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小学生が覚えたいことわざ—低学年から高学年まで、意味と使い方|武蔵野個別指導塾

棒に当たるのは痛いのに、なぜ犬の札はよい意味でも使うのか。低学年から高学年まで60語を意味と短文で並べ、正月のかるたを家の会話へ移す手順まで書いています。
小学生のうちに覚えたいことわざを、学年の目安で20語ずつ、合わせて60語に絞りました。低学年は絵が浮かぶ語、中学年は教えを読み取る語、高学年は言葉の裏まで読む語です。意味と短文の例は、語そのものを除いて、その学年までに習う漢字とかなで書いてあります。
低学年(小1・小2の目安)の20語です。
| ことわざ(読み) | 意味 | 短文の例 |
|---|---|---|
| 犬も歩けば棒に当たる(いぬもあるけば、ぼうにあたる) | 外を歩くと、思いがけない目にあう。わるいことにも、よいことにもつかう | いつもとちがう道で帰ったら、なくしたぼうしが見つかった。犬も歩けば棒に当たるだ。 |
| 猿も木から落ちる(さるも、きからおちる) | とくいな人でも、しっぱいすることがある | リレーで一番はやい子が、バトンをおとした。猿も木から落ちるだね。 |
| 花より団子(はなより、だんご) | 見て楽しむものより、食べておいしいものをえらぶこと | お花見なのに、弟はおべんとうばかり見ている。花より団子だ。 |
| 七転び八起き(ななころび、やおき) | 何回しっぱいしても、そのたびに立ち上がること | さか上がりは、七転び八起きでできるようになった。 |
| 猫に小判(ねこに、こばん) | ねうちのわからない人に、よいものをあげてもむだなこと | 赤ちゃんにまんがをあげても、猫に小判だ。 |
| 早起きは三文の徳(はやおきは、さんもんのとく) | 朝早くおきると、何かよいことがある | 朝早く公園へ行ったら、にじが見えた。早起きは三文の徳だね。 |
| ちりも積もれば山となる(ちりもつもれば、やまとなる) | 小さなものでも、つみかさねると大きくなる | 毎日10円ためたら、1000円になった。ちりも積もれば山となる。 |
| 鬼に金棒(おにに、かなぼう) | 強いものが、もっと強くなること | 足のはやいあの子が、ぼくの組に来た。鬼に金棒だ。 |
| 二度あることは三度ある(にどあることは、さんどある) | 同じようなことは、くりかえしおきやすい | 二日つづけて水とうをわすれた。二度あることは三度あるから、今夜のうちに入れておこう。 |
| 月とすっぽん(つきと、すっぽん) | 二つのものが、くらべられないほどちがうこと | ぼくの絵と姉の絵では、月とすっぽんだ。 |
| 泣きっ面に蜂(なきっつらに、はち) | よくないことの上に、もっとよくないことがかさなること | ころんで足がいたいのに、雨までふってきた。泣きっ面に蜂だ。 |
| 頭隠して尻隠さず(あたまかくして、しりかくさず) | わるいことをかくしたつもりなのに、すっかり見えていること | おやつをこっそり食べたのに、口にチョコがついている。頭隠して尻隠さずだ。 |
| 笑う門には福来たる(わらうかどには、ふくきたる) | いつもわらい声のある家には、しあわせがやって来る | 休みの日に、家のみんなで大わらいした。笑う門には福来たるだね。 |
| かえるの子はかえる(かえるのこは、かえる) | 子どもは親ににる | つりがすきな父の子は、やっぱりつりがすきだ。かえるの子はかえる。 |
| 絵に描いた餅(えにかいた、もち) | よさそうに見えても、じっさいにはやくに立たないもの | 夏休みの計画を立てただけでは、絵に描いた餅だ。 |
| 石の上にも三年(いしのうえにも、さんねん) | つらくても、つづけていれば、いつかよいことがある | ピアノがつらい日は、石の上にも三年と思ってつづける。 |
| 口は災いの元(くちは、わざわいのもと) | うっかり言ったことばが、わるいことをまねく | 友だちのひみつを言って、気まずくなった。口は災いの元だ。 |
