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志望理由書の「入学後に学びたいこと」—シラバスと授業の名前から学習計画を書く手順|武蔵野個別指導塾

方言と言葉の移り変わりを調べたい人の下書きを例に、問いから取った語でシラバスを引き、授業ごとに問いのどこが進むかを1文で結べば、年次ごとの計画を欄に書き込めます。
志望理由書の「入学後に学びたいこと」の欄には、学びたい分野の名前より先に、研究したい問いのどの部分を、何年次の、どの授業で進めるかを書きます。材料は、大学がすでに公表しています。カリキュラム・ポリシーとシラバス、それに教員の業績の一覧です。問いが1文になっているなら、授業の名前を問いにつなぎ、年次の順に並べれば計画の形になります。問いがまだ1文にならないなら、シラバスを開く前にそこへ戻ります。授業の名前を並べて「幅広く学びたい」で締めた欄は、大学の名前を入れ替えても通じてしまうので、計画としては読まれにくくなります。
よくあるのは、大学のシラバスの検索画面に、授業の名前を打ち込んでいる夜という場面です。志望する学科の名前と「方言」を入れて検索すると、画面いっぱいに授業が並びます。開講の年次も、必修か選択かも、ばらばらです。とりあえず響きのよい名前を5つスマートフォンのメモに写し、志望理由書の下書きに貼りつけたところで手が止まります。並べた名前と、自分が調べたい町の言葉のことがどうつながるのか、その1文が出てこないからです。
「学びたいこと」の欄が、大学の公表した教育課程と照らして読まれやすい理由
文部科学省の令和9年度大学入学者選抜実施要項は、大学入学希望理由書や学修計画書を使う大学について、学部などの教育内容を踏まえたうえで、「入学希望理由や入学後に学びたい内容・計画、大学卒業後を見据えた目標等を記載させる」としています。欄の名前が「入学後に学びたいこと」でも「学修計画」でも、求められているのは、入学の理由と、入学後の学びの中身と計画と、卒業後の目標の3つの組です。これはいまの高3が受けている令和9年度の入試の要項で、高2が受ける令和10年度の要項はまだ出ていません。高2の人は、欄の名前と求められる項目を、その年の要項と志望校の様式で見直してください。
大学は、学校教育法施行規則 第165条の2 によって、大学や学部、学科などの単位ごとに3つの方針を定めます。卒業認定・学位授与の方針(ディプロマ・ポリシー)、教育課程編成・実施の方針(カリキュラム・ポリシー)、入学者受入れの方針(アドミッション・ポリシー)です。施行規則は、教育課程の方針を定めるときに、卒業の方針と一貫させることに特に気を配るよう求めています。要項の説明に沿えば、ディプロマ・ポリシーには育てたい人の姿と身につける力の目標が、カリキュラム・ポリシーにはそこへ向かうためにどんな教育課程でどう学ぶかが書かれます。
同じ施行規則の第172条の2 は、大学に情報の公表を求めています。3つの方針のほか、教員の数と一人一人の学位や業績、授業科目と授業の方法・内容・年間の授業の計画、学修の成果の評価と卒業の認定の基準などです。出し方は、刊行物やインターネットのように広く知らせる方法によります。高校生が「シラバス」と呼んで検索している授業ごとの頁は、この授業の計画を見る入口の一つです。
ここから、欄がどう読まれやすいかが見えてきます。読み手の手元には、自分たちが公表した教育課程があります。そこへ「様々な授業を通して専門的な知識を身につけたい」と書かれていると、公表した教育課程を読んだ跡が文の中に見つかりません。逆に、2年次に置かれた授業の名前と、その授業で扱う聞き取りの方法と、書く人の問いが1文でつながっていれば、読み手は自分たちの時間割の上で、その人の4年間を思い描けます。
教室で下書きを並べると、弱い欄には共通の手がかりがあります。大学の名前を消して別の大学の名前を入れても、1字も直さずに通ってしまうことです。「充実したカリキュラム」「少人数の授業」「幅広い教養」は、どの学科の頁にも出てきそうな言葉で、書く人がその学科を選んだ理由を運びません。アドミッション・ポリシーの言葉を言い換えて欄を埋めた下書きも、同じ所でつまずきます。アドミッション・ポリシーは入学者を受け入れる方針で、入学後に何をどの順で学ぶかの道筋は、カリキュラム・ポリシーとシラバスの側に書かれているからです。
