、変化をまとめると 3O₂ → 2O₃ です。酸素とオゾンは、同じ元素からなる単体で構造や性質が異なる同素体の関係です。同位体は原子の中性子数の違いなので、分子をつくる原子数の違いと混同しません。

過酸化水素 H₂O₂ は酸素の同素体ではなく、水素と酸素からなる化合物です。分解は 2H₂O₂ → 2H₂O + O₂ で表され、酸化マンガン(Ⅳ) MnO₂ はこの分解を速める触媒として使われます。触媒は反応を速めますが、反応式で決まる生成物の理論上の総量を増やすものではありません。一定量の過酸化水素を完全に分解したときの酸素量は、係数比で決まります。

硫黄は黄色の固体で、水にほとんど溶けません。同素体には斜方硫黄、単斜硫黄、ゴム状硫黄があります。斜方硫黄と単斜硫黄は、ともに主に環状の S₈ 分子からなりますが、結晶中の並び方が異なります。ゴム状硫黄は長い鎖状の構造を含み、放置するとしだいに常温で安定な斜方硫黄に変わります。同素体の違いは、分子式が違う場合だけに限られません。

硫黄が酸素と反応すると、主に二酸化硫黄 SO₂ を生じます。式は S + O₂ → SO₂ です。硫黄の単体の反応式では、高校の教科書で用いる S の表記を使います。SO₂ は無色で刺激臭のある気体で、水に溶けやすく、水溶液は酸性を示します。還元作用による漂白を示しますが、塩素の酸化作用による漂白と同じしくみではありません。

硫化水素 H₂S は無色で腐卵臭のある有毒な気体で、水溶液は弱い酸性を示します。においの記述は知識として学び、直接かいで識別する方法にはしません。H₂S は還元剤としてはたらき、SO₂ と反応すると 2H₂S + SO₂ → 3S + 2H₂O となります。このとき SO₂ は相手の H₂S を酸化する酸化剤です。SO₂ を「どんな相手に対しても還元剤」と暗記すると、この反応を説明できません。

硫酸と水素の性質を製法につなげる

硫酸 H₂SO₄ は水溶液で強い酸性を示します。希硫酸では、亜鉛などとの反応を酸の性質として扱い、Zn + H₂SO₄ → ZnSO₄ + H₂ と表します。一方、濃硫酸は水を吸収する吸湿性をもち、物質から水の構成元素を水の形で取り去る脱水作用も示します。吸湿性は周囲の水分を取り込むこと、脱水作用は物質そのものを化学変化させることなので、区別が必要です。

熱濃硫酸は酸化剤としてはたらき、銅とも Cu + 2H₂SO₄ → CuSO₄ + SO₂ + 2H₂O のように反応します。銅と希硫酸では通常、水素は発生しません。「硫酸と金属なら必ず水素」と一括りにせず、金属の種類と硫酸の濃さ、温度を読み取ります。濃硫酸と水の混合は大きな発熱を伴うため、ここでは希釈操作の手順は扱いません。

硫酸の工業的製法が接触法です。まず SO₂ を得て、酸化バナジウム(Ⅴ) V₂O₅ を触媒として 2SO₂ + O₂ ⇄ 2SO₃ の反応を進めます。生じた三酸化硫黄 SO₃ を濃硫酸に吸収させて発煙硫酸とし、その後、水で薄めて硫酸にします。SO₃ + H₂O → H₂SO₄ は量的関係を表す総括的な式として使えますが、工業工程で SO₃ を直接水に吸収させるわけではありません。直接水と反応させると激しく発熱し、細かい硫酸の霧が生じて回収しにくいためです。

水素 H₂ は無色・無臭で、水に溶けにくく、非常に密度の小さい気体です。酸素中で燃える可燃性をもち、反応式は 2H₂ + O₂ → 2H₂O です。また、加熱した酸化銅(Ⅱ)から酸素を取り去る CuO + H₂ → Cu + H₂O の反応では還元剤です。水素自身は酸化され、銅の酸化数は+2から0へ下がります。

製法と捕集法は、別の問いとして整理するとすっきりします。水素の製法には亜鉛と希硫酸の反応、酸素の製法には過酸化水素の分解があります。塩素については MnO₂ + 4HCl → MnCl₂ + Cl₂ + 2H₂O が代表的な製法の反応式です。これは濃塩酸との反応を表す知識であり、気体を発生させる実施手順ではありません。

