コンパスの開きを変えない理由から、おうぎ形の弧と周の違いまで、3枚の図と4つの例題で確かめます。移動の対応点と作図の手順を、自分の言葉で説明できるように読み進めましょう。
よくあるのは、図書館の机で作図の宿題を開き、コンパスで交わる弧をかいたものの、どの点どうしを結ぶのか迷うという場面です。手本と似た形にはなっても、「なぜその線を引くのか」がわからないと、線分の向きが変わっただけで手が止まります。作図の線には、それぞれ長さや角度についての理由があります。
平面図形では、形を動かすこと、条件に合う線をかくこと、円の一部の長さや面積を求めることを学びます。別々に見える内容ですが、どれも「変わらないものは何か」「全体のどれだけか」に注目すると整理できます。見た目の印象を、等しい長さや角度という確かな条件に置き換えていきましょう。
紙の図に点の名前を書き込みながら読むと、説明と手元の動きが結びつきます。完成した図だけでなく、途中の弧や補助線を残すことも、自分の考えを確かめる助けになります。
この単元で身につけること
- 直線・線分・半直線を区別します。どこまで続く図形かを読み取り、端のある長さと、限りなく延びる線を使い分けます。
- 平行移動・回転移動・対称移動を説明します。対応する点を見つけ、移動の向きや距離、中心や軸を手がかりに位置を決めます。
- 垂直二等分線・角の二等分線・垂線を作図します。定規とコンパスの役割を分け、等しい長さをどこに作るか考えます。
- 円とおうぎ形の関係を捉えます。中心角を360°と比べ、円周や円の面積の何倍かを分数で表します。
- 答えの意味と単位を確かめます。弧の長さと周の長さを区別し、長さには cm、面積には cm² を添えます。
小学校で学んだ円周・円の面積や線対称・点対称が土台です。多くの教科書では中1で、これらを図形の移動や作図の根拠と結びつけて学びます。計算で答えが出る場合も、最初に求める部分を指でたどると、使う量を選びやすくなります。
基本の考え方
線の種類と図形の移動
直線ABは、点A、Bを通り、両側に限りなく延びます。線分ABはAからBまでの部分で、両端があります。半直線ABはAを端としてBの方向へ限りなく延びるので、半直線BAとは異なります。2直線が交わってできる角が直角のとき、その2直線は垂直で、一方を他方の垂線といいます。同じ平面上で交わらない2直線は平行です。
図形を形も大きさも変えずに動かすとき、移動前の点Aが移動後の点A′に重なるなら、この2点を対応する点といいます。三角形なら、3つの頂点の移り先を決めてから、同じ順に結べば移動後の図形ができます。
平行移動は、図形を一定の方向へ一定の距離だけずらす移動です。対応する点を結ぶ線分は平行で、長さも等しくなります。回転移動は、1つの点を中心に一定の角度だけ回す移動です。回転の中心から対応する点までの距離は等しく、回す向きと角度もすべての点でそろいます。特に180°の回転移動は点対称移動といいます。
対称移動は、1本の直線を折り目にして折り返す移動です。この直線を対称の軸といい、軸は対応する2点を結ぶ線分を垂直に二等分します。軸上の点は動きません。図1のように、平行移動ではずらす方向、回転移動では中心O、対称移動では軸を先に見つけましょう。

図1の紺色が移動前、赤色が移動後です。中央はOを中心とする反時計回りの90°回転で、右側の図では軸から対応する頂点までの距離が左右で等しくなっています。図が裏返る対称移動でも、辺の長さや角の大きさは変わりません。
作図は等しい長さを利用する
作図では、定規は2点を通る直線を引くため、コンパスは円や弧をかき、等しい長さを移すために使います。目盛りで長さを測ったり、分度器で角度を測ったりして位置を決める方法とは区別します。2点から同じ半径でかいた弧どうしの交点には、「2つの中心からの距離が等しい」という情報が含まれます。
線分の中点を通り、その線分に垂直な直線が垂直二等分線です。その上の点は両端から等しい距離にあります。逆に、両端から等しい距離にある点は垂直二等分線上にあります。この性質を使い、両端から等距離の点を2つ作って結びます。
角の二等分線は、角を等しい2つの角に分ける半直線です。角AOBなら、まずOを中心に弧をかき、辺OA、OBとの交点をC、Dとします。次にC、Dを中心に同じ半径の弧を角の内側にかき、Oと異なる交点をEとします。半直線OEが求める二等分線です。OC=OD、CE=DEという等しい長さが、両側をそろえる根拠になります。
