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共通テストの試作問題とは—令和4年に公表された新課程の見本を、本番の前にどう使うか|武蔵野個別指導塾

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数学の試作問題は大問の多くが令和3年度の本試験と同じか一部を変えた問題で、国語は第3問の位置に置く2問だけ。令和7・8年度の本試験を解き終えた12月に、どの科目の試作から手を付けるかを決めてください。

共通テストの試作問題は、新しい学習指導要領で学んだ人が初めて受けた令和7年度試験に向けて、大学入試センターが令和4年(2022年)11月9日に公表した見本の問題です。本番の形を約束する物ではなく、問題作成方針を決める前に、どの方向で問い方を考えているかを具体の問いで見せるために作られました。令和7・8年度の本試験が出そろったいまは、本試験の過去問を解き終えた後に、新しい形の問いをもう一度だけ試す材料として使います。

試作問題の素性は、センターの頁と冊子の表紙にある次の記述でほぼ決まります。

確かめたこと 公式の記述 文書・頁
公表した日 令和4年(2022年)11月9日。『地理総合,歴史総合,公共』は11月10日、『情報Ⅰ』と『旧情報(仮)』は12月23日に一部を訂正 センター「(参考)試作問題等令和4年度までの検討状況」の頁と試作問題の頁
作った目的 令和7年度の問題作成方針(令和5年6月に決める予定とされた)をどの方向で検討するかを、問いの形で見せる 「問題作成方針に関する検討の方向性について」と各科目の概要
本番との距離 国語と英語は、同じような内容・形式・配点の問題が令和7年度以降に出ると約束した物ではないと書く。国語・英語・情報は、過去の本試験と同じ作成と点検の手順を通していないと書く 試作問題の冊子の表紙
載っている科目 国語・地理歴史・公民・数学・英語・情報。理科は一覧に無い 試作問題の頁
令和9年度の本番 出題方法と問題作成方針を令和8年度の文書と並べると、違うのは年度を表す字だけ 令和8・9年度の出題方法と問題作成方針

よくあるのは、12月の放課後、令和7年度と令和8年度の本試験を時間を計って解き終えた高3が、進路室の掲示にある「試作問題」という見慣れない言葉に足を止める場面です。試作と聞くと本番の予想問題のように思え、まだ手を付けていないことに急に焦ります。けれど本番まで残りは1か月あまりで、本試験の解き直しも終わっていません。解くなら何から、どこまで解けばいいのか。掲示の一行は、そこまでは答えてくれません。

センターの試作問題の頁にある物と、冊子の表紙の注意書き

試作問題は、センターの「過去3年分の試験問題」の頁から行けます。令和7年度試験の問題と正解の欄の下に、試作問題を公開している頁への案内が一行あり、その行き先が「令和7年度試験の問題作成の方向性、試作問題等」の頁です。一つ上の階層の「(参考)試作問題等令和4年度までの検討状況」の頁には、令和4年11月9日の公表資料としてまとめられています。同じ頁には、令和3年3月に出た『地理総合』『歴史総合』『公共』『情報』のサンプル問題も並んでいますが、これは試作問題より前に出た別の物です。

頁の先頭には、令和7年度の問題作成方針をどう検討するかを書いた「検討の方向性」の文書が2つあります。その下に科目ごとの「概要」「試作問題」「正解表」が続きます。図1のように、科目によって中身の量と作りがかなり違います。

図1 試作問題の頁にある科目と、科目ごとの作りの違い

国語は第A問と第B問の2問だけで、配点は各20点です。どちらも、本番の第3問(20点)の位置で出すことを想定した問題で、レポートを作る場面を置き、図やグラフと文章を行き来させます。冊子の表紙は、令和7年度から国語に「新たに追加する大問(近代以降の文章)」のイメージを共有するためと書いています。令和6年度まで80分・4大問だった国語が、令和7年度から90分・5大問になった、その増えた1問の見本だと読めます。第3問の題材をどう読み進めるかは、本試験の第3問と並べて別に練習した方が身に付きます。

英語の試作問題は、リーディングの第A問(18点)と第B問(12点)、リスニングの第C問(15点)の3問です。英語の概要によると、3問は、意見を書く準備をする場面、自分の原稿を先生のコメントで直す場面、講義を聞いて学生同士で話し合う場面を置いています。書く場面や話す場面を、英文を読んで答える問い・聞いて答える問いに置き換えた作りです。第C問は、令和3年度本試験のリスニングの問題を基に組み直した物で、音声は1回だけ流れ、状況やワークシートを読む時間の後に音声が始まる作りです。リスニングについて頁に並ぶのは問題・スクリプト・正解表で、音声のファイルは一覧にありません。

