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速さの公式—「はじき」の図に頼らず、距離と時間を求める|武蔵野個別指導塾

1200 m を 8 分で走れば分速は 150 m。単位を読むだけで式が決まる考え方で、平均の速さを足して 2 で割れない理由や通過算の入口まで、図を忘れても手が動きます。
| 求めるもの | 公式 | 1200 m を 8 分で走るとき |
|---|---|---|
| 速さ | 速さ = 距離 ÷ 時間 | 1200 ÷ 8 = 150 で、分速 150 m |
| 距離 | 距離 = 速さ × 時間 | 150 × 8 = 1200 で、1200 m |
| 時間 | 時間 = 距離 ÷ 速さ | 1200 ÷ 150 = 8 で、8 分 |
速さは「決まった時間あたりに進む距離」のことで、1 分あたりなら分速、1 時間あたりなら時速、1 秒あたりなら秒速と呼びます。距離は小学校の算数では道のりとも呼ばれます。計算の前に、3 つの量の単位をそろえてください。
よくあるのは、駅まで走った朝の通学路という場面です。家から駅まで 1200 m、発車まであと 8 分。いつもの分速 80 m で歩けば 15 分かかるので、歩いていては間に合いません。では分速何 m で走ればよいのか。走りながら「はじき」の図を思い出そうとしても、どの文字が上だったのかが出てこない。答えは分速 150 m で、図を思い出さなくても、1200 m を 8 つに分ければ出ます。
公式の形と文字の意味
公式は 3 本に見えますが、もとは次の 1 本です。
距離 = 速さ × 時間
「1 分で 80 m 進むなら、5 分で 80 × 5 = 400 m 進む」という、かけ算の当たり前を式にしただけです。これを速さについて解けば 速さ = 距離 ÷ 時間、時間について解けば 時間 = 距離 ÷ 速さ になります。文字で書くなら距離を d、速さを v、時間を t として d = vt です。v = d ÷ t と t = d ÷ v は、中2で習う等式の変形でこの式から出せます。
図1のように、時間の目盛りと距離の目盛りを上下に並べると、3 つの量の居場所が決まります。左端の赤い区画が速さで、1 分ぶんの距離 80 m です。区画の数 5 が時間で、右端まで伸びた 400 m が距離です。「はじき」の円の図が文字の配置だけを教えるのに対して、この目盛りは何を何個集めたのかまで見せてくれます。

速さの呼び方は、どの時間を 1 とするかで 3 通りあります。次の表の 3 つの例は、書き方が違うだけで、すべて同じ速さです。
| 呼び方 | 意味 | 単位 | 同じ速さの例 |
|---|---|---|---|
| 秒速 | 1 秒に進む距離 | m/秒 | 秒速 10 m |
| 分速 | 1 分に進む距離 | m/分 | 分速 600 m |
| 時速 | 1 時間に進む距離 | km/時 | 時速 36 km |
時速 36 km は 1 時間に 36000 m 進むということです。1 時間は 60 分なので、1 分に進むのはその 60 分の 1 で、36000 ÷ 60 = 600 から分速 600 m。さらに 1 分は 60 秒なので、600 ÷ 60 = 10 から秒速 10 m です。換算の決まりは次の 4 つで足ります。
| 変えたいもの | 計算 | 理由 |
|---|---|---|
| 時速 → 分速、分速 → 秒速 | 60 で割る | 短い時間に進む距離は少ない |
| 秒速 → 分速、分速 → 時速 | 60 をかける | 長い時間に進む距離は多い |
| km → m | 1000 をかける | 1 km は 1000 m |
| 秒速(m)→ 時速(km) | 3.6 をかける | 3600 倍して 1000 で割るのと同じ |
速さの公式は小学校の算数で習い、中1の方程式と比例、中2の連立方程式と一次関数の文章題で何度も使い直します。小学校で図の暗記だけで済ませたまま中学に上がると、文字が入った時点で止まります。
なぜこの形になるのか
3 本の式は同じ関係を見ていますが、計算の意味はそれぞれ違います。そこを押さえると、どれが割り算でどれがかけ算かを迷わなくなります。
