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中学生の理科の家庭学習—用語を写して終わらせず、図と実験の手順を家で書けるようにする|武蔵野個別指導塾

用語を色ペンで写したのに、実験の図を聞かれて黙る。そんな中2の夜に、教科書の図を見ずに描く、手順と結果を3行で書く、計算を1問解く、の15分を回す順番と、親がかける言葉を並べています。
中学生の理科の家庭学習は、用語を写す時間を短くして、その分を「教科書の図を見ずに描く」と「実験の手順と結果を3行で書く」に回すと、授業の中身が家で残るようになります。写すのは目で追う作業で、正しい答えがずっと目の前にあります。描くのと書くのは、頭の中から取り出す作業です。授業のあった日の夜に、図を1枚、手順を3行、用語を1つ自分の言葉で、計算を1問。この順で15分を回します。今夜の最初の一手は、白い紙を1枚と、今日の授業で開いた教科書の頁を机に出すことです。
よくあるのは、理科のノートに用語を赤・青・緑の色ペンで丁寧に写した中2が、「今日の実験、どんな道具を使ったの」と聞かれて黙ってしまう、という場面です。頁には「熱分解」「石灰水」「塩化コバルト紙」と整った字が並び、蛍光ペンの線まで引いてあります。ところが、試験管をどちら向きに傾けたのか、ガラス管の先をどこに入れたのかを聞くと、鉛筆が止まります。机に向かっていた時間は短くありません。それでも、頭の中には実験の絵が一枚も残っていないのです。
色ペンのノートが埋まっても、実験の図が描けないわけ
中学校の理科は、国の学習指導要領で、物質やエネルギーを扱う第1分野(物理と化学にあたる内容)と、生命や地球を扱う第2分野(生物と地学にあたる内容)に分けて示されています。どちらの目標にも観察と実験が書き込まれていて、授業は用語を覚えるより先に、見て、確かめて、説明するほうへ組み立てられています。家の勉強が用語を写すだけで止まると、授業の向きと家の勉強の向きが、そこで食い違います。
ノートが埋まっているのに図が描けないとき、子供の側で起きていることは、次の四つに分けて見ると手がかりがつかめます。どれか一つに決めつけず、お子さまの手が止まる場所がどれに近いかを見てください。
一つ目は、写すことと思い出すことの取り違えです。写している間、正しい字は教科書の上にずっとあります。目は字の形を追い、手はそれをなぞります。きれいなノートができるほど、本人は「やった」と感じますが、教科書を閉じたときに頭から出てくる量とは別の物です。
二つ目は、用語が図から切り離されていることです。「石灰水が白くにごる」を一つの語のかたまりとして覚えていても、それが図のどの試験管で、何が通ったあとに起きたのかと結びついていないと、問いの形が少し変わっただけで出てこなくなります。理科の用語は、図の中の置き場所とセットになって、ようやく使える道具になります。
三つ目は、手順の「なぜ」が抜けていることです。炭酸水素ナトリウムを加熱する実験では、試験管の口を少し下げます。出てきた液体が熱い底のほうへ流れ戻ると、試験管が割れるおそれがあるからです。火を消す前にガラス管の先を石灰水から抜くのも、液が試験管へ逆流するのを防ぐためです。理由を知らないまま覚えた手順は、並べる順番を一つ入れ替えられただけで崩れます。
四つ目は、計算に入る前の言葉の置き換えです。「密度は質量を体積で割ったもの」と言えても、問題文に並んだ数字のどれを割られる側に置くかを決められず、止まる子がいます。式を言葉で書く段が飛ばされていると、数字だけが宙に浮きます。
図1のように、「わかった」には三つの段があります。いちばん下が、用語を写せる段。その上が、例を付けて、用語を自分の言葉で言える段。いちばん上が、教科書を閉じて図と手順を書ける段です。家庭学習で目指すのは、このいちばん上の段です。色ペンのノートは、いちばん下の段を丁寧に固めた状態にあたります。色ペンをやめる必要はありません。写したところで家の勉強が終わっていることが、ずれの元です。

授業のあった日の夜に回す、15分の手順
手順は、授業のある普段の日の夜と、週末に分けてあります。使う物は、白い紙(コピー用紙か、ノートの使っていない頁)、今日の教科書の頁、授業で配られたプリント、それに赤のペン1本です。色ペンは直しに使う赤だけにします。
