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志望理由書で将来の夢がないとき—卒業後の目標を空けずに、学びたい問いから行き先を書く|武蔵野個別指導塾

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なりたい職業が決まらなくても、川の汚れを調べたいという問いから業界・仕事の名前・働く場所・実現したいことを順に書けば、卒業後の目標の欄は空けずに埋められます。

なりたい職業が決まっていなくても、志望理由書は書けます。夢がない人の志望理由書の書き方で変えるのは、目標の欄を書く順番です。研究したい問いがもう疑問文の1文で書けているなら、その問いの答えが使われる業界・仕事の名前・働く場所を調べ、「いまの時点の行き先」として1つ置けば、卒業後の目標の欄は埋まります。反対に、問いがまだ「〜について学びたい」で止まっているなら、目標の欄より先に問いの欄へ戻るほうが早く進みます。どちらの場合も、欄を「まだ決まっていない」の一言で閉じることはしません。夢は後から変わってかまいません。書類に要るのは夢の大きさではなく、問いから行き先へ続く筋道です。

よくあるのは、放課後の進路指導室で、「将来の目標」と印刷された欄の前で10分ペンが動かない場面です。上の欄には「川の水の汚れと流域の暮らしについて学びたい」と書けています。高校の探究で、学校の裏を流れる支流の水を月に1回くみ、色とにおいを記録してきた人です。それでも「将来」の2文字で手が止まり、「人の役に立つ仕事がしたい」と書いては消します。机の端では、消しゴムのかすが小さな山になっていきます。

夢がないのではなく、問いと行き先がまだ結ばれていない

「将来の目標」の欄で手が止まるとき、目標を「なりたい職業の名前を1つ言い当てること」だと受け取っていることがよくあります。職業の名前が浮かばないから、欄に何も書けないと感じるわけです。けれども、この欄に書くのは夢の告白ではありません。文部科学省の令和9年度の実施要項は、大学入学希望理由書や学修計画書で大学が書かせる中身の1つに、大学を出た後を見据えた目標を挙げています。「見据えた」ですから、出願の時点で行き先を言い切れていなくても、4年間の学びがどちらへ向かうかの見通しを書く欄だと読めます。

この欄を「まだ決まっていない。大学で見つけたい」で閉じると、読み手には、上の欄に書いた問いが大学の中で終わり、外の暮らしのどこにもつながっていないように読めます。川の汚れを4年間調べた先で、その答えをだれに渡すのかが書類から消えるからです。「人の役に立つ仕事」「環境に関わる仕事」と書いても同じことが起きます。この言い方は、経済を学ぶ人の書類にも、看護を学ぶ人の書類にもそのまま入ります。書いた人の問いが一語も入っていない文は、その人の目標として受け取られにくくなります。

職業の名前を急いで1つ書くと、今度は別の崩れ方をします。川の問いを書いた人が、周りの大人に勧められた職業を目標の欄に書くと、上の欄と下の欄の間に橋がありません。大学で学ぶことと卒業後の仕事が自然につながっていない書類は、どちらの欄も借り物のように見えます。志望理由書に夢を書くつもりで欄に向かうと、この二つの崩れ方のどちらかに寄りやすくなります。

塾で下書きを並べて見ると、目標の欄で止まる人の書類は、問いの欄が「〜について学びたい」という名詞の形で終わっていることがよくあります。名詞の問いからは、名詞の行き先しか出てきません。「川の汚れ」から出てくるのは、せいぜい「環境の仕事」です。ところが問いを疑問文にすると、その答えを欲しがる人の顔が見えてきます。「上流の暮らしの変化は、支流の水の汚れにどう表れるのか」と書いたとします。その答えを使いたいのは、家庭の排水を集める下水道の担い手であり、川の水を測る人であり、田畑に肥料をまく農家です。行き先は、問いの答えを受け取る側に立ったときに見つかります。