速さ = 距離 ÷ 時間 は「等しく分ける」割り算です。1200 m を 8 分で進んだなら、8 つの 1 分に距離を等しく分けて、1 分ぶんを出します。実際の走りは信号で遅くなり、下り坂で速くなりますが、ならして 1 分あたりにした値が 150 です。
距離 = 速さ × 時間 は「同じものを何個集めるか」のかけ算です。1 分ぶんの 150 m を 8 個集めれば 1200 m になります。
時間 = 距離 ÷ 速さ は「何個とれるか」の割り算です。1200 m の中から 80 m ずつ取っていくと 15 回取れるので、歩けば 15 分かかります。同じ割り算でも、最初の式は 1 個の大きさを求め、こちらは個数を求めています。
図2は、朝の通学路をそのままグラフにしたものです。横に時間、縦に距離をとると、速さが一定のときの進み方は原点を通る直線になります。中1で習う比例で、x 分後に進んだ距離を y m とすると、走るときは y = 150x、歩くときは y = 80x です。比例定数にあたる傾きが、そのまま速さです。横に 1 分進むあいだに上へ何 m 上がるか、それが分速だからです。走る線は 8 分で、歩く線は 15 分で、同じ 1200 m の高さに届きます。

単位も同じことを語っています。分速 80 m を「80 m/分」と書くときの斜線は、割り算の記号そのものです。m を分で割ったから m/分 という単位になりました。分数の約分のように見ると、m/分 × 分 = m で「分」が消えて距離が残り、m ÷ m/分 = 分 で「m」が消えて時間が残ります。
式を立てたら、単位の計算で答えの単位が出てくるかを見てください。時速に分をかけると km/時 × 分 となって時間の単位が打ち消されずに残り、そこで単位のそろえ忘れに気づけます。図の配置を覚えているかどうかは記憶の問題ですが、単位の計算は考えれば毎回やり直せます。
例題で使い方を確かめる
4 問あります。単位のそろえ方から始めて、平均の速さ、2 人が動く問題、長さのある列車の順に進みます。
例題1 分速と時速を両方出す
学校までの 1.8 km を 24 分で歩きました。速さは分速何 m ですか。また、時速何 km ですか。
- 距離を m に直して 1.8 km = 1800 m とします。分速何 m と聞かれているので、距離を m、時間を分でそろえておけば、割るだけで答えの単位になるからです。
- 1800 ÷ 24 = 75 を計算します。距離を 24 個の 1 分に等しく分ければ、1 分ぶんの距離が出るからです。
- 75 × 60 = 4500 で、1 時間に 4500 m、つまり 4.5 km です。1 時間は 1 分の 60 倍なので、進む距離も 60 倍になるからです。
答えは分速 75 m、時速 4.5 km です。
例題2 往復の平均の速さ
駅までの 1200 m を、行きは分速 150 m で走り、帰りは分速 50 m でゆっくり歩きました。往復の平均の速さは分速何 m ですか。
- 行きと帰りの時間を別々に出します。1200 ÷ 150 = 8 で 8 分、1200 ÷ 50 = 24 で 24 分です。平均の速さには全体の時間が要るのに、問題文には書かれていないからです。
- 全体を足します。距離は 1200 + 1200 = 2400 m、時間は 8 + 24 = 32 分です。平均の速さは「全体の距離 ÷ 全体の時間」で決まるからです。
- 2400 ÷ 32 = 75 を計算します。全体を 1 回の移動と見れば、1 本目の公式がそのまま使えるからです。
答えは分速 75 m です。
(150 + 50) ÷ 2 = 100 と答えた人は、図3を見てください。横に時間、縦に速さをとると、長方形の面積は 速さ × 時間 で距離を表します。行きの長方形と帰りの長方形は面積がどちらも 1200 で等しいのに、帰りは幅が 3 倍あります。遅い区間には長くとどまるので、全体を同じ高さにならすと 75 までしか上がりません。

もし 100 が正しいなら、32 分で 3200 m 進むはずで、実際の 2400 m より 800 m 多くなります。足して 2 で割ってよいのは、同じ時間ずつ進んだときだけです。8 分走って 8 分歩いたなら、全体は (1200 + 400) ÷ 16 = 100 となり、このときは足して 2 で割った値と一致します。
例題3 旅人算の入口