水上置換は水に溶けにくく、水と反応しにくい気体の捕集に適し、水素や酸素が該当します。空気を置き換える方法では、空気より軽い気体には上方置換、重い気体には下方置換を考えます。塩化水素や二酸化硫黄は水によく溶け、空気より重いので下方置換が基本です。塩素も水と反応するため、基本的には下方置換で整理します。水素の可燃性や塩素などの毒性も含め、実験は学校などの管理された環境の知識として学びます。

例題で解き方を確かめる

例題1 塩素とヨウ化物イオンの反応

問題:塩素 Cl₂ を含む水溶液とヨウ化カリウム KI 水溶液の反応を考えます。生じるハロゲンの単体を答え、正味のイオン反応式と、カリウムを含めた反応式を書きなさい。副反応は考えません。

  1. 酸化力の順序を確認します。Cl₂ は I₂ より酸化力が強いので、Cl₂ が I⁻ から電子を受け取ると判断します。KI の中には I₂ ではなく I⁻ が含まれることが重要です。
  2. 電子の授受を別々に書きます。還元される塩素は Cl₂ + 2e⁻ → 2Cl⁻、酸化されるヨウ化物イオンは 2I⁻ → I₂ + 2e⁻ です。I₂ が二原子分子なので I⁻ を2個用意します。
  3. 電子を打ち消して加えます。Cl₂ + 2I⁻ → 2Cl⁻ + I₂ となり、両辺の電荷はともに−2です。原子数だけでなく電荷まで一致させることで、イオン反応式を点検できます。
  4. K⁺ を必要な数だけ補います。K⁺ は反応前後で変化しないため、Cl₂ + 2KI → 2KCl + I₂ となります。水溶液中のヨウ素は褐色に見え、デンプンとの呈色は青紫色を示します。

答え:生じる単体は I₂、正味の式は Cl₂ + 2I⁻ → 2Cl⁻ + I₂、全体の式は Cl₂ + 2KI → 2KCl + I₂ です。

例題2 過酸化水素から生じる酸素の体積

問題:過酸化水素を質量で 3.40 g 含む水溶液を完全に分解します。生じる乾いた酸素の標準状態での体積を求めなさい。原子量は H=1.0、O=16 とし、酸素はすべて回収できるものとします。

  1. 反応式を整えます。2H₂O₂ → 2H₂O + O₂ より、過酸化水素2 mol に対して酸素1 mol が生じます。H₂O₂ の酸素原子がすべて O₂ になるわけではなく、一部は水に残る点を式で確かめます。
  2. 過酸化水素の質量を物質量に直します。モル質量は 2×1.0 + 2×16 = 34 g/mol なので、3.40 g ÷ 34 g/mol = 0.100 mol です。水溶液全体の質量ではなく、そこに含まれる H₂O₂ の質量を使います。
  3. 係数比から酸素の物質量を求めます。0.100 mol × 1/2 = 0.0500 mol です。触媒を加えてもこの比は変わりません。
  4. 標準状態の体積に換算します。0.0500 mol × 22.4 L/mol = 1.12 L です。「乾いた」とあるため、水蒸気を含む気体として補正する必要はありません。

答え:酸素の体積は標準状態で 1.12 L です。

例題3 接触法で得られる硫酸の質量

問題:硫黄 3.20 g を出発物質とし、接触法で硫酸をつくります。最終的に硫酸に取り込まれた硫黄は、出発時の硫黄の 80.0 % でした。得られた硫酸の純分の質量を求めなさい。原子量は H=1.0、O=16、S=32 とします。酸素や水などは十分にあるものとします。

図2のように、接触法は複数の段階を経ます。図の上段は硫黄を含む物質の変化、下段は SO₃ を吸収して硫酸を得る工程です。途中で酸素が加わって質量は変わりますが、硫黄原子の数を追えば全体の量的関係が見えます。

図2 接触法の酸化段階と濃硫酸への吸収工程の流れ
  1. 出発物質の硫黄を mol に直します。3.20 g ÷ 32 g/mol = 0.100 mol です。S、SO₂、SO₃、H₂SO₄ は、式に含まれる硫黄原子がいずれも1個なので、理論上は 0.100 mol の硫酸に対応します。
  2. 取り込まれた割合を反映します。0.100 mol × 0.800 = 0.0800 mol です。この問題の 80.0 % は全工程を通した割合なので、各段階ごとに 0.800 を何度も掛けません。
  3. 硫酸のモル質量を求めます。2×1.0 + 32 + 4×16 = 98 g/mol です。硫黄の質量をそのまま硫酸の質量にしないのは、水素と酸素の分だけ質量が加わるからです。
  4. 硫酸の質量に戻します。0.0800 mol × 98 g/mol = 7.84 g です。「純分」は水を含む溶液全体ではなく、H₂SO₄ そのものの量を指します。