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始める前の1分で、今日の頁を開く。お子さまに「今日は何を習ったの」と聞くより、「今日、理科の教科書は何頁を開いた?」と聞きます。中身を聞かれると「いろいろ」で終わりがちですが、頁の数なら答えが一つに決まります。頁を開いたら、その見開きの中でいちばん大きな図に指を置いてもらいます。今夜描くのは、その1枚です。
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図を見ずに描く(5分)。指を置いた図を30秒だけ見て、教科書を閉じ、白い紙の上半分に描きます。上手に描く必要はありません。試験管は細長い四角、ガスバーナーは台形で足ります。見るのは「向き」「つながり」「名前」の三つだけです。描き終えたら教科書を開いて見比べ、抜けていた所を赤で書き足します。冒頭の中2の場面なら、試験管の口が下がっているか、ガラス管の先が石灰水の中に入っているか、口の近くの液体を調べる塩化コバルト紙が描かれているか、の三つを見ます。赤が多く入った夜ほど、その日の授業で頭に残っていなかった所がはっきりします。
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実験の手順と結果を3行で書く(4分)。同じ紙の下半分に、1行目は「何をしたか」、2行目は「何が起きたか」、3行目は「そこから何がいえるか」を書きます。炭酸水素ナトリウムの実験なら、1行目は「炭酸水素ナトリウムを試験管に入れて加熱し、出てきた気体を石灰水に通した」。2行目は「石灰水が白くにごり、試験管の口の近くについた液体で、塩化コバルト紙が青から赤(桃色)に変わった」。3行目は「加熱すると、炭酸水素ナトリウムは二酸化炭素と水と、別の白い物質に変わった」。余裕のある夜は、手順の中から一つだけ選び、「なぜそうするか」を4行目に足します。実験の無い授業の日は、教科書の図の説明文を自分の言葉で3行に言い直します。
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用語を一つ、自分の言葉で説明する(3分)。今日の頁から用語を一つ選び、教科書を閉じて、お子さまが親に向かって2文で説明します。決まりは一つで、「たとえば」を必ず付けることです。天気の単元で「飽和水蒸気量」を選んだ日なら、「その気温で1m³の空気がふくむことのできる、いちばん多い水蒸気の量。たとえば、冷たい飲み物を入れたコップの外側に水滴がつくのは、コップのまわりの空気が冷えて、ふくみきれなくなった水蒸気が水になったから」と言えれば十分です。親は答えを知らなくて構いません。「たとえば?」と一度だけ聞き、言葉が出なかったら、その用語の載っている頁を一緒に探して終わりにします。
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計算の単元の日は、1問だけ解く(3分)。教科書の練習問題か、学校のワークから1問だけ選びます。先に式を言葉で書き、その下に数字を入れます。「抵抗が20Ωの電熱線に0.3Aの電流が流れたときの電圧」なら、1行目に「電圧 = 抵抗 × 電流」、2行目に「20 × 0.3 = 6」、3行目に「6V」と書きます。言葉の式を書かずに数字だけを並べると、かける数と割る数を取り違えても本人が気づきません。計算の無い単元の日は、この段を飛ばします。
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最後の1分で、紙に日付と頁を書く。描いた図と3行は捨てずに、右上に日付と教科書の頁を書いて、理科用のクリアファイルに1枚ずつ入れます。ノートに貼り直したり、清書したりはしません。清書を始めると、また写す作業に戻ってしまうからです。
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週末は、平日の紙を1枚だけ描き直す(15分前後)。その週にたまった2〜3枚の紙を出し、1枚を選んで、紙を見ずにもう一度描きます。描けたら平日の紙と見比べ、平日に赤を入れた所が、今度は鉛筆の黒で描けているかを確かめます。時間が残れば、その週の用語を二つつないで1文を作ります。「消化」と「吸収」なら、「食べた物は消化されて小さな養分になり、主に小腸の柔毛から吸収される」。二つの用語の間に入る言葉が出てこないときは、その間が授業で聞き落とした所です。
