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志望理由書に強みや性格を書くとき—自己PRにしない長所の入れ方と、短所を聞かれたら|武蔵野個別指導塾

「私の強みは粘り強さです」の1行を、古い写真の裏書きを名簿と照らし合わせた場面と研究したい問いにつなぎ直せば、志望理由書に入れる強みを1つに絞れます。
志望理由書に強みを入れるなら、研究したい問いを進める力として1つに絞り、その力が出た場面を1つ添え、入学後の学びのどこで使うかまで書きます。「粘り強さ」「協調性」の語を置いて終わる一文や、部長・皆勤・展示の責任者を並べた実績の一覧は、志望の理由の代わりになりません。様式に長所や短所の欄があるならその欄の問いに合わせ、短所を書くよう求められたら、困った場面と、いま続けている直し方を組にして書きます。活動報告書が別にあるなら、実績はそちらに預け、志望理由書では繰り返しません。
よくあるのは、下書き用紙のまん中に「私の強みは粘り強さです」と書いたきり、その1行を見つめて手が止まっている場面です。前の段には、祖父の家で古い写真の束を見つけたきっかけが書いてあり、後ろの段には大学で学びたいことが書いてあります。その間に、急に人柄の話が割り込んでいます。書いた本人も、この1行が浮いていることには気づいています。足りないのは言葉の強さではなく、この1行を前後の段につなぐ糸のほうです。
「私の強みは粘り強さです」の1行が、志望理由書の中で浮いてしまう理由
志望理由書は、自分を売り込む自己PRの書類とは組み立てが違います。中心にあるのは、なぜその分野をその大学で学ぶのか、入学後に何を確かめたいのか、卒業後にどこでそれを使うのか、という志望の筋です。中でもいちばん厚く書くのは、大学で取り組みたい問いの部分です。教室で下書きを読むときも、最初に探すのは研究したい問いの一文で、強みの段はその後に読みます。問いが立っていない書類の中の「粘り強さ」は、何に向けた粘り強さなのかがわからないまま、読み手の前に置かれることになります。
性格の語には、もう一つの弱さがあります。「粘り強い」「協調性がある」「リーダーシップがある」は、書く人が違っても同じ形で書けてしまう語です。紙の上に場面が無ければ、読み手には確かめようのない自己評価として受け取られやすくなります。反対に、卒業アルバムの集合写真に写る人の名前を当時の名簿と照らして一人ずつ書き出した、という場面が一つあれば、その人が何を苦にしないのかは「粘り強さ」と書かなくても伝わります。語を先に掲げて場面で裏付けるのではなく、場面を読んだ人の頭の中に語が浮かぶ順番です。
三つ目は置き場所です。教室に持ち込まれる下書きでは、強みの段が「きっかけ」と「大学でしたいこと」の間に独立した段落として挟まり、前後どちらにもつながっていない形をよく見ます。その段の最後が「この粘り強さを生かし、貴学でも何事にも全力で取り組みたい」で終わっていると、何にどう生かすのかが書かれないまま次の段へ移ってしまいます。図1のように、自己PRの形では強みが真ん中にあり、実績・性格・長所がその周りを固めます。志望理由書の形では、きっかけから研究したい問い、入学後の学び、卒業後の行き先へと筋が通ります。強みはその筋の外に立ち、問いを進める力として矢印を向けています。

人からの評価が別の紙に載る入試もあります。文部科学省の令和9年度の実施要項は、学校推薦型選抜の推薦書に、本人の学習や活動の歩みをふまえた評価を書いてもらうよう大学に求めています。高校の先生がその役を担う書類があるなら、志望理由書の中で自分をほめる言葉を重ねる理由は、なおさら薄くなります。強みは「ほめる言葉」としてではなく、「問いを進めるための道具」として1つ置けば足ります。
志望理由書の強みの書き方—1つに絞り、場面と問いにつなぐ6つの手順
手順は、強みの語を考えるところからではなく、研究したい問いを紙に書くところから始めます。問いが先にあれば、どの力を書くかは問いの側から決まるからです。用意する物は、出願書類の様式、A4の白い紙1枚、下書き用紙の3つです。6つの手順を通すと、たとえば合わせて60分ほど、短所の欄が無ければ45分ほどを目安にしています。