図1のように、夢から逆算する書き方は「なりたい職業」の箱で止まり、学部も問いも決まらないまま時間が過ぎます。問いから順に書く方は、研究したい問い、大学で学ぶこと、卒業後の行き先の順に進むので、最初の箱がもう書けている人なら途中で止まりません。行き先の箱に入れるのは、業界・仕事・場所の3つと、そこで実現したいことです。

図1 職業名から逆算せず、研究したい問いから卒業後の行き先へ順に書く

ここで置く行き先は、いまの時点の物です。一生の職業を決める欄ではなく、出願の日にいちばん筋の通る行き先を1つ選んで書く欄だと考えると、ペンが動きます。仮にでも1つ置くと、その場の仕事を調べる理由ができ、問いの欄の言葉も具体になっていきます。

研究したい問いから卒業後の行き先を置く4つの手順

卒業後の目標の書き方は、下の4つの手順で進めます。1回目は合わせて40分ほどかかります。紙は、志望理由書の下書きとは別に、A4の白い紙を1枚用意します。清書の欄に直接書くと、消した跡が気になって候補どうしを比べられなくなるからです。

手順1 問いを疑問文の1文に直す(5分・紙の1行目)

「〜について学びたい」を、「〜は、〜なのか」という疑問文に書き直します。川の例なら「上流の暮らしの変化は、支流の水の汚れにどう表れ、何を変えれば減らせるのか」で、40字に届かない長さです。そのすぐ下に、いまの時点の仮説を1行足します。「下水道につながっていない家が残る地区の支流ほど、汚れが下がりにくいのではないか」のように、探究の記録や自分で読んだ本の範囲で言える見通しを書きます。仮説が書けると、その答えを確かめる人と、答えを使う人が分かれて見えてきます。

手順2 問いの答えを使う場を3つ書き出す(10分・紙の余白に3行)

「この答えが出たら、だれが次の日から使うか」を考えて、3行書きます。川の問いなら、たとえば次の3つです。

3つにするのは、1つでは最初に浮かんだ物がそのまま目標になり、比べずに決めたことになるからです。3つ並べると、「集める」「測る」「元を減らす」のように、同じ問いでも関わり方がいくつもあると見えてきます。2つしか出ないときは、手順1の疑問文の言葉を1つずつ指さし、「この言葉に毎日向き合っている仕事は何か」と聞き直します。「排水」を指せば下水道、「汚れ」を指せば水質の測定、「上流の暮らし」を指せば田畑と家庭が出てきます。

手順3 1つを選び、4つの欄を埋める(15分・表1の形で)

3つのうちから、手順1の仮説をいちばん近くで確かめられる場を選びます。下水道につながっていない家についての仮説なら、近いのは市の下水道の部署です。選んだら、表1の4つの欄を左から埋めます。右端の列は、その欄を埋めたつもりで止まりやすい言い方です。

欄 書く中身 川の問いの例 止まりやすい言い方
業界 問いの答えが使われる仕事の広い分野 上下水道 環境に関わる仕事
仕事の名前 その分野で自分が受け持つ役 水質の技術職 人の役に立つ仕事
働く場所 どんな組織の、どの部署か 市の下水道の部署 地元で働きたい
実現したいこと その場で、問いの答えを使って変えたいこと 支流の排水を減らす きれいな川を守りたい

図2のように、4つの欄は1つの問いから枝分かれします。欄どうしをつなぐのではなく、どの欄も問いに戻って確かめられるかを見るのがこの形の役目です。「水質の技術職」と書いたら、その仕事が手順1の疑問文のどの言葉に毎日向き合うのかを言えるか、口に出して試します。

図2 研究したい問いから業界・仕事の名前・働く場所・実現したいことへ枝分かれする4つの欄

働く場所の欄は、組織の種類と部署まで書きます。調べるときは、その組織が出している仕事の紹介や採用の案内を開き、部署の名前と、そこで毎日している仕事の中身を読みます。調べた組織の名前は、書類に書くかどうかとは別に、紙の端にメモしておきます。面接で「どこで働きたいのですか」と聞き返されたとき、そのメモが答えの元になります。