図2のように、平日の15分は、図に5分、3行に4分、用語に3分、計算に3分を振ります。計算の無い単元の日は12分で終えます。20分を超えそうな夜は、4行目を書かずに切り上げます。長く延ばした夜の次の日は、机に向かうまでが重くなるからです。時刻は夕食のあとや入浴の前など、毎日同じ場面に結びつけると、始めるかどうかで迷う時間が減ります。

分野で変える、15分の中身の配分
15分の枠は同じでも、単元の分野によって中身の配分を変えます。生物と地学は図と用語が中心で、化学と物理は計算と実験の手順が中心です。図3のように、生物・地学の単元の週は、図に6分、3行に4分、用語に5分を振り、計算は入れません。化学・物理の単元の週は、図に3分、3行に5分、用語に2分、計算に5分です。
生物で図が中心になるのは、体のつくりが「名前」「位置」「働き」の三つで一組になっているからです。心臓の図なら、肺から戻ってきた血液がどの部屋に入るかを、矢印で描けるかどうかを見ます。肺から心臓へ戻る血管は、名前に「静脈」と付くのに、酸素を多くふくんだ血液が流れています。名前だけを写した子は、ここで引っかかります。地学も、前線の断面や地層の重なりのように、向きと順番を描く図が多い分野です。寒冷前線なら、冷たい空気が暖かい空気の下にもぐりこみ、暖かい空気を押し上げる形を、矢印の向きまで描けるかを見ます。
化学で計算と手順が中心になるのは、手順の一つずつに理由があり、結果が質量の数字で出てくるからです。銅の粉を加熱して酸化銅にする実験では、銅の質量と、銅と結びつく酸素の質量の比が4:1になります。銅1.2gなら結びつく酸素は0.3gで、できる酸化銅は1.5gです。この計算を1問だけ解き、その前に「加熱の前と後で、何の質量を量ったか」を3行に書きます。物理は回路図を描き、電流計は測りたい所に直列、電圧計は並列につなぐ形を確かめてから、計算の問題に入ります。

単元の分野は、教科書の目次を見ればわかります。お子さまに「今、理科は生き物、大地や天気や星、物質、電気や力のどれをやっている?」と聞けば、週の配分はその場で決まります。学校によっては、二つの分野の授業を同じ週に並べて進めることがあります。その週は、その日の授業の分野に合わせて配分を切り替えます。
夕食のあとにかける言葉
理科の家庭学習で親が口にする言葉は、少し変えるだけで、子供を写す側から描く側へ移せます。言いがちな言葉と言い換えを、理由と一緒に並べます。
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「ノート、きれいに書けてるね」→「この図、教科書を閉じても描ける?」。ほめる先が字のきれいさにあると、子供はきれいに写すことを続けます。ほめる先を、思い出して描けた中身へ移します。描けなかったときに責める調子にならないよう、軽く聞きます。
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「ちゃんと覚えた?」→「その実験で、何を何に通したか、手で示してみて」。覚えたかどうかは、本人にも判定できません。手で試験管の傾きを示したり、指で空中にガラス管の道筋をなぞったりすると、どこで止まるかが本人にも親にも見えます。
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「なんでこんなのも答えられないの」→「どこまでは描けた? その先を教科書で一緒に見よう」。止まった所を責めると、次から止まった所を見せなくなります。描けた所を先に数えてから、止まった1か所だけを教科書で開きます。
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「計算は答えが合っていればいいよ」→「先に式を言葉で書いてから、数字を入れてみて」。答えが合っていても、手順がずれていることがあります。食塩10gを水90gに溶かした食塩水の濃度は、溶けている食塩の質量を食塩水全体の100gで割るので10%です。水の90gで割ると約11.1%になります。答えの数字だけを見ていると、この取り違えは見えないままです。言葉の式が紙にあれば、どこで割る数を選び違えたかがすぐに見つかります。
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「理科は暗記だから、とにかく覚えて」→「今日の用語を、たとえばを付けて言ってみて」。「暗記」の一言を聞いた子供は、写す回数を増やす方向へ動きます。「たとえば」を付けて言う練習は、用語を図や実験の場面に結びつける練習になります。
理科の家庭学習で親がやりがちな三つのずれ
