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小論文の書き方—作文との違いと、4つの段落の型|武蔵野個別指導塾

問いを一文に言い直し、6つの箱のメモから序論・本論1・本論2・結論へ流し込む手順を、800字の分量と60分の時間の割り振りつきで示し、感想で終わる答案を小論文に直す例も添えてあります。
小論文は、問いに対する自分の答えを先に決め、その理由で読み手を納得させる文章です。手順は4つです。
- 問いを分解して、何を聞かれているかを一文で言い直す。
- 立場を一つに決め、理由を2つ、反対の声を1つ、メモに書く。
- 序論・本論1・本論2・結論の4つの段落に、決めた割合で流し込む。
- 残りの時間で、問いの語が結論に入っているかを確かめる。
作文との違いは、「感じたこと」ではなく「考えたことと、その理由」を書く点にあります。この一点を外さなければ、800字は埋まります。
よくあるのは、11月の初め、学校推薦型選抜の案内を机に広げた高3が、「小論文 60分 800字」の一行で手を止める、という場面です。作文なら小学生のころから書いてきました。読書感想文も毎年書きました。けれど小論文は、模試で一度書いたきりで、何を書けば評価されるのかが見えません。案内の裏には昨年のテーマが載っています。「高校生のスマートフォンの利用は制限すべきか、あなたの考えを述べなさい」。読めば意見は浮かびます。ただ、その意見を800字にする道筋が無いまま、鉛筆だけが指の上で回っています。
書く前にすること
作文と小論文はどこが違うか
作文は、体験と気持ちを伝える文章です。読み手は情景を思い浮かべ、「そうだったのか」と受け取ります。小論文は、問いへの答えとその理由を伝える文章です。読み手は筋道を追い、「その理由なら納得する」と判断します。同じ出来事を材料にしても、作文では「うれしかった」「〜と思いました」で文が終わり、小論文では「〜と考える」「〜べきである」「なぜなら〜からである」で文が終わります。文体は「だ・である」が基本で、一人称は「私」です。「ぼく」や「自分」は使いません。出題に文体の指示があるときは、その指示に従います。
何が見られているかも、作文とは違います。2027年4月に大学に入る人のための「令和9年度大学入学者選抜実施要項」(2026年5月27日付の文部科学省の通知)は、小論文や面接で評価する力として、「自らの考えを論理的・創造的に形成する思考・判断の能力」と、「思考・判断した過程や結果を的確に、更には効果的に表現する能力」を挙げています。同じ要項は、教科の知識を問うだけの問題を小論文の形で出さないよう、大学に注意を求めてもいます。つまり、知っていることの量ではなく、考えの筋道と、その筋道の見せ方が採点されます。知らないテーマが出たらどうしよう、という心配は、この一文を読んだあとなら小さくなります。
同じ要項には、学校推薦型選抜の出願の受付が2026年11月1日以降、合格の発表が12月1日以降と書かれています。総合型選抜は出願が9月1日以降、発表が11月1日以降です。案内を読んでいる11月の高3に残された時間は、長くて数週間です。だからこそ、思いつきで書く練習を重ねるより、書く前の手順を一つ固めるほうが先です。
問いを一文で言い直す
テーマ文を読んだら、聞かれていることを自分の言葉で一文にします。「高校生のスマートフォンの利用は制限すべきか、あなたの考えを述べなさい」なら、聞かれているのは「制限に賛成か反対か」と「その理由」です。「スマートフォンの利用の良い点と悪い点を述べなさい」なら、賛否ではなく整理が求められています。「あなたならどう使うか」なら、提案です。問いの型を取り違えると、どれだけ丁寧に書いても答えになりません。言い直した一文は、答案用紙の余白か問題用紙の端に書いておき、書いている途中で何度も目をやります。
言い直しには、もう一つ役目があります。テーマ文の中の語を拾っておくことです。「制限」「利用」「高校生」という語は、結論の文にそのまま戻します。問いの語で結ぶ答案は、読み手に「問いに答えた」と伝わります。
メモは6つの箱で作る
図1のように、問題用紙の余白に6つの箱を書きます。「問い」「立場」「理由1」「理由2」「反対の声」「答え」です。問いの箱には、さきほど言い直した一文を入れます。立場は一つに決めます。賛成と反対のどちらにも寄れると感じても、理由が2つ出るほうを選びます。理由の箱は「〜だから」で終わる短い句でかまいません。反対の声の箱には、自分と逆の立場の人が言いそうなことを一つだけ書きます。答えの箱には、問いの語を使って、立場を言い直します。
スマートフォンのテーマでメモを作ると、次のようになります。問いは「高校生の利用を制限すべきか」。立場は「一律の制限には反対」。理由1は「調べ物や連絡の道具として、学習に組み込まれているから」。理由2は「制限の線引きは、家庭や本人の事情で変わるから」。反対の声は「夜遅くまで使い、睡眠が減る生徒がいる」。答えは「一律の制限ではなく、使い方の約束を本人が決めるべきだ」。ここまでで10分です。