実現したいことの欄は、どの川の、どの範囲で、何を変えるかまで書くと、抽象的な言い方から抜けられます。「きれいな川を守りたい」は気持ちの言葉で、「学校の裏の支流に流れ込む家庭の排水を減らす」は、手で触れられる目標の言葉です。

手順4 学びとの橋を1文書き、字数を割り振る(10分)

最後に、「大学で学ぶ〇〇は、〇〇の仕事で〇〇に使う」という形の1文を書きます。川の例なら「大学で学ぶ水質の測り方と地域の調べ方は、下水道の技術職として、どの地区の排水から手を付けるかを決めるときに使う」です。この1文が書けない行き先は、問いとつながっていません。そのときは手順2の別の候補に戻ります。

橋が書けたら、志望理由書の全体のうち、目標に何字を使うかを決めます。字数や欄の分け方は大学の様式で違います。表2は、たとえば800字を1枚で書くときの、塾で練習に使う割り振りの目安です。

部分 書く中身 目安の字数
冒頭 志望の理由と研究したい問いをひとことで 150字
きっかけ 問いが生まれた体験 150字
取り組み 高校で問いを調べたこと 150字
学ぶこと 入学後に問いをどう学ぶか 250字
卒業後 いまの時点の行き先と、学びとの橋 100字
合計 800字

卒業後に100字なら、表1の4つの欄と橋の1文を、2〜3文に縮めて入れます。いちばん厚くするのは学ぶことの部分で、目標は問いの行き着く先を短く示す役です。様式の中で目標の欄が独立していて、別に字数があるなら、4つの欄を1文ずつと橋の1文で形になります。いま高2なら、出願する年の要項はまだ出ていないので、欄の名前と字数は、その年の要項と出願先の様式が出てから表2を組み替えます。

卒業後の目標の書き方を、直す前と直した後で比べる

川の問いを書いた人の目標の欄で、2組を比べます。直した後はどちらも、表2の卒業後の100字に近い長さに収めました。1組目は、「まだ決まっていない」で閉じた形です。

直す前 将来の夢はまだ決まっていない。大学で学ぶ中で、自分に合った道を見つけたいと考えている。どのような道に進んでも、川の勉強を生かして人の役に立つ仕事がしたい。そのために、大学では幅広い分野を学び、視野を広げたい。

弱いのは3か所です。行き先が無いまま欄が終わっていること、「人の役に立つ仕事」が表1の右端の言い方そのままであること、そして「幅広い分野を学び」と書いたせいで、上の欄で立てた川の問いが目標の欄から消えていることです。

直した後 いまの時点の目標は、市の下水道の部署で水質の技術職に就き、学校の裏の支流に流れ込む家庭の排水を減らすことだ。大学で学ぶ水質の測り方と地域の調べ方を、どの地区の排水から手を付けるかを決める場面で使いたい。

「いまの時点の」の6字で、変わる余地を残しながら欄を閉じています。業界は「下水道」の語で、仕事の名前と働く場所と実現したいことは1文目で、橋は2文目で書きました。

2組目は、「環境に関わる仕事」で止まった形です。

直す前 卒業後は環境に関わる仕事に就き、川をきれいにすることで社会に貢献したい。探究で川の水を調べた経験を生かし、自然と人が共に生きられる社会を目指して、どんなに大変でも努力を続けていきたい。それが私の夢である。

業界が広すぎて、働く場所が書かれていません。実現したいことも「社会に貢献したい」「努力を続けていきたい」という気持ちと決意で終わっていて、何が変わるのかが見えません。最後の「それが私の夢である」は、目標の欄を夢の欄に引き戻してしまっています。

直した後 いまの時点では、川や工場の排水を測る調査の会社で、水質の分析を受け持ちたい。測った値を役所への報告で終わらせず、流域の町内会に説明する場を作り、どの家の台所から何が流れているかを住民が自分で確かめられるようにしたい。

1組目と2組目で、行き先が違っています。同じ川の問いから2つの行き先が出てくるのは、手順2で3つの場を並べたからです。どちらを清書に使うかは、手順1の仮説をより近くで確かめられる方で決めます。