数学は『数学Ⅰ,数学A』と『数学Ⅱ,数学B,数学C』の2つで、どちらも試験時間を70分、100点として作られています。『数学Ⅰ,数学A』は、第1問、第2問の前半、第3問が令和3年度本試験の問題と共通で、新しく作ったのは第2問の後半(データの分析)と第4問(場合の数と確率)です。『数学Ⅱ,数学B,数学C』は、第1問と第2問が令和3年度本試験と共通で、第3問・第4問・第6問はその本試験の問題を一部変えた物です。新しく作ったのは第5問(統計的な推測)と第7問(平面上の曲線と複素数平面)です。第4問から第7問のうち3問を選ぶ作りも、試作の段階で示されていました。

情報は、『情報Ⅰ』の試作問題、第4問の参考問題、『旧情報(仮)』の3つがあります。『情報Ⅰ』の試作問題の表紙は試験時間60分・100点で、第1問20点、第2問30点、第3問25点、第4問25点の4問です。『旧情報(仮)』は、古い学習指導要領で学んだ人のための経過措置の問題として作られ、『情報Ⅰ』と共通の問題をいくつか含みます。プログラムは、授業で使う言語がさまざまなことから、共通テスト用の表記で書かれています。地理歴史と公民は6科目分の試作問題があり、理科は頁のどこにもありません。

冊子の表紙の注意書きも読んでおきます。国語・英語・情報の表紙は、専門家が作った問題だとしたうえで、過去のセンター試験や共通テストと「同様の問題作成や点検のプロセスを経たものではありません」と書いています。国語と英語の表紙は、同じような内容・形式・配点の問題が令和7年度以降に出ると約束した物ではないとし、本番の冊子と違ってA4判で作ったとも書いています。国語の概要の注は、問題の構成と出題の中身は試作問題のもので、近代以降の文章3問の配点は90分の試験時間との関係を見ながら検討を続けるとしていました。数学と情報の概要の注も、本番の出題の中身は試作問題を踏まえて引き続き検討するとしていました。見本は見本として作られたことが、国語・英語・数学・情報のどの文書からも読み取れます。

自分の受験科目で、試作問題を解く値打ちがあるかを見分ける

試作問題は全科目そろっているわけではなく、科目ごとに量も作りも違います。解くかどうかは、自分が本番で何を受けるか、どこで点を落としているかで決まります。見る物は4つです。

1つ目は受験票です。令和9年度試験の分は2026年12月4日(金)の10時からマイページに出るので、試作問題を印刷する前に受験教科名の欄を見ます。丸が付いている教科が、出願で登録した教科です。数学は数学1のグループと数学2のグループが一つの欄にまとめて出るので、数学①と数学②の両方を受けるのか一方だけかは、自分の予定と照らします。地理歴史・公民と理科については、いくつの科目で登録したかが備考欄に出ます。出願も訂正の期間ももう終わっているので、丸の無い教科の試作問題に時間を使っても、本番でその力を出す場はありません。理科の演習に時間を割きたい人は、そもそも理科の試作問題が無いので、令和7・8年度の本試験と追・再試験に時間を回します。

2つ目は志望校の募集要項です。各大学が令和9年度入試の募集要項を出す期限は2026年12月15日(火)で、試作問題に手を付ける科目の順は、その配点の欄で決まります。配点の欄では、共通テストのどの教科をどれだけの重さで数えるかを読みます。『情報Ⅰ』を課すかどうかも大学ごとに違うので、課さない大学だけを受けるなら、情報の試作問題は後回しにしてかまいません。配点の大きい教科から試作問題に手を付けるのが、時間の使い方として素直です。

3つ目は、令和7・8年度の本試験を解いた自分の答案です。落とした問いを、次の3つに分けてみてください。資料や図表、会話文を何度も行き来させる問い。新しい学習指導要領で共通テストに加わった中身の問い(数学の平面上の曲線と複素数平面、データの分析と統計的な推測で扱う仮説検定の考え方など)。計算の誤りや知識の抜けで落とした問い。前の2つが多い人には、試作問題の新しく作った大問がよい練習になります。3つ目が多い人は、試作問題より先に本試験の解き直しを済ませる方が点に結びつきます。

4つ目は、令和3年度の本試験を解いたことがあるかどうかです。数学の試作問題は大問の多くが令和3年度本試験と同じか、一部を変えた問題なので、解いた記憶がある人は新しく作った大問だけを解けば足ります。英語の第C問も令和3年度のリスニングが基になっています。逆に、まだ令和3年度を解いていないなら、試作問題を通してその年の問題へ先に触れることになるので、旧課程の年度をどこまで解くかとの兼ね合いも見ておきます。