10分は長く見えます。けれど、メモの無いまま書き始めると、本論の途中で立場が揺れ、結論で言うことが無くなり、消して書き直す羽目になります。書き直しの時間は、メモの10分より確実に長くなります。反対の声を先に書いておくことには、もう一つ利点があります。本論2が空にならないことです。4つの段落の型で最も薄くなりやすいのが本論2で、メモの段階で反対の声を用意した答案は、そこが薄くなりません。

学校推薦型選抜では、要項により面接などの評価が必ず行われます。6つの箱は、面接で「なぜそう考えるのか」と聞かれたときの答えにもそのまま使えます。紙に書いたメモは、小論文と面接の両方の準備です。
書き方の手順
4つの段落の型
段落は4つに分けます。序論、本論1、本論2、結論です。
序論では、問いを受けて立場を言い切ります。「私は〜と考える」の一文を、段落の最初に置きます。「近年、スマートフォンは広く普及している」のような前置きは要りません。読み手は前置きではなく、立場を待っています。
本論1では、理由1を具体で支えます。自分の体験を書いてもよいのですが、「私はこうだった」で止めず、「多くの人にも起きること」として書きます。体験は根拠の入口であって、根拠そのものではありません。
本論2では、反対の声を一度認めてから、それでも立場が変わらない理由を述べます。「たしかに〜。しかし〜」の形です。ここに理由2を置きます。反対の声を認める文は一文か二文で足ります。長く認めすぎると、どちらの立場か読み手に伝わらなくなります。
結論では、問いの語を使って答えを言い直し、一歩だけ先を添えます。先とは、条件や提案のことです。「一律の制限ではなく、本人が使い方を決める機会が要る」のように、立場をもう一歩具体にします。新しい話題は出しません。結論で初めて出てくる理由は、読み手にとって根拠のない主張です。
分量の配分
図2のように、800字なら、序論120字、本論1が280字、本論2が280字、結論120字を目安にします。本論が全体の7割で、序論と結論は短くします。600字なら、序論90字、本論1が210字、本論2が210字、結論90字です。1000字なら、序論150字、本論1が350字、本論2が350字、結論150字です。割合は変えません。
この配分は、書いている途中の目印になります。800字の答案用紙で、序論が200字を超えていたら、前置きが長いか、理由を序論で書き始めています。本論2が100字しか無ければ、反対の声を書かずに理由2だけを書いています。配分からのずれは、型からのずれをそのまま映します。

時間の配分
60分で800字の場合を例にします。問いを読んで一文に言い直すのに5分、6つの箱のメモに10分、書くのに35分、見直しに10分です。書く35分の内訳は、序論5分、本論1が12分、本論2が12分、結論6分です。序論は、メモの立場を写すだけなので短く済みます。
見直しの10分で見るのは4つです。問いの語が結論に入っているか。文体が「だ・である」で揃っているか。一文が60字を超えていないか。原稿用紙の決まりが守られているか。原稿用紙は、段落の初めを一字下げ、句読点やとじかっこを行頭に置かない形が広く使われています。大学や学校から指示があるときは、その指示が優先です。
見直しで直すのは、語の入れ替えと文の分割までにします。段落を丸ごと書き直す時間はありません。段落ごと直したくなる答案は、メモの段階で立場が決まっていなかった答案です。次の練習では、メモに10分かけます。
一文の長さと接続の語
一文は60字以内を目安にします。長い文は、主語と述語が離れ、読み手が筋道を見失います。「〜が、〜で、〜ので、」とつないだ文は、「〜。」で切って2つにします。
接続の語は、型として3つ持ちます。本論2の初めの「たしかに」、切り返しの「しかし」、結論の初めの「したがって」です。理由を述べる文には「なぜなら〜からである」を、本論1と本論2に一度ずつ置きます。この型を体に入れておくと、本番で接続の語を探す時間が消えます。
例文で見る
例文は、型を見るための短いものです。そのまま使わず、自分のテーマで6つの箱を埋め直してから書きます。
例文1 序論と結論の対応
テーマは「高校生のスマートフォンの利用は制限すべきか」です。序論は、「私は、高校生のスマートフォンの利用を一律に制限することには反対である。使い方の約束は、学校や家庭が決めるのではなく、本人が決めて守るべきだと考える。」です。
結論は、「したがって、必要なのは一律の制限ではなく、本人が自分で使い方を決める機会である。約束を自分で作った生徒は、その約束を破りにくい。」です。
良いのは、序論の「反対」と「本人が決める」が、結論でそのまま戻ってくる点です。問いの語である「制限」が、序論にも結論にも入っています。結論の二文目は、立場を一歩だけ具体にしています。新しい理由ではなく、立場の言い直しです。序論と結論を先に書いて、本論を後から埋める書き方も、この対応が取れていれば成り立ちます。時間が足りなくなっても、序論と結論が先にあれば、答案は問いに答えた形で終わります。
例文2 本論2の切り返し
テーマは「地域の祭りの運営に、高校生が加わるべきか」です。立場は賛成です。
