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等差数列と等比数列の公式—一般項と和の求め方の違い|武蔵野個別指導塾

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100 円から毎週 50 円ずつ増やす貯金は 19 週目、毎週 2 倍にする貯金は 7 週目に 1 万円へ届きます。足し算と掛け算の差から、一般項と和の公式、r = 1 の場合分けまで例題で押さえてください。

比べる点 等差数列 等比数列
作り方 前の項に同じ数 d を足す 前の項に同じ数 r を掛ける
一般項 aₙ = a + (n − 1)d aₙ = a × rⁿ⁻¹
初項から第 n 項までの和 Sₙ = n(a + l) / 2 = n{2a + (n − 1)d} / 2 Sₙ = a(rⁿ − 1) / (r − 1)(r ≠ 1)、公比が 1 なら Sₙ = na

a は初項、d は公差、r は公比、n は項の番号(和の式では項の個数)、l は末項です。l は小文字のエルで、数字の 1 ではありません。どちらの数列も数学Bの範囲です。

よくあるのは、冬休みの午後に貯金箱の硬貨を床へ広げて数えているうちに、数列の宿題を思い出すという場面です。来週は 100 円、次は 150 円、その次は 200 円と入れていったら、春にはいくらになるのか。ノートの端に 100, 150, 200 と書いたところで手が止まります。ワークを開くと、a と n の並んだ似た式が 2 つあり、どちらを使うのかわかりません。違いは記号ではなく、増やし方にあります。足すのか、掛けるのか。そこを見れば式は決まります。

公式の形と文字の意味

数列は、数を順番に並べたものです。1 番目を第 1 項、n 番目を第 n 項と呼び、第 n 項を aₙ と書きます。aₙ を n の式で表したものが一般項で、n に 100 を入れるだけで、途中を飛ばして第 100 項が出ます。最初の項 a が初項、等差数列で隣どうしの差 d が公差、等比数列で隣どうしの比 r が公比です。

図1は、同じ 2 から始めた 2 つの数列を同じ縮尺で並べたものです。左は 2 を足し続けるので 2, 4, 6, 8, 10 と進み、棒の先がまっすぐに上がります。右は 2 を掛け続けるので 2, 4, 8, 16, 32 と進み、番号が進むほど急に伸びます。第 2 項までは同じ 4 で、差がつき始めるのは第 3 項からです。

図1 同じ 2 から始めて足す数列と掛ける数列を比べた棒グラフ

和の公式には形が 2 つずつあり、どちらを選ぶかには基準があります。

等差か等比かを見分ける手順

問題の数列がどちらかわからないときは、次の順に確かめます。

  1. 隣り合う項の差(後ろ − 前)を 3 組とります。すべて同じなら等差数列です。
  2. 差が揃わなければ、隣り合う項の比(後ろ ÷ 前)を 3 組とります。すべて同じなら等比数列です。
  3. どちらも揃わなければ、等差でも等比でもありません。1, 2, 4, 7, 11 のような数列は差が 1, 2, 3, 4 と変わるので、階差数列として扱います。

項が 2 つだけでは決められません。図1のとおり、2, 4 の続きは 6 にも 8 にもなります。3 つの数 a, b, c がこの順に数列をなす条件は、等差数列なら 2b = a + c、等比数列なら b² = ac(どれも 0 でないとき)です。文章題では言葉を見ます。「毎週 50 円ずつ増える」のように同じ量が増えるなら等差、「毎週 2 倍」「毎年 5% 増える」のように同じ割合で増えるなら等比です。

なぜこの形になるのか

一般項の n − 1 は、回数を数えると出てきます。第 2 項は 1 回、第 3 項は 2 回の操作でできるので、第 n 項までの操作は番号より 1 つ少ない n − 1 回です。木を 5 本植えると間は 4 つになる、あの数え方と同じです。等差数列は a に d を n − 1 回足すので a + (n − 1)d、等比数列は a に r を n − 1 回掛けるので a × rⁿ⁻¹ です。