図1のように、公表される情報と欄の3つの組は、おおよそ対応しています。教員の業績は「なぜこの大学か」の理由に、教育課程の方針と授業の計画は学びたい内容と計画に、卒業認定の方針は卒業後の目標に効きます。いちばん厚く書くのは真ん中の、学びたい内容と計画です。研究したい問いを大学で進める場所はここしかなく、きっかけの体験や高校での取り組みは、この計画を支える側に回ります。

入学後の学習計画をシラバスから組む6つの手順
学びたいことの書き方を、紙とシラバスの画面を行き来する6つの作業に分けました。かっこの中の時間は塾で練習に使う目安で、2晩に分けると、手順3と手順4の読む作業で疲れずに済みます。
- 研究したい問いと、いまの仮説を1文ずつ、A4の紙のいちばん上に書きます(10分・2文で70字前後)。方言の例なら、問いは「祖父母の町の年配の人が使う語尾を、中学生がほとんど口にしないのはなぜか」、仮説は「町の外の人と話す時間が長い世代ほど、その語尾を使う場面が狭まっている」です。書いたら、その問いが本や先行の研究ですでに答えられていないかを、図書館で確かめておきます。ここが決まらないうちにシラバスを開くと、名前の響きで授業を選んでしまいます。
- 志望する学科の3つの方針を印刷し、カリキュラム・ポリシーの中で年次の区切りを示す言葉に線を引きます(20分・印刷した方針の紙に)。「初年次」「基礎」「演習」「卒業研究」のような語です。線を引いた所の余白に「1・2年」「3年」「4年」と書き込み、ディプロマ・ポリシーの中では、卒業後の目標につなげられそうな語を1つ丸で囲みます。何年次から演習やゼミに入るかは学科ごとに違うので、ここで読み取った年次を、後の手順の物差しにします。
- シラバスの検索に、問いから取った語を3種類打ち込みます(40分・検索の画面と手元の表)。調べる物の語(方言・語尾)、調べ方の語(聞き取り・録音・調査)、見方の語(世代・変化・場面)です。出てきた授業から5〜8本を選び、下の表の左の欄に沿って、右の欄の中身を写します。同じ3種類の語で、比べるもう1つの大学の同じ分野の学科も引いておくと、どこにでもある授業と、その学科ならではの授業の見分けがつきます。
| シラバスで見る所 | 計画の表に写す中身 |
|---|---|
| 授業の名前と開講の年次 | 名前は1字も変えずに写し、何年次に取れるかを横に書く |
| 必修か選択か | 選択の授業は、自分で選ぶ理由を1行で添える |
| 授業の目的と到達目標 | 問いのどの面(語尾の形の変化か、使う場面の変化か)が進むかを1行で書く |
| 各回の授業の計画 | 問いに近い回が何回目にあるかを書き、その回の題を写す |
| 成績の評価の方法 | レポートや発表があれば、問いの下調べに使えるかを書く |
| シラバスの年度と学科 | 何年度の物か、志望する学科で取れる授業かを書く |
- 教員の紹介の頁と業績の一覧を開き、問いに近い研究をしている教員の論文や本の題を2〜3本選んで、題と、自分の仮説との違いを1行ずつ書きます(40分・同じ表の下の余白に)。違いが書けないときは、その研究をまだ読み込めていないか、問いがその研究ですでに答えられていないかを疑います。教員の名前の字と所属は、紹介の頁のとおりに写します。
- 表の授業を年次の順に並べ替え、欄の字数を割り振ります(20分・新しい紙に)。必修の授業は、問いを調べる方法が身につく物を1本選び、残りは計画の欄には書かずにおきます。割り振りは欄の大きさで変わりますが、たとえば「入学後に学びたいこと」が400字の欄として独立しているなら、塾では次の表の配分を目安にして練習します。
| 欄の中の段 | 書く中身 | 字数の目安 |
|---|---|---|
| 問いと仮説 | 研究したい問いを1文、いまの仮説を1文 | 70字 |