| えびでたいを釣る(えびで、たいをつる) | 少しのものやはたらきで、大きなものを手に入れること | えんぴつを1本かしたら、おれいに大きなおかしをもらった。えびでたいを釣るだ。 |
| 棚からぼたもち(たなから、ぼたもち) | 思いがけないよいことが、ふいにやって来ること | あまったくじをひいたら、一とうが当たった。棚からぼたもちだ。 |
| 馬の耳に念仏(うまのみみに、ねんぶつ) | いくら言っても聞き入れないので、むだなこと | 弟に何回言っても、くつをそろえない。馬の耳に念仏だ。 |
中学年(小3・小4の目安)の20語です。
| ことわざ(読み) | 意味 | 短文の例 |
|---|---|---|
| 急がば回れ(いそがば、まわれ) | 急ぐときほど、遠回りに見えても、たしかな道を選ぶほうがよい | ぬかるんだ近道をやめて、いつもの道を歩いた。急がば回れだ。 |
| 三人寄れば文殊の知恵(さんにんよれば、もんじゅのちえ) | 特別に頭のよい人でなくても、三人集まって考えるとよい案が出る | はんで話し合うと、一人では思いつかない案が出た。三人寄れば文殊の知恵だ。 |
| 転ばぬ先のつえ(ころばぬさきの、つえ) | 失敗しないように、前もって用意しておくこと | 明日は雨だと聞いて、かばんにかさを入れた。転ばぬ先のつえだ。 |
| 備えあれば憂いなし(そなえあれば、うれいなし) | ふだんから用意しておけば、何が起きても心配がない | かい中電とうと水を、げんかんに置いた。備えあれば憂いなしだ。 |
| 負けるが勝ち(まけるが、かち) | 争わずに相手に勝ちをゆずるほうが、最後によい結果になる | 言い合いをやめて先にあやまったら、すぐ仲直りできた。負けるが勝ちだ。 |
| 好きこそ物の上手なれ(すきこそ、もののじょうずなれ) | 好きなことは熱心に続けるので、自然に上手になる | きょうりゅうが好きな弟は、図かんの名前を全部言える。好きこそ物の上手なれだ。 |
| のれんに腕押し(のれんに、うでおし) | 力を入れても、手ごたえがないこと | 何回注意しても、弟はにこにこしているだけ。のれんに腕押しだ。 |
| ぬかにくぎ(ぬかに、くぎ) | いくら意見をしても、少しもきき目がないこと | 早くねなさいと言っても、兄にはぬかにくぎだ。 |
| 二階から目薬(にかいから、めぐすり) | 遠回しすぎて、思うようにいかず、もどかしいこと | 校庭の遠くから声をかけても、相手に伝わらない。二階から目薬だ。 |
| 弘法にも筆の誤り(こうぼうにも、ふでのあやまり) | その道の名人でも、失敗することがある | 習字の先生が、黒板の字を書きまちがえた。弘法にも筆の誤りだ。 |
| 河童の川流れ(かっぱの、かわながれ) | 泳ぎの上手なかっぱでも流されることから、名人も失敗するということ | 水泳が一番の兄が、飛びこみで大失敗した。河童の川流れだ。 |
| 灯台下暗し(とうだい、もとくらし) | 身近なことほど、かえって気がつきにくい | さがし回ったかぎが、自分のかばんの中にあった。灯台下暗しだ。 |
| 人の振り見て我が振り直せ(ひとのふりみて、わがふりなおせ) | 人の行いを見て、自分の行いを直す | ろう下を走る子を見て、自分も気をつけようと思った。人の振り見て我が振り直せだ。 |
| 楽あれば苦あり(らくあれば、くあり) | 楽なときの後には、苦しいときがやって来る | 遊んでばかりの夏休みの終わりに、宿題に追われた。楽あれば苦ありだ。 |
| 身から出たさび(みから、でたさび) | 自分のした悪いことのせいで、自分が苦しむこと | ふざけて走って足をいためた。身から出たさびだ。 |
| うそから出たまこと(うそから、でたまこと) | うそのつもりの話が、本当になること | じょうだんで「ぼくが一番になる」と言ったら、本当になった。うそから出たまことだ。 |
| 短気は損気(たんきは、そんき) | すぐにおこると、結局は自分がそんをする | かっとなってノートをやぶり、書き直しになった。短気は損気だ。 |
| 目は口ほどに物を言う(めは、くちほどにものをいう) | 言葉にしなくても、目を見れば気持ちが伝わる | だまっていても、妹のうれしさは目でわかった。目は口ほどに物を言う。 |