卒業後の目標の欄でつまずく3つの書き方

1つ目は、「決まっていない」と正直に書いて、そこで終わってしまう書き方です。決まっていないこと自体は隠さなくてかまいません。こう変えます。「まだ決まっていない」を消して「いまの時点では」と書き出し、その後ろに表1の4つの欄を置きます。正直さは「いまの時点では」の一言で足ります。

2つ目は、家族に勧められた職業や、名前を知っている職業を、問いと関係なく書いてしまう書き方です。職業の名前が入ると欄が埋まったように見えるので、気づきにくい崩れ方です。こう変えます。手順4の橋の1文を、その職業で書いてみます。「大学で学ぶ水質の測り方は、〇〇の仕事で〇〇に使う」の〇〇が埋まらないなら、その職業は外し、手順2の3行に戻ります。

3つ目は、夢を語るつもりで目標の部分を厚くし、学ぶことの部分が痩せてしまう書き方です。図3の上の帯は、800字のうち卒業後に250字、学ぶことに100字を使った下書きです。冒頭・きっかけ・取り組みは150字ずつで、合計は800字です。卒業後の部分が長くなるほど、川の問いを大学でどう調べるかを書く場所が削られます。こう変えます。図3の下の帯のように表2の割り振りへ戻し、学ぶことを250字、卒業後を100字にします。卒業後の部分から削るのは、「〜したい」の繰り返しと、問いの語が入っていない文です。

図3 目標を厚くした下書きと、学ぶことを厚くした割り振りの帯

よくある質問

書いた目標と違う道に進んだら、うそを書いたことになりますか

なりません。書類の目標は出願の時点での見通しで、大学で学ぶうちに変わるのは自然なことです。うそになるのは、調べていない行き先を、調べたかのように書いたときです。働く場所の欄に書いた部署の仕事の中身を自分の言葉で説明できるなら、後で道が変わっても、出願の日には本気の目標だったと言えます。

面接で「本当にその仕事に就きたいのですか」と聞かれたら、どう答えますか

総合型選抜と学校推薦型選抜では、志望する分野への意欲などを面接で確かめることが原則になっているので、目標の欄は口で聞き返される前提で書きます。答えるときは、変えないものと変わりうるものを分けて言います。たとえば「支流の汚れと流域の暮らしの関係を確かめたいという問いは変えません。いまは下水道の技術職を考えていますが、学ぶうちに汚れの元を減らす農業の側が合うとわかれば、そちらへ移ります」と答えれば、迷いを隠さずに筋道を示せます。

卒業後の進路の欄に「大学院に進む」と書いてもよいですか

書いてかまいません。大学院への進学も、卒業後の進路の書き方の1つです。ただし「大学院に進む」で止めると、「まだ決まっていない」と同じで行き先が見えません。大学院で何を確かめ、その後どの業界のどんな場でそれを使うかまで、1〜2文で足します。欄の見出しが「将来の職業」なのか「卒業後の進路」なのかで書く中身が変わるので、出願先の様式の見出しを先に読みます。

個別指導で確かめること

1対1で目標の欄を見るときは、まず問いの欄を声に出して読んでもらい、それが疑問文になっているかを確かめます。次に手順2の3行を書いた紙を出してもらい、選んだ1つに橋の1文がかかっているかを見ます。

橋が書けていなければ、目標の欄を直す前に手順2まで戻ります。問いの欄がまだ名詞のままなら、さらにその手前の、探究の記録を一緒に読み直す所まで戻ります。行き先の候補を講師が決めることはしません。

まとめ

夢の欄が白くても、目標の欄まで白くする理由はありません。問いを疑問文にし、答えを使う場を3つ並べ、1つを4つの欄で書き、学びとの橋を1文かければ、欄は「いまの時点の行き先」で閉じられます。目標の欄に書く行き先は、遠い夢の中ではなく、川の水を集め、測り、汚れの元を減らそうと働く人たちの机の上にあります。

読んで終わりにするか、ここから変えるか。

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