弟が家を出て分速 70 m で歩き始め、その 8 分後に兄が同じ道を分速 150 m で追いかけます。兄は出発してから何分後に弟に追いつきますか。
- 兄が出発するときの 2 人の差を出します。70 × 8 = 560 で 560 m です。追いつくとは、この差がなくなることだからです。
- 差が 1 分で縮む量を出します。150 − 70 = 80 で、1 分につき 80 m です。2 人をそれぞれ追うより、差という 1 つの距離を追うほうが、式は 1 本で済むからです。
- 時間 = 距離 ÷ 速さ で 560 ÷ 80 = 7 です。差の 560 m の中に、1 分で縮む 80 m が何個あるかを数えているからです。
- 確かめます。兄は 150 × 7 = 1050 m、弟は 70 × (8 + 7) = 1050 m で一致します。同じ場所にいるなら、家からの距離は等しいはずだからです。
答えは 7 分後です。
これが旅人算の骨組みです。同じ向きに進むときは速さの差で縮み、向かい合って進むときは速さの和で縮みます。1 人の公式を 2 人の間の距離に当てはめ直しただけで、新しい公式は増えていません。
例題4 通過算の入口
長さ 180 m の列車が秒速 20 m で、長さ 420 m の鉄橋を渡ります。先頭が鉄橋に入ってから最後尾が鉄橋を出るまで、何秒かかりますか。
- 列車の中の 1 点を決めて、その点だけを追います。列車には長さがあるので、どの点の動きかを決めないと距離が定まらないからです。ここでは最後尾を選びます。
- 最後尾が進む距離を図から読みます。図4のように、渡り始めの最後尾は鉄橋の入口より 180 m 手前にあり、渡り終わりには鉄橋の出口にあります。だから 180 + 420 = 600 で 600 m です。
- 600 ÷ 20 = 30 を計算します。距離と速さの単位が m と m/秒でそろっているので、割れば秒が出るからです。
答えは 30 秒です。

420 ÷ 20 = 21 秒と答えると、列車の長さの 180 m ぶん、つまり 9 秒足りません。通過算で難しいのは計算ではなく、動いた距離を図で読むところだけです。
まちがえやすいところ
時速に分をそのままかける
誤った書き方は、時速 60 km で 30 分走る距離を 60 × 30 = 1800 km とするものです。時速は 1 時間あたりの距離なのに、かける数が分のままになっています。単位で見ると km/時 × 分 で、時間の単位が消えません。30 分で 1800 km という答えの大きさも、車の速さの感覚から大きく外れています。
正しくは、30 分 = 1/2 時間 に直して、60 × 1/2 = 30 で 30 km です。
1 時間 20 分を 1.2 時間と書く
誤った書き方は、時速 45 km で 1 時間 20 分走る距離を 45 × 1.2 = 54 km とするものです。時間は 60 で繰り上がり、小数は 10 で繰り上がります。0.2 時間は 1 時間の 10 分の 2 で 12 分にすぎず、20 分のつもりが 1 時間 12 分になっています。
正しくは、20 分が 20/60 = 1/3 時間なので、1 時間 20 分は 4/3 時間です。45 × 4/3 = 60 で 60 km となり、誤った答えより 6 km 長くなります。
換算の向きを逆にする
誤った書き方は、秒速 5 m を時速に直すのに 5 ÷ 3.6 ≒ 1.4 として、時速 1.4 km とするものです。1 時間は 1 秒よりはるかに長いので、時速の数は大きくなるはずです。分速 80 m で歩くと時速 4.8 km です。秒速 5 m は 1 分で 300 m 進む速さなのに、時速 1.4 km では歩くより遅くなってしまいます。見積もりだけで誤りに気づけます。
正しくは、1 時間が 3600 秒なので 5 × 3600 = 18000 m、つまり 18 km で、時速 18 km です。3600 倍して 1000 で割るのは 3.6 倍と同じなので、5 × 3.6 = 18 でも出せます。
覚え方と忘れたときの戻り方
「はじき」「みはじ」はよく使われる語呂で、はじきなら円の上に「き」(距離)、下に「は」(速さ)と「じ」(時間)を置きます。試験の直前に見返すぶんには役に立ちますが、どの文字が上だったかを忘れると、一緒に何も出てこなくなります。忘れたときは、次の順に戻ってください。