| 住めば都(すめば、みやこ) | どんな場所でも、住みなれるとよいところに思えてくる | 転校した町が、今では大好きになった。住めば都だ。 |
| 雨降って地固まる(あめふって、じかたまる) | けんかをした後のほうが、前より仲がよくなること | 大げんかの後、二人は親友になった。雨降って地固まるだ。 |
高学年(小5・小6の目安)の20語です。
| ことわざ(読み) | 意味 | 短文の例 |
|---|---|---|
| 情けは人のためならず(なさけは、ひとのためならず) | 親切は回り回って自分に返ってくる。だからだれにでも親切にするとよい | 転校生に校内を案内したら、困ったときに助けてもらえた。情けは人のためならずだ。 |
| 二兎を追う者は一兎をも得ず(にとをおうものは、いっとをもえず) | 二つのことを一度にねらうと、どちらも手に入らない | 試合とコンクールの練習を一度にやって、どちらも力を出せなかった。二兎を追う者は一兎をも得ずだ。 |
| あぶ蜂取らず(あぶはち、とらず) | 欲ばって両方をねらい、どちらも得られない | 二つの係に手を挙げて、どちらにも入れなかった。あぶ蜂取らずだ。 |
| 百聞は一見にしかず(ひゃくぶんは、いっけんにしかず) | 人から話を何度聞くより、自分の目で一度見るほうがよくわかる | 工場見学に行って、やっと仕組みがわかった。百聞は一見にしかずだ。 |
| 良薬は口に苦し(りょうやくは、くちににがし) | 耳の痛い注意ほど、自分の役に立つ | コーチの注意はきびしかったが、次の試合で役に立った。良薬は口に苦しだ。 |
| 井の中のかわず大海を知らず(いのなかのかわず、たいかいをしらず) | せまい世界のことしか知らず、もっと広い世界があることに気づかない | 県大会に出て、上には上がいると知った。井の中のかわず大海を知らずだった。 |
| 後悔先に立たず(こうかい、さきにたたず) | すんでしまったことは、後でくやんでも取り返せない | 見直しをせずに出したテストで、問題を一つぬかした。後悔先に立たずだ。 |
| 能あるたかは爪を隠す(のうあるたかは、つめをかくす) | 力のある人ほど、それを見せびらかさない | 作文で賞を取ったのに、あの子はだれにも話さない。能あるたかは爪を隠すだ。 |
| 出るくいは打たれる(でるくいは、うたれる) | 目立つ人は、まわりからねたまれたり、じゃまをされたりする | 毎回手を挙げていたら、からかわれた。出るくいは打たれるというが、挙げ続ける。 |
| 朱に交われば赤くなる(しゅにまじわれば、あかくなる) | つき合う相手によって、よくも悪くも変わっていく | 本好きの友だちといるうちに、ぼくも図書室へ通うようになった。朱に交われば赤くなるだ。 |
| 亀の甲より年の功(かめのこうより、としのこう) | 年を重ねた人の経験には、大きな値打ちがある | 祖母の一言で、もつれた糸がすぐにほどけた。亀の甲より年の功だ。 |
| 一寸の虫にも五分の魂(いっすんのむしにも、ごぶのたましい) | どんなに小さく弱いものにも、ゆずれない意地がある | 一番小さな1年生が、上級生に負けずに言い返した。一寸の虫にも五分の魂だ。 |
| 案ずるより産むが易し(あんずるより、うむがやすし) | 心配していたことも、やってみると案外たやすい | 発表の前はこわかったが、始まると平気だった。案ずるより産むが易しだ。 |
| かわいい子には旅をさせよ(かわいいこには、たびをさせよ) | 子どもがかわいいなら、世の中の苦労を経験させたほうがよい | 林間学校で、自分のことを全部自分でやってみた。かわいい子には旅をさせよ、と母は言う。 |
| 光陰矢のごとし(こういん、やのごとし) | 月日がたつのは、飛ぶ矢のように早い | 入学式が昨日のようなのに、もう卒業だ。光陰矢のごとしだ。 |
| 鉄は熱いうちに打て(てつは、あついうちにうて) | 人は若いうちにきたえるのがよい。物事は、ちょうどよい時をのがさず行うのがよい | 習った日のうちに復習したら、しっかり残った。鉄は熱いうちに打てだ。 |