- 欄を確かめる(5分)。募集要項に付いている出願書類の様式を開き、志望理由書のほかに、活動報告書、自己推薦書、長所や短所を書く欄があるかを見ます。見つけた欄の名前と字数を、A4の紙の上の端に書き写します。強みをどこに書くかは、この一覧で決まります。長所の欄が別にあるなら、志望理由書の中に強みの段を作る必要は小さくなり、欄が無いなら、志望理由書の中に1〜2文で入れることになります。どの欄があるかは大学ごとの様式で違うので、先輩の書類や前の年の様式を当てにせず、自分が出す年の様式で見ます。
- 問いと力を書く(10分)。同じ紙のまん中に、研究したい問いを1行で書きます。たとえば「家庭に眠る古い写真は、撮った人の記憶が薄れる前に、どんな情報と一緒に残せば、後の人が読める記録になるのか」です。問いの下には、いまの時点の見当も短く添えます。写真そのものより先に、裏の書き込みや撮った場所の情報のほうが失われていくのではないか、といった仮の答えです。そのうえで、この問いを進めるのに要る力を3つ書き出します。資料を何日も比べ続ける力、持ち主から話を聞き出す力、決めた手順を最後まで続ける力、のように、性格の語ではなく作業の言葉で書きます。
- 1つに絞る(5分)。3つの力のうち、自分の場面を一つ思い出せる物に丸を付け、思い出せない物は線で消します。丸が二つ以上残ったら、問いにいちばん近い物を選びます。強みを2つ書きたくなっても、志望理由書では1つにします。選ばなかった力は紙の端に控えておき、面接や長所の欄で使います。
- 場面を書く(15分・2回)。選んだ力が出た場面を、「いつ」「何を」「どれだけ」「何が変わったか」の4つの欄に分けて、下書き用紙に書きます。1回目は字数を気にせずに書き、2回目に60〜80字の一文か二文に縮めます。「どれだけ」の欄には、枚数や日数のような数を入れます。数があると、読み手は作業の大きさを自分で思い描けます。「何が変わったか」の欄が空いたままなら、その場面は強みの証拠としてまだ弱いので、手順3に戻って別の力を選び直します。保護者の方がお子さまの場面探しを手伝うなら、「長所は何か」と聞くより、「何をしていて夕飯に遅れたか」のように、時間を忘れていた場面を聞くほうが材料が出てきます。場面の文を生成AIに整えさせると、誰にでも当てはまる言い回しに戻ってしまうので、自分の言葉のまま残します。
- 学びにつなぐ(10分)。場面の文の後に、その力を入学後の何で使うのかを1文で書きます。資料の整理のしかたを学ぶ授業や、聞き取りの調査をする演習など、学びたい中身の側へ向けて書きます。書けたら、強みにかかわる部分の字数を数えます。塾で練習に使う目安では、たとえば800字の志望理由書なら80〜120字ほど、全体の1割から1割5分ほどに収めます。それを超えたときは、強みの文を削る前に、問いと学びの段が痩せていないかを確かめます。
- 短所は組で書く(欄があるとき・15分)。様式に短所の欄があるときや、短所を書くよう求められたときは、この手順を足します。志望理由書の短所の書き方は、「短所の語」「それで困った場面」「いま続けている直し方」「大学の学びで気をつけること」の4つを組にするのが基本です。選ぶ短所は、研究したい問いを進める作業の中で実際に困った物が向いています。直し方まで書けていれば、短所の欄は、自分の作業を見直せる人だと伝える材料になります。
図2は、この6つの手順を並べた物です。手順1から5が強みの段を作る流れで、点線で囲んだ手順6は、短所の欄があるときに足します。矢印の順に進めば、強みの語を考え始める前に、問いの1行がもう紙の上にある形になります。

手順2と手順4で迷いやすいのが、性格の語を作業の言葉に直すところです。古い写真や記録の保存を問いにした人なら、よく使われる語は、たとえば次のように言い換えられます。
| 性格の語 | 紙に書く場面の例 | 問いのどこで使うか |
|---|---|---|
| 粘り強さ | 読めない裏書きを、古い名簿と何日も照らし合わせた | 写真の書き込みを読み取る所 |
| 協調性 | 班で撮影年を推し量る役を分け、食い違いをすり合わせた | 聞き取りを人と分けて進める所 |
| リーダーシップ | 部室に残る記録の引き継ぎ方を決め、次の代に手順を渡した | 記録を残す決まりを考える所 |
| ていねいさ | 写真1枚ずつに番号と日付の札を付けた | 写真の一覧を作る所 |
「協調性」「リーダーシップ」は、表の右の2つの欄が埋まってはじめて、志望理由書の中で働く語になります。真ん中の欄の場面が書けていれば、左の欄の語そのものは書かずに済むこともあります。