| 1・2年次 | 調べる方法が身につく基礎の授業を2本と、それぞれで何ができるようになるか | 100字 |
| 3年次 | 演習やゼミで問いをどう調べるか(誰に、何を聞き、どう比べるか) | 110字 |
| 4年次 | 卒業研究で何を、どんな形にまとめるか | 80字 |
| 卒業後へのつなぎ | 計画の先にある行き先を1文 | 40字 |
図2は、この割り振りを、字数に比例した長さの帯にした物です。3年次の段をいちばん長くしてあるのは、問いを自分の手で調べる時間がそこにあるからです。4年次に卒業論文や卒業研究を課すかどうかは、学科の卒業の認定の基準や履修の案内に出ているので、手順2の紙と照らしてから段を決めます。欄が独立しておらず、志望理由書の1つの本文の中に計画を書く形なら、この表の比にこだわらず、計画の段をきっかけの段より厚くすることを先に考えます。

- 下書きを書いたら、授業の名前を1つずつ指でたどり、その授業の後ろに「この授業で問いの何が進むか」の1文があるかを、声に出して確かめます(30分・下書きの紙に赤で印)。1文が無い授業には赤で丸をつけ、書き足すか、計画から外します。最後に、授業の名前・教員の名前・学科の名前の字を、シラバスと教員の紹介の頁に1つずつ照らしてから清書に移ります。
学びたいことを直す前と直した後
1組目は、計画の欄が気持ちの言葉で埋まっていた下書きです。
直す前
貴学の日本語学科では、言葉について幅広く学べると知り、強く引かれた。入学後は様々な授業を通して日本語への理解を深め、専門的な知識を身につけたい。そして将来は、言葉に関わる仕事に就いて社会に貢献したい。
弱いのは4か所です。大学の名前を入れ替えても通じること、研究したい問いが無いこと、授業の名前も年次も無いことです。最後の「言葉に関わる仕事」も、どの職場で何をするのかが読み取れません。
直した後
私は、祖父母の町で年配の人が使う語尾が、同じ町の中学生の会話では聞かれなくなりつつある理由を調べたい。仮説は、町の外の人と話す時間が長い世代ほど、その語尾を使う場面が狭まっているというものだ。1・2年次は「言語学入門」で音と語形の分け方を、「方言調査法」で聞き取りの記録の取り方を身につける。3年次からは地域の言葉の変化を研究する教員の演習に加わり、祖父母・親・中学生の3つの世代に同じ質問をして、語尾の使い方を比べる。卒業後は郷土資料館の学芸員として、町の言葉の録音を集めて残したい。
問いと仮説が先頭に来て、授業ごとに何を身につけるかが付きました。かぎかっこの授業の名前は例として置いた物です。実際の下書きでは、志望する学科のシラバスにある名前を1字も変えずに入れ、教員も名前と研究の題で書きます。
2組目は、授業の名前は調べてあるのに、並べて終わっていた下書きです。
直す前
1年次に「日本語学概論」、2年次に「日本語史」「方言学」「社会言語学」を履修し、3年次に「日本語学演習」、4年次に卒業論文に取り組む予定である。いずれも日本語を深く知るうえで欠かせない授業であり、一つ一つに全力で取り組みたい。
調べた跡はあります。ただ、なぜその授業なのか、卒業論文で何をまとめるのかが書かれていないので、学科の履修の案内を写した文と区別がつきません。
直した後
「日本語史」では、語尾の形が時代ごとにどう移ってきたかを押さえ、「社会言語学」では、相手や場面によって言葉を使い分ける見方を学ぶ。前者で語尾の形の変化を、後者で語尾を使う場面の変化を見て、町の語尾が聞かれなくなる理由を2つの面から考えたい。3年次の演習では録音を文字に起こして世代ごとに比べる手順を身につけ、4年次の卒業論文では、3つの世代の違いを1枚の地図と表にまとめる。その地図と表を、卒業後に働きたい郷土資料館で、町の言葉を伝える展示の土台にしたい。
書いた授業は5本から3本に減りましたが、1本ずつに役目が付き、2本の講義が問いの2つの面に割り当てられています。並べる授業を減らしたことで、問いと授業をつなぐ文を書く字数が生まれました。
授業の名前を書いたのに計画に見えない3つのつまずき