| とんびがたかを生む(とんびが、たかをうむ) | ふつうの親から、すぐれた子が生まれること | 全国大会に出た息子を見て、とんびがたかを生んだ、と父が照れた。 |
| 火のない所に煙は立たぬ(ひのないところに、けむりはたたぬ) | うわさが立つからには、何かもとになることがある | あの二人がけんかしたといううわさは本当だった。火のない所に煙は立たぬだ。 |
| 枯れ木も山のにぎわい(かれきも、やまのにぎわい) | つまらないものでも、ないよりはましだ。自分のことをへりくだって言う | 歌は下手ですが、枯れ木も山のにぎわいと思って合唱に加わります。 |
| 立つ鳥跡を濁さず(たつとり、あとをにごさず) | 立ち去るときは、きれいに後始末をしていく | 卒業の前に、使った教室をみんなでみがいた。立つ鳥跡を濁さずだ。 |
よくあるのは、正月の居間にいろはかるたを広げ、「犬も歩けば棒に当たる」の札を取ったお子さまが、札を持ったまま「棒に当たったら痛いのに、どうしていいことなの」と聞いてくる、という場面です。祖父母は「昔からそう言うんだよ」と笑い、親は一瞬つまります。札を取る速さと、意味を言える力は別のものです。札の数で勝っても、この問いには答えられません。いちばん速く取れた札が、その子の使える言葉とは限らないのです。
一覧の読み方
3つの表は、学校の学年とぴったり重なるものではありません。学校の国語でことわざを正面から学ぶのは3・4年生のころです。だから低学年の20語は、習う前に耳で知っておく語、中学年の20語は、授業と並んで使い始める語、高学年の20語は、文章の中で読み違えると話の筋まで外してしまう語として選びました。

図1のように、上の段へ行くほど、語の読み取りは深くなります。「猫に小判」は、猫の前に小判を置いた絵を見れば、説明なしで笑えます。「急がば回れ」は、急いでいるのになぜ回るのかと、一歩だけ考えます。「情けは人のためならず」は、字のまま読むと逆の意味に着いてしまう語です。学年より、この段で見てください。4年生が低学年の表から始めるのは遅れではなく、絵が見えていなかった語を拾い直す作業です。
使い方は、表の左の列を紙で隠すだけです。意味と短文を読んで語を言えたら丸、言えなければ印をつけます。読めることと意味を言えることは別なので、印は「意味を言えなかった語」につけてください。短文に合う語を当てる練習は、そのままテストの場面の問題の練習になります。
語の形は、常用漢字に無い字をひらがなで書きました。「猫に小判」が漢字で、「えびでたいを釣る」がひらがな混じりなのはそのためです。例外は2つで、「二兎」の兎と「弘法」の弘は常用漢字の外にありますが、かなに開くと語が読めなくなるので漢字のままにしました。1語の中で字の学年が大きくばらつくことも、知っておいてよいところです。「猿も木から落ちる」なら、木は小1、落は小3、猿は中学以降に習う字です。習っていない字はひらがなで書いて、意味を先に取ってしまえば十分です。字はあとから追いついてきます。
覚え方
順番は、耳、現物、束、短文の4段です。ノートに書くのは最後の段だけです。
最初の段は耳です。いろはかるたは、いろは47文字のそれぞれで始まることわざなどを札にした遊びで、江戸で広まった札では「い」が「犬も歩けば棒に当たる」、「は」が「花より団子」、「お」が「鬼に金棒」です。札の語は地域や作り手でいくらか違いますが、やることは同じで、前半だけ読んで後半を返させます。「七転び」と言えば「八起き」、「急がば」と言えば「回れ」。ことわざの多くは前半と後半の二つに割れていて、前半が問いのように、後半が答えのように働きます。表の読みに打った読点が、その切れ目の目安です。低学年のうちに書かせないのは、字に手を取られて言葉の調子が切れるからです。
次の段は現物です。ことわざはたとえでできているので、たとえの元を知らない語は、意味を暗記しても手応えがありません。のれんは店の入り口で手で押してみる。ぬかはお米の売り場で袋を見る。一寸は定規で約3センチを測り、五分はその半分だと指で確かめる。三文は「ほんの少しのお金」と言い換える。灯台は海に立つ灯台ではなく、昔の部屋で油の明かりをのせた台のことで、その真下は暗いのです。現物が一度見えた語は、意味の説明が一行で足ります。