答え:得られる硫酸の純分は 7.84 g です。

例題4 亜鉛と希硫酸のどちらが先になくなるか

問題:亜鉛 6.50 g と、濃度 0.500 mol/L の希硫酸 100 mL を反応させます。発生する乾いた水素の標準状態での体積と、残る亜鉛の質量を求めなさい。原子量は Zn=65 とし、与えた値から有効数字3桁で答えます。反応は可能な限り進むものとします。

  1. 反応式を確認します。Zn + H₂SO₄ → ZnSO₄ + H₂ なので、亜鉛と硫酸と水素の物質量の比は 1:1:1 です。希硫酸から水素が生じる反応として考えます。
  2. 両方の反応物を mol に直します。亜鉛は 6.50 g ÷ 65 g/mol = 0.100 mol、硫酸は 0.500 mol/L × 0.100 L = 0.0500 mol です。mL の数値をそのまま mol/L に掛けず、L に直すことが必要です。
  3. 先になくなる物質を決めます。係数が同じなので物質量の小さい硫酸が先に消費されます。したがって反応する亜鉛も生じる水素も 0.0500 mol です。
  4. 体積と残量を計算します。水素は 0.0500×22.4 = 1.12 L、残る亜鉛は (0.100 − 0.0500)×65 = 3.25 g です。はじめの亜鉛だけを使って計算すると、水素を過大に見積もってしまいます。

答え:水素は標準状態で 1.12 L、残る亜鉛は 3.25 g です。

つまずきやすいところと直し方

誤り1 酸化剤なのだから自身も酸化される

誤った書き方は「Cl₂ は酸化剤なので、電子を放出して Cl⁻ になる」です。どこが違うかというと、電子を放出すれば負の電荷は減るはずなのに、生成物では負の電荷が増えています。また、酸化剤という名前は相手に対するはたらきであり、自身の変化を表す名前ではありません。

正しい書き方は「Cl₂ は電子を受け取って還元され、相手の I⁻ などを酸化する」です。半反応式を Cl₂ + 2e⁻ → 2Cl⁻ と書いて、電荷が左右で−2になることを確かめます。言葉だけで迷ったときは、単体から陰イオンになる方向を図1の酸化力の順序と結び直します。

誤り2 酸素とオゾンは原子数が違うので同位体である

誤った書き方は「O₂ と O₃ は、原子の数が違う同位体」です。どこが違うかというと、同位体が比べるのは原子核内の中性子数であり、1分子に何個の原子があるかではありません。酸素とオゾンを比べる場合、酸素元素からできた単体の構造を比較しています。

正しい書き方は「O₂ と O₃ は酸素の同素体であり、2O₃ → 3O₂ では酸素原子の総数が保存される」です。図3のように、オゾン2分子に含まれる6個の原子が酸素3分子に組み替わります。図の丸は原子の個数を表す模式図で、分子の実際の形や結合角を表してはいません。

図3 オゾン2分子が酸素3分子になるときの原子数保存

図3で増えているのは分子の個数であり、酸素原子の個数ではありません。同じ温度・圧力なら気体の体積比も 2:3 になりますが、質量は変わりません。「分子数が増える」「体積が増える」「質量が増える」は別の主張として、一つずつ判定します。

誤り3 SO₂ は必ず還元剤で、硫酸からは必ず水素が出る

誤った書き方は「SO₂ は還元剤だから相手によらず電子を渡し、金属と硫酸の反応ではすべて H₂ が発生する」です。どこが違うかというと、物質の役割を相手と条件から切り離しています。SO₂ 中の硫黄は酸化数+4で、それより上にも下にも変化できます。

正しい書き方は「SO₂ は多くの反応で還元剤になるが、H₂S との反応では酸化剤になる」です。2H₂S + SO₂ → 3S + 2H₂O では、H₂S 中の硫黄は−2から0へ、SO₂ 中の硫黄は+4から0へ変化します。2個の硫黄が合計4個の電子を渡し、もう1個の硫黄が4個の電子を受け取る対応です。

硫酸についても「亜鉛と希硫酸では H₂、銅と熱濃硫酸では SO₂」と条件ごとに書き直します。熱濃硫酸との反応式では、硫酸の一部が酸化剤として還元され、別の一部は硫酸銅をつくる硫酸イオンの供給源になります。式の左辺に H₂SO₄ が2個必要なのは、この2つの行き先があるためです。