直線上の点Pで垂線を立てるには、Pを中心とする円と直線との交点をA、Bにします。PA=PBなのでPはABの中点です。ABの垂直二等分線をかけば、Pを通る垂線になります。直線の外の点から垂線を引く場合も、等距離の2点を作る考え方を使います。
円の一部を割合で捉える
円周上の2点を結ぶ線分を弦、その2点で区切られる円周の部分を弧といいます。2本の半径とその間の弧で囲まれた図形がおうぎ形で、2本の半径が作る角を中心角といいます。弦と弧は、まっすぐな部分と曲がった部分なので区別しましょう。
円周率をπとすると、半径rの円の円周は2πr、面積はπr²です。中心角a°のおうぎ形は円全体のa/360なので、弧の長さは2πr × a/360、面積はπr² × a/360です。たとえば中心角90°なら、どちらも円全体の1/4です。特に指定がなければ、πを3.14に置き換えず、そのまま答えに残します。
例題で解き方を確かめる
例題1 平行移動の対応点を求める
座標平面上にA(1, 1)、B(4, 1)、C(2, 3)を頂点とする三角形があります。右へ3、上へ2だけ平行移動した頂点A′、B′、C′の座標を求めましょう。
- 右へ3進むので、各点のx座標に3を足します。平行移動では、どの点も同じだけ横へ動くからです。
- 上へ2進むので、各点のy座標に2を足します。横の移動と縦の移動を分けると、符号を取り違えにくくなります。
- A′は(1+3, 1+2)=(4, 3)、B′は(4+3, 1+2)=(7, 3)、C′は(2+3, 3+2)=(5, 5)です。Aだけでなく3点すべてを動かして結びます。
答え:A′(4, 3)、B′(7, 3)、C′(5, 5)です。
もとのABは横に3、移動後のA′B′も横に3です。このように対応する辺を比べると、1点だけ違う距離を動かしていないかを確かめられます。図形を拡大したり、1つの頂点だけ動かしたりする操作は、平行移動ではありません。
例題2 線分の垂直二等分線を作図する
線分ABが与えられています。長さを測らずに、その垂直二等分線を作図しましょう。図2には、両端を中心とする同じ半径の円と、2つの交点P、Qを示しています。

- Aを中心に、ABの半分より大きい半径で、線分の両側に弧をかきます。半径が小さすぎると、Bを中心とする弧と交わらないためです。
- コンパスの開きを変えず、Bを中心に弧をかき、交点をP、Qとします。同じ開きにすることで、PA=PB、QA=QBとなります。
- 定規で直線PQを引きます。PもQもA、Bから等距離なので、2点を通る直線がABの垂直二等分線です。
答え:直線PQが線分ABの垂直二等分線です。
図2ではABとPQの交点をMとしています。MはABの中点であり、AM=MB、角AMP=90°です。交点PだけとAを結ぶと、円の半径を引いたことになり、求める線にはなりません。どの2点を結ぶかまでを作図の手順として覚えましょう。
例題3 直線の外の点から垂線を引く
直線lの外に点Pがあります。Pを通り、lに垂直な直線を作図しましょう。直線までの最短の距離は、この垂線とlの交点Hを使って、線分PHの長さで表せます。
- Pを中心とし、lと2点で交わる円をかき、交点をA、Bとします。どちらも円の半径なのでPA=PBとなります。
- A、Bを中心に、同じ半径の弧をかき、lを挟んでPと反対側に交点Qを作ります。たとえば半径をPAにそろえると、Pとは別の交点Qを選べます。
- 直線PQを引きます。P、QはともにA、Bから等距離なので、PQはABの垂直二等分線となり、ABを含む直線lにも垂直です。
答え:直線PQが、Pを通る直線lの垂線です。
Pを中心とする最初の円がlに届かない場合は、半径を大きくしてかき直します。直線上の点で垂線を立てる場合と違い、PそのものをABの中点にはしません。作図前に、指定された点が直線上か、直線の外かを確認しましょう。
例題4 おうぎ形の弧と面積を求める
半径6 cm、中心角120°のおうぎ形について、弧の長さと面積を求めましょう。中心角が180°より小さいので、半円より小さな部分を考えます。
- 円全体に対する割合を120/360=1/3とします。弧も面積も中心角に比例するため、同じ割合を使えます。
- 円周は2 × π × 6=12π cmなので、弧の長さは12π × 1/3=4π cmです。求める弧だけを取り出すため、円周に割合をかけます。
- 円の面積はπ × 6²=36π cm²なので、おうぎ形の面積は36π × 1/3=12π cm²です。面積には半径を2回かけることを確かめます。
答え:弧の長さは4π cm、面積は12π cm²です。