1つ目は、色ペンの数や埋まった頁の数で、がんばりを測ることです。埋まった頁は目に見えるので、親も子もそこで手を止めたくなります。けれども、写した量は、思い出せる量とは別の物です。直し方は、図1の三つの段のどこまで上がれたかで見ることです。白い紙に描けた図が1枚あれば、その夜はいちばん上の段に手がかかっています。
2つ目は、理科の得意な親が先に説明してしまうことです。親の説明がわかりやすいほど、子供は聞いて「わかった」と感じ、自分の口で言う機会を失います。お子さまが言葉に詰まった数秒を待てずに、親が続きを言ってしまうのも同じずれです。直し方は、親が口にする問いを「たとえば?」と「なぜその順番?」の二つに絞ることです。説明したくなったら、教科書の頁を指で示すだけにとどめます。
3つ目は、手順を全部やらせようとして、毎晩30分、40分と延ばしてしまうことです。長い夜が続くと、ある日を境に机に向かわなくなります。直し方は、15分で切ることを先に決め、時間が来たら3行が2行で止まっていても終えることです。図は1枚に絞る、という決まりを崩さないようにします。
理科の家庭学習でよく聞かれる三つの質問
理科の授業が無い日も、家庭学習はいりますか
授業の無い日は、前の授業の紙を1枚出し、図だけを見ずに描き直す5分で終えます。新しい頁には進みません。1日あけて描き直すと、授業の日の夜には描けていた所が抜けていることがあり、その抜けた所が、次の授業の前に教科書で確かめる場所になります。
図を見ずに描くと、間違いだらけになります。続けて意味がありますか
あります。間違えた所を赤で直すことが、この手順の中心です。最初から正しく描ける図なら、描く必要はありません。同じ図で毎回同じ所が赤になるなら、そこは授業で先生に聞き直す所です。地層の図で、ふつうは下の層ほど古いという向きを毎回逆に描くなら、その一点だけを教科書で確かめてから描き直します。
親が理科をほとんど覚えていません。それでも見られますか
見られます。答え合わせをするのは教科書だからです。親の役目は、お子さまが描いた白い紙と教科書の図を並べて、「ここ、教科書と向きが違うね」と指で示すところまでです。親が用語の意味を知らないほうが、「たとえば?」と素直に聞けて、お子さまの説明が長く続くこともあります。
学校の理科の先生に確かめること
家庭学習の形を決める前に、学校で確かめておくと迷わない項目があります。保護者会や個人面談、連絡帳で、次の形のまま聞けます。
- 授業で配られた実験のプリントは、家に持ち帰って見返してよいですか。
- 家庭学習ノートを出す決まりがある場合、理科の図や3行の書き出しを、その頁に入れてよいですか。
- 理科のノートやワークを出したとき、それが評価のどこで見られるかは、評価の計画のどこに書いてありますか。
- 実験の授業を休んだ日は、その日の結果をどこで確かめればよいですか。
- 教科書の図のうち、授業で特に時間をかけた図はどれでしたか。
勉強をめぐる親子の言い合いが続いて家の空気が重いとき、学校へ行きにくい様子が見えてきたときは、まず担任やスクールカウンセラーに話せます。学校の外の相談先としては、市内に住む家には武蔵野市の教育支援センター、都内の家には東京都教育相談センターがあります。三鷹市や小金井市など、武蔵野市の外で暮らす家は、お住まいの市の教育委員会が受けている教育相談へ問い合わせてください。
1対1の授業で最初に確かめること
1対1の授業では、最初に教科書を閉じてもらい、直近の授業の実験の図を描いてもらいます。手が止まった所が道具の名前なら用語へ、向きや順番なら手順の理由へ、数字を入れる所なら言葉の式へ戻ります。中2の電流の計算で止まった原因が、中1の密度の計算で式に数字を入れる手順にあることもあり、そのときは学年をまたいで戻ります。家で続けている白い紙があれば持ってきてもらい、同じ図をその場でもう一度描いて、赤の入った所が黒で描けるようになっているかを並べて確かめます。
今夜、机に出すもの
今夜は、白い紙を1枚と、今日開いた理科の教科書の頁だけを机に出してください。色ペンの入った筆箱は、少し離れた所に置いて構いません。描き終えた紙は、赤が多く入っていても捨てずに、日付を書いてクリアファイルへ入れます。試験管の口が少し下を向いた絵が紙の上に一つ残れば、その夜の理科は、お子さまの頭の中で一度組み立て直されています。
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