令和10年度試験(2028年1月15日と16日の2日間)に向かういまの高2にとっても、事情は似ています。令和10年度の出題方法と問題作成方針は、令和9年度の文書と比べて変わったのが年度の字だけです。高2にとっての試作問題は、まだ習っていない単元も含めた全体の見取り図です。『数学Ⅱ,数学B,数学C』の第5問や第7問のように、授業がまだ進んでいない単元の大問は無理に解かず、習い終えた単元の大問から1つずつ当てていきます。本試験の過去問は高3で時間を計って解く回に取っておき、高2のうちは試作問題の新しく作った大問で、資料を行き来する形に慣れておくと、高3の秋に本試験を解いたときの戸惑いが減ります。

本試験の過去問の後ろに試作問題を置く、12月からの段取り

順番の芯は一つです。本試験を先に、試作問題を後に。図2のように、5つの手順を1科目ずつ回します。

図2 試作問題を本試験の後に解く5つの手順

①本試験の答案に戻り、落とした大問に印を付けます。令和8年度と令和7年度の本試験の答案を出し、科目ごとに「どの大問で何点落としたか」を一枚の紙に書き出します。前の節の3つの分け方で、資料を行き来する問いと新しい単元の問いに丸を付けておくと、試作問題のどの大問を解くかがそのまま決まります。

②試作問題を本番の時間で解きます。センターの試作問題の頁から、受験票で丸の付いた教科の試作問題と正解表だけを落とし、印刷します。訂正の注がある『地理総合,歴史総合,公共』『情報Ⅰ』『旧情報(仮)』は、いま頁に載っている版を使い、学校で以前に配られた紙が手元にあれば、注の日付と見比べておきます。時間は科目ごとに決めます。数学は試作が70分を想定して作られ、令和9年度の本番も70分なので、通しで70分を計ります。『情報Ⅰ』も試作の表紙が60分、本番も60分です。国語は2問しかないので、本番で第3問に充てると決めている自分の時間で1問ずつ解きます。たとえば第3問に18分と決めている人なら、第A問を18分、続けて第B問を18分、合わせて36分です。英語のリーディングの2問は、本試験で配点の近い大問に使っている自分の時間を当てます。リスニングの第C問は頁の一覧に音声が無いので、ワークシートとスクリプトで場面の読み取りを確かめる教材として使い、聞く練習は令和8年度の本試験の第5問の音声で行います。令和8年度の第5問も、ワークシートにメモを取りながら講義を聞き、そのあと発言や図表と照らす作りで、問27から問33という番号の並びまで第C問と同じです。

③正解表で採点します。合計の点より、どの問いで手が止まったか、何分目で止まったかを答案の余白に書いておく方が、後の手順で役に立ちます。

④概要で問いのねらいを読みます。概要には設問ごとに何を問うたかが書いてあるので、解く前に読むと答えの方向が見えてしまいます。採点の後に開き、落とした問いの説明と自分の止まり方を見比べます。図と文章を結び付ける問いで落としたのか、条件付き確率を使って求め方を考える問いで落としたのかで、次に戻る所が変わります。

⑤本試験の同じ大問へ戻ります。数学は、試作問題と令和8年度の本試験の問題冊子で、大問の配点の並びが同じです。『数学Ⅰ,数学A』は30点・30点・20点・20点、『数学Ⅱ,数学B,数学C』は15点・15点・22点の必答のあとに16点の大問から3つを選ぶ形です。国語は令和7・8年度の第3問に、英語の第C問は令和8年度のリスニングの第5問に戻り、もう一度時間を計って解き直します。試作問題そのものを二度解くより、同じ形の本試験を解き直す方が、本番の冊子の分量と組み方に近い練習になります。

日付に置くと、たとえば次のように組めます。12月4日(金)に受験票を取って丸の付いた教科を確かめ、12月15日(火)までに出そろう募集要項で配点の重い教科を決めます。その週から試作問題を1科目ずつ①から⑤まで回し、冬休みに入ったら本試験の解き直しに戻ります。12月4日から本番の1月16日(土)までは43日、12月15日からでも32日あります。試作問題に使うのは、そのうち数日で足ります。

保護者の方は、お子さまが印刷した試作問題の束を見て、科目が受験票の丸と合っているか、理科の分を探して時間を使っていないかを一緒に確かめるだけで十分です。解いた点数を聞くより、本試験の解き直しの日が残っているかを聞く方が、12月のお子さまの助けになります。