和の求め方は、2 つの数列でまったく違います。等差数列は、裏返して足します。図2は 1 + 3 + 5 + 7 + 9 を紺の階段で表し、同じ階段を逆さまにして赤で重ねたものです。どの列も 1 + 9 = 10 の高さに揃い、5 列の長方形ができます。長方形のマス目は 5 × 10 = 50 で、階段 2 つ分なので、和は半分の 25 です。

図2 同じ階段を逆さまに重ねて長方形にする等差数列の和

文字で書いても同じです。

上下を足すと、どの組も a + l になります。d と -d が打ち消し合うからです。その組が n 個あるので 2Sₙ = n(a + l)、両辺を 2 で割って Sₙ = n(a + l) / 2 です。(a + l) / 2 は最初と最後の平均で、等差数列ではこれが全体の平均にもなっています。公式は「平均 × 個数」と読めます。

等比数列に同じ手は通じません。1, 2, 4, 8, 16 を裏返して足すと 17, 10, 8, 10, 17 となり、揃わないからです。その代わり、掛けてできた数列には別の性質があります。全体を r 倍すると、各項が 1 つ隣の項に重なるのです。図3は r = 2 の例で、1 + 2 + 4 + 8 + 16 を S とすると、2S は 2 + 4 + 8 + 16 + 32 です。2 から 16 までが上下で揃うので、引けば消えて、残るのは両端の 32 と 1 だけです。2S − S = 31 となり、実際に足した 31 と一致します。

図3 2 倍してずらして引くと真ん中が消える等比数列の和

一般の形でも、手順は変わりません。

上から下を引くと、(1 − r)Sₙ = a − arⁿ = a(1 − rⁿ) です。最後に 1 − r で割る。この一歩が r ≠ 1 の条件の出どころです。r = 1 を入れると式は 0 = 0 になり、和について何も教えてくれません。だから r = 1 だけは別の式 Sₙ = na で扱います。足してできた数列は端どうしの和が一定だから裏返し、掛けてできた数列は r 倍が自分に重なるからずらす。和の求め方の違いは、数列の作り方の違いそのものです。

例題で使い方を確かめる

例題 1 等差数列の第 20 項と和

等差数列 3, 7, 11, 15, … の第 20 項と、初項から第 20 項までの和を求めてください。

  1. 差を調べます。7 − 3 = 4、11 − 7 = 4、15 − 11 = 4 と揃うので、公差 d = 4 です。公式を選ぶ前に数列の種類を決めるのが先だからです。
  2. a = 3、d = 4、n = 20 を一般項に入れ、a₂₀ = 3 + (20 − 1) × 4 = 3 + 76 = 79 とします。第 20 項までに足す回数は 19 回なので、4 を 19 倍します。
  3. 末項 79 が出たので、n(a + l) / 2 の形で S₂₀ = 20 × (3 + 79) / 2 = 10 × 82 = 820 とします。l がすでに手元にあるときは、この形がいちばん短く済みます。

答え: 第 20 項は 79、和は 820

例題 2 等比数列の第 6 項と和

等比数列 2, 6, 18, 54, … の第 6 項と、初項から第 6 項までの和を求めてください。

  1. 差は 4, 12, 36 で揃いません。比は 6 ÷ 2 = 3、18 ÷ 6 = 3、54 ÷ 18 = 3 と揃うので、公比 r = 3 です。差が揃わなければ比を見る、という見分けの順番どおりです。
  2. a₆ = 2 × 3⁵ = 2 × 243 = 486 とします。第 6 項までに掛ける回数は 5 回なので、指数は 5 です。
  3. r = 3 は 1 より大きいので a(rⁿ − 1) / (r − 1) の形を選び、S₆ = 2(3⁶ − 1) / (3 − 1) = 2 × 728 / 2 = 728 とします。和の指数は項の個数そのものなので、ここは 6 です。