- 速さの単位を口に出して読みます。分速 150 m なら「1 分で 150 m」です。これで何を何個集める話なのかが決まります。
- 暗算できる小さな数で試します。「時速 2 km で 3 時間歩くと何 km か」なら 6 km と答えられます。2 × 3 = 6 が距離の式、6 ÷ 3 = 2 が速さの式、6 ÷ 2 = 3 が時間の式です。
- 式の形だけ持ち帰って本当の数を入れ、単位の計算で答えの単位が出るかを見ます。
- 答えの大きさを見積もります。人が歩く速さは分速 80 m ほどが目安です。歩いた問題で分速 3000 m と出たら、時速 180 km で歩いたことになるので、どこかで単位を落としています。
お子さまが「はじき」の図を書いたまま止まっているときは、図を直してあげるより、「分速 80 m って、1 分でどれだけ進むこと」と聞いてみてください。そこに答えられれば、式は自分で立てられます。
練習問題
答えを見る前に、単位を書いてから式を立ててください。
練習1 駅までの 3 km を、行きは時速 6 km、帰りは時速 4 km で移動しました。往復の平均の速さは時速何 km ですか。
練習2 1800 m 離れた 2 人が、分速 60 m と分速 90 m で向かい合って同時に歩き始めます。何分後に出会いますか。また、出会う場所は分速 60 m の人の出発点から何 m のところですか。
練習3 長さ 150 m の列車が秒速 25 m で、長さ 850 m のトンネルを通ります。(1) 先頭が入ってから最後尾が出るまで何秒かかりますか。(2) 列車全体がトンネルの中に隠れているのは何秒間ですか。
答えと解説
練習1の答えは時速 4.8 km です。行きは 3 ÷ 6 = 1/2 時間、帰りは 3 ÷ 4 = 3/4 時間で、合わせて 5/4 時間、つまり 1 時間 15 分です。全体の距離は 6 km なので、6 ÷ 5/4 = 6 × 4/5 = 4.8 となります。(6 + 4) ÷ 2 = 5 と出したくなりますが、遅い帰りに 45 分とどまるぶん、5 より小さくなります。
練習2の答えは 12 分後、720 m のところです。向かい合って歩くと 2 人の間は 1 分で 60 + 90 = 150 m 縮むので、1800 ÷ 150 = 12 です。分速 60 m の人は 60 × 12 = 720 m 進みます。もう 1 人は 90 × 12 = 1080 m で、足すと 1800 m に戻ります。
練習3の答えは (1) が 40 秒、(2) が 28 秒です。(1) は最後尾を追います。入り始めの最後尾はトンネルの入口より 150 m 手前にあり、出終わるときに出口へ着くので、150 + 850 = 1000 m 進みます。1000 ÷ 25 = 40 です。(2) は、最後尾が入口を通ってから先頭が出口に届くまでの時間です。先頭が出口に届くとき、最後尾は入口から 850 − 150 = 700 m のところにあるので、700 ÷ 25 = 28 です。
次に確かめる公式
- 割合の公式(比べる量 ÷ もとにする量)は、「1 あたり」を出す割り算という点で速さと同じ形をしていて、百分率の文章題で出番が来ます。
- 一次関数の式 y = ax + b は、先に出発した人を追う問題を 2 本の直線の交点として解くときに使います。
- 変化の割合(y の増加量 ÷ x の増加量)は、中3の y = ax² で、坂を転がる球の平均の速さを求める場面で役に立ちます。
個別指導でこの単元を見直すときは、旅人算に進む前に、分速を「1 分で何 m」と言い直せるかを確かめます。言い直せなければ、小学校の単位量あたりの計算まで戻ります。
まとめ
「はじき」の図は、文字の配置を忘れた朝には何も助けてくれません。残るのは単位です。分速 150 m を「1 分で 150 m」と読み直せれば、かけ算か割り算かが決まります。時速への換算も平均の速さも、追いかける 2 人も長さのある列車も、同じ読み方で解けます。単位を声に出して読めた瞬間、公式は 1 本に戻ります。
読んで終わりにするか、ここから変えるか。
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