試作問題を本番の予想問題と読むのは誤り—3つの読み違い

試作問題という名前は、受ける側にさまざまな思い込みを生みます。図3に、よく聞く見方と、公式の記述に照らした答えをまとめました。

図3 試作問題についてよくある見方と、公式の記述に照らした答え

一つ目は「試作問題は令和9年度の本番の予想問題だ」という見方です。答えは×です。根拠は冊子の表紙にあります。国語と英語の表紙は、同じような内容・形式・配点の問題が令和7年度以降に出ると約束した物ではないと書き、国語・英語・情報の表紙は、本番と同じ作成と点検の手順を通していないと書いています。令和9年度の本番の形を決めるのは、令和9年度の出題方法と問題作成方針です。その二つの文書が令和8年度と年度の字しか違わないのですから、一番近い手本は令和8年度の本試験で、令和7年度の本試験がそれに続きます。

二つ目は「試作問題は本試験より新しいから、先に解くべきだ」という見方です。これも×です。試作問題の公表は令和4年で、新しい学習指導要領での最初の本試験(令和7年度試験・2025年1月)より2年あまり前です。新しいのは本試験の方で、試作問題はその手前の見本です。本試験を後回しにして試作問題から入ると、本番の分量と組み方に慣れる回が減ります。

三つ目は「試作問題は全部が新しく作られた問題だ」という見方です。×です。数学は令和3年度本試験と共通の大問や、それを一部変えた大問が多くを占め、英語の第C問も令和3年度のリスニングを組み直した物です。『情報Ⅰ』と『旧情報(仮)』にも共通の問題があります。数学の概要は、新しく作った問題についてだけ設問ごとの説明を載せているので、説明の付いた大問が新作だと見分けられます。限られた日数なら、その大問に時間をかけるのが効率のよい使い方です。

図3の最後の行にあるとおり、試作問題を「新しい形の問いの見本」として使う見方は○です。英語の概要は、試作問題を問題作成の工夫の具体例として作ったと書き、国語の表紙は新しく加える大問のイメージを共有するためと書いています。見本として一度触れ、止まった所を本試験に持ち帰る。この使い方なら、表紙の注意書きとも食い違いません。

なお、『旧情報(仮)』は経過措置の問題として作られた物で、令和8年度と令和9年度の出題方法の表に『旧情報』の名前はありません。いまの高3が情報で解くのは『情報Ⅰ』の試作問題と参考問題で、『旧情報(仮)』だけにある大問は優先の順番が低くなります。

確かめる先と聞き方

試作問題をどの科目で、どの順番に解くかは、次の6か所の記述で決まります。

  1. センターの試作問題の頁:受験票で丸の付いた教科の試作問題・正解表・概要の3つがそろっているか。訂正の注(11月10日・12月23日)が付いた科目は、いま載っている版を落としたか。
  2. 令和9年度の「出題教科・科目の出題方法等」と問題作成方針:自分の科目の試験時間と配点、選び方の決まり(数学②は4項目から3項目、国語は近代以降の文章3問で110点と古典2問で90点)。試作問題の作りと食い違う所が無いか。
  3. センターの「過去3年分の試験問題」の頁:試作問題の後に戻る令和7・8年度の本試験と追・再試験の問題と正解。英語は令和8年度のリスニングの音声とスクリプト。
  4. 受験票(2026年12月4日(金)10時から):受験教科名の丸と、地理歴史・公民と理科の登録科目数。
  5. 志望校の募集要項(2026年12月15日(火)まで):共通テストの教科ごとの配点、『情報Ⅰ』を使うかどうか。
  6. 高校の先生:授業や課題で試作問題を配ったか、そのときの答案が残っているか。情報の授業で使った言語は何か。二度目の試作を解く前に、一度目の答案を探す方が先です。

個別指導で確かめること

塾では、令和7・8年度の本試験の答案と、試作問題を時間を計って解いた答案を机に並べます。落とした問いが資料を行き来する問いか、新しい単元の問いか、計算や知識の抜けかを一問ずつ分けます。そのうえで、受験票の丸と募集要項の配点の欄を見ながら、本番までに解き直す本試験の大問を日付と一緒に決めます。

まとめ

試作問題は、令和4年の時点でセンターが問い方の方向を示した見本で、令和9年度の本番の形を知らせる紙ではありません。本試験を解いた後に一度だけ時間を計って解き、止まった問いの型を本試験の答案に持ち帰ります。令和4年の見本が映し出すのは、本番の形ではなく、新しい形の前で止まる自分の手です。

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