1つ目は、必修の授業を1年次から順に写してしまうことです。必修はその学科に入る人の多くが取る授業なので、並べても書く人の問いは見えてきません。こう変えます。問いに近い選択の授業と演習を先に決め、そこから逆算して、方法として要る必修を1本選びます。計画の書き始めが1年次の授業でなくてもかまいません。
2つ目は、教員の名前を書いて終わってしまうことです。「この先生のもとで学びたい」とあっても、その教員の研究の何が自分の問いに重なるのかが無いと、名前を知っていることしか伝わりません。こう変えます。手順4で選んだ論文や本の題を1つ挙げ、その研究が扱った地域や世代と、自分の問いとの重なりと違いを1文で書きます。重なりが書ければ、その教員のもとで問いを進める理由になります。
3つ目は、古い年度や別の学科の授業を書いてしまうことです。シラバスの検索は、年度や学部の絞り込みを外したままだと、前の年度の授業や他の学科の授業も混じって出てくることがあります。授業の名前は年度で変わることがあり、他の学科の授業を取れるかどうかは、その学科の履修の案内によります。こう変えます。手順3の表の最後の欄で、年度と学科を1本ずつ照合し、確かめられない授業は計画の柱にしません。
図3は、3つのつまずきと直し方を左右に並べた物です。どれも、授業の名前を、自分の問いと公表された事実の両方に照らす作業で直ります。

よくある質問
「入学後の抱負」と書かれた欄も、同じ書き方でよいですか
同じ組み立てで書けます。抱負という言葉に引かれて「精一杯努力したい」「何事にも挑戦したい」と決意を並べがちですが、志望理由書の抱負の書き方でも、中身は入学後にどの授業で何を進めるかです。方言の問いなら、決意の1文の代わりに、「1年次の調べ方の授業で、祖母の昔話を録音して文字に起こし、語尾の出てくる回数を数える」のように、最初に手をつける作業を書きます。欄が短いときは、問いと最初の1年の作業の2つに絞ります。
学修計画書が志望理由書と別の用紙のときは、何を分けて書きますか
志望理由書には、問いと、それを進める授業や演習の要点を2〜3文で書き、年次ごとの細かな計画は学修計画書に回します。同じ文を両方に写すと、片方の欄がもう片方の写しとして読まれやすくなります。学修計画書の側では、手順5の表のように年次ごとの段を立て、授業の名前とその授業でする作業を書きます。どちらに何を書くかの指示が様式や募集要項にあれば、その指示に合わせます。
面接やプレゼンテーションで、学びたいことの計画を聞かれたら
何をどこまで聞かれるかは大学ごとに違います。要項は、総合型選抜と学校推薦型選抜で、本人が書いた資料をプレゼンテーションなどで積極的に使うよう求めています。面接も原則として行うことになっているので、計画に書いた授業と調べ方は、自分の口で理由を言える物に絞っておきます。方言の例で「なぜ3つの世代なのか」と聞かれたら、「祖父母と中学生の2つでは、語尾が消え始めたのが親の世代なのか、もっと後なのかを見分けられないからです」と答えられれば足ります。理由の言えない授業は、提出の前に計画から外しておく方が安全です。
個別指導で確かめること
下書きと手順3の表を机に並べて向かい合い、計画の欄の授業を1本ずつ指して、その授業で問いの何が進むのかを本人の口から言ってもらいます。言葉に詰まった授業があれば、その場でシラバスの各回の計画を開き、問いに近い回を二人で探します。
それでも問いとつながらないときは、授業の表から離れて、研究したい問いの1文まで戻ります。教室で見ていると、授業の選び方より先に、問いの1文が揺れていることが計画の崩れの元になっている下書きが少なくないからです。
まとめ
公表された3つの方針もシラバスも教員の業績も、出願の前に読める場所にあります。祖父母の町の方言を、何年次のどの授業で、どの研究と比べながら調べるのか。その3つを1文ずつ欄に置けば、学びたいという気持ちは、読み手が公表した教育課程の上でたどれる4年間の道筋として届きます。
読んで終わりにするか、ここから変えるか。
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