本論2は、「たしかに、祭りの運営は準備に長い時間がかかり、受験を控えた高校生には負担が大きい。しかし、準備の役割を日ごとに分ければ、一人の負担は小さくできる。それ以上に、年の離れた大人と一つの仕事を進める経験は、教室の中では得られない。だから私は、高校生が運営に加わるべきだと考える。」です。
良いのは、反対の声を具体に認めてから、「しかし」で切り返し、理由で立場を強めている点です。反対の声を書くことで、一方的に言い張る印象が消えます。「負担が大きい」という反対の声に、「役割を分ければ小さくできる」と同じ土俵で答えているので、読み手は逃げたと感じません。反対の声に答えず、別の利点を並べるだけの本論2は、切り返しになっていません。
まちがえやすいところ
図3のように、返された答案で多い誤りは3つです。どれも、作文の書き方がそのまま残ったときに起きます。
感想で終わる
誤りの文は、「スマートフォンの使いすぎはよくないと思います。私も気をつけたいです。」です。どこが違うかというと、立場も理由も無く、気持ちで文が終わっています。読み手は、この人が制限に賛成なのか反対なのかを判断できません。作文なら成り立つ結びですが、小論文では答えていないことになります。
直した文は、「私は、一律の制限ではなく、本人が使い方を決めるべきだと考える。理由は2つある。」です。立場を言い切り、理由が続くことを予告しています。
理由が自分の体験だけ
誤りの文は、「私はスマートフォンで英単語を覚えているので、制限には反対だ。」です。どこが違うかというと、一人の体験は、別の人には当てはまりません。読み手が「あなたはそうでも、ほかの生徒は違う」と思った時点で、根拠として働かなくなります。
直した文は、「スマートフォンは、辞書や連絡の道具として、多くの高校生の学習に組み込まれている。私自身も英単語の確認に使っており、取り上げれば学習の一部が止まる。」です。多くの人に起きることを先に置き、自分の体験をその一例として後ろに添えています。体験は捨てなくてよく、置く順番を変えるだけで根拠になります。
問いからずれる
誤りの文は、結論の「以上のように、スマートフォンには良い点も悪い点もある。使い方次第だと言える。」です。どこが違うかというと、問いは「制限すべきか」でした。良い点と悪い点の整理は、問いの答えになっていません。「使い方次第」は、賛成とも反対とも言っていない言い方です。本論で理由を2つ書いていても、この結論では、読み手に「結局どちらか」が残ります。
直した文は、「以上の理由から、私は高校生のスマートフォンの利用を一律に制限すべきではないと考える。」です。問いの語である「制限」「利用」「高校生」が入り、立場が序論と同じです。

よくある質問
作文と同じ「です・ます」で書いてもよいですか
「だ・である」で書きます。小論文では、言い切る文体のほうが主張が立ちます。混ぜるのが最も減点されやすく、「〜と考える。」の次の文が「〜です。」になっていると、見直しの段階で必ず揃えます。出題に「です・ます」の指示があるときだけ、その指示に従います。
本心と逆の立場のほうが書きやすいときは、どうしますか
理由が2つ出て、反対の声に答えられる側を選んでかまいません。小論文は本心を測る試験ではなく、筋道を組み立てる力を測る試験です。ただし、選んだ立場は途中で変えません。本論2で反対の声を認めているうちに、立場がそちらへ流れる答案があります。メモの答えの箱を見て、結論で元の立場に戻します。
知らないテーマが出たら、どうしますか
要項は、教科の知識だけを問う問題を小論文の形で出さないよう、大学に求めています。テーマ文の中の語と、日常で見聞きしたことから筋道は作れます。準備としては、志望する大学が公表している過去の小論文のテーマを3本読んでおきます。要項には、小論文のテーマなどを積極的に公表することが望ましいと書かれていて、大学のサイトに載っていることが多いです。過去のテーマで6つの箱を埋める練習を3回すれば、初めて見るテーマへの構えができます。
親の手伝い方と個別指導で確かめること
家でできる手伝いは、テーマを一つ出して、口で答えさせることです。お子さまが立場を言ったら、「なぜ」を2回だけ重ねます。2回目の「なぜ」に答えられれば、理由が2つある状態です。書いたものを読むときは、立場が最初と最後で同じか、理由が2つあるか、の2点だけを見ます。言い回しの直しは、本人の文を崩すので手を出しません。
個別指導で確かめるのは、問いの言い直しが出題の型に合っているか、本論2の反対の声が本当に逆の立場の人の声になっているか、60分の中で見直しの10分が残るか、の3点です。この3点は、本人が自分で判断しにくく、読み手がいて初めて見えます。
まとめ
小論文は、問いに答え、理由で納得させる文章です。作文の「感じたこと」を「考えたことと理由」に置き換え、6つの箱のメモを作り、序論・本論1・本論2・結論に決めた割合で流し込みます。結論には問いの語を戻します。問いを一文に言い直せた瞬間に、小論文の半分は書き終わっています。
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