練習問題

練習1

臭素 Br₂ とヨウ化カリウム KI 水溶液の反応について、正味のイオン反応式を書き、酸化剤を答えなさい。また、ヨウ素 I₂ と臭化カリウム KBr 水溶液で、逆向きの置換反応が起こるか答えなさい。高校化学で扱う通常の水溶液中の反応を考えます。

練習2

純粋なオゾン 0.200 mol がすべて酸素に変わりました。生成した酸素の物質量と、標準状態での体積を求めなさい。また、変化の前後の質量を求め、原子の保存を確かめなさい。原子量は O=16 とします。

練習3

接触法で硫黄 6.40 g から硫酸をつくり、出発時の硫黄の 75.0 % が最終的に硫酸に取り込まれました。硫酸の純分の質量を求めなさい。原子量は H=1.0、O=16、S=32 とします。また、SO₂ を SO₃ にする際の触媒と、SO₃ を最初に吸収させる液体を答えなさい。

練習4

亜鉛 3.25 g に十分な量の希硫酸を反応させました。発生する乾いた水素の標準状態での体積を求めなさい。原子量は Zn=65 とします。また、水素を水上置換で捕集できる理由と、水素の可燃性と酸素の助燃性の違いを説明しなさい。

答えと解説

練習1:Br₂ + 2I⁻ → 2Br⁻ + I₂、酸化剤は Br₂ です。臭素のほうがヨウ素より酸化力が強く、臭素が電子を受け取ります。I₂ が Br⁻ を酸化して Br₂ を生じる逆向きの置換反応は起こりません。両辺の電荷はともに−2で、原子数も一致します。

練習2:酸素は 0.300 mol、体積は 6.72 L、質量は変化の前後とも 9.60 g です。2O₃ → 3O₂ より、0.200×3/2 = 0.300 mol となります。オゾンは 0.200×48 = 9.60 g、酸素は 0.300×32 = 9.60 g で、分子数が増えても質量は増えません。

練習3:硫酸の純分は 14.7 g、触媒は V₂O₅、吸収に用いる液体は濃硫酸です。硫黄は 6.40÷32 = 0.200 mol なので、硫酸は 0.200×0.750 = 0.150 mol、質量は 0.150×98 = 14.7 g です。工程全体の割合を1回だけ掛け、SO₃ を直接水に吸収させる説明にしないようにします。

練習4:水素の体積は 1.12 L です。亜鉛は 3.25÷65 = 0.0500 mol で、水素も同じ物質量になるため、0.0500×22.4 = 1.12 L です。水素は水に溶けにくく、水と反応しにくいので水上置換ができます。水素は自身が燃える可燃性、酸素はほかの物質の燃焼を助ける助燃性をもちます。

次の単元へのつながりと家庭での確かめ方

次に窒素や炭素などの非金属元素を学ぶときも、単体の構造、化合物の性質、酸化数、製法の順に整理できます。工業的製法では「反応式として可能な変化」と「実際に採用する工程」を分ける見方が役立ちます。金属イオンの分野では、ハロゲン化物の沈殿や硫化物の生成が、イオンを見分ける手がかりになります。

家庭で5分でできる確かめ方の1つは、紙に Cl₂、Cl⁻、HCl を書き、「単体・イオン・化合物」のどれかと、水溶液中での姿を説明することです。もう1つは、2O₃ → 3O₂ の両辺に丸を描き、原子数・分子数・質量のうち何が変わるかを答えることです。いずれも薬品を使わず、説明が止まった箇所をノートに残せます。

個別指導では、反応式が書けない原因が電子の授受なのか、二原子分子の表記なのか、係数の合わせ方なのかまで戻って確かめます。計算だけが止まる場合は、質量・物質量・体積のうち、どの換算で単位を見失ったかを一緒に追います。

まとめ

無機化学で答えを支えるのは、物質名の横に覚えた性質を並べることだけではありません。反応相手や濃度などの条件を読み、原子数と電荷が保存される式に直せれば、見慣れない組合せでも判断の根拠を示せます。

復習では、間違えた式を消して正答を写す前に、どの原子がどこへ移り、どの物質が電子を受け取ったかを余白に残すと、次に確認する場所が定まります。塩素が酸化剤である理由を Cl₂ + 2e⁻ → 2Cl⁻ の一行で説明できることが、暗記を使える理解に変える境目です。

本気になった日が、入塾の日。

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