答え: 第 6 項は 486、和は 728

例題 3 貯金箱が 1 万円に届く週

貯金箱に 1 週目は 100 円を入れます。A さんは毎週 50 円ずつ入れる額を増やし、B さんは毎週 2 倍にします。合計が初めて 10000 円以上になるのは、それぞれ何週目ですか。

  1. 言葉から種類を決めます。A さんは同じ量が増えるので a = 100、d = 50 の等差数列、B さんは同じ倍率で増えるので a = 100、r = 2 の等比数列です。数字を入れる前に公式が決まるのは、ここで増え方を読んでいるからです。
  2. A さんの和を n の式にします。Sₙ = n{2 × 100 + (n − 1) × 50} / 2 = n(50n + 150) / 2 = 25n(n + 3) です。文字のまま整理しておくと、n を変えて試す計算が軽くなります。
  3. 25n(n + 3) が 10000 以上、つまり n(n + 3) が 400 以上になる n を探します。n = 18 では 18 × 21 = 378 で足りず、n = 19 では 19 × 22 = 418 で超えます。20 × 20 = 400 を目安に近くの整数を試すほうが、二次不等式を解くより早いからです。
  4. B さんの和は Sₙ = 100(2ⁿ − 1) / (2 − 1) = 100(2ⁿ − 1) で、2ⁿ − 1 が 100 以上、つまり 2ⁿ が 101 以上になる n を探します。2⁶ = 64、2⁷ = 128 なので n = 7 です。指数の入った式は、2 の累乗を順に書けば答えが見えます。

答え: A さんは 19 週目(合計 10450 円)、B さんは 7 週目(合計 12700 円)

例題 4 利息を数列で読む

元金 10 万円を年利 5% で預けます。税金は考えません。(1) 単利で預けたときの 10 年後の金額を求めてください。(2) 複利で預けたときの 10 年後の金額を求めてください。(3) 毎年の初めに 10 万円ずつ 10 回、複利で積み立てると、10 年目の終わりの合計はいくらになりますか。

  1. 単利は、毎年の利息が元金の 5% で一定です。100000 × 0.05 = 5000 円ずつ増えるので等差数列で、n 年後は 100000 + 5000n、10 年後は 150,000 円です。同じ量が増えるなら等差、という見分けをそのまま使います。
  2. 複利は、利息も次の年の元金に入るので、毎年 1.05 倍になります。同じ倍率なので等比数列で、n 年後は 100000 × 1.05ⁿ、10 年後は 100000 × 1.62889… で約 162,889 円です。指数が n − 1 でなく n なのは、預けた時点の元金を第 1 項とすると、n 年後は第 n + 1 項にあたるからです。
  3. 積立は、入れた回ごとに分けて考えます。最後に入れた 10 万円は 1 年分、最初に入れた 10 万円は 10 年分と、回ごとに利息のつく年数が違うからです。
  4. 入れた順と逆に並べると 100000 × 1.05、100000 × 1.05²、…、100000 × 1.05¹⁰ で、初項 105000、公比 1.05、項数 10 の等比数列です。r が 1 より大きいので a(rⁿ − 1) / (r − 1) を選び、105000 × (1.05¹⁰ − 1) / (1.05 − 1) = 105000 × 0.62889… ÷ 0.05 で約 1,320,679 円です。

答え: (1) 15 万円、(2) 約 16.3 万円、(3) 約 132 万円(入れた額の合計は 100 万円)

図4は、(1) と (2) の預け方を 20 年後まで延ばして点で打ったものです。単利の点はまっすぐ並び、複利の点は少しずつ上へ反ります。10 年後の差は約 1.3 万円ですが、20 年後には 26.5 − 20 で約 6.5 万円まで開きます。公式の違いは、紙の上の記号の違いで終わりません。長く待つほど金額の差になって現れます。