手順1で書き写した欄の一覧を見ながら、どの書類に何を置くかも分けておきます。文部科学省の令和9年度の実施要項は、活動報告書には、高校までの学習や活動の歩みがわかるように、探究の時間などの課題研究や学校の内外の活動を書いてもらうとしています。部長を務めたことや検定に受かったことの受け皿はそちらで、志望理由書は、その活動の中から生まれた問いを書く場所です。
| 書類や欄 | 書くこと | 繰り返さないこと |
|---|---|---|
| 志望理由書 | 問いを進める力を1つと、その場面 | 実績の一覧、性格の語の並び |
| 活動報告書 | 課題研究や活動の中身と期間 | 志望の理由の言い直し |
| 自己推薦書や長所の欄 | 様式の問いに合う長所と、その場面 | 志望理由書と同じ文 |
| 短所の欄 | 短所と困った場面と直し方 | 長所への言い換え |
同じ場面を2つの書類に書くときは、活動報告書には何をしたかを、志望理由書にはそこから何を考えたかを書き分けます。同じ文が2枚に並ぶと、読み手には、書ける材料が1つしか無いように見えてしまいます。
強みと短所の段を、直す前と直した後で比べる
どちらの組も、古い写真や記録の保存を研究したい問いにした志望理由書から、強みと短所の部分を抜き出した、たとえばの下書きです。
直す前(強みの段)
私の強みは粘り強さである。写真部では3年間一度も活動を休まず、部長も務めた。文化祭では展示の責任者として、最後まで準備をやり遂げた。英語の検定にも挑み、目標にしていた級に合格した。この粘り強さを生かし、貴学でも何事にも全力で取り組みたい。
強みの語の後に続くのは役職と出席と検定の記録で、粘り強さが出た場面はどこにもありません。部長も展示の責任者も、何に粘ったのかを教えてくれない名前です。最後の「何事にも全力で」は、研究したい問いとも入学後の学びともつながらず、どこの書類にもそのまま書ける一文になっています。
直した後(強みの段)
祖父の家から出てきた古い写真のうち、撮った年のわからない60枚を、裏の鉛筆の書き込みと町内会の古い名簿で照らし合わせ、2週間かけて40枚の撮影年の見当をつけた。手がかりの薄い資料を比べ続ける作業は苦にならない。入学後はこの力を、写真に付いた書き込みや撮った場所の情報をどう記録に残すかを学ぶ演習で使い、卒業後は郷土資料館で、家庭から寄せられる写真を受け入れて整理する仕事に就きたい。
「粘り強さ」という語は消えましたが、60枚と2週間という数と、名簿と照らし合わせる手の動きから、何を苦にしない人なのかが読み取れます。強みそのものは「苦にならない」の一句に縮め、すぐに入学後の演習と卒業後の仕事へつないでいます。部長の肩書きは、活動報告書の欄に回せば消えずに済みます。
直す前(短所の欄)
私の短所は心配性なところだ。周りの友人からも、慎重すぎるとよく言われる。しかし、心配性は慎重さという長所でもあり、物事をていねいに進められる点では、むしろ強みだと考えている。大学でも、この慎重さを生かして学びに取り組みたい。
短所を聞かれているのに、三文目で長所に言い換え、最後は「生かして」と強みの話で締めています。困った場面も、直すためにしていることも書かれていないので、欄の問いに答えたことになりません。読み手には、短所を書くのを避けた形と受け取られやすくなります。
直した後(短所の欄)
私の短所は、一つの作業を確かめすぎて先へ進めなくなることだ。地域の古い記録を文化祭の展示用に書き写したとき、読めない字が気になって1日に2枚しか進まず、締め切りの前の週に班の仲間に作業を分けてもらった。それからは、読めない字を付箋に書き出して後回しにし、1日の終わりにまとめて調べる順に変えている。記録の保存を大学で学ぶときも、確かめる手間と進める速さの釣り合いを、自分の作業の決まりとして持っておきたい。
手順6の4つの組、つまり短所の語、困った場面、いま続けている直し方、大学の学びで気をつけること、が順に並んでいます。「心配性」という語を使わなくても、確かめすぎる癖が場面から見えます。しかも、その癖は記録を扱う作業の中で出た物なので、短所の欄が、研究したい問いの話とつながっています。
強みを並べる、実績で証明する、短所をかわす—3つのつまずき