3つ目の段は束です。図2のように、ことわざには同じ意味のものがいくつも並びます。「猿も木から落ちる」「河童の川流れ」「弘法にも筆の誤り」は、3つとも名人の失敗を言う語です。「のれんに腕押し」と「ぬかにくぎ」は、どちらも手ごたえのなさを言う語です。

1語ずつ覚えれば60回の作業ですが、束にすれば意味を1つ覚えるだけで語が2つ3つついてきます。テストの「似た意味を選ぶ」問題にも、そのまま答えられます。表の中には、「転ばぬ先のつえ」と「備えあれば憂いなし」、「二兎を追う者は一兎をも得ず」と「あぶ蜂取らず」のように、自分で探せる束がまだあります。反対の意味の組も一緒に持っておくと強くなります。「二度あることは三度ある」には表の外の「三度目の正直」が、「好きこそ物の上手なれ」には「下手の横好き」が向かい合います。
最後の段が短文です。表の短文を写すのではなく、今週あった出来事で1文書きます。「自分の場面で1文書けた語」だけを、覚えた語として数えてください。場面と語を結べたかどうかは、読みの暗記では測れないからです。
家で使う工夫
家でいちばん効くのは、大人が自分の失敗に使うことです。みそ汁をこがした夜に「猿も木から落ちる」と言う。さがし回ったスマートフォンがポケットから出てきた朝に「灯台下暗し」と言う。笑いながら聞いた語は、次に似た場面が来たとき、お子さまの口から先に出てきます。
反対に、叱る言葉には使わないでください。「身から出たさびでしょ」と言われた語は、叱られた記憶と一緒に残り、本人が口にしなくなります。量は週に2語で足ります。60語なら30週で一回りです。冷蔵庫に札を1枚だけ貼り、その週のうちに家のだれかが使えたら札を替えます。正月のかるたは、遊び終わった後に「この札、最近どこで使えそう」と1枚だけ聞いてみてください。札を取る楽しさを壊さずに、意味へ一歩移れます。
テストでの出方
小学校のテストでことわざが出るとき、形はおよそ4つです。空いたところに語を入れる問題、意味を選ぶ問題、場面に合う語を選ぶ問題、似た意味や反対の意味を選ぶ問題です。次の例題は、どれも形を見るために作ったものです。
例題1 次の( )に入る動物の名前を書きましょう。(1)( )も木から落ちる (2)( )の耳に念仏
答えは (1) 猿(さる)、(2) 馬(うま)です。動物の語は、動物どうしの取り違えが起きやすいところです。「馬の耳に念仏」を「猫の耳」と書く子は、「猫に小判」と混ざっています。どちらも「むだ」を言う語なので、意味の束で覚えた子ほど、動物の名前を絵で確かめておく必要があります。
例題2 「情けは人のためならず」の意味として正しいものを、アからウで選びましょう。ア 人に情けをかけると、その人のためにならない。イ 人に親切にすると、めぐりめぐって自分によいことが返ってくる。ウ 人に親切にするのは、その人のためだけである。
答えはイです。アは字のまま読んだときに、いちばん正しく見える選択肢です。「ならず」は「ためにならない」ではなく、「人のためではない」という意味で、親切は結局自分に返ってくるという話になります。
例題3 「料理の得意な祖母が、塩と砂糖をまちがえてしまった。」この場面に合うことわざを、アからウで選びましょう。ア 猿も木から落ちる イ 住めば都 ウ 後悔先に立たず
答えはアです。手がかりは「得意な」の一語です。ウを選びたくなるのは、失敗の話だと見て止まったからです。「後悔先に立たず」は本人が悔やむ気持ちを言う語で、この場面には悔やむ言葉がありません。答えを選んだ後に、場面のどの言葉で決めたのかを言えると、次の問題でも同じ読み方ができます。
中学受験との関係
中学受験の国語で、ことわざがどの形でどのくらい出るかは、学校によってかなり違います。語句の小問として直接問う学校もあれば、物語文の中にことわざを置き、登場人物の気持ちと合わせて読ませる学校もあります。何語覚えれば足りるという線は引けません。