図4 10 万円を年 5% で預けたときの単利と複利の金額の変化

まちがえやすいところ

公式を覚えていても、失点は次の 3 つで起きます。どれも、式の形を見ているだけでは気づけません。

指数を項の番号のままにする

公比を確かめずに和の公式へ入れる

末項の値を項の個数と取り違える

覚え方と忘れたときの戻り方

公式を丸ごと暗記しようとすると、指数と分母で迷います。暗記するのは「操作の回数は番号より 1 つ少ない」の 1 文で足り、あとは次の順で戻れます。

  1. 一般項は書き出して戻ります。a, a + d, a + 2d, a + 3d と書けば、第 4 項の d の係数が 3 で、番号との差が 1 だと見えます。等比数列も a, ar, ar², ar³ で同じです。
  2. 等差数列の和は「平均 × 個数」です。最初と最後の平均 (a + l) / 2 に個数 n を掛ければ、それが公式です。
  3. 等比数列の和は、余白に Sₙ と rSₙ を 2 行書いて引きます。r = 1 が別扱いになる理由も、1 − r で割る瞬間に思い出せます。

語呂より頼りになるのは形です。等比数列の和の分母 r − 1 は、分子 rⁿ − 1 の n を 1 にしたものです。作った式は、最後に n = 1 と n = 2 で試してください。n = 1 で a、n = 2 で a + ar になれば合っています。分子を rⁿ⁻¹ − 1 と書いてしまった式は n = 1 で 0 になるので、ここで見抜けます。

練習問題

練習 1. 数列 20, 17, 14, 11, … が等差数列か等比数列かを確かめ、第 15 項と、初項から第 15 項までの和を求めてください。

練習 2. 第 2 項が 10、第 5 項が 80 の等比数列があります。公比は実数とします。初項と公比、初項から第 6 項までの和を求めてください。

練習 3. x を実数とするとき、3 + 3x + 3x² + … + 3xⁿ⁻¹ の和を求めてください。

答えと解説

練習 1: 差が 17 − 20 = -3、14 − 17 = -3、11 − 14 = -3 と揃うので、a = 20、d = -3 の等差数列です。第 15 項は 20 + 14 × (-3) = -22 で、和は 15 × {20 + (-22)} / 2 = -15 です。公差が負なら項はいずれ負になり、和も負になることがあります。書き出して確かめると、正の項の和が 77、負の項の和が -92 で、合わせて -15 です。

練習 2: ar = 10、ar⁴ = 80 です。後の式を前の式で割ると r³ = 8 で、r は実数なので r = 2、初項は a = 5 です。和は 5(2⁶ − 1) / (2 − 1) = 5 × 63 = 315 で、5 + 10 + 20 + 40 + 80 + 160 と一致します。割り算で a を消すのが、2 つの項から公比を出すときの基本の手です。

練習 3: 初項 3、公比 x の等比数列で、項数は n です。x = 1 のとき 3 を n 回足すので 3n、x ≠ 1 のとき 3(xⁿ − 1) / (x − 1) です。x = 2、n = 3 で試すと 3 + 6 + 12 = 21 で、式も 3 × 7 ÷ 1 = 21 と一致します。

次に確かめる公式

個別指導では、公式に数を入れる前に第 4 項まで書き出してもらい、指数が n − 1 になる理由を生徒自身の言葉で言えるかを確かめます。止まっている場所が累乗の計算なら、中1の範囲まで戻ります。

まとめ

同じ 100 円から始めた貯金箱でも、足して増やせば 19 週目、掛けて増やせば 7 週目に 1 万円へ届きました。公式が 2 つあるのは、教科書の都合ではありません。数の増え方が、もともと 2 通りあるからです。式を開く前に、隣の項との関係を 1 度だけ確かめてください。増え方を言葉にできた瞬間に、使う公式はもう決まっています。

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