求めた値は、それぞれ円周12π cmと円の面積36π cm²の1/3になっています。中心角が同じでも、半径が変われば円全体の大きさが変わるので、弧や面積も変わります。角度の割合だけを書いて計算を終えないようにしましょう。
つまずきやすいところと直し方
回転の中心からの距離が変わってしまう
誤った書き方は「90°回転だから、中心Oから適当な長さで直角の方向に点A′を打つ」です。角度が正しくても、OAとOA′が違えば図形の大きさが変わってしまいます。正しくは「指定された向きへ90°回し、OA′=OAとなる点A′を取る」です。
紙を回して向きを確かめる場合も、中心Oを固定して考えます。時計回りと反時計回りでは移り先が異なるので、回す向きを言葉で添えてから各頂点を動かしましょう。回転の中心を、三角形の頂点だと決めつけないことも必要です。
垂直二等分線の作図で開きを変える
誤った書き方は「Aからの弧とBからの弧は、交われば半径が違ってもよい」です。半径を変えると交点からA、Bまでの距離が等しくならず、中点を通る根拠が失われます。正しくは「A、Bを中心とする弧を同じ半径でかき、2交点を結ぶ」です。
垂線と垂直二等分線も区別します。線分に直角に交わるだけでは、その中点を通るとは限りません。完成後に、垂直であることと二等分していることの両方を、作図で作った等しい長さから説明してみましょう。
弧の長さを周の長さとして答える
誤った書き方は、例題4のおうぎ形について「周の長さは4π cm」です。これは曲がった弧だけの長さで、境界にある2本の半径を含んでいません。正しくは「周の長さは4π+6+6=4π+12 cm」です。
図3のように、赤い弧だけをたどる場合と、赤い弧と紺色の2本の半径を一周する場合を分けてください。薄い灰色の円周は元の円を示す補助の線で、おうぎ形の周には入りません。

図3では面積を淡い色の部分で表しています。弧の長さは cm、面積は cm²という単位の違いも、何を求めたかの確認になります。4π+12は足し算のままで完成した答えで、16πにはまとめられません。
練習問題
練習1:点Aは、回転の中心Oから4 cm離れています。Oを中心に時計回りに90°回転させた点をA′とすると、OA′の長さと角AOA′の大きさはいくつですか。
練習2:角AOB=70°です。半直線OCがこの角の二等分線であるとき、角AOCの大きさを求めましょう。
練習3:線分AB=8 cmの垂直二等分線とABとの交点をMとします。AMの長さと角AMPの大きさを求めましょう。ただしPは垂直二等分線上のM以外の点です。
練習4:半径9 cm、中心角80°のおうぎ形の弧の長さ、面積、周の長さを求めましょう。
答えと解説
練習1:OA′=4 cm、角AOA′=90°です。中心からの距離は変わらず、指定の角度だけ時計回りに動きます。
練習2:35°です。二等分なので、70 ÷ 2=35と計算します。二等分する対象は辺の長さではなく角の大きさです。
練習3:AM=4 cm、角AMP=90°です。8 ÷ 2=4で中点を決め、垂直という条件から角度を決めます。
練習4:弧は4π cm、面積は18π cm²、周は4π+18 cmです。80/360=2/9なので、弧は18π × 2/9=4π、面積は81π × 2/9=18πです。周には半径2本分の18 cmを加えます。
次の単元へのつながりと家庭での確かめ方
平面図形の移動は、後に学ぶ合同な図形で、対応する辺や角を見つける土台になります。おうぎ形は円錐の展開図にも現れます。円錐の側面を開いたおうぎ形では、弧の長さが底面の円周と一致するので、曲線が表す長さを読み取る力が役立ちます。
家庭では5分を目安に、まず紙に線分を1本かき、垂直二等分線を作図して「どの長さが等しいか」を説明してみましょう。次に、おうぎ形の弧を赤、半径を別の色でなぞり、弧と周を求める式を1つずつ書いてください。お子さまの説明を聞くときも、線を引いた理由を尋ねると、理解の位置が見えます。
個別指導では、交点の選び方で迷ったら、コンパスで同じ半径を保つ操作まで戻って確かめます。計算の迷いには、円全体を360°と見るところから、図と分数を対応させます。
まとめ
完成した線が正しく見えても、そこに引ける理由まで言えれば、向きの違う図にも対応できます。作図の途中に残した弧は、等しい長さを確かめた記録です。計算式に残した120/360は、円全体からどの部分を取り出したかを表しています。
答え合わせでは、数値の丸付けに加え、図のどの部分を求めたのかを一度指で示してみましょう。平面図形の正しさを支えるのは、線の見栄えではなく、等しい長さと角度の根拠です。