塾の机に広げられる下書きで、強みと短所の部分が崩れるときは、たいてい次の3つのどれかです。
つまずきの1つ目は、強みを3つ並べてしまうことです。粘り強さも協調性も好奇心も、と書きたくなる気持ちはわかります。けれど、3つの強みに60〜80字の場面を1つずつ添えると、それで200字前後になり、問いと学びの段が押し出されます。直し方は、1つに絞ることです。手順3で丸が残った力のうち、問いにいちばん近い物を選び、残りは長所の欄や面接で話す側に回します。
2つ目は、実績を並べて強みの証明にしてしまうことです。部長、3年間の皆勤、展示の責任者。役職と記録は事実として正しくても、いくつ並べても、何を考えた人なのかは見えてきません。直し方は、実績から出た問いを書くことです。写真部の部長だったなら、部室の棚に残っていた、誰が撮ったのかわからない古いネガの扱いに困ったこと、そこから「持ち主のわからない写真を、何を手がかりに残すのか」という問いが生まれたことを書きます。肩書きと記録の受け皿は、活動報告書の欄です。
3つ目は、短所を長所に言い換えてしまうことです。「特にない」と書くのも同じ型で、どちらも、欠点を見せたら不利になるという心配から出てきます。これを直すには、短所を直し方と組にします。手順6の4つの組で書き、選ぶ短所は、朝が弱い、部屋が片づかないといった暮らしの癖より、問いを進める作業の中で困った物にします。直し方は「直した」と過去の話で言い切らず、いま続けているやり方として書きます。面接でその後を聞かれても、話がそこで途切れないからです。
図3は、3つのつまずきと、それぞれの直し方を左右に並べた物です。左の欄の形に心当たりがあれば、右の欄の手を一つずつ当ててみてください。

よくある質問
志望理由書に性格を書く欄が無いとき、性格には触れなくてよいですか
触れなくてかまいません。欄の無い様式なら、性格を独立した段にする必要はなく、問いを進める作業の場面から人柄が読み取れれば足ります。志望理由書での性格の書き方は、場面の文の後に1文を添える程度にとどめます。たとえば「人と話すのが好き」という性格なら、写真の持ち主のお年寄りに、撮った日のことを聞き取りに行った場面に置き換えたほうが、問いの段とつながります。
志望理由書に適性を書くように言われたら、強みと何を変えればよいですか
適性は、その学問に向いていることを示す言葉なので、性格の語ではなく、続けてきた作業の事実で書きます。たとえば記録の保存を学びたい人なら、図書委員として学校に残る古い文集を年ごとに並べ直し、欠けている号を一覧にした、という作業がそのまま適性の材料になります。「向いていると思う」と書く前に、向いていることが読み手に見える作業を一つ置きます。適性という語で何を書かせたいのかは様式の問いの文に表れているので、その文の言葉に合わせて書き出します。
面接で短所を聞かれたら、志望理由書に書いたのと違う短所を話してもよいですか
総合型選抜と学校推薦型選抜では、志望する分野への意欲や適性を見る面接を、要項が原則として行うよう求めているので、書類と面接の話が食い違わないように準備しておきます。短所を書類に書いたなら同じ短所を選び、直し方がその後どこまで続いているかを足して話します。書類に短所の欄が無かったなら、問いを進める作業の中で困ったことを一つ選ぶと、志望理由書の話と自然につながります。別の短所を話すこと自体は誤りではありませんが、書類と違う物を選んだ理由まで話せる物にしておきます。
個別指導で確かめること
講師と1対1で下書きを読むときは、強みの一文の前と後ろを、指でたどりながら確かめます。前の段のきっかけから来ているか、後ろの段の学びへ渡っているか。どちらかが切れていれば、手順2のA4の紙に戻り、問いの1行と3つの力を書き直すところから始めます。
短所の欄がある人には、書いた直し方がいまも続いているかを聞きます。続いていなければ、続けられる大きさのやり方に書き換えるところまで、その場で進めます。
まとめ
強みの段で読み手に渡すのは、性格の名前ではなく、問いに向かって手を動かした跡です。押し入れから出てきた写真の束を前に、色あせた裏書きを古い名簿と1枚ずつ照らし合わせた日々が書けたなら、「粘り強さ」という語は消してしまってかまいません。
読んで終わりにするか、ここから変えるか。
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