出方を知る近道は、志望校の過去の問題を2、3年分開いて、語句の小問があるかどうかを見ることです。そのうえで、受験の有無にかかわらず、表の語を自分の言葉で説明できることが先です。読みだけを言える語を増やしても、文章の中で出会ったときに気持ちの読み取りには使えません。
まちがえやすいところ
図3のように、誤りは3つの型に分かれます。どれも、語を知らないのではなく、知っているつもりのところで起きます。

1つ目は、字のまま読む誤りです。「情けは人のためならず」を「親切はその人を甘やかす」と受け取るのが代表です。「かわいい子には旅をさせよ」も、旅行に連れて行きなさいという話ではありません。昔の旅はつらいものだったので、子どもに世の中の苦労を味わわせなさいという語です。意味が字面と少しでもずれる語は、なぜそう言うのかを一度聞いておくと、取り違えません。
2つ目は、読みの誤りです。「一寸の虫にも五分の魂」の「五分」は「ごぶ」で、「ごふん」ではありません。時計の5分ではなく長さの単位で、一寸の半分です。小さな虫の体に、その半分もの大きさの魂が入っているという絵を知ると、読みも意味も一緒に残ります。「灯台下暗し」の「下」も「もと」で、「した」とは読みません。声に出して覚えた語でも、最初の聞きまちがいが残っていることがあるので、読みの列で一度確かめてください。
3つ目は、場面の誤りです。「とんびがたかを生む」は、親が自分の家のことを照れて言うなら笑って通りますが、友だちの親に言えば、相手をとんびと呼んだことになります。「枯れ木も山のにぎわい」も、自分をへりくだって言う語です。人を誘うときに「枯れ木も山のにぎわいだから来て」と言えば、相手を枯れ木にしてしまいます。意味が合っていても、だれに向かって言うかで失礼になる語があります。
確かめの問題
答えを見る前に、全部を声に出して答えてみてください。4番と5番は、理由まで言えて正解です。
- 次の( )に入る字を書きましょう。( )に小判
- 「転ばぬ先のつえ」と似た意味の語を、アからウで選びましょう。ア 備えあれば憂いなし イ 笑う門には福来たる ウ 鬼に金棒
- 「三人寄れば文殊の知恵」の「文殊」の読みを、ひらがなで書きましょう。
- 「泣きっ面に蜂」は、よいことが続く場面と、悪いことが重なる場面の、どちらに使いますか。
- 友だち二人の絵を見比べて、本人たちの前で「きみたちの絵は月とすっぽんだね」と言うのは、どこがおかしいでしょうか。
答え
- 猫(ねこ)です。ねうちのわからない相手によいものをあげてもむだ、という語です。
- アです。どちらも、前もって用意しておく大切さを言う語で、図2のような束にできます。
- 「もんじゅ」です。知恵の仏さまの名前です。
- 悪いことが重なる場面です。泣いている顔を、さらに蜂が刺す絵を思い出すと取り違えません。
- 比べものにならないほど差があると言うことになり、片方の友だちをすっぽんと呼ぶ点がおかしいのです。自分の絵を下げて言うときなら、笑って通ります。
次に確かめること
慣用句の一覧は、目や手など体の部分を使った言い回しをまとめたもので、ことわざと並べると、教えを含むかどうかの違いが見えてきます。故事成語の一覧は、矛盾や蛇足のように中国の古い話から生まれた語を集めたもので、高校の漢文の授業まで続いていきます。小学6年生の漢字の一覧は、「犬も歩けば棒に当たる」の棒のように、語の中で見かける字を確かめる場所です。個別指導では、選択問題に正解した後に「どうしてそれを選んだの」と聞き、説明が止まった語は、たとえの現物の話まで戻って確かめます。
まとめ
かるたの札は、取った枚数では身につきません。表の60語を全部覚えてから使おうとすると、たいていの語は一度も口に出ないまま終わります。今週の失敗に合う語を1つ選び、今夜の食卓で言ってみてください。正月に取った札が夏の夕食で口に出たなら、その語はもうお子さまのものです。棒に当たるのは、歩いた犬だけです。
読んで終わりにするか、ここから変えるか。
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本気になった日が、入塾の日。
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